朝日連峰
岩井又沢畑沢
〜山人&モコモコ夏合宿〜
2008年8月9日〜8月12日

以前から憧れていた岩井又沢。今シーズン一番楽しみにしていた山行のひとつだ。
昨年の八久和川では日程不足の為敗退してしまった。その経験を生かし今年は予備日も設けての万全の体制で望むことになった。
アプローチ
新宿駅23:10(ムーンライト越後)〜新潟駅4:51/6:01〜新発田駅6:36/6:44〜坂町駅7:08/7:12〜小国駅7:57/(タクシー9800円)〜三面登山口8:45

コースタイム

1日目
 8月9日 晴れ
 三面登山口9:16〜本流10:15/10:23〜F1 11:15〜F2 12:12〜サゾウ沢13:56〜ウデコイ沢14:54
2日目 8月10日 晴れ
 ウデコイ沢7:20〜大上戸沢9:54〜畑沢12:07/13:00〜テン場14:00
3日目 8月11日 晴れ
 テン場7:11〜喜助滝9:00(休憩)9:41〜白いナメ滝70m11:07/11:45〜18m滝12:00/13:18〜8m滝13:46/15:09〜ゴルジュ15:56〜12m滝下(幕営)16:36
4日目 8月12日 晴れ
 テン場6:00〜稜線10:08〜西朝日岳10:21/10:45〜日暮沢小屋15:45

1日目
 8月9日 晴れ
 三面登山口9:16〜本流10:15/10:23〜F1 11:15〜F2 12:12〜サゾウ沢13:56〜ウデコイ沢14:54

 とても暑い。なんとか職場を抜け出し新宿へ向かった。新宿発23:10のムーンライト越後は満席で帰省客や、登山者等で賑わっている。ちょうど我々の乗った車両にも沢へ行くらしい人たちが3人いた。モコモコさんと沢旅の安全を祈って乾杯して浅い眠りについた。

当初は村上駅からのアプローチの予定であったが、交通事情により村上からは入れないという情報を得ていたので小国から入ることになっている。米坂線との乗り継ぎの関係で新潟駅で時間調整をした。一時間ほどあるので駅前にあるファミレスで豪勢な朝食。

小国駅まではモコモコさんの念入りな計画のお陰でスムーズに乗り継ぐことができた。ムーンライトで一緒だった3人パーティーも小国駅で降りた。どうやら行き先は同じらしい。モコモコさんがトイレに行っている間に3人パーティーは先にタクシーで行ってしまった。

我々もタクシーで後に続く。三面登山口で降りると先ほどの3人パーティーが準備をしていた。あいさつをすると以東沢横山沢へ向かうとのこと。

我々も体操をして岩井又沢へ向かうことにする。この沢のうれしい点はアプローチが1時間ほどで短いことだ。平四郎沢手前の三面川本流への踏み跡を下る。降り立ったところは岩井又沢の出合近くの川原だ。川原に降り立つと予想通りメジロが襲ってきた。防虫ネットを被って準備を進める。これから一日、メジロとの長い戦いが始まった。

本流を渡渉して岩井又沢へと入る。出合から水線通しでいくが、F1、F2ともに時間短縮の為に最初から巻くという作戦を立てていた。12:30にはF2を巻き終えた。サゾウ沢付近で泊まる計画を立てていたが時間も早いので先に進むことにした。

ウデコイ沢の出合いに事前情報通り絶好のテン場を発見した。今日はここまでとした。八久和川でも大活躍したアライテントのカヤライズの出番だ。さらに今回はタープとテントフライを持ってきた。フライはタープを張れない状況でも対応できるようにした。ここではカヤライズとタープを張った。

相変わらずアブは攻撃の手を緩めない。焚き火の準備をする。焚き火はよく燃えたが、あまりのメジロの猛攻に耐えられずモコモコさんとカヤライズの中に避難することにした。中は天国でもうメジロや蚊に悩む必要はない。夜行の疲れもあったので宴会もそこそこに体を休めた。念のため夜は蚊取り線香も焚いた。

空梅雨と、ここ数日の好天気のお陰で水量が平水より少なめなのか、一日目の印象は特に難しいところはなかった。核心はメジロとの戦いだった(蜂の巣に近づいたようにたかられた)。反省点2つは、1、首筋を多く刺されたこと。2日目以降は首にタオルを巻いて対応した。2、手首の辺りを多く刺されたこと。長袖ラガーシャツを着ていたが手袋の僅かな隙を攻撃された。2日目以降はシャツを手袋部分まで引っ張って素肌を見せないようにした。ムヒのお世話になりました。

いよいよ入渓 太い流れ
メジロとの戦い第一ラウンド.。まだ序の口。 F1
F1の上 F2 高巻き途中
水量が多いので迫力があった ウデコイ沢出合いの絶好のテン場



2日目
8月10日 
晴れ
コースタイム  ウデコイ沢7:20〜大上戸沢9:54〜畑沢12:07/13:00〜テン場14:00

朝起きるとカヤライズの周りを蚊が取り囲んでいた。タープだけなら悲惨な夜になっていたことだろう。テントに入りたがっている蚊に優越感を抱きながら朝食の準備を進めた。

今日の核心部は前半。2キロに及ぶゴルジュ帯だ。朝からネットを被る。今日もメジロとの戦いが始まった。
ゴンジロウ沢出合いには雪渓が残っていた。これが唯一岩井又沢で見た雪渓になった。
ガイドの通り、巨岩帯が迷路のようでツッパリで登るころがあったりと、時間がかかった所もあった。しかし水量が少ないお陰か、思ったよりも楽に抜けられたような気がした。
巨岩帯よりも、6m大釜滝が一番気がかりだった。左から巻いて落ち口を少し越えた所から下降し、水流の弱点を突いて対岸に渡って降りた。思ったよりも簡単に抜けられたが、ここは水量によっては渡渉が命がけになりそうな感じがした。

大上戸沢から畑沢の出合まではほぼ平坦な川原なので、のんびり時間を掛けて遡行することにした。
支流が綺麗な滝を掛けて次々と入ってくる。アブさえいなければ本当に長閑なところだった。

畑沢出合いがイメージよりも貧弱だったので確信が持てず、様子見を兼ねて中俣沢へ少し進んだ。ゴルジュ状になって深い淵がでてきたので、先ほどのところが畑沢出合いということに確信がもてた。休んだりして1時間ほど過ぎてしまった。

畑沢出合いちょと先の左岸に良いテン場がありここに泊まろうかと悩んだが、先に進むことにした。
畑沢に入るとゴーロでぐいぐい高度を上げていく。これでもかとゴーロが続いてうんざりしてきたので、左岸の僅かなスペースを切り開いてテン場とした。今日もカヤライズとタープの組み合わせにした。
行動を終了するには少し早いが、朝日の沢でこんなのんびりできることはめったにないだろうと幸せな気分になった。また、この辺まで来るとメジロもだいぶ少なくなって、夕方にはネットを外して外で焚き火に当たることができた。

朝日の自然の恵みに感謝して2日目夜は更けていった。

ゴンジロウ沢の雪渓 巨岩が目立つようになると
ゴルジュになってくる 泳いだりしてどんどん進む
滝を掛けて入る大上戸沢 小滝だが釜は大きい
巻き込まれたら浮いてこられなさそう ゴルジュだけど圧迫感はない
6m大釜滝 落ち口
沢が広がった 大岩上の植物がいいね ゴーロ滝があるくらいで平凡
畑沢出合 畑沢出合から1時間ほどのテン場



3日目
8月11日
 晴れ
コースタイム  テン場7:11〜喜助滝9:00(休憩)9:41〜白いナメ滝70m11:07/11:45〜18m滝12:00/13:18〜8m滝13:46/15:09〜ゴルジュ15:56〜12m滝下(幕営)16:36


 今日も朝から天気がいい。岩井俣に入って既に3日目。いよいよ、喜助滝を越えて稜線直下まで詰め上げる予定だ。
幕営地から2時間ほどゴーロを詰めあがると、ゴルジュになり喜助滝がデーンと立ちふさがる。滝の真下まで簡単に行けるので水流を浴びてお約束の「修行」の記念写真。モコモコさんは体調が悪いのか、緊張のせいか「吐き気がする、おなかの調子が悪い。」というので長めに休んだ。

9:41高巻き開始。
左の草つきを山人トップでグイグイ登る。潅木帯まで登り一休み。モコモコさんが下から「滑ってぜんぜん登れないよ〜(怒)だからザイル出そうって行ったのに〜も〜(怒)」と文句をいってくる。とりあえず、空身でモコモコさんの場所まで懸垂下降することにした。懸垂下降の途中で、川原に4人パーティーがちょうど到着したところだった。手を振ってあいさつした。モコモコさんから「最初からザイル引いていってくれれば良かったんだよ!」と怒られる山人であった。

高巻きの途中からエビスグラ沢の巨大な岩がデーンと鎮座しているのが見えた。白ナメ滝70mの落ち口の上部を目指してトラバース気味に高巻きを続ける。後は潅木を頼りに急な下りを慎重にこなしてナメ滝の中間部のところに飛び出した。グイグイ登れるが、スラブ状でこれだけの高さとスケールなので慎重に上まで登ることにした。

11:15白いナメ滝70mの上に立つ。高巻き開始から約1時間40分もかかった。
ここで大休止。のどがカラカラだ。ポカリスエットを作り、行動食を食べて体力を回復させた。4人パーティーが上部の藪を漕いでいるのが見える。一気に巻いてしまうようだ。

11:45出発する。
すぐに18m滝が行く手をさえぎる。ここは最初からザイルを使用。一段目上までは簡単に行けた。二段目は登れないので、水流を超えて高巻きをするようになる。水流超えの一歩が、体を外に振り出すような感じなるので怖い。残置ハーケンが1枚あった。念のためもう一本自分でハーケンを打ち込み確保した。気合を入れて岩を抱きかかえるようにして突破。あとは、草つきを潅木目指して登った。

笛を吹いてモコモコさんにも登攀を促したがどうやら聞こえないらしい。ザイルが引っ張られたので登り始めたとのこと。モコモコさんも無事に登ってきた。ギアを整理していると山人「あれっ、ハンマーがない!!!!!」と騒ぎ出した。どうやら草つきの登りで落としてしまったようだ。バックアップを取ってなかった。反省。

これまた、懸垂下降で草つきのルートを探しながら下降した。2段の所まで降りたが見つからなかった。せこいようだが、モコモコさんが2段目の足がかりにスリングを残置したというのでついでに回収。片手で回収することになり、スリング一本の為にあぶなっかしいことをしてしまった。反省。4人パーティーがちょうど2段目の登攀に取り掛かるところだった。

意気消沈で、草つきを登り返すとなんとハンマー発見。いやーほんと疲れました。巻いたところで一休み。すぐ上の滝も左を巻いて進む。一緒に巻いても良かった。13:40終了

13:46 8m滝
2段になっておりちょうど2段目を水流をまともに浴びながらトラバースするようなルートで行くことにした。ザイル使用。山人がザックを背負って何回かトライしたが水流に負けて断念。空身で突破することができた。登ったのはいいがザックの回収が途中でひっかかり、困難を極めた。

モコモコさんと二人であれこれトライしたが、もともと重いザックでさらに水を吸ったので余計に重くなり握力体力を消耗して困り果てた。見かねた4人パーティーの一人がお助け紐で流星法で下から荷上げを支援してくれた。何度目かのトライでようやく引き上げに成功した。その後、モコモコさんも水流をまともに浴びながら登ってきた。途中一歩スリップしたがカムが効いていたので助かった。

荷揚げの際にはお力を貸して頂き本当にありがとうございました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

滝上で大休止。お礼ついでにここで初めて雑談をかわした。 4人パーティーの方々はなんと福岡からの遠征だそうだ。荷揚げで使い果たした腕の力が戻らないので、もう少し休むことにした。これから先は先に行っていただくことにした。
滝上15:09発

15:56ゴルジュの始まり。
このゴルジュは登れない滝が一つでもあったらアウトであるが、ゴーロだけなので問題はなく、そびえたつ岩壁を見上げながら通過できた。その後いくつかの滝を登る。一つだけ垂直で登れそうで登れない滝がある。モコモコさんが水流を浴びながら直登を粘ったが、結局左から小さく巻いた。

16:36巻き終えると12m滝がドーンと立ちふさがる。
先行パーティーはちょうど登り終えたところだった。時間も時間だし、先ほど巻き終えたところに畳一畳ほどの一枚岩があり周辺を整地すればテントが張れそうだったのでここに泊まることにした。ブヨがたかってきてうるさい。雨が降れば一発で水没する所だが、今晩も雨の心配はなさそうなのでゆっくりたき火に当たってといきたいところだが、薪もないので今日は焚き火なしでテントに潜り込んだ。

ハードな一日だったので宴会もそこそこに終了して体を休めた。

畑沢はしばらく大岩ゴロゴロ 大岩が落ち着いてくると
喜助滝(お約束の修行) 巻き始めたら後続パティーが追いついてきた
白い70m滝中段に巻き下りた 白い70m滝上部を見る
白いナメ70m滝下部を見る 18m滝 高巻きでハンマー落とす
すぐ上部の2段10m滝 8m滝 荷揚げで後続パティーに助けられる
次々と滝がでてくる ゴルジュ入り口 ゴーロが続く
モコモコさんが挑む 12m滝 夕方になったので登るのを断念



4日目
8月12日
 晴れ
コースタイム  テン場6:00〜稜線10:08〜西朝日岳10:21/10:45〜日暮沢小屋15:45


 4:00起床。今日は午前中になんとか稜線に立ちたい。12m滝の突破から始まる。右のルンゼを登って大高巻きしようかと思ったが、上部は草つきが急で潅木帯まで上り詰めるのは断念。

ルンゼ中間部から、滝の落ち口へ向かってトラバースするルートが正解だ。ザイル使用で突破。その上には滑りやすそうな15m滝。右をそろりと笹につかまりながら突破。6:50

そのあとも登れる滝が出てきて楽しい。途中でモコモコさんから、「まぶたに何か付いていない?なんだか変な感じがする。」と言われてたので、見てあげると、バカ虫がしがみついていた。すぐにとってあげたが時遅し。バカ虫に噛みつかれたモコモコさんの左まぶたは腫れてしまった。「も〜なんなんだよ〜」と嘆いていた。

順調に高度を上げていく。段々尾根が近づいてくるにつれ、両岸が草原状になってくる。
現在8:09、テン場から約2時間経ったところで、先行パーティーが泊まったらしき場所に着いた。

8:43 二俣。
どうやら水枯れのようなので水を補給。左に進む(登山道にはこちらが近い)。これが間違いで、袖朝日岳からの稜線から離れて藪に突入してしまうことが見えたので戻って右に行くことにした。30分ほどロス。

右を進むと次第に草原状になりグングン高度を上げる。それにしても暑い。暑すぎる。景色は気持ちがいいのだが・・・。それでも足を運んでいると稜線が近づいてくる。
喘ぎながら登って、ようやく稜線に立つ。荒川側がズドンと切れ落ちている。西朝日岳の踏み跡を辿ると僅かで西朝日岳山頂。
西朝日岳山頂にはトンボが無数に飛んでいる。ようやく着いた。

さて、ここからどうするかモコモコさんと作戦タイム。
帰ろうと思えば帰れるが、とりあえず帰るのはやめて
 1、時間が早いけど竜門小屋に宿泊し、まったりと持て余す時間を堪能する。
 2、日暮沢小屋まで降りて宿泊。次の日、朝帰る。
 3、もうこの暑さには我慢できない。風呂に入りたい。おいしいもの食べたい。朝日連峰から脱出する。せっかくなので山形の夜を楽しみたい。

作戦タイムの結果。3に決定。とりあえず携帯電話が通じるぎりぎりのところまで下ることにした。

13:23ようやく清太岩山。ここまでくれば、登山口までの目途が立つ。
ここでは携帯電話の通話が可能(これから下は不通となる)なので、タクシー会社に連絡をとる。
タクシーの予約完了。16:15の送迎を頼んだ。次は宿の確保、山形駅近くのビジネスホテルの予約を取ることができた。

手筈は整ったので、あとは日暮沢小屋まで2時間の下りだけだ。
日暮沢小屋には15:45に到着。タクシーはすでに到着していたので、着替えてちょうど16:15に出発することができた。
17:00月山銘水館着。月山銘水館までタクシー代(約10000円)。水沢温泉で汗を流す、17:45発山形駅行きのバスに乗る。19:00頃山形駅到着。

ホテルに荷物を置いて、早速打ち上げに向かった山人&モコモコさんでありました。

余談
ですが、なんと福岡からの4人パーティーも同じように山形の夜を楽しんだらしく、翌朝山形駅で偶然再会!!したのでした。相変わらず最後まで素晴らしい演出をしてくれる朝日連峰なのでした。


上流部になってもまだまだ滝は続く 振り返る
荒削りな滝を巻気味に登った 右岸から小沢が出合う
快適に登れる滝 小滝とゴーロ滝の連瀑
源流部まで登ってきた 源頭部
相模山方面を望む 早く稜線に出たい。暑い。肩が痛い。
西朝日岳はまもなく 西朝日岳山頂を後に朝日脱出作戦決行
花の尾根 朝日連峰住人?の皆様の代表さん さようなら


活動記録に戻る

トップへ戻る