吾妻連峰 |
浄土平〜東吾妻山〜吾妻小舎〜谷地平〜中吾妻山〜東大テン分岐〜家形山避難小屋〜高湯温泉 |
〜残雪期の吾妻連峰も楽しいよ〜 |
2010年5月21〜23日 |
冬季に使用させてもらったお礼&今シーズンの挨拶と、何よりもこの時期に夕食に出される山菜料理を目当てとした吾妻小舎への宿泊。
更に、今年は週末になると悪天という周期だったため、中吾妻山への稜線を一度も歩けなかったので、快適に歩くにはそろそろ最後の時期にかかった今中吾妻山へ登ることした。
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アプローチ
東京駅−福島駅/−兎平バス停
コースタイム
5月21日(晴れ)
浄土平11:15〜酸ヶ平12:25〜姥ヶ原12:49〜東吾妻山13:49〜浄土平14:55〜吾妻小舎
5月22日(晴れ)
吾妻小舎7:10〜姥ヶ原8:15〜谷地平避難小屋9:49〜中吾妻山12:39〜継森14:11〜東大テン16:06〜明月荘16:40
5月23日(くもり)
明月荘5:35〜家形山9:05〜家形山避難小屋9:27/9:44〜不動沢11:00
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5月21日(天気;晴れ)
コースタイム
浄土平11:15〜酸ヶ平12:25〜姥ヶ原12:49〜東吾妻山13:49〜浄土平14:55〜吾妻小舎
前日は天気が悪かった福島も、今日は朝からピカピカの空だ。
西口にあるバス停では、バスを待つ人が我々含め数人。その中の方に、酸ヶ平の避難小屋に2泊する予定という男性がおり、色々と話をしている内に東口出発のバスが到着。
それぞれの期待を胸にバスに乗り込んだ。
我々だけの貸し切りかと思ったら、結構人が乗っていた。
今年から兎平にバス停ができたので、兎平で下車する。
兎平のキャンプ場まで入ると近くに車道があるとは思えないくらいの静かな山の世界となる。聞こえるのは鳥の声だけだ。
キャンプ場からすぐで吾妻小舎だ。
吾妻小舎の周りにはまだ少し雪が残っていた。
今日は、小舎に荷物を置かせてもらい、「1.鎌沼に行き、つがいの鴨を見に行くこと、2.東吾妻山に登り、明日歩く予定の中吾妻山〜東大テンの稜線の雪の付き具合を偵察してくること」を目的に少し出かける予定なので、戻ってからお茶をいただくことにした。
戻ってからのお楽しみを残雪に埋めて、早速出発!といきたいところだが、少しお腹がすいたので浄土平のレストハウスで軽く食べることにした。
相変わらず道草をしないではいられない我々だが、根が生えない内に出発。
一切経山の噴煙は相変わらずだ。
出発してすぐに、パトロールの人に声をかけられる。なんでも、今日の風向きが、酸ヶ平に火山ガス来る方向になることがあるので、心臓や気管が弱い人に影響出るかもしれないから気を付けてということだ。
まあ、最近の黄砂よりましでしょということで先に進む。
余談だが、3月の飯豊の松ノ木尾根へ行った時に飛んだ黄砂のせいで(とモコモコさんが騒いでいた)、山人は下山してから、モコモコさんは帰りの新幹線の中で急にのどが痛くなって、たんや咳が続いた。でも熱はでなかった。
蓬莱山腹には雪が残っていたが、しっかりトレースがついていてハイキング気分だ。
鎌沼には鴨はいたが、遠くに一羽見えるだけで、つがいの鴨はいないようだ。どこかへ出掛けているらしい。
姥ヶ原までは少し残雪上を歩いた。
東吾妻山への登りに入ると、登山道は融雪水の排水路となっており、ちょっとした沢の源頭部のようになっていた。
靴の中を濡らさないように行くので、歩きにくい。
幸いにも、間もなく残雪歩きになって助かった。
山頂近くで登山道から外れてしまったので、冬道と同じように東側の残雪を使った。
山頂から中吾妻山を見ると、思った通り、稜線歩きに問題ないくらいたっぷり残雪が付いていた。
明日も天気がいいようなので、予定通り行けそうだ。少し心配なのは、渡渉だけだ。
偵察も済んだので、さっさと降りる。
下りなので、後半の排水路で少し手間取ったが、吾妻小舎へ戻り、御茶を頂く。
今夜の宿泊者は、我々だけらしい。
遠藤さんご夫妻は、夕方小舎に上がってくるとのことだ。
我々だけなのに、わざわざ上がってきてもらうのは申し訳ないと思うとともに感謝の気持ちでいっぱいだ。
夕飯前に、早速埋めておいたお楽しみの一部を掘り出して軽く乾杯だ。
少し眠くなったので、仮眠をとっていると、夕食の時間となった。
揚げ物のいいにおいがする。
食堂に降りると、期待以上のおいしそうな山菜料理が待っていた。
食事の美味しさと、遠藤さんとの語らいにお酒も進み、自分たちでもってきたものだけでなく、差し入れで頂いたワインも開けてしまった。
ごちそうさまでした。
食後は、少し宴会の続きをしたが、明日に備えて早目に休むことにした。
うれしくなるくらいふかふかの布団でぐっすりの眠りに入った
5月22日(天気;晴れ)
コースタイム
吾妻小舎7:10〜姥ヶ原8:15〜谷地平避難小屋9:49〜中吾妻山12:39〜継森14:11〜東大テン16:06〜明月荘16:40
今日も一日好天気が約束されているので、予定通りに行けそうだ。
おいしい朝ごはんを二人揃ってお腹一杯頂いた。
遠藤さんご夫妻に見送られて出発。
今日はさすがにレストハウスには寄らずに直接姥ヶ原に登る。
姥ヶ原の姥権現とお地蔵さんに挨拶をして、谷地平に降りる。
谷地平までは、樹林帯となるので、すべて残雪歩きだ。
登山道の溝状に深く掘れているところの踏みぬきに注意しながらのんびり下る。
姥ヶ沢に出ると、予想通り融雪で増水している。
普段は簡単に渡れるが、今日は渡渉点を探しながら行く。なんとか渡れた。モコモコさんは裸足で渡ったが、水が冷たく限界ぎりぎりだったらしい。
今年は初めて入ることになる谷地平避難小屋に入って一休み。
小屋日記を見ると、我々の前に入った人が小屋に来たときは、小屋にねずみが入ったのか、カップラーメンとかが荒らされていたらしい。
いよいよ中吾妻山だ。
小屋裏の渡渉は、途中拾った木の枝を杖にして、更に倒木があったのでそれを利用してクリア。
問題は、渇水期の秋でも渡渉するのに気を使った大倉深沢の渡渉だ。
不安的中。
本来の渡渉点は、増水のため深くなっていそうだったので、浅いところを探して少し上流へ移動した。
多少は浅いかなというところであまり変わらない感じもしたが、渡渉するところを見つけた。
それでも靴上までつかりそうだったので、裸足で渡ることにした。
ところが、あまりの水の冷たさに、渡り終わるまでもたないと思い、靴をはいたまま渡ることにした。
裸足のまま、中敷きを抜いて靴を履く。モコモコさんはさらにスパッツをつけた。
予想通り、靴の中まで水が入ってきたが、無事渡渉できた。
モコモコさんは、スパッツのおかげで、中まで水が入る前に渡渉できたらしい。
あれこれしたため、渡渉するだけで30分以上もかかってしまった。
ここで水を汲んで(モコモコさんは多めに汲んでいた)行く。
本来の渡渉点に戻るまでも概ね雪がついていたので、ヤブコギすることはなかった。
中吾妻山へ登るには、最初小さな沢を渡ってからほとんど傾斜のないところに出るために少し登ることになるが、この周辺だけ刈り払いをしたのか、雪が消えていたところでは道がはっきりしているのが見えた。すぐに全面に雪がついてしまったのでどこまではっきりとした道になっているのかは全くの不明だ。
ただ、以前に比べて、新しくテープが付いていたように思う。
傾斜がでてくるようになると、天気がよく風もほとんどないので気温も上がり、暑くなってきた。モコモコさんはとうとう半袖になった。
この時期は、好きなところを上へ上へと登っていけば、稜線に着けるが、途中3回程尾根の横をトラバースしていくようにつけられたテープの印に従っていく方が登りやすいのは確かだ。
標高1700m付近からは、途中から形を成す尾根を登り、途中から地形図の破線から外れ、更にトラバースし直接鞍部に出るルートをとった。
暑かったので数m登っては一息という情けないペースだったが、思ったよりも順調に進めた。
鞍部に荷物を置いて、空身で中吾妻山をピストンしてくることにした。
スキーを履いてきたときは、稜線に付いていた雪堤はうねっているので回り込んで通過したが、今は雪堤を使って直接登れそうだ。
モコモコさんは途中から遅れがちで、例の「私ここでもういいや」が出たので、いつも通り「では、一人で行って参る」とモコモコさんを置いて山頂へ向かう。
山頂からの眺めは最高だった。
モコモコさんのところへは下りなのであっという間に戻れた。
鞍部まで戻り、休憩をした。
暑かったので水を飲むペースが早かった。モコモコさんが汲んできた水を分けてもらうことになりそうだ。
継森の前にちょっとしたピークを越えないといけないが、意外に時間がかかった。
継森との鞍部は、少し湿原が出ていた。のんびりしていくのにいいところなので休憩し、無線の交信をしてみることにした。
すると、蔵王山頂にいる方と交信することができた。
継森は山頂は藪がしっかり出ていたので、この時期は稜線の東寄りに沿って行くと、山頂を見つけやすいと思う。改めて気付いたが、中吾妻山よりもこちらの方が標高が高いのだ。
継森からの下りは、冬だと雪面がうねっており通過に時間がかかったが、きれいな雪堤となっている今は快適だ。
あっという間に隣のピョコとの鞍部に着く。
このピョコの登りは大したものではない。
ここもできるだけ稜線の東寄りに沿って進むと分かりやすい。
どんどん下っていくと、この稜線で気を付けないといけない鞍部だ。
この鞍部は、左右から交互に沢が上がってきており、進路を左右に振らないと余計な登り降りをすることになってしまうところだ。
視界が良く、鞍部手前のひょっこりピークを確認できたので鞍部手前まできちんと降りることができ、まずは一安心。
ここからは大きく右に進路を変えると最低鞍部に出られることになる。
そのとき水音がしたので近づいてみると、融雪水が大量に沢に落ち込んでいるところがあった。
ラッキーーとばかりに水を汲んだが、色がついた水となってしまう。散々汚れた雪が融けたばかりのなので仕方がないかと担いで行くことにした。
最低鞍部からの登りは、東大テンだけだ。
登りやすいところを登っていけばOKだ。
山頂が近づいてくると、直接登るには雪が切れていて藪こぎになりそうだ。
西と東どちらへ迂回するか少しモコモコさんと協議した結果、東側へ迂回することにした。
結果としてこちらが正解だったと思う。
残雪を探しながら繋いでいくと、水音がする。
きれいな水が汲めることを期待して水音のする方へ向かう。
水音の発生源を探し当てて、水を汲み直した。ここも色が付いていたが、先ほどよりは色が薄い気がしたので、すべて汲み変えた。
引き続き残雪を繋いで行く。
振り返ると中吾妻山が遠く感じるところまで来ていたことがわかってうれしい。また、雪が消えて顔を出した湿原に癒される。
いよいよどうしても藪を漕ぐ必要がでてきた。
先に見える残雪目指してヤブコギする。
距離は大したことはないが、シャクナゲが多かったので時間がかかった。
目指した残雪に乗ると先にはもう藪はなさそうだ。
テクテク歩いて行くと木道が出現。
縦走路に辿りついた。
適当に登っていくといつの間にか、山頂に着いていた。
東大テンの標識はかなり出ていたが、全部出るにはもう少しかかりそうだ。
明月荘までは、冬でもあちこちに立つ矮小な木が邪魔なところがあったりするので、途中藪が出ているとやっかいだ。そこで、直接向かうのではなく夏道通りに行くことにした。
夏道はうねっていて分かりにくいので、確実に探していく必要がありそうだ。
まずはスキーツアーのルート標を探す。天気がいいので、夏道の方向に歩いて行くとすぐに見つけられた。
しばらくはルート標を目標に歩く。最初は「足跡がないので、明月荘は貸し切りかな?」と話しながら行くような楽勝モードだった。
ところが下っていくに従い、分かりにくくなってくる。
ときどき周りを見回しながら慎重に辿っていくと木道の雪が融けているところが出てくる。
やったと最初は思ったが、これが予想外に曲者だった。
目測を誤ると、木道横を踏みぬいてしまうのだ。
そこで木の枝を使った杖を持っていたモコモコさんに先行してもらう。
杖で木道を探りながら歩いたモコモコさんのトレースをはずさないように行く。
木道が切れ、明月荘が見えるようになってきた。
再び山人が先行したところ、木道も再び出てきた。
踏みぬいてしバランスを崩し手を突いたら手も雪を突きぬけた。運の悪いことに下は融雪水で大きな水たまりとなっており、靴の中までびしょびしょになってしまった。
なんと明月荘までのあと10分というここが一番の核心だった。
モコモコさんに杖を借りて慎重に木道を探しながら行くと、明月荘直前で大人数の足跡が出現した。
東大テン付近には全く足跡がなかったが、東大テンから直接きたらしい。
足跡を追っていくように進み明月荘に到着。
この足跡の主も到着して間もない感じだった。仙台からの高校生&先生(&OB?)の総勢9名パティーだった。
挨拶を交わして、お互いの行動を話した。
この9名パーティーは、浄土平を我々の2時間後に出発して、家形山から縦走してきたとのことだ。
小屋へ入る前にびしょびしょの靴下を絞った。
最初、我々が2階に上がることになっていたが、高校生の好意で1階の一角を譲ってもらい、2階の梯子の登り降りをせずに過ごすことができた。
高校生パーティは、分担して水を汲みにいってきた。汲んできた水をみると、やはり色が付いていた。
我々が汲んできた水と変わらないということで、改めて汲みに行くのはやめにした。
小屋の中は日が暮れても人がたくさんいるので暖かい。また、今日は暑い一日だったので、ビールがとてもおいしかった。
明日は高校生パーティーは白布温泉へ抜けるとのことだ。今の時期は天元台のリフトやロープウエイは休業中なので静かな吾妻を楽しめることだろう。
5月23日 (天気;くもりガス)
コースタイム
明月荘5:35〜家形山9:05〜家形山避難小屋9:27/9:44〜不動沢11:00
高校生パーティーはありがたくも起床時間を我々に合せてくれた。
バスの時間の関係上、我々は一足先に出発。
東大テンへは、高校生達のトレースが残る崖沿いのルートで登った。
東大テンからはできるだけ夏道を辿るようにした。
昭元山への登りがなんだかきつく感じたが、ここから鏡沼への下りは楽しい。鏡沼はまだ融け切っていなかった。
烏帽子山の登りは、岩ゴロゴロ地帯まで、最初は残雪上を後半は夏道をいくが、灌木がぎちぎちに生えているのでこの時期は藪の中をいくような感じだ。
烏帽子山を越えると夏道が結構でてくる。
今日は天気が下り坂で風もあるためか、家形山にはだれもいなかった。
五色沼のコルへの下りでは強い風にさらされた。今頃森林限界上を歩いている高校達は大変だろう。
がんちゃん落としの雪付がいいので、今回もがんちゃん落としを下降した。
家形山避難小屋で休憩。小屋はきれいに整頓されており、もう一泊して行きたくなった。
今回は不動沢からバスでに乗って楽をしようという魂胆なので、あまりのんびりせずに出発。
KO山荘からはぐんぐん残雪量が減っていき、土が掘れた歩きにくい登山道をいけば不動沢橋へとの分岐だ。
分岐から不動沢橋方面へ入り、バスの時刻に余裕を持って着くことができた。
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いつも快適な吾妻小舎 |
小舎へ荷物を置いて東吾妻山へ行くことにした |
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酸ヶ平へ向かう |
鎌沼 |
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2日目 姥ヶ沢を渡渉して谷地平避難小屋へ |
大倉深沢の渡渉に苦労した |
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鞍部から中吾妻山へ往復 |
中吾妻山に着いた |
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これから行く稜線 |
雪面の状態がよく歩きやすい |
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東大テンへの登りで中吾妻山方面を振り返る |
稜線手前の湿原とかわいい3段地塘 |
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3日目 東大テン直下から家形山方面 |
烏帽子山からの下り |
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がんちゃん落しの下り |
家形山避難小屋 |
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