川内山塊 
谷沢川〜大清水沢〜日本平山〜谷沢
〜沢シーズンイン〜
2010年6月25〜26日

 以前からモコモコさんが行きたがっていた谷沢川。
シーズンインでいきなり2泊はきついかなとも思ったが、めったに訪れることのないところなのでゆっくり回ってみることにした。
懸念事項は、山ビル天国を通らないと下山できないことだ。

アプローチ

東京駅6:08−新潟駅8:16/8:22−三川駅9:17/タクシー9:40

コースタイム

6月25日(晴れ)
谷沢箕輪林道10:15〜入渓点10:50〜大池沢16:15〜又左衛門沢出合(BP)18:10

6月26日(くもりのち雨)
B.P.8:00〜(途中40分程遊ぶ)〜大清水沢9:07〜(ランチタイム1時間)〜日本平山14:18〜三川青少年の森18:10〜谷沢川向バス停18:40/18:56


6月25日(天気;晴れ)


今日はサッカーW杯のデンマーク戦だ。
出発前にテレビをつけると2−0で日本がリードしていた。
駅までの道すがら周りを見ると、結構明かりが付いている家があり、かすかにブブゼラの音が漏れて聞こえてきた。皆徹夜で観戦しているようだ。
東京駅に着く頃には結果がでているはずだ。
東京駅でラジオを聞いてみると、既に試合は終了していたが、決勝進出を決めたことがわかった。

沢シーズンインのしかも出発時にとてもいいニュースを聞けたので幸先がいい。
順調に三川駅へ到着した。

少し駅周辺を探検してから駅前のタクシー会社へ行き谷沢集落奥の箕輪林道へ入ってもらう。
地形図には載っていない、うっかりすると見落とすような林道が堰堤ダムのあるところから延びている。
ここでタクシーを降りて沢支度をした。

林道はところどころ崩壊しているが、歩くにはまったく支障ない。
1時間ほど歩くと林道も終点となるのでここから入渓。
終点の奥は堰堤のバックウオーターのようで池のように広い。
水がとてもきれいなのが印象的だった。

入渓してすぐに大きく右にカーブすると、いきなり側壁が立った流れとなった。
ちょっとした淵も見えた。
浸かっていっても問題なさそうだが、水が結構冷たいのと初っ端からパンツを濡らしたくないので巻くことにした。
虎ロープがかかっていたこともあり、簡単にしかも小さく巻けた。

その先は、基本ゴーロで、途中思い出したかのようにいくつか淵がでてくるが、いずれもへつっていくか、残置ロープがあったりして問題なく行けた。また、巻くためにロープが残置されているところでも、浸かっていけば簡単に抜けられるところも多かった。増水したときのためのものかもしれない。
周りを見ると最近大きな出水があったようで、ゴルジュ風なところになると、数m上に枝が引っ掛かっていたりした。
また、詰め上げる予定の日本平山はせいぜい標高が1000mほどなのにもかかわらず、沢が深い。

天気もよく、のんびり進むとようやく滝らしい滝がでてきた。
水量が多く取り付くのに苦労しそうだ。
迷わず巻く。ここにも残置ロープがあった。
簡単に取り付いて登れ、踏み跡もあるが、側壁は草付きではないものの傾斜があるので一登りする感じだ。
思ったよりも上まで登ることになった。この先の巻きでも共通していえることだが、この沢の下流部の滝の巻きは、登りはぐいーんと一気に斜上してトラバースをほとんどすることなくそのまま一気に落ち口へ向かって下降する感じだ。

崩壊地を過ぎてから滝がでてくるが、大きな滝はなかった。せいぜい4mほどだが、ほとんどの滝は巻くことになった。
その中でも倒木が奥にひっかかった2段7m滝は取り付きが大変そうで、とりついても登れないような感じだったので、巻くことにした。
少し戻った露岩から登り、あとはブッシュを頼りに急斜面をひたすら登った。50mほど登ったところでトラバース出来そうなところがあったので、ザイルを出して1ピッチトラバースした。
トラバースしたところで、滝の手前に見えたルンゼに突き当たった。ルンゼの中は急な草付きで、ルンゼの中へ入るにも急斜面となるので、懸垂下降しながらルンゼの向こうの斜面へ移った。
もしかするとこのルンゼに取り付いて巻けるのかもしれないが、急なので安全のために自分たちのとったルートで良かったのかな?
ルンゼを越えてからは木の枝をつかんで下降できた。
なんとこの大高巻きで1時間を費やしてしまった。

この滝を越えると沢は一気に開け、大池沢出合はすぐだった。
ここまでくれば、泊まる予定の又左衛門沢出合いまでは何もないに等しいらしいのでのんびり遊びながら行く。
ところがここで時間を浪費したのが響いた。
開けており、河原歩きになったりするが、両側にはスラブ状の壁が広がっていたりする。
以外に時間がかかり、そろそろ泊まる準備をしたい時間となってしまった。
途中泊まるのによさそうなところもあったが、増水で草がなぎ倒された跡があり、逃げ場もなさそうなので、先へ進むしかない。

それでも、もうすぐだろうと思っていたが、頭上に見えるスラブがだんだん傾斜が増してきて、草付きに雪渓の名残が見られるようになった。
水もなんだか冷たい。いやな予感がしてカーブを曲がると、せいぜい標高300mであるのに、まだスノーブリッジが残っていた。

ブリッジの下はちょっとしたゴルジュだ。
ここは思い切って浸かってへつる。
予想外に深く、足がすぐにつかなくなった。水が冷たく、ブリッジからの滴り落ちる水が更に冷たい。また、水の勢いが結構あったので、あともう少しで抜けられるというところに手間取った。
山人が抜けるのを見届けてからモコモコさんが後に続いた。
やはり最後で苦労し、山人が手を貸してようやく突破。
次のブリッジは崩れているので、側壁との隙間を利用して突破した。
規模が小さくてよかった。

ブリッジを通過した先には7mほどの滝がかかっていた。
時間があって、水量がもう少し少なければ右から登れそうだが、時間も時間なので左岸を巻くことにした。
巻きは少し急な露岩を登ってから数m登ったところで、お助け紐を出して落ち口へ向かってトラバースし、後は枝を使って降りることができた。

相変わらずスラブ状の中を進む。これで本当に泊まるところがあるのか疑問に思うが、行く度か沢がカーブをするとほどなく右岸に小さな河原と台地が現れた。モコモコさんが台地に上がると、快適ではないが、安全で逃げ場になるとのこと。
このすぐ先が又左衛門沢出合いだった。又左衛門沢には冷気が見えたので雪渓が残っているのかもしれない。
もう少し先へ進んで快適なところを探そうとしたが、なさそうなので、台地の下の小さな河原に泊まることにした。

整地を済ませ、タープを張ってから薪集めにかかるが、最近の大出水でめぼしいのが流されてしまったのか薪集めに時間がかかった。

ラジオの天気予報では、日曜日は全行的に雨とのこと。明日土曜日も夕方から雨が降るらしい。
標高差はまったく稼いでいないが、思ったよりも体が重く、疲れている。雨が降るということは、下山でニョロニョロしたもの(ヒールーのこと)の襲撃を受けることは確実だ。
モコモコさんから「明日もう降りちゃおっか」という言葉に、いつもは「先へ行く、頑張る!!」と返すのが常なのだが、疲れているということもあり既に満足もしているので翌日降りることにあっさり決まった。

そうと決まれば、翌日のビールも飲んで良いわけだ。
再度乾杯をしてカジカカエルのきれいな声をBGMに、焚き火に当たって、良いシーズン最初の夜を過ごすことができた。

2日目 (天気;曇りときどき晴れのち雨)
コースタイム
BP6:55〜二俣7:40〜奥の二俣11:21〜上の二俣12:00〜稜線13:38〜丸山岳/14:30〜下降開始15:10〜二俣17:05〜標高1100m付近17:50(泊)


早朝出発の予定だったが、今日は支沢を詰めて下山するだけと思ったらのんびりの出発となってしまった。さらに途中遊んだので、大清水沢へはトイ状の滝が一つあっただけですぐに着くはずであったが、これまたのんびりの到着となった。

大清水沢は、細いが出会いから小滝が続いているのが見えた。
最初の滝からして面倒そうだ。
モコモコさんの偵察により、大清水沢と本流の出合の尾根から取り付いて、一気に3つの滝を巻いた。

降りてすぐに2m滝を2つ越すと、7m滝だ。登ることはできないので、少し戻った右岸のルンゼから取り付いた。
ルンゼをしばらく登ると枝をつかめるようになったので、落ち口に向かってトラバースして下降した。
沢床付近で、急で少し足がかりが乏しくなるが枝をつかって降りられた。

すぐ上には2m滝が2つかかっていた。
1つ目は、空身で落ち口横に張り出している岩を乗り越す感じで抜けられたが、2つ目の滝はつるつるで取り付けない。
釜に浸かって近づき、突っ張りで登ろうとしたがどうしても上がれなかった。今度はモコモコさんが空身で挑戦してみたが体を水から持ち上げるまでがやっとで落ち口まで届かず。
今度は山人が空身でもう一度挑戦するが、やはり無理だった。
結局右岸を巻いた。

この滝を越してしまうとあとは、傾斜はあるもののゴーロ歩きとなる。
日が差してきたので、ずぶぬれとなった体を休めるためにも、ランチタイムとして珍しく長い休憩をとった。

しばらく歩いて右に崩壊して倒木が横たわったところを過ぎた。ここからは穏やかになってしばらくで、3:2で支流が出合う。
ここからは本当に穏やかで、ただ登って行くだけだ。
標高700mあたりからは傾斜があまりなくなり、沢は蛇行を始めた。
ここには草付きに雪渓がまだ残っていた。山菜を取りながらのんびり進んで行くと再び傾斜が出てきた。

標高800m付近の二俣では山頂に近いところにでるため、左俣に入る。
どんどん高度を稼ぎ、いくつも支沢を分ける。
やがて標高900m付近で雪渓が少しでてきたが、沢も小さくなっているので簡単に通過。
通過したところで、水汲み。ちょろちょろだったので時間がかかってしまった。

あとはひたすら上を目指して進むのみ。
最後窪がなくなってから藪を少しこぐとすぐに登山道にでた。
モコモコさんは山頂へ行かないと言うので山人だけで往復することにしたら、帰りのタクシーを予約しないといけないことをモコモコさんが思い出した。

携帯電話を出すと、なぜか電池の残量がほとんどない。電源を切っておいたのになぜだ?
電話をかけたときに話す内容を打ち合わせしたりしていると、モコモコさんも山頂へ行く気になったので、携帯電話だけ持って山頂へ向かった。
山頂はきれいに刈りはらわれて、山頂標識と「無事カエル」があった。
早速電話をかけてみるが、通じない。

電池の消耗を防ぐために諦めて、下山にかかる。
このころから雨がポツポツ降り始めた。樹林なので雨具は着なくても大丈夫だ

最初の目標は大池だ。
標高差もほとんどないし楽勝かとおもったら、なんだか原始的な登山道(ほとんどぜんまい道そのものでずっと山腹トラバース)で延びてきた草が道にかぶさり始めているので歩きにくい。
大池まで何度も小沢を横切っていくので、水の心配は不要だった。きれいで水が比較的豊富に流れている小沢で休憩しようとしたが、蚊がたかってくるので早々に出発した。

この付近から、「ガオ」と「キー」と「プギャッ」を足して3で割ったような動物の鳴き声とガサガサする音が聞こえ始めた。
出合い頭に動物に会うのを避けるため、二人で笛を吹きながらしばらく歩いたところ、いままで前方から聞こえてきたのが、後ろへ遠ざかるような風に聞こえてきたので、無事通過できたらしい。

まったく標高を下げず、延々と続くトラバース道をうんざりしながらいくとようやく大池だ。
大池には指導標が立っていたが、標識は落ちて(落とされて?)いた。
支柱にはなにかで削られたようになっていたので、モコモコさんと「これ熊さんが、「うぎゃー人間むかつく」って怒ってやったのか?」「そうかも、熊さんのサンドバックらしい」と会話する。

次なる目標は人分分岐だ。
これまでと比べると若干歩きやすくなった感じがするが、トラバース道なのは相変わらず。
途中少し開けたところがあったので、電話を試すことにしたが、ガーンショック!とうとう電池が無くなってしまった。
電池があったとしてもやはり不通だった。

昨日、タクシーの運転手さんに、タクシーを呼ぶなら大須郷登山口に出てくださいと言われていたが、電波が不通どころか電池がなくタクシーを呼べない。そこで、運が良ければ電話があるかもしれない、青少年三川自然の森に降りることにした。

同じように標識部分が落ちた状態の指導標が立つ人分分岐にやっと到着。ここまでで結構時間がかかってしまった。
ここから谷沢へ直接降りる道が分かれていたが、あまり手入れされていないようなので、尾根通りに行く。
休憩中、モコモコさんと打ち合わせ。
タクシーを呼べなければお風呂は入る時間はとれないとの見込みを出した。
また、タクシーを呼べなければ、バス停まで歩くことになるが、調べてきた時刻は少し古いもので合っているかどうか自信がないとのこと。
最悪、谷沢で人に頼んでタクシーを呼んでもらうしかないということで打ち合わせ終了。

ここから尾根道となるので歩きやすくなるかと思ったが、地形図で見るよりもずっと急な登りから始まった。
手入れはされているが、急だった。
人分山についたときには、休憩で飲んだ水の量以上の汗をかいてしまった。
下りは下りで、良く滑る。交代で「おわっ!」「うわっ!」と声を上げながら尻もちを着いて降りた。
柳平手前は草付きの急降下が待っていた。ここは登山靴でも滑るのか、虎ロープが張られていた。

降りきった少し先が柳平で、落ちていたが「清水」との案内があった。見に行かなかったが、ここで水を補給できるのかな?
ここまでくればあと30分ほどだ。予想よりはるかに時間オーバーしているが、今日中に家に帰れそうだ。
あとはタクシーを呼べれば、ぎりぎりお風呂に入って帰られるのだが・・・。

ここまできて、ようやく歩きやすくなったので、蛭に取りつかれないように、できるだけ早足で歩いた。
分岐で自然の森に降りる。緩やかな下り坂で終わるのかと思ったら登りがあった。
日も暮れてきてうす暗い森を進むとようやく建物が見えた。

キャンプ場の炊事場で顔を洗わせてもらう。
この天気のせいか誰もいない。
管理棟へいくと、無情にも無人で、自動販売機はあるのに電話はなかった。これであと30分の歩きが追加された。

昨日運転手さんが言っていた通り、林道へ出る手前でゲートがあり、閉まっていた。時間帯により解放されるらしい。
雨がしとしと降る中、バス停へ向かうと、昨日入った林道と合流し、すぐに広い道路に出て、谷沢集落が見えた。
また、バスが集落奥へ入っていった。あのバスが折り返してくるはずだ。どうやらバスの時間に間に合いそうだ。

バス停を探すが、見つからない。
幸い近くに農作業をしていた方がいたので、バス停の場所を訪ねることができた。
我々は大通りを歩いて探したが、バス停は集落への道を入ってすぐにある橋のところにあり、バス停の近くに屋根つきの待合所もあるとのこと。
くわしく教えてもらい助かった。ありがとうございました。

時刻を確認すると、モコモコさんが調べてきたとおりだった。
時間まで10分ほどあったので靴だけサンダルに履き替えた。モコモコさんは時間が足りないからバスの中で履き替えることにしたらしい。
バスを待つ間通りがかった谷沢の方に話しかけられた。先日タクシーで入ったのを目撃されていたらしい。

バスの時間が近づいたのでバス停のそばへ移動した。
ふと、いままで蛭チェックをしなかったのを思い出して裾をめくると、「あー!!蛭がくっついてる!」とモコモコさんがあわててはがしてくれた。
そのままやっつけようとするが、沢靴では踏みつぶせないらしい。サンダルでようやくつぶせた。

そんな騒ぎが収まった頃にバスが着た。
バスに乗り込み、今度はモコモコさんが靴を履き替えると、モコモコさんの脛は出血大サービスとなっていた。
山人も良く見てみると、血は出ていないものの何か所かかみつかれた跡があった。ショックだ。

三川駅には12分ほどで到着した。
磐越西線の時間まで1時間あるので、着替えを済ませてから駅前のデイリーヤマザキに買い出しにいくことにした。
パッキングする前にジャージを点検したところ、二人とも蛭を1匹ずつ運んできてしまっていた。
駅の外で仕留めた。
パッキングを済ませ、買い出しに行くときに蛭を見ると、アリが集まり始めていたので、アリさんが後処理をしてくれることに安心した。
が、戻るとアリさんは蛭を運んでいなかった。アリにも無視されるヒールー(蛭)って・・・。

列車に乗る前に軽く乾杯した。
新津からの乗り換え列車が遅れ、最終の新幹線に間に合うか不安だったがなんとか間に合い、座って帰ることができた。


後日談

翌日、道具の整理をしたところ、山人は靴下に1匹、モコモコさんはスパッツに1匹つけてお持ち帰りをしていました。
モコモコさんは、1匹目にまず塩を掛けた後、他に何が効くか試したかったようだが、その前にヒールーは息絶えていた。
2匹目は山人が写真を取るため少し放置したところ、吸血対象を求め始めた。
昨晩、お風呂に入ったら再度血が出てしまったモコモコさんは、これに非常に腹が立ったらしく、「うりゃあ!!!」と問答無用のテンコ盛りの塩攻撃で即殺していた。


三川駅 駅前にデイリーヤマザキあり 良い雰囲気
巻く トロ
潜る
大清水沢出合い 巻いた
日本平山、下山長い 下山長い


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