谷川連峰

川古温泉〜小出俣山〜俎�ｰ山稜〜天神平

〜まさしく春山ＪＯＹの谷川連峰〜

２００８年４月５日〜４月６日

最初はまだ山スキーで遊ぼうと思っていたが、どうも今年はスキーを履くと天気が悪くなる傾向がある。 そこで早くも板納をし、残雪期の縦走へと移行した。 今シーズン最初の縦走のコースは、前から気になっていた俎�ｰということになった。 これに合わせてテントのフライを「デラックスフライ」に新調したのだ。 また、突然の誘いにもかかわらず、青空山岳会のＳさん夫妻にも同行してもらえることになった。 久々に4人での山行だ。 「フライを披露（自慢）できるぞー♪」（←モコモコさんの言葉）「まあ、いやらしい！」（←モコモコさんが自分の発した言葉に一人でコメントしていた） と騒いでいるモコモコさんは放っておいて、嬉々としてパッキングに取り掛かった。

アプローチ 東京駅６：３２〜上毛高原駅７：５０/〜川古温泉８：３０ コースタイム ４月５日 　川古温泉（ゲート）８：５０〜千曲平10：00〜小出俣山14：20/14：30〜小出俣山の肩14：35（幕営） ４月６日 　幕営地６：２０〜谷川乗越６：３５〜川棚の頭８：３０〜オジカ沢の頭１０：４５/１１：００〜肩の広場12：15/12：45〜天神平14：00

一日目
４月５日
コースタイム　川古温泉（ゲート）８：５０〜千曲平10：00〜小出俣山14：20/14：30〜小出俣山の肩14：35（幕営）

Ｓさん夫妻とは上毛高原駅で待ち合わせ。
Ｓさんが車を出してくれたので、そのまま川古温泉へ向かう。

林道ゲート前の駐車場で支度をしていると、「どこに行くんですか？」と声をかけられた。
ルートを説明すると、その人達からは、この周辺の植物等を観察しており、連日林道を通っているが、先週の爆弾低気圧による降雪と最近の暖かさで、落石などが多いのでくれぐれも気をつけてとのことだった。

川古温泉にある登山ポスト（非常にわかりにくい）に計画書を出して出発。
準備中は風で寒かったが、歩き始めると天気がいいこともあり暑くなる。

予想では林道には雪がなく、登りにつかうオゼノ尾根も標高1200ｍくらいまでは藪だろうと踏んでいたが、先週降った雪は、以外にもゲートから20分ほどのところから林道をまだ覆っていた。

かすかに足跡はあるが、今日のトレースはない。ズボズボもぐりながら先を進む。
千曲平で少し休憩をし、植林地帯をわずかに進んでオゼノ尾根にとりつく。

尾根取り付きは日当たりのいい南向なので、やはり雪はついていない。
しかし、藪も薄いので藪コギにはならずに済む。
傾斜が結構あり、落ち葉でよく滑るのでこういった道を久しぶりに歩くモコモコさんは、「なんだか既にふくらはぎがパンパンだよ。」と一人弱音を吐いている。
モコモコさんの荷物を分けて背負うことにする。

標高1000ｍくらいからは完全に雪面となり、落ち葉で滑らなくなったのは良いが、気温も高いので、ズボズボ重い雪にもぐる。
しかし、Ｓさんが率先して力強く先頭をいってくれるのでぐんぐん標高を稼いでいける。モコモコさんと二人だけじゃこうはいかない。

懸念していた標高1400ｍ付近にあるちょっとした岩峰は、前回同様阿能川側を巻く。
岩峰から落ちた雪が溜まっている、傾斜のある片斜面なため、少し緊張させられる。
グサグサ雪で気休めにしかならないが、ピッケルを出す。

ここでもSさんが絶妙なルート取りで先行してくれ、後続は難なく通過。結局今日ピッケルを出したのはここだけだった。
ここから山人が先頭を交代して行く。
少し急な登りの部分もあるが、問題なく森林限界へと飛び出す。

一気に谷川方面の視界が開け、少し風が強いがとても気持ちのいいところなので、休憩をとる。
休憩後は一気に小出俣山を目指す。
雪も締まり歩きやすくなった。

昨年の7月にバカ虫の集中砲火を浴びながら歩いたときとは比べ物にならない快適な登りで、小出俣山へ到着。
山頂のマチホド沢側の雪庇の亀裂の深さは5ｍほどになっていた。
山頂での展望を皆思いのままに楽しんで阿能川岳からの稜線とが合流する肩へと下る。

最初は谷川乗越で幕営できるのが理想と思っていたが、余りの展望のよさに肩で泊ることにした。
雪が締まってほぼ平地なので整地はほとんど不要だ。悪天の兆しは無くブロックは積まなくてもいいかなと思ったが、赤谷川側から吹き上げてくる風が結構強く、ブロック積をモコモコさんが強く主張するので、ブロックを積む。

ブロック積に疲れたのでテントに潜りこもうとすると、モコモコさんから「こっちも積んだほうがいいよ」といつものように＜もっと積め＞指令がでる。
「もういいよ、疲れたし。」と拒否をすると「じゃあ一人で積むよ」というので、ブロック積はモコモコさんに任せて水作りに入る。

モコモコさんもテントに入り込み、早々と夕食となる。
定番の焼肉だ。焼いているときの匂いが食欲をそそる。重いけれど担いできた甲斐があった。

夕食の間に日が沈む。
15：30から強くなった風は相変わらずだが、楽しく夜が更けていった。

就寝前に外に出てみると、冷たい風が強くえらく寒いが、ホワイトバレーｽｷｰ場のナイターらしきものと谷川温泉の明かりが良く見え、星空が綺麗だった。




二日目
４月６日
コースタイム　幕営地６：２０〜谷川乗越６：３５〜川棚の頭８：３０〜オジカ沢の頭１０：４５/１１：００〜肩の広場12：15/12：45〜天神平14：00


風は夜中まで吹いていた。
モコモコさんの言う通りブロックを積んでおいてよかった。

春は明るくなるのが早いのがいい。
朝食中、日の出を迎える。

今日は核心部の俎�ｰ尾根だ。幕営地から見ると本当に突破できるのかちょっと不安になる。
体操をして出発。
早朝で雪が締まっているので歩きやすい。

一気に谷川乗越まで下る。
乗越から本谷の頭までは、雪堤を進む。
雪堤は崩れかかって亀裂が出来ているところがあちこちに見られるので、赤谷川側の藪を巻いたり、踏み抜いたりすることもあるが、風は比較的穏やかで、気温もさほど高くなく快適な稜線漫歩となる。

本谷の頭から川棚の頭手前の小ピークの間の稜線は藪が出ているので、赤谷川側を進む。
雪面は山稜の陰で締まっているので、歩きやすい。
小ピークで休憩。
休憩しながら川棚の頭への稜線を見ると、急傾斜でしかも最後は岩場と雪壁になっているように見える。
果たして登れるか？

一度コルへと下り、川棚の頭への登りに取り付いてみると、藪が雪に覆われたことで出来た瘤が、ちょうど良い足場となって思ったよりも簡単そうだ。
下から見えた雪壁を回り込むように登る。
稜線直下が少し急だが、キックステップが良く効き、ロープを出さずに登れた。

三角点直前に傾斜が緩く笹薮がでて乾いているところがあったので休憩する。
日当たりが良くて暖かく、谷川岳の絶好の展望台だ。
天神尾根を見ると、沢山の人が登っている。

これだけ天気がいいのだ。
きっと昨日今日でどっと人が繰り出しているのだろう。

これまで赤谷川側を巻き気味に来ることが多かったが、川棚の頭〜俎�ｰ間は谷川岳や赤谷川、国境稜線を眺めながらの最高の縦走となる。

谷川岳に西黒沢源頭の滑降を始めた人や、肩の小屋からオジカ沢の頭方面に下ってくる人も見えた。
俎�ｰから鞍部へ下り、休憩。ここはオジカ沢のときにへんちくりんな尾根を登ってしまい、喉カラカラでたどり着いた思い出深いところだ。

休憩中にオジカ沢の頭へ目をやると、シュプールが何本か残っている。
国境稜線へ肩の小屋から滑り降りてくる人達が見えた。最初は万太郎谷の滑降かな？とも思ったが、どうやら赤谷側〜毛渡沢の継続滑降の様子。
確かに赤谷川源頭は気持ち良い滑りができそうだ。

鞍部からは一気に尾根がひろがり、各自自由なペースでオジカ沢の頭を目指す。
オジカ沢の避難l小屋へ着くと、単独のテレマーカーが滑る準備をしていた。
話をすると、やはり毛渡沢へ抜けるそうだ。また、「後から続々と来ますよ」との情報ももらう。

オジカ沢の頭で休憩（休憩ばっかり）して歩いてきた俎�ｰを眺める。
そうこうしている内に、テレマーカーが滑降を開始し、あっという間に見えなくなった。
さらに、単独テレマーカーの言う通り、休憩中に7〜8人（2パーティー）が我々の前を通過していった。

谷川岳へ向けて重い腰を上げると、単独テレマーカーは既に赤谷川の沢床へ降り立っていた。やっぱりスキーは早い。

肩の小屋まではこれまでの俎クラ尾根と違い、日当たりが良く、気温も上がったので、毛渡沢へ抜ける人たちの足跡があるとは言え、よく潜る。
皆で「暑いー」といいながら肩の広場への登りを頑張ると、そこは銀座だった。天気がいいので沢山の人が展望を楽しんでいた。

谷川岳登頂3000回目指す森さんとそのお仲間とちょうど出合い、少し話をする。
殆どの人がスキーやボードを担ぎ上げてきている。
登山者のほうが少数だ。
ロープウエイとリフトの力はすごい。
元気が残っているSさんが代表して山頂を往復してくる間、残った軟弱3人はのんびりと休憩する。

天神尾根はたくさんのトレースがあるにも係わらず、これまでで一番もぐるような気がしたが、のんびり下ればいいので気が楽だ。
西黒沢源頭を見ながら下山していく。

熊穴沢の避難小屋は屋根のほんの一部が顔を覗かせているが、まだ雪の下だ。
天神平手前のちょっとした岩場に着くと、ボードを担いだ6人組の最初の一人が下降するところだった。
ちょっと滑ったらしい。
二人目はなかなか下降できないらしい。

登山者は夏道通りに登れるので難なく通過できるが、スノーシューでボードを担いではこのルートは通過できないようだ。10ｍほどだが、ボードを手に持ち（背負わず）ゲレンデからそのまま来てみましたといった感じの単独のボーダーはこれをみて引き返していった。

天神平に出る直前に小出俣山から続く稜線の最後の展望を楽しみ、ロープウエイを使った楽チン快適下山。
バスで水上駅へでて、きむらやのラーメンを皆で食して解散となった。

念願かない俎�ｰ山稜を踏破できた。
条件がよかったこともあり、会心の山行となった。
これらはSさん夫妻の同行なくしてはありえなかっただろう。この場を借り感謝申し上げます。






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