谷川連峰
西黒沢本谷
〜湯檜曽川の沢にはハズレがなかった〜
2008年9月23日 

モコモコさんが根拠もなく行きたいと騒いでいた西黒沢本谷。
今年は週末になると悪天候になる周期になってしまったようで、なかなか出動できなかたりで、畑沢以来標高差のある沢に行っていないので実行することにした。
情報はほとんどないものの、山頂から見えた源頭が魅力的なので期待をしているが、当たりと出るかハズレと出るか。
アプローチ
東京駅19:52〜高崎駅20:52/21:22−水上駅22:25/(タクシー)−土合駅

コースタイム

9月23日
 土合駅5:00〜西黒沢橋5:20〜田尻沢出合6:00〜ザンゲ沢出合6:50〜天神尾根登山道(標高1750m付近)12:20〜天神平13:15



遡行距離そのものは短いが、時間が読めないために前夜のうちに土合に入っておき、早めに出発することにした。

土合ステーションホテルは久しぶりだ。前回(話し声で)うるさくて眠れなかったので今回は外にテントを張って寝ることにする。
ところが拍子抜けすることに、駅には数台の車はあったが、駅寝している人はだれも居なかった。湯檜曽駅にはテントが何張りがあったが、ここではみな車中泊らしい。

 人が駅に出入りする音で2〜3回目が覚めたが快適に眠れた。余談だが、物音の主は鉄ちゃんで、彼の話によると1時間ほど列車の運行が遅れているそうだ。

まだ薄暗いうちに、荷物をデポして出発。
国道が西黒沢を渡る橋横のブルドーザー道へ入る。

まだロープウエイ運行時間前でとても静かだ。
何回か沢を渡り返し、白鷺滝はパスをして田尻沢出合から入渓する。
最初は川原のようなゴーロ歩きだ。
西黒沢(特に田尻沢出合下流)の水は飲めない(飲む気もしない)のに水を汲んでこなかったので、飲み水の心配をしていたが、左岸から2本立て続けに枝沢が入ったので助かった。

この枝沢を過ぎた辺りからナメが出始める。小規模だが、暑いときはヒャッホー滝(滑り台)となりそうだ。このあたり、なぜかイモリが目立つ。なんだかすごくかわいい。
天神沢を分けると登山地図に五段ノ滝とある綺麗なナメとナメ滝が続くところを楽しく快適に進む。

これから本番か?と思うがあっけなくナメも終わりまたゴーロ歩きとなり、伏流で出会うザンゲ沢となる。
ザンゲ沢はそのままザンゲ岩へ突き上げているので、出合いからザンゲ岩が見えると予測していたが、あいにくのガスで見ることはかなわなかった。

本谷に入ると、ザンゲ沢出合からすぐで右岸から熊穴沢が出合う。
熊穴沢出合の先で休憩をとる。

本谷の側壁は徐々に高まり、すぐにこれまでのナメやナメ滝に比べて傾斜を増した4mトイ状の滝が出現する。水量はあまり多くないが釜は結構深そうなのでへつって取り付く。

次の10m滝はザイル使用で登る。途中残置ハーケンがあり、滝上のちょうどいいところには真新しいリングボルトが打ってあった。
この滝の上にいくつかあるナメ滝にも新しいハーケンが残置されていた。モコモコさんと「何だろうね?整備したのかな?」「人があまり入らない沢だから、訓練かなんかで使ったのかな?」と謎解きをしながらナメを進むと先には10mナメ滝。

これは登れないので、左岸ルンゼからとりつき草つきを巻くが、沢への下降は懸垂となる。ちょうど支点にしようとした木にはスリングが残されていた。

またもや快適なナメとナメ滝を越えると、これまでと一変して沢は角ばった岩で覆われる。何本かの沢が近接して出会うあたりには、8m滝と30mほどの滝が続けてかかる。

30m滝上段まで階段状ですこぶる快適に登る。、30m滝の上部だけは段々傾斜が増して高度感がでてきたあたりに少しいやらしげな所があったのでお助けを出したが問題なし。
ここから息つく暇もなく滝が続く。

概ね快適に登れるが、15m2段滝はホールドが細かく、ヌメッて見えるので下段でお助け紐を出す。この滝にもほしいところに残置ハーケンがあった。
続けて3〜10mくらいの滝を数個問題なく越えると、いきなり黒々とした10mチムニー滝が現れる。
直前にならないと見えないのはオジカ沢と同じで心憎い演出だ。

中段までは巻き気味に登れそうだが、その先が面倒そうで、さらに急峻なゴルジュとなっている様子なので、おとなしく巻きに入る。

巻きのルートは右岸の草つきまじりのスラブにとる。下から見ると、傾斜があり潅木帯に入っての大高巻きになりそうだったが、実際取り付いてみると快適に登れ、適当なところで無理なくトラバースできる。
少しずつ、スラブと草つきの弱点を登ったりトラバースしていくと、かなりの高度になった。

正面に見える沢へ行くには、このままトラバースしていくには急な草つきをいかないといけないし、それを避けるにはまだ登らないといけないからここで一度沢へおりたほうがいいのかと少し悩んでいたら、モコモコさんから「本谷は直角に15mくらい?の滝をかけて入っている方だよ」と言われる。
それなら話は簡単だと再び登りながらトラバースできるところを探していく。

途中一歩岩が張り出していて高度もかなりあるところを進まなければいけなくなった。そこで、潅木がまれではあるが、生えていて支点にできるところがあるのでザイルをだして行く。
その後もザイルをだしたまま3ピッチほどトラバースしてようやく巻き終わる。結果として、特にいやらしいところはあまりなく、快適な巻きだった。
ザイルをしまい本谷の15m滝上へと問題なく下降し、そのまま小滝を登る。

小滝の上はさらに小滝の連瀑というような20m滝と、ヌメッて滑りやすい8mナメ滝を越えると沢は既に源流の雰囲気。
8mナメ滝の次の8m滝下には流されてきたであろう鉄看板があった。
この滝は登れず巻きになるので休憩をとる。

休憩中はガスが薄くなったりして、西黒尾根を登る登山者の姿を見ることができた。あともう少しだ。
8m滝を巻くとそこはもう源頭域という感じでゴーロ歩きとなり、小さな二俣先ですぐに水枯れ。
水を汲んでから少しでも登山道に近い左俣へ入る。窪はしっかりして割りと広いが両岸から笹がかぶさってくる。

登山道は近くにあるがなかなか近づかず、このまま平行して行きそうなので、強引に笹薮を横切って登山道にあがる。
登山道に出たところで、ちょうど下山途中の二人組みにお疲れ様の声をかけられた。ガスがかっていた中でも登ってくる我々が見えて上から観察していたらしい。

計画では登山道には最終のロープウエイに間に合う15:00に出られればいいなと思っていたが、まだお昼すぎだ。

邪魔な装備をはずして下山にかかる。涼しいので快適だ。ガスって残念と思っていたが、だんだんガスも晴れて中ゴー尾根、俎ー山稜がみられるようになり、避難小屋から天神平への道では西黒沢のちょうどゴルジュになっているところを眺めることができた。

その後、山の家のシロに会うのはあきらめてバスで水上駅へ移動し、「ラーメンきむら」で遅い昼食。
短いがとても面白い、いい沢だった、さすが湯檜曽川と褒め称え、満タンのお腹を抱えて電車へ乗り込んだ。


左岸から枝沢が入る辺りから変化がでてくる 明るいナメやナメ滝が続く
かわいい西黒沢の住民 五段ノ滝
10m滝(ザイル使用、残置ハーケン&ボルトあり) 明るい沢
30m滝、ここから滝が連続する 15m2段滝
15mチムニー滝(ゴルジュ入り口) 巻きの途中から本谷が左から滝で入るのが見える(中央より少し上)
西黒沢源頭、見慣れた風景も違って見える 天神平への道からゴルジュを眺める




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