吾妻連峰 
天元台〜谷地平〜吾妻小舎〜東吾妻山〜蒲谷地〜高森
〜恒例の吾妻連峰横断〜
2010年2月11〜13日

 毎年恒例の厳冬期吾妻連峰横断。
 天元台から蒲谷地のルートは、条件がよくて最短のルートでいくなら、一泊二日でこなせるが、折角なので吾妻小舎に泊まることにした。
天候が核心となる日に天候がよくなさそうなのが心配だ。
 

アプローチ

東京駅6:12−米沢駅8:25/9:05−白布温元9:46

コースタイム

2月11日(くもり)
天元台スキー場11:14〜明月荘14:18

2月12日(雪のちくもりときどき雪)
明月荘6:25〜谷地平10:15〜谷地平避難小屋10:37〜姥ヶ原13:39〜浄土平14:12〜吾妻小舎14:30

2月13日(くもりときどき晴れ)
吾妻小舎6:52〜東吾妻山9:59〜蒲谷地13:19/13:40〜高森15:15


2月11日(天気;くもりのち雪)
コースタイム;天元台スキー場11:14〜明月荘14:18


 3泊四日の重荷を背負って出発。
直前まで雨が降っていたが、雨もやんでいた。
駅に着いてからモコモコさんから「アルファ米持った?」と聞かれ、持っていないことに気が付く。
荷物を置いて山人が取りに戻り、モコモコさんには朝食の仕入れを頼んで東京駅へ先行してもらい新幹線車内で待ち合わせすることにした。

早目に気が付いて、時間にも余裕をもっていたので何とか予定の新幹線にも間に合った。
朝食を食べてひと眠りすると間もなく米沢だ。
いつも通り、米沢駅でバスの乗り換えまでの時間を利用して身支度を整えた。

ロープウエイの白布湯本駅に張り出されたゲレンデ情報をみると風がほとんどない。天元台についてみると確かに無風に近い。これはうれしいことだ。
天元台でパンを食べてからリフトトップへ向かう。第一リフトの途中からと第2リフトのところはかなり深いガスで視界が悪いが、上に向かうにつれて視界が良くなってきた。

リフトトップでシール張りと体操を済ませて出発。
今回は直接カモシカ展望台に向かうようにルートをとることにする。
斜面は最近暖かかったのか、雨でも降ったのかわからないが、ガリガリのアイスバーンの上にサラサラの新雪が15cmほど積もった状態で少し傾斜が強くなると、後滑りするので、極力傾斜をとらないようにしないといけなかったため、ラッセルがない割には時間がかかってしまった。

稜線に出ても風がほとんどなく、視界も悪くないので人形石までテクテク進めた。
藤十郎付近はガスが漂っているのが見える。
人形石からの下りは、アイスバーンと新雪がたまったところとがめまぐるしく変わる斜面となっており、山人・モコモコさんとも1回ずつこけてガスの中の鞍部に到着した。

周りが濃いガスに覆われた鞍部で休憩をとる。
ガスが一瞬切れたときに行き先を確認して出発。
藤十郎から先は特にこれといった特徴もないので、ときおりでてくるツアーの標識でルートが間違っていないことを確認しながら進む。
東大巓は明日通るので今日はカットして直接明月荘へと向かった。

明月荘について早速ドアの掘り起こしにかかるが、凍っていてプラスチックのシャベルでは歯が立たない。
結局スノーソーを使って凍っている部分を取り除いたが、氷の層は20cmほどあった。
氷の下は幸い軽い雪質だったため、あとはシャベルで掘り起こしたが、ドアの掘り起こしに.30分もかかってしまった。
東大巓に寄らずに来たのが、思わぬところで役に立ってしまった。

水作成用に雪をとったら、後は小屋内に引きこもるのみ。
ツエルトを張って水作りを済ませた後は夕食だ。
やはり冬は鍋ものだね、ということで今晩は豚肉と白菜鍋だ。

体が温まったところでシュラフに包まることにした。
今日は風が穏やかで助かった。夜になって雪が降り風も吹き始めたが、明日も風がないといいなと祈りながら眠りに就いた。

人形石からの下降(鞍部にはガスが溜まっている) 今年は明月荘入口(1階)を掘り出すのに時間がかかった


2月12日(2日目) (天気;雪のちくもり)
コースタイム
明月荘6:25〜谷地平10:15〜谷地平避難小屋10:37〜姥ヶ原13:39〜浄土平14:12〜吾妻小舎14:30



昨日の祈りもむなしく、天気は良くない。
ドア前を除雪して小屋を出た。
ヘッドランプは使わずに行ける明るさになってからの出発だ。

東大巓まで強い北風を受けながら進む。
例年と同じでアイスバーンが多く登るときに後ろ滑りすることが多い。
山頂の標識は埋まってしまっているのか少し探したが見つけられなかった。
風が強く、そうそう一か所にいられないので、標識はあきらめる。また、本当は中吾妻山までいって今日は谷地平避難小屋泊だが、こんな条件で稜線を歩くのはきついので、直接谷地平へと降りることにした。

東大巓から東の鞍部へと向かうが、風により地吹雪のような状態で段差が良く見えず、2mほど転落してしまった。
下がふかふかで何ともなかったが、一瞬ヒヤッとした。
地吹雪地帯で視界が最悪なので、コンパスを合せて鞍部まで慎重に進んでから下降開始。
コルまで着いたら、夏道を少しはずして東大巓と昭元山との間の沢の源頭部を回り込むようにしてほとんどトラバースするように下降した。

昭元山から派生する尾根に乗ったところで、大倉深沢との出合に向けて一気に下降した。
標高1700m付近の吾妻は、全体的に樹林間隔が広がり雪質がよく楽しいと思う。
台地状になっている谷地平が見えてくるとあちこちにある沢が集まってくる。
小さな沢を横切ったりして大倉深沢へ出た。

ちょうど夏道の渡渉点となっていることろになんとか渡れる程度のブリッジがかかっていた。
ブリッジを渡ったところで休憩をとる。
稜線はガスの中だが、谷地平まで降りてくると穏やかな天候となっていた。

谷地平に上がり、小屋へ向かって雪原を横断する。
谷地平から小屋方向の斜面を軽く下ると谷地平避難小屋が見えてくる。相変わらずこの時期の小屋はいい景色だ。
東大巓から直接スムーズに下ってきたので、まだ時間が11時前。
予定では谷地平避難小屋泊だったが、いくらなんでも早すぎるので、一気に吾妻小舎まで抜けることにした。
宿泊予約をしたときに、小舎の雪下しのため3人パーティーが入っていると教えてもらっており、小舎はストーブがついていて暖まっているはずなので即決だった。

小屋前の雪で埋まっている姥ヶ沢を渡って、少し急な斜面に取り付く。
昨日同様アイスバーンの上に新雪が少し積もった状態で後ろ滑りしやすい。
姥ヶ沢に沿ってほぼ夏道通りに登っていく。
この頃になって重荷の影響がでてきてペースが上がらず、姥ヶ原につくまでに時間がかかってしまった。

姥ヶ原はいつも強い風が吹いているのだが、稜線ではあれだけ吹いていた風もほとんどなく穏やかで視界が良い。
そこで、風が強く視界が良くなかったら降りなれている酸ヶ平経由で降りようとなっていたが、直接浄土平へ降りることにした。
蓬莱山腹をトラバース気味降りていると、3人の滑降したトレースを発見。

遠藤さんから聞いていた3人パーティのだと思われるが、「高湯から入ったのかな?でも今日滑った感じだから違う人かな?。」とモコモコさんと話しながら行く。あとで分かった結果は、やはり3人パーティのもので、今日は前大巓のコルまで遊びに行ってきたのだそうだ。
吾妻小舎に着くと、3人パーティはちょうど雪下ろしの作業中だった。

荷物をおろして我々もお手伝いをさせてもらう。
2月の中旬にもなるのに、冬季用入口まで埋まっていないほどこちらは雪が少ないようだがやはりそれは吾妻で、裏に回ると屋根は完全に埋まっていた。
戦力になったかどうか怪しいが、なんとか作業を終わらせ小舎に入る。

やはりストーブが点いていると違う。火力を極力抑えていたとはいえ、とても暖かい。
3人パーティからは水作り用の雪を分けてもらえ、外に取りに行くことなく済んでしまった。
お腹がすいたので、すぐに水作りを始め夕食を作った。
今日は鳥鍋だ。少し匂いが食料袋にこもってしまうが、ニラが良い味をだしていた。

食後は3人パーティとストーブの周りで談笑を楽しむ。
話が盛り上がるにつれ、ストーブの燃えも絶好調で、暑いとストーブから避難するようななんとも贅沢でうれしいこともあった。
今晩は暖かい小屋で手足を伸ばしてゆっくり体を休めることができる。
モコモコさんと明月荘から一気に小舎まできてよかったと話して夢の中に突入した。

うす暗いうちに小屋を出発 もうすぐ谷地平が見えるはず
なんとかブリッジがかかっていた 谷地平へと登るモコモコさん
小屋脇の枯れシシウドも雪原のにぎわい? 魅力的な小屋を後にして・・・
一切経山 吾妻小富士が見えた、吾妻小舎までもうすぐだ。


2月13日(3日目) (天気;雪のちくもり)
コースタイム
吾妻小舎6:52〜東吾妻山9:59〜蒲谷地13:19/13:40〜高森15:15


今日は長丁場なのと、バスの時間があるので早目に出発(といっても昨日より遅いが)。
浄土平から直接東吾妻山へ取り付く。

急な登りはないが、しばらくだらだらと長い緩やかな登りが続く。
取り付いて1時間ほどで後ろを振り返ると3人パーティの姿が見えた。
昨晩は谷地平へ降りて遊んでくると言っていたが、東吾妻山にしたのかな?と思ったが、その後一向にこちらへ近づいてくる気配がしなかったので、やはり谷地平へ向かったようだ。

傾斜がでてきてからは、モコモコさんが先行する。
今日のモコモコナビは好調なようで、きっちりルートがとれている。
出発が予定よりも遅れてしまったが、山頂には予定通りの時刻に到着できた。

さすがに山頂は風が強いので周りを撮影して足早に通過した。
下降を始める前に少し風が弱いところで方向を確認。

モコモコナビが少し狂ったのか、ここからの下降する方向に少し自信がもてないようだ。
まずは展望台へ向けて下降を開始。
予定通りの場所へたどり着いた。

ここからは林道目指してほぼ直線に降りるが、沢が微妙にあるのでそれに入り込まないように注意が必要だ。
標高1750m付近までは木の密生地帯であり、地形図で崩壊地のような窪のようなところは樹林がないので下降ルートとしたが、10cmほどの新雪の下がアイスバーンとなっていたため、以外に手こずった。
そこで今度は樹林に入って下るが、やはり木の密生地帯で苦労した。

標高1750m付近でようやくシールをはずして快適に降りられるようになった。
標高1600m付近の急斜面となるところでルートを少しはずしてしまい、少し登り返すことになってしまった。
あとは林道にコンパスを合せてどんどん進むだけだ。

途中手間取った割には、思ったよりも早く林道に出ることができた。
ここの林道は結構傾斜があり、よく滑った覚えがあったので蒲谷地まで一滑りだ。
林道を滑り始めてすぐに、林道を横断するトレースを見つける。どうやら蒲谷地からピストンをした人がいたようだ。
我々は林道の傾斜がなくなるところを1箇所近道したほかは、忠実に林道辿った。

蒲谷地の集落に着くと車道は除雪されていたが、路面雪が付いていたのでそのままスキーをはいていけた。
会うのを楽しみにしていた蒲谷地の犬の姿は残念ながら見られなかった。
相変わらずここは携帯電話の電波が届かないので、予定通り高森までの山越えをすることになった。休憩がてら蒲谷地入口でシールを再びつける。

道路がカーブで高度を上げ始めるところからは、適当にショートカットして順調にみのわ茶屋に到着。
シールをはずして最後の一滑りだ。
昨年ほど滑らないまでも、らーくちーんの一言だ。

高森でタクシーを呼んで、タクシーが到着するまでの間にパッキングを済ませる。
風呂に入っていくため、中ノ沢温泉に移動している内に、折角一日残っているし、なんだか最近疲れがたまってとれないので、のんびり温泉に泊まっていきたい気持ちが強くなった。

翌日各駅停車で帰ることにして、思い切って宿に泊まることにした。
飛び込みにもかかわらず、タクシーの運転手さんの尽力のおかげで無事宿を確保できた。
疲れて冷えた体と3日分の汚れを落として贅沢な下山の余韻を楽しんだ。


いつまでもぬくぬくしていたくなる吾妻小舎 東吾妻からは箱庭のように見える浄土平方面
小さな崩壊地状地帯で高度を下げる 無事林道到達しモコモコさんを待つ
犬違いだが、西高森で犬を見られた 車を持たない我々の終着点、高森の桑一食堂


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