谷川連峰 
土合〜芝倉沢〜茂倉岳〜茂倉新道〜土樽
〜思わぬ新雪の谷川連峰〜
2010年5月15〜16日

 飯豊の縦走の疲れがようやくとれてきた。
 いままで週末になると天気が悪かったのが、ようやく土曜日曜と安定してよくなってきたので、残雪歩きを楽むことにした。
 今回は、山スキールートではあまりにも有名な芝倉沢を登路にとることにした。この時期なので、ブロックも落ち切っているだろう。更に欲張って、久しぶりに茂倉岳の避難小屋で宴会しようということになった。
モコモコさんは、まったりのんびりで麓の散策を楽しみたかったようだが・・・・。

地形図;
茂倉岳

アプローチ

東京駅6:08-高崎駅6:59/7:10-水上駅8:13/8:25-谷川ロープウエイ駅土合口8:45

コースタイム

5月15日(晴れ)
ロープウエイ駅9:10〜一ノ倉沢出合10:00〜芝倉沢出合11:00/11:30〜一ノ倉岳茂倉岳鞍部15:05/15:15〜茂倉岳避難小屋15:45

5月16日(くもりのち晴れ)
茂倉岳避難小屋7:00〜矢場ノ頭8:40/9:00〜登山口11:22〜土樽駅11:55


5月15日(天気;晴れ)
コースタイム
ロープウエイ駅9:10〜一ノ倉沢出合10:00〜芝倉沢出合11:00/11:30〜一ノ倉岳茂倉岳鞍部15:05/15:15〜茂倉岳避難小屋15:45



 飯豊の大縦走を終えて早2週間。
さすがに、先週は疲れが残り、モコモコさんともども惰眠を貪っていたが、ようやく回復してきた。
加えて、山スキーシーズン中や飯豊のときの週末になると特に天気が悪くなった傾向があったが、ようやく安定してきたので、残り少ない残雪期を楽しむことにした。
さらに久しぶりに宴会目的で避難小屋に泊まるのもいいな。

朝一番の上越新幹線は結構な乗車率だった。
ロープウエイ駅ベースプラザにはスキーヤー&スノーボーダーがいた。天神平スキー場はまだ営業しているらしい(後日調べたところ、5月16日までの営業だった)。
ベースプラザでゆっくり支度をすませてから出発。

ベースプラザの少し先の登山指導センターからは、まだ車両通行止めとなっていて静かな散策を楽しめた。
マチガ沢では、スキーを楽しんでいる人を見られた。
一ノ倉沢は除雪をしなければ、まだ林道を含めて雪の斜面となっているくらいの残雪量があった。
天気が良く、はっきりと最上部まで岩壁を眺めることができた。

散策する人もそこそこいて、幽ノ沢出合までは数人に会った。
幽ノ沢から先に少し進んだところから林道が所々残雪に覆われてくるようになる。
芝倉沢出合はまだ完全に埋まっていた。

出合でアイゼンを着けて出発。
最初は広々としたゆるい斜面だが、徐々に傾斜が増していく。
この時期なので雪面は汚れていたが、少し登ると、新雪によるきれいな雪面になっていった。
数日前の天気予報で、標高の高いところは雪になると言っていたが、珍しく予報が当たって本当に雪が降ってしかも積もったらしい。
まわりを見回すと、上部は完全にきれいな白い斜面となっていた。

気温が低めなので、雪は、ズボズボ潜るほどでもなく、くるぶしまで潜ったらキュッとしまる登りやすい状態だ。
芝倉沢は、出合を過ぎるとすぐに大きく屈曲するので、上部の様子は実際入らないと全くわからない。
堅炭尾根の末端に近づく辺りはS字のカーブを描いており、山スキーの滑降時でもデブリが散乱していてスキーを脱いで通過することもあるらしいところだ。今日は先日降った雪ですっかりデブリが隠されていた。
新雪で隠されたデブリの隙間を踏みぬくこともあったが、それでも脛くらいまでで済んだ。

堅炭尾根を回り込むと斜度が増す。
回り込んでしばらくすると中芝新道の取り付きになるはずだが、取り付きは確認できなかった。もともとあまり手入れがされていないので仕方がないかもしれない。
我々はそのまま沢を詰めていく。

狭まった沢は、次第に傾斜もでてくるが雪の状態がいいので問題なく登れた。
二俣を過ぎると、中流部のゴルジュに突入だ。
山スキーでも核心部となっているところだ。

狭く傾斜があり、積雪期は周りからブロックが落ちてくるかもしれないところで、確かにスピードのあるスキー滑降時でも気の抜けないところだと思った。
上からのブロック攻撃の危険がなく、視界がいい今日は登ることだけに集中できる。
しかし、それまで比較的日陰だったのが、直射日光が当たるようになり、雪面からの照り返しと重なり暑い。
モコモコさんは既に顔に汗が浮かんでいた。
 前回の飯豊といい、新雪なのに黄砂のせいで雪が黄色く見えてしまうことばかりだったが、今回はきちんと踏み跡を覗いたりすると青く見えるきれいな雪であることに少し癒された。

暑い暑いと言いながら登ると、ようやく中流部のゴルジュの出口が見えてきた。
ゴルジュを出たところで、岩を伝い流れ落ちる水を汲めるところがあったので水を汲んでいくことにした。
近づくと、水は岩が軽くハングしているところを落ちているので、跳ね返りがすごい。
山人が代表して上半身だけ雨具を着て水を汲んだ。やはり雪解け水は、雪を融かしたのとは段違いでおいしい。

ここからも傾斜は結構あるが、広々として気持ちが良い。
すぐに奥の二俣となる。
最初右俣に入って直接茂倉岳に登ろうとしたが、モコモコさんから強く反対され、左俣(本流)へ入る。
二俣のあたりは本当に広く、モコモコさんも「ここだけだったら、滑りに来てもいいな、でもその下は狭くて急で私は(スキーでは)絶対無理だよ!!」と力説していた。

自分では滑るのを嫌がっているくせに、「雪が降ったので、だれか降りてくる人がいるかな?」とモコモコさんは期待していた。しかし、やはりこの時期はだれも滑り下りてくる人はいなかった。
まだ沢の中も全く割れておらず滑るには問題はなかったと個人的には思った。

ここから以外に長かった。
稜線はすぐそこに見えたが、登っても登っても近づかない感じだ。
ようやく中芝新道の尾根が沢床に近づいてきたが、稜線はまだ先だ。
尾根に上がってしまおうかとも思ったが、斜面の状態もいいので、予定通り鞍部を目指す。
この頃になると、周りが開けて風も吹きぬけて行くようになってきたので暑さはなくなった。

傾斜が一段と強くなったところを一歩一歩登っていく。
最初入ろうとした右俣の上部が見えてきた。
恐ろしく急だ。モコモコさんの言うとおり、あちらに入らなくて良かった。
やっと稜線が見えた。
最後は雪の張り出しがないところから、えいっと上がると稜線だ。
視界がよかったので、狙ったところにどんぴしゃりと出た。

風が冷たいので雨具を着込んだ。
展望を楽しんでから最後の登り、茂倉岳への登りにかかった。
数年前ここは夏路が結構出ていたが、降雪後の今日は登山道は分かるが、雪に覆われていたので歩きにくく以外に時間がかかる。

山頂で記念撮影をして下りに入る。
ここからは完全に雪に覆われているので適当に斜面を下って小屋へ向かった。天気がいいので下っているときから見えるが、トイレは上部がでていたもの、小屋はほとんど埋まっていた。
ここまで埋まっているとは誤算だ。
モコモコさんは「掘るのが大変だから降りよう、掘っている時間があったら降りられるよ。」と言い出す始末だ。
しかし、飯豊のときの後遺症か、左膝に違和感があり、稜線に近づいたあたりから痛くなってきていたので、このまま降りるのはきつい。
頑張って掘ることにした。

重い雪をモコモコさんと掘り始める。
少し屋根がでてきたが、先は長い。30分ほど掘ると窓の上部が見たがドアは見つからず。
二人ともここに来たのは久しぶりなので、ドアの正確な位置(壁の真ん中か、左右どちらに寄っているか)がわからない。
モコモコさんは、左寄りにあったと思ったけどというが、自信がなさそうだ。取りあえずさらに奥を掘ってみる。
ここまでくると作業場所の関係で、山人は掘り下げ役、モコモコさんは除雪役を担当するようになった。

ようやく最初に出た窓と同じ高さまで掘り下げたが、やはり出てきたのは窓。
モコモコさんの記憶通り左寄りについているのでは?ということで左寄を掘り下げることにした。
すると小屋の看板が現れた。
これは!!!頑張ってさらに掘るとようやくドア発見。モコモコさんの記憶は正しかった。

ドアは見つけたものの、これからさらに1mほど掘り下げる&掘り拡げ作業を続けなくてはならない。
ブロックを切り出す→除雪をするモコモコさんに渡して排除してもらう、ときどき穴を拡張する、という作業を地味に続けて行くとドアの取っ手が見えた。
ドアを押してみるがびくともしない。
凍りついているのかも?雪が吹きこんでいてドアを抑えているのか?とさらに掘るが、どうしても開いてくれない。
モコモコさんは口にこそ出さなかったが、掘った穴でビバークか?と思っていたらしい。

ドアを開けようとしてからどれくらいの時間がかかったか忘れたが、さらにドアの3分の2ほど掘り出して思い切り押した(内開き)ら、やっとドアが開いた。
これで乾いた床と風が来ない場所で寝られることが約束された。
余計なところまで掘ったせいもあるが、結局掘りだすのに2時間もかかってしまった。まあ、窓が少しでも掘り出せたので、少しは明かりが入ることになるからよしとしよう。
遠き山に日は落ちてならぬ近き山に日は落ちてというくらいになってしまった。
予定なら今頃は宴会の真っ最中だったはずだが・・・。

小屋に入りドアを閉めようとしたが、今度は閉まらない。
どうやら雪の重さで屋根が沈んでしまったことでドア枠がゆがんでしまっているようで、ドア上部5mmほどが引っ掛かってしまっている。
無理やり閉めると今度は閉じ込められてしまう恐れがあるため、仕方なく少し開いた状態のままにしておくことになった。

水を途中で汲んできたのが効いて、すぐに夕食にとりかかることができた。
宴会を始める頃には、除雪で暖まった体もすっかり冷め小屋内の温度もぐんぐん下がってきた。

もう5月半ばであるが、とても寒いので、ツエルトをかぶった。眠るときも寒さ対策でツエルトを張ることにした。
天気予報では、冷え込みはゆるみ、明日も天気は良いとのことだ。
外に出てみると少しガスがかかっているが、下は良く見える。
谷川で一日中ガスもかからず晴れていたのは幸運だ。
久しぶりの小屋でしばしの宴会を楽しみ、除雪で疲れたので早目に眠りに着いた。




5月16日(天気;くもりのち晴れ)
コースタイム
茂倉岳避難小屋7:00〜矢場ノ頭8:40/9:00〜登山口11:22〜土樽駅11:55


昨日は疲れたのと、今日は土樽まで降りるだけなのでゆっくりの起床。
天気予報通り、冷え込みはない。

朝食と小屋の掃除を済ませて小屋の外へ這いあがる。
ドアを閉めようとするが、どうしても閉まらないので、ドアが開け放しにならないようドア近くにあった角材をドア枠のつっかえ棒にしてからドアノブを紐で縛った。(絶妙にフィットするつっかい棒で、もしかしたら以前からドアの不具合があったのかもしれないと考えてしまった)
後は、雨などが吹きこまないように祈るしかない。

茂倉新道も数日前の雪で登山道が覆われていた。
道に積もっている雪を見ると、先日積もった雪だけが残っていた。例年なら恐らく夏道がでていたと思う。
踏みぬいたり、中途半端に残っている雪で思わぬ苦戦をした。
だんだんアイゼンを履いていると逆に歩きにくくなってきたので、アイゼンをはずす。モコモコさんはそのままで行くとのこと。途中トイレ休憩をとったりしながらゆっくりと進む。
そんなことをしていたり、山人の膝の調子が良くないなどで、夏のコースタイムでは山頂から矢場の頭まで55分のところ2時間近くもかかってしまった。

矢場の頭からは、樹林が発達してくるのでモコモコさんもアイゼンをはずしていくとのことだ。
また、晴れてきて気温も上がり、暑くなってきたのでアンダータイツを脱ぐことにした。

矢場の頭からは雪道ときどき泥道といった具合で滑りやすい。
30分ほど降りたところで、登ってきた単独の男性と会う。これから谷川岳まで進み田尻沢沿いの林道を降りるとのことだ。
しばし談笑を楽しんで別れた。

12月に登ったところを確認したり、花の写真を撮ったり、鳥を観察したりといつも以上に遊びながら降りていたら登山口についた頃にはかなりコースタイムをオーバーしてしまっていた。
土樽駅までの途中の林道で水飲み場があるので、靴についた泥を落としたりしていると、ここでも以外に時間を費やしてしまいった。かなり余裕を持って出発したが、土樽駅に着いたのは予定の電車の発車20分前となってしまった。

軽くパッキングを済ませたらすぐに電車の時間となってしまった。
あわてて乗りこみ電車の中でパッキングを完了させた。


マチガ沢ではスキーを楽しむ人がいた いつも暗い感じのする一ノ倉沢もくっきり青空の下で明るい
幽ノ沢も青空の下だ 芝倉沢出合 左に伸びる尾根を回り込んでいくので先は見えない
尾根を回り込んだ先 結構登ってきた 朝日岳を背景に登る
ここを抜けると一気にひらけるはず 広い斜面になった
登りの途中から見える武能岳がかっこいい 最後の急斜面を直登すれば稜線だ
登ってきたトレースと一ノ倉岳 芝倉沢を見下ろす
茂倉岳はすぐそこ 小屋に着いたが埋まっている
ようやく掘り出した すっかり日が傾いてしまった
茂倉岳とお世話になった小屋ともお別れ 今日もいい天気で谷川岳が良く見る
矢場の頭から大障子の頭と万太郎山 季節は着々と進んでいる


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