朝日連峰
枡形川岩魚沢〜東大鳥川西ノ俣沢水上沢〜大影境〜泥又川東俣沢〜アカイ沢〜朝日スーパー林道
〜最長山行となった朝日の沢〜
2010年9月18〜25日

今年の夏休みに一度は挑戦したものの、モコモコさんの体調不良や悪天候等で撤退した枡形川。今回は9連休の強みをいかして、沢旅ルートを再度計画して実行することになった。秋に3日の晴れなしという言葉に従い、モコモコさんが予備日を3日間も入れていたおかげで、目的を達成することができた。モコモコさんの休暇計画&ルート取りの作戦勝となった。

山と高原地図;朝日連峰、  2万5千分の1地形図;大鳥、大鳥池、相模山、円吾山、鳴海山


アプローチ

東京駅6:08〜新潟駅7:38/−鶴岡駅/(タクシー)−西大鳥先ゲート9:00(タクシー代12,190円)

コースタイム
ルート図
9月18日(曇りのちときどき雨)
ゲート12:20〜枡形林道入口13:10〜林道終点13:53〜入渓点14:13〜岩魚沢出合16:55

9月19日(曇り時々雨)
BP6:56〜ワカメ沢出合7:23〜山越えの沢出合10:30〜白岳南西のコル12:37〜西ノ俣沢出合13:58〜BP15:00

9月20日(曇り時々雨)
BP7:53〜三俣8:33〜稜線14:05〜大影境手前BP14:40

9月21日〜9月23日(雨一時止む)
 停滞

9月24日(曇り)
BP7:11〜大影境7:34〜泥又川東俣沢本流出合11:12〜大ジョズ沢出合12:39〜巻き終わり14:18〜二俣16:15

9月25日(曇りのちときどき晴れ)
BP6:32〜C533m9:21〜アカイ沢10:07〜猿田川本流10:40〜スーパー林道10:42〜猿田川野営場11:32〜猿田大橋13:26〜軽トラに拾われる13:55



1日目
9月18日 曇りのち時々雨
コースタイム
ゲート12:20〜枡形林道入口13:10〜林道終点13:53〜入渓点14:13〜岩魚沢出合16:55



 朝一の新幹線で新潟駅へ。そこから、特急に乗りかえて鶴岡駅へ向かう。鶴岡からはタクシーに乗って一気に枡形林道へ向かうはずだった・・・。

しかし、9月14日の大雨により土砂崩れ発生の為、西大鳥の集落の少し先、松ヶ崎で通行止めとなっていた。泡滝ダム方面の通行止めは知っていたが、こちらもこんな手前から通行止めなんて「聞いてないよ〜」とモコモコさんと嘆いた。ここから歩くなると1時間は余計にかかるなとがっかりした。

  気を取り直して、トボトボ歩いていくことにした。歩いて行くと、土砂崩れのあったような箇所はあったが、すっかり土砂は取り除かれており十分車が通行できる状態だった。またモコモコさんと一緒に「これ、余裕で車通れるよ〜もうなんなんだよ〜」と文句を言いながら歩く。(実際のところ、どこが土砂崩れの現場なのかは不明。)

 そうこうしていると枡形林道に到着。こちらは、土砂崩れが2か所ほどありました。モコモコさんと二人で「これが土砂崩れで通行止めって言うんだ!」とブツブツ言いながら土砂崩れを踏み越えて歩いた。

 林道終点からは、夏も一度来ているので、勝手知ったるなんとやらで枡形川へ向かう。なんだか、水量が多くいやな感じ。前回は防水に不備があり、装備を濡らしたので今回は教訓を生かして臨むことにした。水流が多いのでへつりや泳ぎが大変だったが、なんとか岩魚沢の出合いに到着。

9月14日の大雨は凄まじかったらしく、前回お世話になった、テン場はすっかり流れに飲み込まれた形跡があった。8月に泊まった時はちょうど台風が通過したがそれほど雨は降らなかった。その時はまさかこここまで水が迫ってくるとは想像に及ばなかった。自分達の場所は安全と決めつけていた。自然のパワーは凄まじく、もっと想像力を働かせないとなと痛感した。

初日ということもあって、焚き火もそこそこに明日に備えて早目に寝た。この時期でも、蚊が居て顔を刺された。ツェルトを張って寝れば良かったと後悔した。


2日目

9月19日 曇り時々雨
コースタイム
BP6:56〜ワカメ沢出合7:23〜山越えの沢出合10:30〜白岳南西のコル12:37〜西ノ俣沢出合13:58〜BP15:00


今日から未知の世界に突入。ワカメ沢の出合いを越えて岩魚沢に入る。岩魚沢は一か所、2段10mの滝が難しかった。一段目左壁を山人が空身で登って、荷物を荷揚げして、少しトラバースしてそのまま2段目滝上まで登った。ザイルを出して一段目まで戻り、今度はモコモコさんのザックを荷揚げした。途中カムを2か所セットしてモコモコさんが落ちても振られないようにして2段目滝上でビレイした。

このあとは、20mほどの滝があったが、快適に登れた。そのあとも特に大変なところや滝もなく順調に高度を稼ぐ。稜線の鞍部へ伸びる沢に入るつもりが、手前の沢に入ったらしく薄い藪尾根を登ると右から正しい沢の大滝の落ちる音が聞こえる。この沢には大滝があるというので、沢に下降しても大変だろうということで大滝の落ち口までそのまま藪を漕いで尾根を登っていくことにした。

沢からできるだけ離れないように尾根を登っていくと、ちょうど落ち口のところに降りることができた。
落ち口で休憩する。結果的にルートは間違えたが、大滝を登るのも苦労しただろうということで納得することにした。沢は稜線まで伸びており藪こぎしないで助かった。
稜線から、白岳の東側の沢(ツバクラ沢)へ下降を開始する。傾斜は急であったが、しっかりと灌木が生えており、ツバクラ沢へはすんなりと下降できた。
ここからが本番。距離としては短い東大鳥川 西ノ俣沢への下降。しかし最後の最後に4段60mの大滝が大きな空間を開けて立ち塞がっていた。右岸の藪を漕いで下降しても行けそうだったが、すっきりと沢を下降することにした。

一段目は、落ち口左岸を10m懸垂下降。そこから、左岸の傾斜のゆるいスラブのような岩を壁に沿ってゆっくりと下降。そこから水流をまたいで今度は右岸の藪へ移動。藪を使って3段目を下降。最後の4段目は約10mのほどの懸垂下降で終了。

 東大鳥川 西ノ俣沢は憧れの沢。現在の場所より下流はゴルジュ帯連続の悪場。流れは太く鮮烈。目の覚める素晴らしい流れだ。
河原のような落ち着いた景色。本日のテン場を探しながらのんびりと遡行した。

左岸から沢が流れ込む河原をテン場とした。また天候に不安あるので、少し上にある藪の薄いところに避難場所としてタープとツェルトを張ることにした。宴会場所は河原。天気が良ければ場所を移動することはないだろうと高を踏んだ。

宴会も無事終了して眠りについていると、雨が降ってきた。夜の24:00ぐらいだったか?なんだか激しい降りなので、モコモコさんが不安がっている。昨日のテン場で、水の恐ろしさを見ているので雨具を着込んで完全武装で、藪の寝場所へ真夜中の引っ越し作業。なんだかんだで1:00ぐらいになってしまった。


3日目
9月20日 曇り時々雨
コースタイム
BP7:53〜三俣8:33〜稜線14:05〜大影境手前BP14:40


朝起きて様子を見てみると増水はしていなかった。結果からみると避難しなくて良かったが、藪の方が安心して寝られたので良かったのかな。
本日は水上沢を遡行し、大影境を越えて泥又川東俣沢の上流部でビバークの予定。

 三俣はパッっと見二俣に見えたが、右から入る沢を覗くとすぐに二俣となっており、正しく三俣だった。この景色を見ただけでも感動だ。
三俣のゴルジュは、一見突破が困難そうな落ち込みがあったが、実際行ってみると、水中には倒木がうまい具合に引っ掛かっており難なく突破。沢はV字状が延々と続くが、大きな滝はなくたまにある淵と小滝を越えていくだけで困難なところはない。しかし、その分増水すれば逃げ場はなく要注意だ。
C900m付近で、野イチゴが食べられる場所があったので喜んで食べた。その後も難しい箇所もなく順調に4m魚留滝を越える。
今日も一日曇りで雨が降ったりやんだりでパッとしない。
ラジオを付けて天気予報を聞いてみると、明日明後日と天気が悪いらしい。停滞できるところを探して悪天をしのぐ必要がありそうだ。そこで、12:00を過ぎたのでビバーク場所を探しながら遡行するがいい場所がみつからない。
結局見つからず源頭まで来てしまった。藪尾根ビバーク覚悟で二人で6リットルほど水を汲んで稜線へ出る。出たところは計画通りの鞍部だった。大影境は近そうに見えるが藪が濃いので進むのに時間がかかった。藪は濃いが蔓系の植物がなくて助かる。

どこかいいところないかなと、藪に目を凝らす。先行しているモコモコさんが、「ここいいんじゃないの?」と言って大影境直下の東側の藪を偵察。二人ならなんとか泊まれるスペースを発見。時間も14:00過ぎ、このまま沢に下降しても泊れるところがあるかわからないのでここに泊ることにした。
張り出している藪を縛ったりして周りを広げてタープを張って、ツェルトを張る。なかなか、良い場所だ。

まさかここで4泊するとは考えてもみなかった。

着替えてツェルトに入り込めば暖かく落ち着くことができた。

素晴らしいことに、こんな山奥なのに携帯が通じるので天気予報を入手することができた。しばらく前線が停滞するとのこと。今日は月曜日だが天気は木曜日まで雨マーク。特に木曜日が一番悪いらしい。沢に降りても増水でどうにもならないし、冷たい雨の中、藪尾根を漕ぐ気合いと根性もない。選択肢はただ一つ。天候が回復する金曜日までこの場所で耐え忍ぶこと。

幸いタープを二つ持ってきており、ツェルトに広い前室を作ることができ、ツエルトの出入りも雨にぬれることなく広く使うことができた。薪も森の中ということでそこらへんに転がっており助かった。風も森の木々のおかげで気にならなかった。焚き火はささやながらも、燃料節約と体の保温と気分転換に大変役に立った。


4日目
9月21日 雨(昼ごろ一時止む)
停滞


雨が昨日の夜から降り続いており、朝起きるとタープに水がドーンと溜まっていて、タープが重そうにしていた。棒で下からつついたら水が山側に流出して窪みに一斉に流れ込んできた。浸水したので、万能タオル(雑巾のようなタオルのこと)を使って水を吸い取り、ビリーカンに絞りだして捨てる作業をすることになってしまった。

食事の前に、まずは作戦会議。タープの張り方が屋根型は水が溜まりやすい。しかも、山側に水が流れると浸水の危険性があるので、面倒くさいが最初から張り直すことにした。幸い一時的に雨が止んでくれたので作業に入った。山側は藪の枝で雨が少し緩和され、風も尾根と藪の陰でさほど吹きこんでこないので、片屋根掛け型に張り直した。こうすれば、雨は直接谷側に流れるので下に水が溜まるのを少しは回避できる。
また、窪みを避けるようにツェルトをずらした。しかしながら、山人のスペースは下に傾いており、いつもずり下がる生活が続いた。
また、予備日すべてを使うことになっても持つように食料計画を練り直した。

基本生活スタイル

朝は5時起床。ここでNHKのラジオを聞く。ラジオは稜線の上で良く入り、聞きやすかった。重要な娯楽のアイテム。寝袋に包まりながら5時〜7時ぐらいまで聞いて、あとは電池節約のため1時間ごとに点けて天気予報を聞いて過ごす。

あとはシュラフを仕舞って「今日も雨で嫌だね」「いつまで続くんだこの雨は」「あっ、シュラフ少し濡れてるやばし」などとたわいもない会話をしてツェルトの中でゴロゴロする。寒いので雨具上下着用。

9時頃になると腹が減ってくるので、ガスでお湯を沸かしてミルクティーを飲む。前日夜の残りのアルファ米をおかずと一緒に食べる。

食料に関してはアルファ米6食、うどん、パスタ、そうめんの麺類6食。個人の行動食を多めに持っていたので不安はなかった。お酒も山人がウィスキー530mlとモコモコさんジン350mlを持参。こちらは、いくら暇でも朝から飲むわけにはいかず、御昼過ぎの13:00頃から2杯程度飲むことにした。ラジオを聞きながら飲むのは楽しみ。

タープをきちんと張っておいたので、トイレに行くのも背筋を伸ばせるので気持ちが良い。薪を拾って帰ってくると一石二鳥。

飲み終わったころの14:00ぐらいから、焚き火をおこして夕食の支度をする。焚き火もタープの下で行ったので、炊事がしやすく、とても小さい焚き火であるが雨で消えずにでき、逆に雨が防火に役立った。

16:00ぐらいから夕食。ラジオを聞きながらゆっくり過ごす。暗くなる前に歯を磨いて、18:00にはシュラフに入る。

19:00ぐらいには消灯。

5日目

9月22日 雨

今日も雨。停滞
このテン場の周りはサルの縄張りらしい。サルの鳴き声が聞こえる。

6日目

9月23日 雨

また雨。停滞
あまりに暇なので無線を使ってCQするが、応答なし。電波は入ってくるのに残念。
サルの鳴き声が近くなった。モコモコさん曰くサルに包囲されつつあるらしい。食料を奪われる前に脱出しなくては・・・。

7日目

9月24日 曇り
コースタイム
BP7:11〜大影境7:34〜泥又川東俣沢本流出合11:12〜大ジョズ沢出合12:39〜巻き終わり14:18〜二俣16:15


日付が変わる頃に雨がようやく止んだ。いよいよ今日は行動できる。行動できることに感謝。
下降予定の泥又川も増水したであろうが、ゴルジュの沢なので我々が本流に降りる頃には水は引いているはずだ。
気温が低く着替えるのがとても辛かった。一気に秋になってしまったようだ。この3日間で季節はあっという間に移り変わってしまった。4日間御世話になったテン場をあとにする。大影境までは15分ほどで到着。山頂は一部、藪のない場所があった。枡形山や甚六山、化穴山などが一望できる。

泥又川東俣沢への下降は、ハッポ沢より一本下流で本流に入る名もなき沢にとった。
ハッポ沢は大滝が連続するゴルジュの沢らしいので、ハッポ沢に行かないように、注意してしばらく藪尾根を下降して、沢に向かった。できるだけ尾根を降りていきたかったが、尾根の藪がひどく、すぐに左の下降予定の沢へ押し出されるようになってしまったので、思い切って沢へ下降した。すぐに窪にでられ、しばらくは涸れ沢の下降。水がでてくるようになっても滝はほとんどなく下降に適した沢だと思う。左右から沢を合せるようになるとさすがに滝が頻繁にでてくるが、懸垂下降をする滝はなく、クライムダウンできるか、小さく巻き降りることができた。しかし、その滝の中の一つに高巻いて降りる場所を見誤ってモコモコさんが草付きを滑落した場所があった。幸いお尻を打っただけで済んだが、ルート取りは山人が行けてもモコモコさんが突破できない場合があるので安全なルートを取らないといけないと肝に銘じた。

なんとか、本流に到着することができた。泥又川東俣沢の渓相は御椀を連続して階段状に並べた印象で、大きな滝はなく、側壁ゴルジュには威圧感はない。
しかし、ルートが御椀の形の釜なので、そこしか行けるルートがなく、思い切りの良さが必要となりつつも、それ以上に、滝壺の流れを読まないと引き込まれそうで怖く、慎重さが要求された。水量も数日続いた雨のせいか増水しているようだ。

大ジョウズ沢の出合い先の滝で行き詰った。これまでドボンの連続で体が冷え切ってしまった。またこの滝は飛び降りるのには高く、その先にも手強い釜の連続が予想されるので沢伝いの下降を諦め、大ジョウズ沢から一気に高巻くことにした。大ジョウズ沢はいきなり登れない滝5mが立ち塞がっていた。

大ジョウズ沢左岸の尾根を念のためザイルを出して1ピッチ登ってトラバースして巻き上がった。巻き終わりの先にも滝があった。降りたところから、小尾根への斜面を登り、小尾根を越えることにした。
ある程度登ってトラバースすると尾根状になり尾根の反対側には沢が入っていた。この支沢へ向かって急な尾根を下降する。降りるにしたがって灌木から草付きに変わり気が抜けない。沢に降りる10mぐらい手前で、モコモコさんが滑落。枝をつかんだが、この枝では止まらず滑り続け、必死に次の灌木を掴んで滑落が止まった。もう少し上流側(少し傾斜が緩かった)にルートを取れば良かったと後悔した。モコモコさんには怖い思いをさせてしまった。

なんとか、ゴルジュ帯をまとめて巻くことができた。本流に戻ってゆっくりと休んだ。本流を覗くと、すぐに釜を持った5mほどの滝がかかっており、側壁も枝のないU字溝の壁となっており、飛びこまないと降りられそうもなかった。水量が多く、気温水温ともに低いので、あのまま突入していたらかなり厳しかったと思う。

ここからは滝はほとんどなく、淵が多くでてくるものの、左右どちらかに必ずと言っていいほど岩がバンドのように張り出していて、これまでのようにドボンしたり、胸上まで水に浸かるようなことはなく、流れは穏やかで、時折は河原状になった。

地形図で予想するよりも長い感じがする平瀬を、まだかまだかと歩いていると太い流れの二俣に到着。右岸高台にテン場を見つけ今宵の宿とした。
入渓して初めて一日雨に降られなかった日だった。


8日目
9月25日 曇りのち晴れ
コースタイム
BP6:32〜C533m9:21〜アカイ沢10:07〜猿田川本流10:40〜スーパー林道10:42〜猿田川野営場11:32〜猿田大橋13:26〜軽トラに拾われる13:55


今日で8日目。長いようで短い1週間だった。モコモコプランでは5泊6日の計画ですんなり山を降りて、鶴岡か村上で打ち上げだと意気込んでいたが、蓋を開けてみればご覧のとおり。山で長い期間泊まってみたいという思いもあったのでこれはこれで良かったと思う。

 当初は、西俣沢をしばらく遡行して支流から尾根を越えてアカイ沢支流を下降し、猿田川へ降りる計画だった。しかし、今日はまた天気が不安定であるのと、、気温の低さと今日で8日目ということで、もう少しでも早く家に帰りたいという欲求が背中を後押し。テン場から延びる踏み跡を使って山越えしたほうが、早く帰れるのであっさりと尾根越えルートに変更。そうと決まれば気分は下山モード。

 踏み跡の付いているしっかりしたルートということでメガネバンドの装備をしないで尾根をぐいぐい登る。762Pから552Pへ縦走。552Pから戸立沢へ向かう尾根を下降する。(実際は赤イ沢へ向かう支尾根を降りてしまった。)GPSで552Pまでは来たことは確認したが、踏み跡がはっきりしていたので油断してしまった。もう、朝日スーパー林道しか頭に入っていなかったらしい。

おまけに、もう少しで赤イ沢というところで、山人が足を滑らせて谷側の斜面に転落。二回転ほどして止まるかと思ったが、ザックが重くて止まらず、頭を立木にぶつけてさらに2回転ほどしてようやく体制を立て直して止まった。体のダメージを調べると、頭にタンコブができていた。あとは異常なし。メガネも外れなかったので良かった。尾根に這い上がって休んだ。最近長期山行の最後でコケルパターンが定着しつつある。いやだな。油断は禁物。

降りたところは戸立沢出合いだと疑いもなく、スーパー林道に出やすそうな上流に向かう。するとすぐに右から沢が入ってきて地形図で確認すると、どうもおかしい。GPSで確認すると赤イ沢だった。
モコモコさんも「どうりで地形図でみるよりも尾根は急な下りが続くし、ここも猿田川にしては小さいと思ったよー。」と納得していた。

猿田川へ向かう為、まわれ右をして下流へ向かう。しばらくすると、これぞ川と言わんばかりの猿田川に出合う。対岸にピンクテープ発見。これまで膝上は濡れずに済んだが、ここは腰まで浸かって渡渉した。ピンクテープからははっきりと踏み跡がついており、導かれるように森を歩くとあっという間に朝日スーパー林道に出た。林道には23キロ地点の標識があった。とても立派な道路でびっくりした。砂利道かと思っていた。

携帯が通じればタクシーを呼びたいところだが、ここは山奥。歩くしかない。山であるのと重荷を考慮して時速3.5キロで算出し、終点(基点)までとして約7時間。休憩入れて8時間。なんとか今日中に帰れる時間には歩き終わりそうだが、帰る気力は残っていないだろうからどこか宿が空いていたら泊っていこうとモコモコさんと話しながら歩を進めた。
天気は予報に反してこれまでで一番いい天気となり、太陽がでてくるようになった。
車は思ったより通っている。誰か乗せてくれないかなと横を通る車がスピードを落とすたびに勝手に期待するが空振り。

モコモコさんと、せめてタクシーを呼んでもらおうと、紙にタクシー会社の電話番号と依頼料500円を用意したが、我々に興味を持って止まってくれる人はいないというよりも、邪心を持ったせいかぱったりと車の通りがなくなってしまった。
当初から一日かけて歩くつもりでいたのだからと、お互いを励まして進む。

3時間ほどかけて10キロほど(12km表示まであとわずかなところだった)歩いただろうか。なんと軽トラの親切なおじさんが荷台に乗ってけと車を止めてくれた。地獄に仏とはまさにこのこと。ありがたく乗せてもらうことにした。うれしいことに朝日スーパー林道のさらに先、布部という集落まで乗せていただいた。
おかげ様で、朝日まほろば温泉(道の駅)で入浴し、食事も済ませることができた。
こうして朝日の沢旅は終了した。


無情なゲート 問題なさそうだが・・・
枡形林道は土砂崩れあり 水量が多い
前回に比べても明らかに増水している 水量が多く時間がかかる
泳ぎも一苦労 冷えた体に焚き火はありがたい
先日の大雨でひっかかったらしい大木 ワカメ沢出合
岩魚沢はここから高度をどんどん上げていく 簡単に登れる滝がほとんど
2段10m 空身で左壁を登り少しトラバース 荷揚をした滝。写真には見えない奥の左の滝登る
山越えの沢で巻きの途中にあった抜けがら(とても驚いた) ツバクロ沢 10m滝
わずかであるが、泳ぎが必要 4段60mの一段目(下からだと4段目以下同)を下降
2段目(3段目)はスラブをそろそろと下降 3段目(2段目)は右岸を巻き降りた
4段目(1段目)を懸垂で下降 下流の壮絶なゴルジュが想像できないほど穏やかになった西ノ俣沢
出発してすぐにあった淵は濡れを避けて小さく巻いた 三俣
V字状が延々と続く 堰堤状の滝
いちご畑があった 旧魚止滝らしい 快適に登っていく
コルにでた 藪をこいで大影境へ
大影境の手前で停滞(タープを張り直しています) タープを張り直し、これからの悪天に備えた
雨の中安らぎのひととき 4日ぶりの行動 大影境から枡形山
甚六山 化穴山
泥又川と三面川を分ける稜線 下降する沢
クライムダウンしていく この滝の巻き下りでモコモコさん滑落
泥又川東俣沢本流に出た 冷たいが積極的に浸かっていく
意を決して飛びこむ モコモコさん浮上
本日の核心へと入る この先はさらに困難そうだ
大ジョウズ沢から巻きに入る 巻きおりてきた沢
本流の沢通の下降はきつそうだ。釜の連続 水に浸かりたくないので極力へつる

この支流をあわせると、沢は穏やかになる 水量の多い二俣
猿田川を腰まで浸かって渡渉した(対岸はアカイ沢) 放置された猿田川野営場




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