谷川連峰

仙ノ倉山北尾根

２００９年３月２０日～３月２２日　

昨年の俎嵓山稜で稜線を満喫した覚えがあるので、今回もと計画を練りました。仙ノ倉山北尾根は我々に雪稜の素晴らしさと共にその影にある危険も教えてくれました。反省材料の多い山行となりました。

アプローチ（青春１８切符使用）
上野駅６：２７～高崎駅８：１４/８：２３～水上駅９：２７/９：４７～土樽駅１０：０５

コースタイム
３月２０日
　土樽駅１０：３５～ゲート１２：１０～吊橋１２：５０～取り付き１３：４０～小屋場の頭１６：００～幕営

３月２１日
　テン場５：３５～第一の核心部８：２７～第二の核心部９：５０～シッケイの頭１１：１５～仙ノ倉山１３：１５～平標山１４：２５～平標山の家１４：５５（幕営）

３月２２日
　平標山の家５：０５～除雪終了点７：４５

３月２０日
土樽駅１０：３５～ゲート１２：１０～吊橋１２：５０～取り付き１３：４０～小屋場の頭１６：００～幕営

土樽駅では我々の他に１０人パーティーの一団が降り立った。天候は雨でやる気をそぐのには十分な降り方だ。毛渡沢沿いの林道を歩く。キャタピラの跡が付いており、その跡をたどる。お陰で、もぐらない。ブルは途中で放置されてあった。燃料漏れで動かなくなったのだろうか？
　
吊橋は板が外されたスケルトン橋となっているので、両手両足で突っ張るようにして少しづつ進む。モコモコさんは腕が疲れたと言っている。さらに沢を渡る。対岸の取り付き付近には青いテントが張られていた。
さきほどの吊橋渡りで消耗したのと、雨のためモコモコさんは、早くも行動を終了させたがっているが、もう少し登ろうと励ます。

青いテントの主は、今日は天気が悪いので明日アタックするのだろうか？少し上がったところで休憩して、わかんを装着して尾根に取り付いて登る。数日前のトレースがあった。あとは小屋場の頭目指してひたすら登る。標高850ｍあたりから、雨から段々雪に変わってきた。
小屋場の頭の手前標高1000ｍあたりで幕営しようと辺りをさまよったが良い場所が見当たらないので小屋場の頭を越えることにした。

小屋場の頭を越えると不思議なことに風が弱まり、幕営適地が見つかった。

暗くなっても雪が降っているようだが、明日は天気が回復とのことなので宴会もそこそこに眠りについた。

３月２１日
テン場５：３５～第一の核心部８：２７～第二の核心部９：５０～シッケイの頭１１：１５～仙ノ倉山１３：１５～平標山１４：２５～平標山の家１４：５５（幕営）

朝３時に起床。晴天で今日は北尾根がデーンとそびえる。始めはワカンで行ったが、尾根が細くナイフリッジになってきたので、アイゼンを装着した。

　我々にとってこのようなナイフリッジを歩くのは初めての体験。
左右は切れ落ちているが、雪がやわらかく、足場もしっかりしているのでロープなしで前進と判断。先行者のいないルートほど勉強になる。せっかくのナイフリッジも２番手なら面白さは半分以下になったと思う。ラッセルの苦労も、自分がルートを切り開く喜びのほうが大きいので気にならない。

１５００ｍを越えると森林限界。雪面が硬くなりラッセルから開放される。時折踏み抜きながらも快適に進めるようになる。
下を見下ろすと２人パーティーが登ってきた。おそらく、対岸の青テントの持ち主ではないだろうか？
我々がシッケイの頭手前の第一の核心部の登りに差し掛かる頃にちょうど追いついてきた。

　第一の核心部。
１Ｐ目　山人
斜面が右に傾斜しており、雪面が昨晩の雨と今日の寒気で硬くなっており、緊張する。足を蹴り込んで慎重に登る。途中で潅木で支点をとる。ザイルいっぱいで、ちょうど急斜面が緩んだところでスタンディング・アックス・ビレーもどきで対応。

２Ｐ目　山人
傾斜が緩くなってきたのでやや緊張が緩む。支点なし。

　ここの登りですっかり弱気になってしまい、計画では仙ノ倉山～東俣ノ頭（万太郎山）～赤谷川横断～俎嵓山稜～小出俣山～阿能川岳（幕営）～仏岩トンネルだったが時間的にも厳しい。精神的にもすっかりモチベーションが落ちてしまったモコモコさんは、平標山へ抜けて、あともう一日あるので日白山経由で下山しようと相談してくるが、山人はこの時点ではまだ当初の予定を諦めていなかった。

シッケイの頭の手前の鞍部で休憩。

第二の核心部。
奥の潅木帯を絡めて登るのが一番安全だろうと休憩時に話し合ったが、潅木までのトラバースの数歩が怖く、山頂へ直登することにした。
ここは先ほどの斜面よりも傾斜が急で雪面も硬いので、ザイルを使用したが、ザイルいっぱい手前まで支点が取れず緊張しっぱなし。足を思いっきり蹴り込んで一歩一歩登る。怖いので下は見ないようにした。山人の右横には後続２人パーティーが潅木帯を絡めて登ってきた。いまさらルートどりを後悔しても遅いのだが・・・。

山頂直下でザイルが５ｍほど足りなくなり、モコモコさんに少し登ってきてもらうことにした。セミ状態でモコモコさんが再度ビレイしてくれるのをじっと待つ。
モコモコさんからＯＫの声がかかってから登行再開始。なんとかようやく山頂に到着。
後続のモコモコさんは、ピッケルでさらに足場を拡張して登ってきたのでそんなに怖くなかったと言っていた。

この時点で山人ももうお腹いっぱい、当初の計画など頭から飛んでしまった。
氷雪技術、ルートどり等、反省材料が多すぎる。平標山経由で、しかも日白山も回らずそのまま最短距離での下山が確定した。ゆっくり休んでいるとさらに単独の男性が登ってきたのであいさつをかわす。

天候は相変わらず快晴。国境稜線が一望できる。万太郎山までの稜線も厳しそうだ。次回への課題として大事にあたためよう。仙ノ倉山直下は急で相変わらずのクラスとした斜面だが、ここまで登ってきたことを思えばたいしたことない。モコモコさんもゆっくりと山頂へ登ってきた。快晴の今日は山スキー日和、先に見える平標山方面はかなりの賑わいだ。

平標山へ向かいゆっくりと足を進める。キックステップを多用した為、右の足首が痛い。（家に帰ってみてみると捻挫したように腫れていた。やはり登り方に問題があるのだろうか？ピッケルで足場を作れば良かったのだろうか？）
これまでの疲れと、これから下山しても電車（各駅停車）がないので、今日中の帰宅を諦めてもう一泊していくことにした。

平標山で少し休み平標山の家へ下る。うれしいことに蛇口から水が出ている。ソーラーパーワーで雪を溶かしているのだろうか？山の家は冬季開放されているが、中は真っ暗なのと、せっかくテントを持ってきているので山の家の近くにテントを張ることにした。

うまく風をよけられ、苗場スキー場がよく見えるところがあったので整地をしてテントに入る。
風が当たらず、日が当たってポカポカだ。あまりの快適さに幕営地の写真を撮るのを忘れてしまった。

３月２２日
平標山の家５：０５～除雪終了点７：４５

天気予報では昼前から雨ということだったので、朝３時起床で早々と下山することにした。
山の家はスキー板が何組かあったので、数名が泊まったようだ。まだ薄暗い中ヘッドランプを点けながら、前日のトレースを追って除雪終了に無事到着した。