虎毛山塊
 ワルイ沢〜赤湯又沢左沢(下降)〜虎毛沢右俣
〜2009年夏休み第一弾〜
2009年7月30日〜8月2日

いつまでもぐずぐずした天気が続く今年。
奥利根方面を予定していたものの核心部で雨に降られそうな天気予報だ。
前日まで行先が決まらなかったが、モコモコさんの「予想天気図では、前線は南下していくみたいだから、これを飛び越えた虎毛へいくのだ〜ナハハ」の一言で行先が決まった。

天気は不安定なので、虎毛沢への下降は様子を見ながら行うことにした。

アプローチ

東京駅7:16〜新庄駅10:54/11:23〜横掘駅12:16/13:30(タクシー)−水上林道入口14:00

コースタイム
7月30日
林道入口13:45〜ワルイ沢出合14:30〜標高600m付近二俣16:00
7月31日
BP6:30〜稜線10:00〜下降点10:30〜赤湯又沢右俣出合12:05〜虎毛沢出合14:20〜BP15:50
8月1日
BP6:30〜二俣9:40〜稜線13:40〜虎毛山頂避難小屋14:33
8月2日
小屋6:20〜赤倉沢登山口8:05〜秋ノ宮温泉バス停10:30

7月30日
林道入口13:45〜ワルイ沢出合14:30〜標高600m付近二俣16:00


新庄からの乗り継ぎの電車の関係で、いつもよりゆっくりの出発。
県境あたりは曇り空だが雨は降っていない。

横堀駅について少し探検をする。
駅から数分歩いたところに居酒屋さんが、昼はラーメン屋として営業していたので、一杯食べてからタクシーに乗り込む。

ツブレ沢沿いの水上林道入口には標識が立っていてタクシーの中からでもすぐに分かった。
装備を付けていると、晴れ間が現れた。幸先がいい。
林道は最初は車でも入れるのではというくらいきちんとしているが、数mですぐに踏み跡となる。
踏み跡ははっきりしているが、藪が覆いかぶさっていてうっとうしい。

途中踏み跡が崩れていて一度沢に降りるが、ワルイ沢出合まで踏み跡をたどっていける。
ツブレ沢はワルイ沢出合までは、なにもない河原やゴーロなので、踏み跡を使った方が楽だと思う。
ワルイ沢出合先の本流には堰堤があったので、この踏み跡(林道)は堰堤工事時の産物らしい。

ワルイ沢に入り、しばらくゴーロ歩きをしていくと、ナメやナメ滝がでてくる。
ナメ滝はフリクションを効かせて楽しく登っていける。
何個かの滝を越えていくと、両岸が立ってきて、裏見の滝となっている20m滝が現れる。
この滝は登れないので、右岸を巻く(左岸は結構見ごたえのあるスラブだ)。
最初滝の近くからとりついたが、小沢に阻まれてしまい、結局少し戻って樹林が下まで降りているところから巻き始める。
登り易いところを登っていくと先ほどの小沢に行き当たるので、小沢を渡る。
小沢を渡ったあたりから踏み跡のような感じになっている。手がかりが十分なくらいの灌木がある中を薄い踏み跡をたどっていくと何無く沢床に降りられた。

傾斜が緩んでちょっとしたところや、穏やかな河原状を進むこと少しで今日の宿泊予定地の二俣に到着。
二俣の右岸がブナの台地となっていて、さらに小沢が流れ込んでいる快適な場所だ。
早速設営して薪を集めをする。

近くにある蕗をいただく。
その晩は、焚き火もよく燃え、少し虫にさされたりしたものの、雨に降られるどころか月まで見えるいい夜だった。


もうすぐ開きそう。奥にはモコモコさん この辺りはウバユリが多い
ナメ滝で始まる ワルイ沢は快適に登れるナメ滝が多い
立っているけどナメ滝 高巻いた裏見の滝
左岸はスラブ ミニゴルジュ


2日目 7月31日
BP6:30〜稜線10:00〜下降点10:30〜赤湯又沢右俣出合12:05〜虎毛沢出合14:20〜BP15:50


天気は曇り。
出発してすぐに大岩を超えると、ナメやナメ滝が復活する。
遡行図の滝記号以外なにもないのかと思ったが、河原歩きやゴーロはあまりなく、開けたゴルジュ状になっていて楽しい。少し傾斜が強いナメ滝もフリクションが効くのでスタスタ登っていける。

2段20m滝は傾斜があり、高度感があるのでザイルを出した。
この滝上は枝沢が入っていて、以降一気に沢が狭まる。
しかし、滝の先も小滝が続いて飽きさせない。

どんどん高度をあげていくと、二俣の窪となる。左の窪の方が水流があったので左の窪へ入るとすぐに水涸れとなった。
ぐいぐい登っていくと、なんだか予定していたルートから左にそれていくような気がする。
モコモコさんからもっと右に行ってと言われ右寄りに行こうとするが、すぐに藪こぎに突入。こうなったら上へいくしかない。
小さな尾根に登り詰めてから少し稜線へ登り、結局予定より大分標高が高い1100m小ピークにでてしまった。
ピークのすぐ下に登山道があるだろうと思っていたら、探してもない。
場所を誤ったか?タイミングの悪いことにガスがかかっていて周りがよく見えない。
ここにとどまっても仕方がないので、尾根の先を進むことにする。
どれだけ行けばいいのだろうと少し不安になったが数m進むとあっけなく登山道だった。
探していた登山道は小ピークをかすめて一気に下降を始めるので、少し行っただけではわからなかったわけだ。

予定ではそのまま反対側の赤湯又沢左俣へ下降するはずだったが、いろいろと時間を浪費してしまったので、登山道と平行にぐるっと回りこむ源頭部は、登山道を使って移動し、1033mPと1056mPの中間にある小尾根の手前から下降することにした。
急な斜面を木の枝をつかみながら下るとすぐに窪状になる。
窪を難なく下り、下降を始めて15分ほどで左俣本流に着いた。

左俣は、少し河原歩きが長いが、ナメとナメ小滝が続き右俣よりきれいな気がした。
左岸から温泉成分を含んでいるような小沢を合わせると間もなく二俣。
二俣からは30分ほどで、前回泊まった温泉付きの噴気孔帯に到着。
秋には少しぬるかった砂地の湯だまり(砂の湯)は、この時期にはちょうどいい温度だ。
また、白濁の湯は今の時期、湯出量が多いのか、あまり白濁していなかった。

名残惜しいが、今日は虎毛沢へ入っておく予定なので先へ進む。
少し下流の噴気帯ではぼこぼこど湧き出している泥湯の温度に興味を持ったモコモコさんが、泥湯に棒をさしてどれくらい熱いか測ってみたところ、少しの時間しか棒をさしていないのにすごく熱くなった。
相当高温らしい。岩も高温の温泉で腐食してボロボロだ。遡行中調子に乗って高熱泥湯に足を踏み入れないように要注意だ。

ここからの赤湯又沢は何もないが、何もないために余計に長く感じる。
いい加減あきてきたころにようやく虎毛沢出合。

出合いは水線通しに進めないので、小さく巻いて虎毛沢へ入る。
ここから一時間程度進んだあたりに幕営適地があったことをモコモコさんが覚えていたので、今日はそこまでとして、遊びながらゆっくり進む。
なんだか水量が多いような気がする。

緩やかな蛇行する流れを進むとモコモコさんの記憶通り泊まるのに絶好の場所があった。
釣り人がデポしたブルーシートや、残していったゴミが見苦しいがこの先はしばらくいいところは無かったはずなので、行動を終了する。

薪集めを済ませると、また近くの蕗をいただいて、あとはおきまりのパターンで夜は更けていった。


甌穴が見られる 少し傾斜があるナメ滝が多い
明るいミニゴルジュ状が続く 暑いときは、このあたりがとても楽しい
絶望的に見えるが登れた 高度感があった滝
体の幅程度しかない 赤湯又沢左俣
赤湯又沢左俣のナメ 見覚えある滝が出てきた
砂の湯(白濁の湯は撮影せず) 噴気帯(温泉蒸気で曇った)
珍しく荒々しくなる 虎毛沢に入った


3日目 8月1日
BP6:30〜二俣9:40〜稜線13:40〜虎毛山頂避難小屋14:33

早くも3日目。
モコモコ計画では、今日は稜線へ上がった後、三滝沢を下降する予定だ。
出発してすぐに滝が現れる。簡単に巻いて先へ進む。やはり、記憶通り昨晩のポイントを逃すといい泊まり場はない。

時折雨宿りしながらの遡行だった前回と違い、ゆっくり見ながら進める。
河原歩きもなくなってきて、葛根田川のお函のような渓相になり、非常に楽しい。
葛根田川は素晴らしいが、非常に人臭くなってしまったので虎毛沢のほうがいいかもなどと罰当たりなことをいいながら進む。

前回は左岸をへつってモコモコさんがスリップして落ちたCSのある落ち込みは、右岸からへつって二人とも無事越えた。
水量の多い滝を越えると、一気に開けお待ちかねの虎毛名物亀甲模様のナメの始まりだ。
前回は雨混じりだったり寒かったりであまり堪能できなかったので、ナメを一歩一歩確かめるように進む。
ナメ地帯が終わり河原歩きに戻ったところでモコモコさんが足を滑らせる。
不幸にして手をついた石が浮き石、重荷と勢いに負けた&近くに石があったで顔面側部を強打。

「うー、頭がクラクラする。」というほどの衝撃だったらしい。
これにより大幅なペースダウン。
二俣に着いたところで長めに休憩をとる。
それまで三滝沢を下降する気満々だったモコモコさんは、下降をあきらめたらしい。
そこで今後の作戦会議。
稜線ついた時間により、下山してどこかに泊まりおいしいものを食べる、山頂小屋へ泊まる、いっそのこと家へ帰るのどれかを選ぶことになった。

二俣へ入ると一気に沢が小さくなり、滝が連続する。前回同様3つほどの滝をいずれも右から巻いた。
高度を上げていくとだんだんヌメルようになってきた。2〜3個の滝と30mほどのナメ滝ではモコモコさんにザイルを出した。
余談だが、下山時にモコモコさんから「前はあそこの滝、紐出してて頼んでもザイルどころか御助け紐も出してくれなかったよ。」と文句を言われた。

黒い10m滝は水流左を登る。ぬめっているのでザイルを出す。中段まで登ってから、落ち口まであと少しというところが特にヌメッていてホールドが乏しいので、思い切り手を伸ばして何とか届く枝を使って草付きに少し上がって一気に登る。
続くモコモコさんは確保されているので、直登したほうが簡単だといってそのまま上がってきた。
登ってからそういえば同じことを前もしたなと思いだした。

この滝を最後に、一気に源頭の様子になり、小滝やゴーロで高度をぐいぐい稼ぐ。
水涸れのところで、今晩のおかずのための蕗を摘む。
ここで最後の作戦会議。
帰ろうと思えば今日中に帰れるが、虎毛山に登ったことがないので山頂小屋へ泊まることにした。

明日の分まで汲んだ水で一気に重くなった荷物をよいしょよいしょで担いで詰めにかかる。
窪が浅くなったところで、藪に入り登山道を目指していく。
登山道に無事飛び出て少し休んだところで小屋を目指す。
最初は緩やかだが、だんだん急な登りになってくる。
この登りは、これまでの工程で一番きつく感じた。

ひいひいいいながらやっと小屋に到着。
どうやら貸切のようだ。
荷物をおいて早速山頂湿原へ行ってみる。
ところが山頂のみあいにくのガス。
見渡すことはできないがきれいなところだ。

木道の終わりまでいって戻る途中、ツブレ沢を遡行してきたという人に会う。
モコモコさんが渓相を尋ねるとそこそこナメがあるようだ。

小屋に戻り、宴会を始めて落ち着いてきた頃に、仙台から来たという2人組みが到着。
このお二人のおかげで楽しい小屋ライフを送ることができた。
ただ、二人のビール缶を一瞬見てしまい目の毒だったので、モコモコさんがささやいた「あっ、ビールだ」を無視し、できるだけ見ないように努力した。
ちなみにモコモコさんはビールが好きではない(自分から進んでは飲まない)のであまり羨ましくはならなかったらしい。


ナメ小滝から虎毛沢の見どころが始まる 上段の滝
岩盤が発達してきた とてもきれいだ
ごきげんな沢旅 ナメは続くよ
ここを越えてもうすぐで・・・ 亀甲模様のナメ
虎毛名物 亀甲模様が終わってもナメは続く
水量豊富 巻いた滝
源流部のナメ 虎毛山頂避難小屋
山頂湿原 山頂湿原 その2
山頂湿原 その3 山頂湿原 その4


4日目 8月2日
小屋6:20〜赤倉沢登山口8:05〜秋ノ宮温泉バス停10:30


いよいよ最終日。
昨晩にわか雨がふったが、小屋の中なので全く気にならず快適に寝られた。

昨日ガスで見えなかった湿原へ出発前によってみるが、湿原へ出たとたんにガスが出てきたので、散策はとりやめて小屋目戻る。
同宿のお二人は我々が出発するときに小屋の外まで出てきて見送ってくれた。ありがとうございました。

分岐から赤倉沢までは、ブナの樹林帯の中で涼しく快適に降りられる。
赤倉沢で顔を洗い汗を流す。水が冷たくて気持ちがいい。
降りた後の長い車道歩きが憂鬱だ

このあたりからアブがちらほらでてきた。
1時間ほど歩くと堰堤工事用に大きく切り開いた林道となる。
前は気持ちのいい登山道歩きだったのに。
アブも増えてきてうるさい。

アブと格闘しながら国道までひたすら歩く。
国道でもアブにストーキングされて不快だ。
ようやく建物が見え始めて、やっとバス停に到着。

モコモコさんの読み通り、お風呂と食事の時間がとれそうだ。
きれいな秋ノ宮山荘のお風呂へ入り、レストランで昨晩あれほど羨ましく感じたビールにありつくことができて幸せだ。
雨にふられないだけでなく、晴れた中遡行ができてとても満足のいく沢旅ができたことに感謝だ。


最後にアブ情報。
赤湯又沢は温泉成分のせいかあまり気になりませんでしたが、虎毛沢ではアブがいよいよ発生していました。
これから入る方はアブ対策をしていくのが無難だと思います。
毛布情報!
虎毛山避難小屋には毛布が6〜7枚ありました。吊るす形で毛布を保管した方が毛布が喜ぶのではと思いました。


天空の小屋 虎のイラストかわいい
翌日の湿原 ガスがとれてきた


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