山域 吾妻連峰
コース 土湯温泉〜男沼〜仙水沼〜吾妻小舎
〜吾妻のひっそりとした道〜
日程 2008年11月2日〜3日
 
冬の無人期間に吾妻小舎を使用させてもらうのが、恒例になってきた。
 そこで、冬の前にも遠藤さんご夫妻にご挨拶しておこうということになった。
 
データ
アプローチ

東京駅八重洲口−福島駅/−土湯温泉

コースタイム

11月2日(晴れ)
土湯温泉8:20〜男沼9:20〜塩ノ川渡渉点10:48〜仙水沼12:51〜吾妻小舎14:09


11月2日(晴れ)
コースタイム;土湯温泉8:20〜男沼9:20〜塩ノ川渡渉点10:48〜仙水沼12:51〜吾妻小舎14:09

吾妻小舎へは、まだ登ったことのない土湯温泉からにした。コースはさらに通ったことのない仙水沼経由で浄土平に登ることにできるものにした。
コースタイムが長く、日が暮れるのも早くなったので、前夜発で行くことにした。

連休だけあってバスは満席だったが、ゆっくりと寝られた。
マクドナルドで朝食をとり、土湯温泉行きのバスに乗り込んだ。

土湯温泉から男沼へ向かって車道を歩き、途中で湧水を汲んで結構歩いた感が出てきた頃男沼へ向かう山道の分岐に着いた。
歩きやすい樹林の道をしばらくで男沼だった。
思ったよりも大きい男沼は、少し風があるため水面が小さく波立っていたが、静かでなかなかいい所だった。
この辺りは他にもいくつか沼があるので、散策してみたいが、そうそう時間の余裕もないので先へと進んだ。

塩ノ川への渡渉点への道は、明瞭ではあるが、あまり歩かれていないのか寂しい感じがした。
また、標高差はほとんどないものの、地形が複雑なためか意外と屈曲しており距離の割に時間がかかった。
やがて、ロープが張られたちょっとした崩壊地を横切ったり、小沢を渡ったりと変化が出てくるとようやく塩ノ川の渡渉点に着いた。

渇水期であるが、思ったよりも水量があり、水深もありそうだった。
飛び石伝いで渡れそうだが、最初の1、2歩に石がなく、飛ぶのに失敗すると全身ずぶ濡れは確実だ。ここは思い切って靴を脱いで裸足で渡渉することにした。
切り込み隊長はモコモコさんだ。

一歩、二歩と静かに歩を進めていくと、結構深いらしく、たくし上げたズボンギリギリまで水に浸かっていた。
これ以上深くなると厳しいというところで、岸から遠かった飛び石に上がれた。
この先は水に浸かることなく、飛び石伝いに対岸に渡ることができた。
モコモコさんに続いて同様に渡渉し、二人とも無事に渡りきった。

「いやー、思ったよりも深かったから靴脱いで正解だったね」と濡れた足を拭いて靴を履きなおした。
ここが一番の核心部なはずなので、あとはひたすら登っていけばいいはず。

樹林帯であるが、広葉樹林が主体で明るく笹薮を切り開いた道を登っていく。
1時間ほど登ると、年季の入った道標があった。
良く見ると、「土湯温泉 一切経山」の上に「一杯清水」とあった。水場だ。
貴重な水場なので、見に行ってみた。登山道からうっすら残る踏み跡を辿って下降気味にトラバースしていくと窪に着き、岩から水が出ていた。
想像以上にしっかりとした水場だった。
今日は涼しいので喉は乾いていなかったが、涌きたての水を飲むと元気が出た。

水場入口に戻り、ふと見上げると綺麗な紅葉が目に入った。そろそろ針葉樹林帯となるのと紅葉もほぼ終わっているので、なんだか目に染みた。
少し笹がうるさくなってくると、仙水沼だ。樹林の中の本当にひっそりとした小さな沼で、よく見つけたなと感心した。
仙水沼を過ぎると、周りの笹薮が濃くなり、針葉樹林帯へと移ってくる。
しばらくすると、これまでの緩やかさを取り戻すかのように傾斜がある登りとなった。

傾斜が出てくると、笹がうるさくなってきた。
「うるさいな、この笹」と、途中途中で笹を折りながら登っていくと、つい最近同じように笹を折りながら進んだ形跡や足跡があった。
「へえーこの時期にこんなところ登る人が居るんだ(人のことは言えないが)」と話しながら進むと、ようやく薮から解放された。
 
吾妻小富士の南面の斜面に出たのだ。
少しザレている所もあるが、あとは斜面をトラバース気味に登れば小舎は間もなく、と楽勝気分でいたらそうは問屋が卸さなかった。

浄土平から塩ノ川を吹き下ろす風が強烈に吹きつけてくる。
流石にこの時期の強風は寒いので、防風対策をとって一安心。・・・ではなかった。

強風により、ザレの小石が無数の石つぶてとなって我々を攻撃してきた。全身にパシパシ当たって、無防備となっている顔が特に痛い。
顔をそむけて防御しつつやっとのことで石つぶて攻撃地帯を通過した。
ふと周りを見ると、下には塩ノ川、前方には桶沼を巻いて吾妻小舎へと向かう登山道、左には兎平と高山が見えるなかなかの眺めだった。

風は強いままだが、石つぶては飛んでこなくなったので一安心だ。吾妻小富士のふもとを巻いて塩ノ川を渡ればスカイラインからの登山道との合流点だ。
何回もこの合流点を通っているが、いつもスカイラインと吾妻小舎の間を行き来するだけだったので、なんだか新鮮だった。
合流地点の真近にある小さな地塘に、今更だが気が付くことができたりとなかなか楽しいルートだった。

強風ですっかり冷えた体で吾妻小舎へ向かうと、遠藤さんが暖かい笑顔で迎えてくれた。
小舎へ入るとストーブがついていてぽかぽかだ。
今回も、おいしい食事、暖かいストーブとふかふかの布団、なによりも遠藤さんの素敵なおもてなしに身も心も暖かくなって幸せな夜を過ごした。

 後日談
仙水沼の先で感じた先行者は、なんと岳友のkenrokuさんマリちゃん始めとする御一行様でした。
強風の中やっとの思いで吾妻小舎へ向かい、そこまでで済んだ我々と違い、なんと彼らはさらに一切経山をも越えていったのでした。
ただでさえ風の強い一切経山。あの日の山越えはさぞかし大変だったことでしょう。


男沼 風で水面が波立っている
紅葉がまだ残っていた 小沢を渡る
渡渉点下の流れ 近づいてみると結構な水量
思ったよりも深かった 一杯清水の道標
渇水期でも水量があった 紅葉もここで見納め
ひっそりとした仙水沼 兎平と桶沼の斜面に付けられた登山道
高山 吾妻小富士の別の顔
もうすぐ見慣れた登山道合流点 小さな地塘の存在に初めて気が付く



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