飯豊連峰
松ノ木尾根 三国小屋(ピストン)
〜デポ品回収〜
2010年3月20日〜3月22日

1月の山行のときには、途中敗退のため荷揚げしておいたデポ品を回収できなかったので、今回はデポ品回収を目的に再び松ノ木尾根へ。
できれば本山も行きたいが、2日日(3/21)は猛烈な嵐になることが分かっていたので、最初から小屋で停滞することがほぼ決定。
そのためには、初日には何時になってもいいから小屋まで頑張ろうという作戦だ。
アプローチ

東京駅6:08−新潟駅8:16/8:22−山都駅10:15/(タクシー)−川入

コースタイム(天気)

1日目(晴れ)
川入11:20〜キャンプ場12:15〜尾根取り付き(渡渉点)13:00/13:30〜90度カーブ15:40〜稜線18:00〜三国小屋18:30

2日目(暴風雪)
停滞

3日目(くもりときどき雪のちくもり)
三国小屋7:50〜90度カーブ9:20〜尾根取り付き10:50/11:10〜川入12:30



1日目
3月20日(晴れ)
コースタイム
川入11:20〜キャンプ場12:15〜尾根取り付き(渡渉点)13:00/13:30〜90度カーブ15:40〜稜線18:00〜三国小屋18:30


前夜発の夜行バスに乗れるか分からなかったのと、夜行バスを予約しようとしたときにはすでに満席だったため、当日朝出発となった。
ところが郡山経由では山都に着くのが11:・30頃になってしまう。
仕方がないので、新潟経由でのアプローチだ。

山都駅からタクシーで川入まで入る。いつもお世話になる運転手さんだった。
運転手さんの話では、1月のとき、我々が下山予定日に降りてきた様子がないので、役場に相談しに行ってくれたようだ。ちょうど役場にお巡りさんがいて、警察署に問い合わせしてもらったところ、下山連絡が入っていて一安心したという騒動があったらしい。見守っていただいてありがとうございました。

心配していた川入までのアプローチだが、除雪されていて問題なく入ることができた。
川入には一台の車が駐車されていた。

林道には一人のトレースがあったので、おそらく車の持ち主だろう。
風もなく天気がいいので、とても暑くなってきた。
キャンプ場からの林道は樹林になり、日陰になるのでありがたい。

尾根取り付きまで順調にこられた。
単独の方のトレースはさらに上流方向へと続いていた。1月にかかっていたスノーブリッジは跡かたもなくなっていたので、一度沢床まで降りて渡渉することとなった。
ところが、沢床まであと1mというところで滑ってしまい、重い荷物に振られて転び下半身がびしょりと濡れてしまった。左膝を強烈に打ってしまった。
怪我のためアプローチ敗退かと頭をよぎる・・・・。痛みはあるが普通に歩ける。なんとかなりそうだ。モコモコさんは空身で行きなんとか無事着地。
こんな騒動があり、水を汲むのを忘れてしまった。

気温が高いので、服はそのうち乾いていくだろうということで少し休んでから先へ進む。

尾根に這いあがるのに少し大変だったが、雪が締まっていたので、雪が所々切れた箇所がある他は順調に高度を稼げた。
松ノ木がでてくるあたり(松ノ木廊下と呼ぶことにする)で、単独の方のトレースと合流する。
今日は何時になってもいいから小屋まで行く予定であるが、他に人が居て寝ていたりすると迷惑をかけてしまうな。
でもこの人早そうだから先の小屋まで進んでいるかも、などと話しながら進む。

このころから風が吹き始めたが、気温が高いのは相変わらずでなかなか涼しくならない。
そこで水を飲もうとするが、山都駅で汲んだ水はしばらく流していなかったのか、妙にさび臭くてあまり飲みたくない。沢で水を汲み変えなかったのが後で響いた。

松ノ木廊下をすぎてしばらくした、1130mの90度カーブが見えてくるあたりで先行者の姿を発見した。
小屋への到着時刻はあまり違わないようになりそうで、少しほっとした。

先行者の方(Oさん)は90度カーブで休憩していて、そこで追いついた。
後から遅れてくるモコモコさんを待っている間、言葉を交わす。Oさんもこの暑さがこたえているようだが、今日小屋まで頑張るそうだ。

トレースのお礼をいい、ここから我々が先行していく。
雪がしまっているので、前回テントを張った1250m付近までさほど苦労せずに到着。
日が傾いて気温が下がったのと、風が強くなってきたので、ようやくここでオーバーパンツとジャケットを装着。ワカンからアイゼンに履き替えることにした。
この頃から、モコモコさんがしきりに気持ち悪い、頭が痛いと言い始め、前回敗退した1280m付近では、4〜5歩足を進めては立ち止まっている。
どうやらまずい水を飲むのを嫌がったために、軽い脱水症状を起こしたようだ。

涼しくなってきたので、テルモスのお湯でできるだけこまめに水分摂取する。
幾分回復はしたようだが、歩みが遅いのは相変わらずだ。後ろを振り返っては、後から登るOさんの姿に励まされなんとか登りつづける。
ようやくかすかに三国小屋の屋根の一部が見えるようになった。
太陽は西の尾根にすっかり隠れてしまったので、念のため、ヘッドランプをポケットに入れておく。
天気が良いのでまだ明るい。しかし、今晩の月は三日月くらいなため、この先明るさは期待できないので、小屋に着くころには真っ暗になっていることだろう。

稜線にあがる急な登りでは一応ピッケルを出したが、問題なかった。
あとは小屋まで一頑張りだ。暗くなっていたが大日岳を確認することができた。
さすがにこの時間では暗くなってきたが、まだヘッドランプなしで大丈夫だ。
小屋前の最後の登りをすませば、小屋まで指呼の距離だ。登りの途中で後ろを見ると、Oさんも稜線にあがったらしく、うっすらと人影が見えた。

我々は一足先に小屋に到着。
吹き飛んでしまったのか、小屋の周りに雪はあまりなく、トイレ入り口のドアを開けて入ることができた。
ほぼ停滞決定の明日の分も含めた、2日分の水用の雪をとってから装備を解いた。

小屋の2階で泊まることにした。
水づくりを始めると、Oさんも到着。お互いをねぎらって夕食に入る。
すっかり食欲をなくしたモコモコさんは、最初ほとんど食べなかったが、こまめに水分をとりながら2時間ほど休んでいると、幾分回復したようで少し食べられるようになったので一安心だ。

外は風がどんどん強くなっているようだ。
やはり小屋まで入っておいて良かった。
Oさんは、明日天気が悪ければ、降りてしまう予定らしい。
我々は停滞が決定したようなものなので、のんびり宴会をしてからシュラフに包まった。


2日目 3月21日(暴風雪)

停滞

2時に一度目が覚めるが外は風が強いらしい。また雪も降っているような音がする。
5時に一度起きて外を見ると、視界はまだなんとかなるが風が強い。
慌てることはないので、再度シュラフに潜り込む。
7時頃皆モゾモゾと起きだす。
外を見ると風は激しさを増している。
ラジオを付けると、千葉で最大瞬間風速38mを観測したようだ。おそらく電車は全滅だろう。
朝ごはんを作っていると、小屋の屋根が剥がれたのではないかと思うような音とともに柱がミシッ!!と音をたててゆがんだように見えた程の風が吹いた。
気圧も急速に下がっている。

Oさんは、なんとか行動できないか外をうかがっているが、そのたびに諦めるといった様子。
結局気圧は午後2時頃ようやく底を打ち回復傾向に向かっていった。
我々は停滞することを計画の段階でほぼ決まっていたので、シュラフに包まったり、飲み物を飲んだり、ときおり何か食べ物(停滞を見込んでつまみは充実させていた)をつまんだり、ラジオをきいたり、無線をいじってみたり、昨日濡れた靴下や靴を乾かしたり、水を作ったりして一日を過ごした。
今日は黄砂がかなりひどく飛んだらしく、Oさんが新雪を使って水を作ったところ、黄色い水になってしまったので、強風の中、再度雪とりに外に出ることになったらしい。

暖かかった昨日と違い、寒冷前線が通過したであろう午後から急速に気温が下がり、服を着込む。
さらに今晩は寒いだろうということで、テントを張って寝た。


3日目 3月22日(くもりときどき雪のちくもり)
コースタイム
三国小屋7:50〜90度カーブ9:20〜尾根取り付き10:50/11:10〜川入12:30


まだ風は強いが、視界は良くなっている。
気圧もかなり上がっていた。
問題なく下山できそうだ。

ゆっくり朝食をとり、支度をすませた。
外に出ると、小屋前は雪面が固いのでアイゼンを履いて出発。
ところが、昨日結構な雪が降ったようで、ワカンにすればよかったと思うような状態だった。
松ノ木尾根に入る急斜面は、初日に、モコモコさんは「最終日気温が下がって固くなっているだろうから、ここを下降するとき確保が必要かも」と不安になっていたらしいが、積もった雪が程良い斜面にしてくれ、実際にはゆるゆるの下りだった。

潜るので、ワカンに履き替えた。下降していくにつれ、風が強かった尾根の雪はほとんど吹き飛んでいて、雪面も固くなってきたので、標高1200m付近で再びアイゼンに履き替えた。
90度カーブからの下りで、バランス感覚の悪いモコモコさんはスピードダウン。
後から出発したOさんに抜かれる。
それでも、ときどき(隠れた亀裂にはまったり+踏みぬいたりしながら)×モコモコ係数でも下りは早い。
3時間で尾根末端まで降りて来られた。

今度は忘れずに水を汲んだ。
問題は渡渉のあと対岸に這いあがれるかだが、適度に雪が締まっていて問題なく這いあがれた。
這いあがったところで、しばらくの休憩。ここで再びワカンに履き替えた。

Oさんは松ノ木廊下の終わりからすぐに沢に下降していったので途中でトレースがでてくるはずだが、なかなか合流しない。
我々の方が早いのか?と思っていたら、途中からトレースと合う。クランク状のルート取りとなる我々と違い、ずっと手前(上流)で台地に上がっていたOさんは直線のライン取りが出来たらしい。

Oさんのトレースを借りて歩を進める。
林道に降りる斜面で、モコモコさんは滑った勢いで顔面から突っ込むという相変わらず体を張ったギャグで笑わせてくれた。

キャンプ場を過ぎた橋の先で休憩しているOさんに追いつく。
なんと川入から車に乗せて行ってくれるとのこと。
このペースでいくと、雪がちらつく中迎えを頼んでいたタクシーがくるまで1.5時間ほど待つことになる。ありがたく好意を受け、飯豊の湯で入浴を済ませ食事にありつけることができた。
再び乗せてもらって着いた山都駅には、迎えを頼んでいた運転手さんがいたので、挨拶をして帰路に着いた。

昨年からのチャレンジに区切りがついた。本山までには届かなかったがようやくほっとした気持ちだ。


川入まで車が入れた キャンプ場
御神木とお地蔵様に入山の挨拶 スノーブリッジはさすがに残っていない
先は長い とにかく暑い
前回引き返したポイントまでもうすぐ 日が陰った頃ようやく三国小屋が見えた
振り返る 大日岳
下山日。前日の大荒れも収まった 隠れた亀裂にはまったモコモコさん(稜線直下の急斜面)
お世話になりました 後はどんどん下るだ(この辺りからアイゼン装着)


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