吾妻連峰
高湯温泉〜家形山避難小屋〜吾妻小舎〜高山下り〜土湯温泉
〜ツアー始め高山下り〜
2011年1月21〜23日

 今年は寒気が頑張っていて順調に積雪量が増えている。
 山スキーをするにはありがたいが、天候が悪いのは困る贅沢な悩みだ。
 例年ならば天元台から稜線へ上がり始める頃だが、連日の悪天候と低気温の影響を比較的受けにくい福島市側からツアーに入ることにした。
初日は、吾妻スキー場が閉鎖されてからは我々の定番コースとなった家形山避難小屋までとし、2日目に山越えをして浄土平へ入る予定だ。


アプローチ

東京駅6:20−福島駅西口8:15/9:10−高湯温泉9:50
コースタイム

1月21日(晴れのち曇り)
高湯温泉10:15〜慶応山荘入口16:44〜家形山避難小屋18:10(泊)

1月22日(雪時々やむ)
家形山避難小屋8:50〜前大テンのコル12:20〜浄土平12:40〜吾妻小舎13:03

1月23日(くもりのち雪)
吾妻小舎7:45〜高山10:15/10:45〜林道13:20〜土湯温泉(車道)14:16


1月21日(天気;晴れのち曇り)
 高湯温泉〜慶応山荘入口〜家形山避難小屋(泊)


福島駅でバスを待つ時間を利用し、いつも通りシールを張り付け支度を済ませた。

バスは順調に高湯温泉に到着。
昨日は結構雪が降ったようだが、今朝は天気もなかなかよさそうだ。

高湯温泉(花月ハイランド入口)から出発。
除雪終了点には一台の車が駐車してあった。

終了点からスキーのトレースがあった。
これはしめた!!と思ったが、トレースは旧吾妻スキー場へ向かっていた。
登山道との分岐に着くと、昨日のものと思われるトレースがうっすらと残っていた。
新しいトレースがスキー場上部までついていれば登るのは開けたスキー場の方が楽だが、そうでなければ距離が長い分時間がかかってしまう。雪が締まっていない今日は、ラッセルを考えると距離が短くうっすらとトレースが残っている登山道の方がいいだろうということで、しっかりとついたトレースに別れを告げ、登山道から登り始めた。

モコモコさん先頭で進む。
先日のトレースの上にある積雪は、平均15〜20cm程度。
先頭を交代しながら登り、ようやくスカイライン横断点が近づいてきた感じだ。
スカイライン手前の傾斜が出てくるところは、ラッセルがきつく登山道通りには登れなかったので、登山道を少しはずした斜面を登った。
スカイライン横断点には予定から遅れての到着。ここで少し休憩をして先を急いだ。

トレースは全くなくなってしまった。
途端にスピードが落ちた。
疲れないうちにこまめにラッセルを交代しながら進んだ。

出発時に青空だったが、標高が上がるにつれて雲が広がった感じだ。
視界が良いのが助かる。ようやく賽ノ河原に着いた。きつい部分はやっと終わったが、ラッセルは相変わらずなので、ペースはそのまま。雪が軽いので助かっている。

モコモコさんが先頭のときに、井戸溝で休憩しようとかと話しかけたところ、モコモコさんからは「別に休憩取らなくてもいいや」と返ってきたが、突然「あー!!シールが!!」というので、どれどれと見てみるとシールのトップの部分がほとんどちぎれていた。
モコモコさんが処置をする間、先頭を交代し先にラッセルしておくことにした。
結局井戸溝手前で休憩することとなった。

井戸溝の橋は手すりまで埋まっていた。
もう少し積雪が増えればあまり橋を意識せず渡れるようになりそうだ。
橋の対岸は昨年末に大木が倒れて登山道を塞いでしまっているが、年明け早々に慶応山荘のOさんが代替ルートを整備してくれているので問題なく登り返すことができた。ありがたいです。

山荘分岐に着いたときは、日がどっぷりと暮れていた。日没まであとわずか。明るいうちに避難小屋につくことはできなさそうだ。
山荘分岐でへッドランプを装着しておいていつでも使用できるようにしてから、まずは硯石を目標に進む。硯石までは、結構きついラッセルとなるはずなので、これまで以上にこまめに先頭を交代して行くことにした。

なんとか硯石に着いたが、小屋分岐へと入ったところでとうとう日没となった。
これから針葉樹林帯となるので、急に暗くなった感じだ。
遠回りになるが、ラッセルがきついので標高を下げずに山腹をトラバースする感じで進んだ。
10分ほどで完全に暗くなったので、ヘッドランプを点灯した。

小屋まであと100mというところまでは比較的順調にきたが、ここで小屋を探し求めて彷徨ってしまった。
結局はモコモコさんがGPSで小屋のポイントを打っていなかったのが原因だった。
そこで、小屋の水場となる沢の右岸にいることは分かっているので、沢から離れないようにしばらく登ることにした。
少し登ると傾斜が急になったので、沢の対岸に渡り、今度は沢の左岸を沢に沿って下ると暗闇の中ぼ〜っと小屋の屋根が現れた。
モコモコさんともどもホッと胸をなでおろした。これで乾いた床の上で寝られる。
到着が遅かったので、バタバタしてしまったが、21:00頃には寝袋に包まることができた。



1月22日(雪時々やむ)
家形山避難小屋(泊)〜浄土平〜吾妻小舎

早朝はあまり風もなく、太陽も見えていたが、昨日のトレースは完全に消えていた。
今日は吾妻小舎まで行けばいいので、ゆっくりの出発となったが、この頃になると曇り始め雪も降ってくるようになった。

昨日同様のラッセルで進む。
硯石までそのまま戻るとラッセルが大変なので、登り気味にトラバースし、大根森の尾根を巻きあがるようにしてルートに乗った。

モコモコさんと交代でラッセルして登り、順調に五色沼のコルに到着。
例によって強風により雪がついていないので、板を担いで移動し、家形山のトラバースは念のためお互いの間隔を開けて通過した。
大倉深沢から吹きあげてくる強風地帯をなんとかやり過ごして一息入れた。
今日の第一関門は無事突破。
次は前大テンのコルを目指し登っていくと、森林限界を超えたころから太陽が出てきた。それに従うように風も弱まってくるようになってきた。

コル周辺は視界が良く迷うことなく下降地点に着くことができた。
あとは浄土平へ下るだけだ。
ふつうはここでシールをはずすところだが、我々はシール大好きなのでそのままで下降開始。
モコモコさんはテーピングで先端部分を補修しているがほとんど違和感がない様子。
視界と雪質がいいのであっという間に酸ヶ平避難小屋近くまで下れた。

いつもガチガチバリバリに凍っている酸ヶ平は見事なシュカブラが形成されていた。
風が奇跡的に穏やかで、快適に素晴らしい雪質の蓬莱山の脇を通り抜け、一直線に浄土平へと滑り込めた。
シールを着けたままなので、そのまま桶沼を巻く斜面へと取り付ける。
取り付いたところで浄土平を振り返ると、あれだけ視界がよかったのがあっという間に酸ヶ平までガスに覆われ、空も雲が広がっていた。
幸運にも、山越えはその日唯一といっていい好条件の中でできたようだ。

今年初見となる吾妻小舎は、思った以上の積雪があった。
最初は、天気が良ければ周辺の散策か、小舎でのーんびり昼寝をしたりしようと思っていたが、除雪をした方がよさそうだ。
冬季入口から問題なく出入りできたので、荷物やスキー道具を収納して玄関内で少し腹ごしらえしてから除雪作業にかかった。

周辺を散策するよりも、こっちの方が楽しいなどと軽口をたたきながら、最初は玄関近くだけやればいいかと軽い気持ちでいた。
裏(桶沼側)へ回ると完全に覆われていた。
こちらの方を優先的に除雪することにした。
結局二人で作業時間もあまりなかったこともあり屋根の部分の除雪はほとんどできなかったが、屋根の縁と雪面を切り離すことだけはなんとかできた。

モコモコさんには途中で切り上げてストーブを付けておいてもらうことにした。
後から小舎内に入ったところ、ストーブは無事着火していた。モコモコさんによると、前の燃えカスが結構残っていて、着火準備に時間がかかったらしいが、あともう一息で安定しそうだ。
外は雪が本格的に降り始めていた。

装備を解いて、くつろげる格好になりストーブの燃え方も安定したが、部屋が広いためなかなか室温が上がらない。
じっとしていても寒いので、明日出発が楽になるように、玄関掃除をしたり、カップめんを食べたりしてやり過ごしていると、ようやく室温が上昇し始めた。
上昇し始めるとあっという間に暖かで快適な空間となった。
いつものことだが、吾妻小舎はあまりにも快適で、時間があっという間に過ぎていった。



1月23日(くもりのち雪)
吾妻小舎7:45〜高山10:15/10:45〜林道13:20〜土湯温泉(車道)14:16


ゆっくり休めたので、快適な寝ざめだ。
昨日の雪もやんでいた。

スカイラインは吹きさらしだが、鳥子平の樹林に入ってしまえば穏やかだ。
ラッセルではあるが、気温が低く雪が軽いので順調に高山山頂に着いた。いつも反射板が大きくうなりを上げている山頂も今は穏やかだ。

ここからは、さすがにシールをはずす。
雪質がいいのと、風もほとんどないので楽しく高度を下げて行ける。
今日は楽勝か?と思っていたが、麦平近くなると、ここ最近一気に積もったのと、まだ雪が締まっていないので、本来のルートであるのに枝が被って迂回したり雪面が波打っているので歩いたりと以外に時間を取られた。

麦平からの登り返しもそんな状態で結構疲れた。
しかし、ここでも幸運なことに、隣の尾根にもうすぐ乗り変えられるという所で今日のものと思われるトレース発見。
この頃から雪が舞い始めた。
ここから傾斜が緩むので、トレースがないと結構時間がかかってしまいそうだったので、これで時間がなんとか読めそうだ。
トレースに乗ると、楽々と滑って行けた。

尾根が一時細くなる通称ふんどしを通過した標高1200m付近で、今日土湯温泉から登ってきたという方と出会う。
この方としばし雑談。我々がお世話になったトレースの持ち主とは別の方だが、土湯温泉から登ってきたのでトレースはバッチリということと、最後まで板を付けて行けるとのことだった。
このとき無線のコールが入る。同じく吾妻に入っていて、帰宅途中にあるkenrokuさんからだった。

モコモコさんは、土湯温泉から登ってきた方との雑談が終わったようだ。
交信を楽しんで最後の下りにかかる。トレースのお陰で滑りだけに集中できる。気がついたらボブスレーコースに突入していた。
モコモコさんがクラッシュする場面を撮影するためにカメラを出して構えていたが、雪質がいいので、モコモコさんは超ノロノロボーゲンで無事降りてきてしまい、「シャッターチャンスは与えないのだ、ワハハハハ・・・」と言われてしまった。残念。

林道へもスムーズに辿りつけたので、休憩をとらなくてもいいくらい調子がよく、トレースに助けられ土湯温泉への登山道分岐に着いた。
途中で会った方の言った通り雪がバッチリ付いているので、そのまま滑っていく。
狭いが、担いで歩くよりは早い程度のペースで進めた。
車道近くはさすがに雪質が悪く、滑りにくかったがその距離もわずかで終了した。

雪が本格的に降る中、いつもお風呂に入らせてもらっている旅館の駐車場でパッキングを済ませ、遠藤さんに下山連絡をしてツアーが無事終了した。


登山口 登山者カード入れがある 賽ノ河原
井戸溝 埋まってきた 硯石手前、夕闇まであとわずか
家形山避難小屋にやっと到着 大根森を目指す
酸ヶ平 鎌沼方面
酸ヶ平上部の斜面 シール着けたままでも滑る
一切経山は今日もモクモク モコモコ雪に覆われた吾妻小舎
吾妻小舎正面 モコモコ雪をモコモコさんが除雪
モコモコ雪を除雪 ストーブでヌクヌク
スカイライン最高標高 高山から東吾妻山方面
高山山頂 いつのまにやらボブスレーコース


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