奥只見
 袖沢支流北沢〜丸山岳〜白戸川メルガ股沢(下降)〜袖沢乗越〜袖沢
〜夏休み第2弾 静かな沢旅とアブとの格闘〜
2009年8月14日〜8月16日

今年は天候や日程の都合がつかず、朝日の沢はお預けとなった。
直前まで行先を思案していたが、以前からモコモコさんが行きたかった北沢からの丸山岳登頂を実行に移すことにした。
天気もよさそうだし、袖沢は初めてなのでなんだかとても楽しみだ。

アプローチ

東京駅6:08〜浦佐駅7:38/7:55−奥只見ダム9:10

コースタイム
1日目
奥只見ダム9:30〜北沢出合11:30/11:50〜標高1040m付近15:30(泊)
2日目
BP6:55〜二俣7:40〜奥の二俣11:21〜上の二俣12:00〜稜線13:38〜丸山岳14:03/14:30〜下降開始15:10〜二俣17:05〜標高1100m付近17:50(泊)
3日目
BP6:05〜下の二俣6:43〜三角点沢7:50/9:00〜袖沢乗越への沢9:36〜袖沢乗越10:30〜袖沢12:07〜奥只見ダム13:55


一日目(天気;曇りのち晴れ)
コースタイム;奥只見ダム9:30〜北沢出合11:30/11:50〜標高1040m付近15:30(泊)


お盆2日目であるのでそうたいした混雑もなく浦佐駅に到着。
浦佐駅では雨が降っていた。
浦佐駅からバスで奥只見ダムへ向かう。ダムについたときは雨はやんでいた。
トイレの近くで沢の支度をする。

袖沢林道の入口がわかりにくく、少し遠回りをしてしまったが、無事林道へ入れた。
林道は、ダム下までどんどん高度を下げる。帰りはこれを登ると思うと今からうんざりだ。
思ったよりもすっと時間がかかってやっとダム下の橋へ到着。
橋を渡ったくらいからアブが増えてきた。
モコモコさんは「早めにネット着ておく。」といって防虫ネットを着たが、山人はまだいいだろうと長袖だけ着ていくことにした。
だんだん増えてくるアブがうっとうしくなってきたが、我慢していくとトンネルとなった。
そのままトンネルに入るといきなり「うわーーん!!!」という音がして一瞬にしてアブ柱となってしまった。
あわててネットを取り出し、ヘルメットもかぶろうとするが、ヘルメットをザックにくくりつけていたのですぐにとる事が出来ない。
アブはザックを中心に集まってくるので、ザックから離れてネットをかぶり、モコモコさんにヘルメットをはずしてもらうことを頼んだ。
ネットを付けて一安心。

トンネルを抜けてからも沢山のアブがまとわりついていて、腕を振って歩いてると始終パシパシ当たる音が続く。
「こいつらほんとバカじゃないのか?」と文句をいいながら歩く。
アブはうるさいし、暑くなってきたし、林道歩きは長いしで「帰りたくなってきたよ」とモコモコさんに漏らすと、「もうすぐ南沢の出合いで、出合いを過ぎればそれほど遠くないよ。」と励まされた。

南沢にかかる橋を渡り、30分ほど行くと北沢出合いが見えた。
適当なところから袖沢へ下り、袖沢を簡単に渡渉して出合へついた。
出合で休憩をとってから出発。

袖沢も北沢も水がとてもきれいだ。
しばらく河原状をいくと沢幅がせばまりゴルジュ状になる。
小滝が数本かかっているが、いずれも楽しく越えて行ける。
短いながらも楽しいゴルジュが終わるとまた沢は開ける。
少し草付きの側壁がV字になると3段15m滝だ。滝の右岸に巻いたような跡があったが、上部が急な草付きでいやらしそうだ。ここは水流左の大岩を越えながら中段まで登り、右に渡ってからそのまま右の灌木を巻くことにした。
滝中段から巻きに入るとき、少し外傾した岩に苔がついていて滑りそうだったので、ワンポイントでお助け紐をだしたが、特に問題なく灌木を使って滝上に巻き終えることができた。
この上はV字谷となり、小さなスノーブロックが残っているところがあった。天気が良くて明るく、アブさえいなければとてもきれいで気持ちがいいところだ。

傾斜のゆるいV字谷の先は小滝が連続するが、いずれも簡単に越えて行ける。
標高1040m付近で3条5m滝が現れた。
滝手前に整地すれば泊まれるところがあった。まだ時間も早く先に進むことも考えたが、本日の行動は終了とした。

スカンポを刈って整地したあとカヤライズを設置してターぷを張り、薪集めをする。
薪もすぐに集まり、焚き付けををモコモコさんに任せるが、動くのをやめてネットをはずすと相変わらずアブがうるさい。
結局着替えるまでネットはかぶったままにする。

焚き火もついてきたので着替えを済ませると、日が陰ってきた。それに合わせるようにアブも少なくなってきた。朝日に比べるとアブの活動終了時間が短いかもしれない(朝日のときは日が暮れて暗くなっても襲われて、早朝から既にやつらは活動を開始していた。

あたりが完全に暗くなると、空は降るほどの星空が見えた。
明日も天気はよさそうだ。頑張ろう。


モコモコさんに襲い掛かるメジロアブ 3段15m滝 
唯一、沢にあったスノーブロック 3条5m滝の下で幕営



2日目
 
(天気;曇りのち晴れ)
コースタイム;BP6:55〜二俣7:40〜奥の二俣11:21〜上の二俣12:00〜稜線13:38〜丸山岳14:03/14:30〜下降開始15:10〜二俣17:05〜標高1100m付近17:50(泊)


蚊が多かったので、重くなるがカヤライズにして正解だった。
今日は丸山岳山頂を踏んでからメルガ股沢へ降りる少し長い行程だ。
昨晩天気がよく、今朝は冷え込んで少し曇り気味となったので、少し肌寒い。
そのおかげか、アブがほとんどいないので防虫ネットはしないで出発。

目の前の3条6m滝を越えてときどき滝がかかるゴーロ状を進むと10m滝がかかっているのが見えた。
参考記録を見ると左を巻いているようだが、我々は右のガレたルンゼ状からとりついて巻いた。巻き降りるところは急だが、木の枝を掴みながら落ち口のすぐ上に降りることができた。
ここは右の巻きの方が楽だと思う。

10m滝を超えるとわずかで二俣だ。
丸山岳に直接出る左俣は少しやぶがかかって暗い感じだ。これから我々が入る右俣の方が開けて明るい感じがする。
右俣は5m滝をかけている。問題なく登り、先へ進むと6m滝だ。
滝の左にあるチムニー状のところからも登れそうだが、荷揚げをしないといけないようで、それはとても疲れるということで左から巻くことにした
急な草付きなのでモコモコさんにはお助け紐を出した。
次に出てくる5m滝は、中段まで右の岩の間を這いつくばって登り、上段はホールドの少ない一枚岩をそのまま登った。

すぐに7m幅広滝。
傾斜が強く、もろに水をかぶりそうなので雨具を着る。
ザイルをだして水流左からとりつく。
ヌルヌルして傾斜が強いので最初の数歩がいやらしい。
カムで支点をとり、さらに数歩登る。
最後水をかぶりながら水流をまたいで落ち口へ抜けるが、水流へ入るところに岩が張り出していて思い切りがいる。
幸い、水流をまたぎ始めるところを支点としたもうひとつのカムが効いて無事突破できた。

あまり気温が上がっていないのと、全身びしょぬれの状態で寒くなってしまったので、日の当るところで長めの休憩をとる。
このあと小滝がゴルジュ状のなかに連続してかかったりするが、特に問題なく進む。
途中4mほどの滝でモコモコさんが手を滑らせて滑落したが幸いかすり傷一つなしで済んだ。
少し進むと、妙にヌルヌルした4m滝があり、ホールドも細かいのでお助け紐を出した。

順調に滝を越えていくと、傾斜がなくなり、ほとんど源流のような雰囲気で沢は蛇行を始める。
日差しも出てきて、のんびり行くと標高1440mの奥の二俣だ。ここは左へ入る。
さらに進んで標高1490mで2:1の枝沢が入る。

この枝沢からわずかで上の二俣だ。進む予定の右俣には8m滝がかかっている。
登れないので右を巻く。ワンポイントでモコモコさんにお助け紐を出した。
山人先行巻き終えるが、モコモコさんがなかなか来ない。どうしたんだ?と思っていると、「はい、これあげる。」とモコモコさんからブルーベリーのような木の実を渡される。どうやらこれを食べてさらに収穫して時間がかかったらしい。

滝上は一気に小さくなった沢はどんどん小滝をかけて高度をあげていく。
ナメ状やホールドが小さいものが多いが、フリクションが効くので簡単に登れる。途中モコモコさんがあと一歩で落ち口へ」抜けるというところでバランスを崩す。訳をきくと、足場にしていた岩が崩れたらしい。体重が移った後だったので落ちずにすんだらしい。なんだか今日のモコモコさんは要注意だ。

水流の多い方へと進んでいくと、急な草付きお花畑のなかに沢が窪となっている。
そのまま窪を行こうとするが、あまりにも急で足場もなく掴む枝もないところをなんどか登ろうとしたが無理で、落石ばかり起こしてしまい後ろにいるモコモコさんに「登れないかもしれない。」と言うと、「右上には灌木があるからここを登ったら?」と返ってきた。

モコモコさんのところまで戻って見ると、なるほどモコモコさんのいうとおりだ。
数m草付きをトラバースすれば掴む枝が豊富にあるので、傾斜が急なのは変わりないが、登っていける。
急な藪こぎを30分ほどすると稜線にでた。
稜線から丸山岳手前の小ピークまでまだ藪を漕がないといけないので結構時間かかりそうだと思って進むとすぐに、大幽沢東ノ沢からの踏み跡が見つかった。

踏み跡に出ると、東ノ沢の源頭部が見渡せた。ここの詰めは気持ちよさそうで、このまま下降したくなってしまった。
踏み跡ははっきりしており、丸山岳手前の小ピークに到着。とてもきれいな草原のピークだ。
丸山岳との鞍部が少し藪で踏み跡がうすくなっているものの、山頂までしっかりと踏み跡がついていた。

丸山岳山頂には三角点があり、小さなかわいい地塘が2つあった。トンボが産卵していた。
山頂でのんびり休憩する。とてものどかで、昨日はアブでブンブン鬱陶しかったが、今日はアブとは違いかわいいハチ君がにぎやかだ。とても長閑で、余裕があれば泊まっていきたいところだ。

まだ、この先長いので名残惜しいが、丸山岳山頂を後にする。
メルガ股沢へは少し尾根を進んでから下降する。
最初あった踏み跡はすぐに薄くなり、ほとんどわからなくなる。
尾根をはずさないよう慎重に進む。ここはよく確認していけば、“ようこそメルガ股沢へ!!”となるが、間違えると“北沢におかえり”となったり最悪の場合“西の沢へいらっしゃい!”となってしまう。
山頂から、尾根が分岐するあたりで少し左よりに進む。
ちょうど簡単に登れる木があり、木に登って周りを見てみると、メルガ股沢の両岸にある尾根の間の傾斜にきちんと入り始めていることがわかった。

一気に沢床へと下降に入る。
根曲がり竹の藪をどんどん下ると、窪へ入り込んだ。
しばらく水のない窪をどんどん下降していく。
水がでてきてからしばらくも滝は皆無で下りやすい。
今日の行動終了時間の制限を18:00と決めてできるだけ先へ進むことにした。
途中10m滝は下降には傾斜が急で滑りそうなので、倒木を利用して懸垂下降した。

思ったよりも下降に時間がかかり、せめて二俣より下には行きたいと話しながら行くとやっと6m滝だ。
残置スリングを利用し懸垂下降した。
ここは両門の滝となっている二俣だった。
ここまでくれば明日中に帰ることが可能だ。時間も時間なので泊まれる場所を探しながら進む。何個かの小滝を下っていくと、標高1100mあたりに整地すれば何とかなりそうな場所を見つけた。
もう少し降りようかと思ったが、明日早起きをすることにして泊まることに決めた。

増水には弱いが、雨は大丈夫そうだし、刈ったスカンポを敷いたら予想よりも快適になった。
また、タープを張るには時間がかかりそうだったので、雨や風も大丈夫そうだしカヤライズの上にかけるだけでよしとした。
薪を集めて、昨日よりはましだが、やはりうるさいアブをやっつけながら焚き火をつける。
うす暗くなり始めた中宴会スタート。
楽しい夜を過ごすことができた。


10m滝は左岸から高巻いた 7m幅広滝。水流左をカム2つ使って突破。緊張した。
4mヌルヌル滝。ワンポイントでお助け紐を出した。 丸山岳を望む
丸山岳山頂の地塘 大幽朝日岳方面
メルガ股沢を下降 快適なテン場



3日目
(天気;曇りのち晴れ)
BP6:05〜下の二俣6:43〜三角点沢7:50/9:00〜袖沢乗越への沢9:36〜袖沢乗越10:30〜袖沢12:07〜奥只見ダム13:55
帰り;奥只見ダム15:00−銀山平15:40/16:10−小出駅17:40


スカンポをしいたので、快適に寝られた。
起床時間前にトイレに起きたモコモコさんが焚き火をおこしておいてくれたので、すぐにお湯をわかせて食事にすることができた。

ダム発15:00の船に乗りたいので、できるだけ早く出発する。
出発してすぐにまた沢が狭まり、泊まれるところがなくなったので昨日のところにして正解だった。
2つの4mほどの滝を懸垂下降すると傾斜が緩やかになり、沢幅も広がる。

大きな滝や支流もないのでなかなか現在地がつかめない。
出発して40分ほどで標高1040mの二俣に到着。
これといった滝はないが、きれいでおだやかな流れをくだっていくと三角点沢出合だ。
空も青空になり、思ったよりも早く着いたので大休止。
標高が下がり晴れて気温が上がり、アブがうるさくまとわりつくようになったので防虫ネットをかぶる。

三角点沢出合いからは、さらに沢は広がり、傾斜も緩くなってくる。
袖沢乗越への沢が5mの滝をかけて入る。赤布がありわかりやすい。
滝を登ると、左岸に快適そうな泊場があった。

登りやすいが、モコモコさんが途中倒木で足を滑らせたので長めに休憩をとることにした。
結構人が入るのか、乗越まで踏み跡がしっかりついているし、枝沢に入り込まないように木の枝で印がついていたりして迷うことがなかった。
乗越からも踏み跡と赤布がついていて、跡をたどっていくと、しばらく尾根上を下り、どんどん沢へ向かって急下降を始める。最後にロープが固定されたところを一気に下るとちょうど7m滝下へ出た。

袖沢へ下降に使った沢は倒木があったり、ガラガラしていてメルガ股沢源流部よりずっと下りにくい。
さらに暑さとアブのうるささが増して、一向にはかどらない。
うんざりしていやになった頃にようやく二俣に到着。
ここでダムまでの飲み水となる500mlを汲む。

袖沢出合まで、なにもないが以外と長い。
やっと袖沢に出たときは、ほっとした。
出合付近の袖沢はきれいなところだった。

袖沢を渡渉して林道へ上がり、ダムへと向かう。
ダム下にかかる橋までは、初日と違い早く感じた。橋を渡ってからは登りになり、暑いので木陰で休んだ。
残り僅かの水を少しずつ分け合いながらのろのろ歩くと、やっと駐車場に到着。

着替えた後、船までのわずかな時間を利用して、食堂でそばとビールを味わう。
銀山平までの船旅を楽しんで、これまたバスの乗りかえまでのわずかな時間で汗を流してからバスに乗り込んだ。
途中枝折峠では土砂降りの雨となり、行動中に降られなくてよかった。
また、予想通り帰りの新幹線は混雑して立つことになったので、汗を流しておいてよかった。

遡行適期が長いせいか、盛夏はアブを避けて入らないのか誰にも会わず静かな沢旅を楽しむことができた。


袖沢乗越へ続く滝 出合付近の袖沢


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