吾妻連峰
 天元台〜明月荘〜継森〜谷地平〜吾妻小舎〜高山〜土湯温泉
2009年1月22日〜1月25日 

 山スキーシーズンが始まっても、体調不良やモチベーション低下の為、満足な山旅ができない状態だった。そんな中3泊4日とまとまった休みが取れたのでいつものように吾妻の懐に飛び込むことにした。

アプローチ
東京駅6:12〜米沢駅8:25/(バス)9:00〜白布湯元9:41


コースタイム

1月22日
 リフトトップ11:10〜藤十郎〜明月荘15:06
1月23日
 明月荘7:00〜東大テン8:00〜継森12:00〜鞍部12:30〜大倉川渡渉点13:40〜谷地平避難小屋14:15
1月24日

 谷地平避難小屋8:00〜姥が原10:45〜吾妻小舎11:55
1月25日
 吾妻小舎7:00〜鳥子平8:00〜高山9:15〜下降開始9:45〜林道11:25〜土湯温泉12:40


一日目

 リフトトップで準備する。ガスが出ていて視界が悪いが風はそれほどでもないので進むことにする。雪が落ち着いているのでスムーズに稜線に上がることができた。GPSとコンパスを利用して人形石へ向かうが、いつの間にやら通り過ぎてしまった。

 時折姿を現すスキーツアーの標識に助けられながら藤十郎を通過。時折上下も分からなくなるような、ずーと真っ白な中を進む。GPSはこのような時はありがたい存在だ。ようやく東大テンの緩やかな登りになる。東大テンの東側の崖のところまでまで行き、そこから北へ向かい明月荘に行く計画にした。視界のない中これが一番確実なルートだ。明月荘に向かうが、斜面が波打っていて段差が見えずモコモコさん山人とも何度も転んだ。

 明月荘がぼんやりと見えてきた。今回はスムーズにたどり着くことができた。2階はびっしりと雪が付いており、いつもどおり一階のドアを掘り起こすことにした。小屋の中はきれいに整理されていた。早速ツェルトを張って落ち着くことにした。新兵器としてツェルト用のインナーポールを購入した。お陰で空間に張りができた。小屋の日記によると我々が今シーズン最初の訪問者のようだ。

 新兵器として今流行のジェットボイル1.5リットルクッキングポットとMSRシマーライトの組み合わせで水を作ることにした。昨年の経験から比べて、ビリーカンよりも早い時間に水を作ることができたと思う。今夜の夕食はポークステーキ2枚、アルファ米、スープ、赤いきつね。4日間を通しての副食としてオカカ昆布、シャケそぼろを用意した。また、気分転換にとしょうゆとみりんで漬けたスルメを用意した。

 食事を済ますと後はやることはなく、「ここまでこられたから明日は擬似好天を利用して谷地平までいけるよ。
谷地平までいければ明後日吾妻小舎までもちゃんといけるね。」明日以降のことを話して、ラジオを聴きながらシュラフに潜りこむことにした。


2日目

寝坊しないで4:30分に起床。ロイヤルミルクティを飲んで体を温める。テルモスのお湯を沸かして詰める。3日間の朝食としてもちとお吸い物、乾燥小松菜を用意。味の好みでオカカ昆布とシャケそぼろをつまんで食べたりしてバリエーションを加えた。

小屋を出ると昨日と同じような天気。相変わらずホワイトアウト。雪は降っているが、気温は高めだ。
まずは東大テン山頂を目指して進む。ここまで約1時間。そこからまずは継森を目指す。計画では中吾妻山なのだが・・・。 気温が上がってきたようで降る雪も湿気があり、シールに団子が付いてきた。シールワックスをゴリゴリとシールに擦り付けてみたが、効果はいまいち。、休憩のたびにこすり付ける作業が増えた。

雪は止んできてラッセルはたいしたことはないが、気温が高いのでこの時期にありえない重い雪の中を進むことになり、予定よりも時間がかかる。ようやく継森にたどり着くことができた。ここから中吾妻山まではあと少しなのだが、視界も悪いしシールに団子も付くしモチベーションが次第に下がってきた。おまけに重荷の為体力も低下。

継森と1933Pの鞍部から谷地平を目指して下ることにした。モコモコさんはシールを付けたまま。山人はシールを外していくことにした。気温はグングン上がり、樹林に付いた雪は落ちてくるし、水滴となってびしょびしょ落ちてくる。そのため雨に降られたように全身濡れてくる。1月とは思えない異常気象だ。
重ーい雪質であるが、確実に高度を下げ、大倉川の渡渉点を目指していくと、見覚えのある地形にでる。

この頃東大テンから東側が一気に晴れた。
気持ちがいいので大倉川をスノーブリッジで渡ってから休憩をとる。谷地平避難小屋はもうすぐそこだ。
10分ほど経過すると風がでてきた。雲が物凄い勢いで広がってきたので、出発することにした。
シールを貼り付ける間にモコモコさんには先にいってもらう。

モコモコさんと別れてすぐにガスに包まれてきた。
幸いここは大倉川の支流沿いにいけば自然と小屋にたどり着けるので問題なくモコモコさんに追いついた。
いつ見てもいい感じの谷地平避難小屋へ到着。
一年ぶりの積雪期での訪問だ。

山人は水汲み、モコモコさんは小屋入り口の掘り出しと作業を分担して小屋へ入る。
小屋へ荷物を置いてから、念のため明日のルートの偵察へ向かう。
明日のルートの確認も済ませて小屋へ入り落ち着く。

今晩もツエルトを張り、早めに休んだ。
気温が高く、標高も下がった為昨日より暖かく過ごせた。
明日はいよいよ吾妻小舎だ。


3日目

吾妻小舎までの短い行程で本来はのんびりだが、今日は天気が冬型となるらしい。
しかし、姥ヶ原までは樹林帯の行動で、そこから浄土平までの強風地帯も体力を回復させた後なら大丈夫だ。
また、欲を出して東吾妻山を経由してしまおうという魂胆だ。

昨日つけたトレースは残っていた。
偵察の成果ですんなり夏道の乗る台地に上がれた。昨日の高温から一気に冷えたので、雪質はモナカだ。滑るには最悪だが、登るには楽だ。
1時間ほどするとモコモコさんからしきりに待ったがかかる。

どうやら昨日の高温で融けた雪がゴーグルに入り込み乾かないまま凍り始めたらしく、視界がきかないとのこと。
そんなこんなで東吾妻山には登らずすぐに浄土平へ降りることになった。
姥ヶ原の手前で一休みしていよいよ下降だ。

いつもは鎌沼から酸ヶ平経由で降りるのだが、今日は蓬莱山の南面を降りることにした。
ところが地吹雪で視界が利かないため、結局いつものルートへと延々トラバースしてから降りることになった。
いつものルートにたどり着いたら一安心。吾妻小舎まであとわずかだ。

桶沼を回り込んだら吾妻小舎だ。1月に小舎へ来るのは初めてだ。
積雪量はいつもより少ないのか冬季用の入り口までの隙間が大きいので夏用の入り口から入る。

ふと外をみると雪が降り始めていた。早くに小舎へ入っておいてよかった。昨日同様、天候悪化する前に逃げ切った感じだ。
モコモコさんは早速ストーブの点火をする。
一度うまく付きかけたもののモコモコさんのせっかちが原因でやり直しすることになったが、無事安定してくれた。
前回はコークスを節約するため燃焼を抑えたのでなかなか室温が上がらなかったが、今回は明日の朝までもてばいいので火力を強くした。

ストーブはありがたい。昨日の高温でびしょびしょになってしまった装備が今日の低温でバリバリに凍っていたが短時間で融かしてくれる。

水を作るのもお湯を沸かすのもストーブの上に置いておけば良く、まだ明るいうちから宴会となった。
日が暮れる頃には夕飯だ。
快適な夜を提供してくれた吾妻小舎そのものと、冬季利用できるよう開放してくれている遠藤さんご夫妻に感謝してぬくぬくと布団にくるまった。


4日目

ラジオでも散々予報していた今シーズン一番の強さの寒気がとうとうやってきたらしい。
夜中寒さで一度目が覚めた。ついでに水を入れた鍋をストーブにかけた。
モコモコさんも同じらしく、寝る前に弱めておいたストーブの火力を強くしてくれた。

ストーブはありがたい。ストーブがなければ布団からでるのが核心になるところだった。
ストーブに掛けておいた鍋の中のお湯は沸き始めている。
山人が食事の支度をしている間にモコモコさんは小屋の清掃。朝食を済ませたら出発の準備だ。

外は寒そうで風もあるがいい天気だ。
寒気は入ってきているが、雪雲はまだここまで到達していないらしい。

ここからは毎年通っている高山下りで土湯温泉へ降りる。
4日ぶりのお風呂が楽しみだ。

スカイラインへでると一切経の迫力ある噴煙を見ることができた。
いつも強い風のなかを歩くが、幸運にもこの時間は風が弱まっていてくれた。

昨日の雪が積もっているが、気温が低いので雪質が良く快適だ。鳥子平まで1ピッチ。
鳥子平で軽く休憩してから高山へ登る。
登りになってもさほどのラッセルもない。

多少風がでてきたが、磐梯山も見えて気持ちが良い。
高山山頂もいつもより風が弱い気がする。少し下がったところでシールを外しワックスを塗っていよいよ滑降だ。
雪質がいままでで一番良く、とても楽しい。
麦平にくるといつも一休みするのだが、雪質が良かったので尾根へ登りかえしたところで休憩をとる。
「いい雪質だなー。」
「本当、雪質いいし天気もいいから誰か登ってくるかもね。」
「もし登ってきてたら雪質いいし、踏まれているから林道はもらったも同然だな。」
といままでしたこともない内容の会話をした。

どこをどうとってもよく滑る。快適に下っていき(モコモコさんはそれでも例のボブスレーコースでお約束の沈)、林道へ到着。
林道で腹ごしらえ。
誰にも会わなかったが、林道は良く滑り、スキーは、板に乗っているだけでスイスイ進む乗り物となる。

積雪量が少ない為か、途中1mほど雪が切れており板を脱ぐ箇所があったが、あっという間にゲートに到着。
そのまま林道を進む。あまりに快適で、土湯温泉への登山道入り口を見逃してしまった。
後からくるモコモコさんが掛けてくれたコールにも気が付かず、どんどん進んでしまった。
結局そのまま林道沿いに進み、土湯温泉までぐるっと回り込むことになった。

バス停でパッキングをして荷物を置いて、いつも入浴させてもらっている旅館錦滝へ向かう。
お風呂に入る前に吾妻小舎のご主人である遠藤さんへ下山報告の連絡をする。4日間という期間で天候も芳しくない中でのツアーだったのでだいぶ心配されていたようだ。
また、積雪の状況を伝えたところ、この時期に冬季用入り口まで雪で埋まっていないのは、積雪量が例年に比べて少ないとのことだった。

4日分の汗を流してゆっくり湯船に浸かりいいツアーたっだと実感した。
今回も予定を短縮してしまったが、明月荘、谷地平小屋、吾妻小舎と大好きな小屋へ厳冬期に全て泊まることができて大満足だ。


これから出発 東大テン付近
ホワイトアウトの中明月荘発見 今夜の宿、明月荘
二階入り口は雪で覆われている 一階入り口を掘り出す
ツエルトを張った 新兵器ジェットボイル MSRとの相性もいい
ポークステーキ 鍋底の襞が熱効率UPの秘密
東大テン この辺りの積雪量は例年並のようだ 継森へ向かう
下降途中から この短い間だけ青空となった
美しい谷地平避難小屋が見えた 今日の宿に到着
姥ヶ原 浄土平へ降りる
吾妻小舎へ到着 いい天気だ
一切経の山腹から上がる噴煙 高山山頂
シールをはずして下降開始 素晴らしい雪質だ
ボブスレーコース 林道到着


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