吾妻連峰 
高湯〜五色沼〜浄土平〜東吾妻山〜蒲谷地
〜春と冬の狭間の強風のち晴れ〜
2011年2月17〜19日

 東吾妻山から蒲谷地に降りるルートは、とても楽しい。
 今年も蒲谷地ルートで降りることにした。
 気になるのは、浄土平への山越えのときの天気予報がよくないことだ。

アプローチ

東京駅6:20−福島駅西口8:15/9:10−高湯温泉9:50

コースタイム

2月17日(晴れ)
高湯温泉(花月ハイランド前)10:12〜スカイライン横断点11:50/12:12〜井戸溝15:03〜家形避難小屋16:40(泊)

2月18日(雪ときどきくもり、終日強風)
家形避難小屋9:30〜五色沼のコル11:35〜前大テンのコル13:10〜酸ヶ平避難小屋前13:58〜吾妻小舎15:00(泊)

2月19日(晴れ)
吾妻小舎7:51〜東吾妻山11:42〜林道14:20/14:40〜県道蒲谷地入口15:26


2月17日
(晴れ)
コースタイム
高湯温泉(花月ハイランド前)10:12〜スカイライン横断点11:50/12:12〜井戸溝15:03〜家形避難小屋16:40(泊)


 高湯までお決まりの行動で到着。
 一月の低温がうそだったかのようなポカポカ陽気なので、シャツだけになり、さらにはオーバーパンツのファスナーをあらかじめ開けて行くことにした。
 出発の準備をしていると、花月ハイランドに宿泊しているという仙台からきた上品なおば様方に話しかけられた。しばし会話をしたあとで、見送られての出発となった。
 昨日天気がよかったらしいが、思ったよりも雪は締まっていないという感じだ。
 スカイラインの除雪終了点へ着くと、駐車場所となっているところは一部アスファルトが見えていた。

除雪終了点からははっきりとしたトレースが残っていたが、旧吾妻スキー場へと向かっていた。
登山道の方は、うっすらとトレースがあるだけだったが、ここ最近まとまった雪が降っていないらしく数日前のトレースのところで潜るのが止まるので、登山道を登ることにした。
登り始めてすぐに暑くなったので、なんと手袋もすべて脱いで素手で登る。それでも暑いくらいだ。
先頭を行くモコモコさんは、スカイライン横断点まででかなり汗を絞られたようだ。

順調に進み、賽ノ河原に到着。
今日はモコモコさんに最後まで先頭を行ってもらおうと思っていたが、暑さで疲れが出たのか交代してと言われた。
「今日は荷物重いから全部先行してもらおうと思ったのにな〜。」と一言だけ言っておいて先頭を交代したが、思ったよりも沈まず大変ではなかった。
山鳥山からは、旧スキー場方面からの数日前のトレースと合流したので、楽になった。
天気予報では曇りだったが、時折曇るだけで風も穏やかで標高が上がったら快適になってきた。

井戸溝の橋は折角完全に埋まっていたが、沢形に窪みができ始めていた。もう数回寒気の戻りがあれば、しばらく安泰なのだが。
慶応山荘分岐からはトレースがないかと思ったが、凝視するとうっすらとトレースの名残が見られた。
そこをはずさないように行けば、潜るのは足首上程度までで済んだ。

硯石で一服して今日の宿へはあと一本だ。
トレース後が全くなくなりラッセルとなったが、これまで体力をあまり使わずに済んだのと、前回と違い日没まであと1時間30分程度あるので気持ちに余裕を持って小屋へ到着できた。



2月18日(雪ときどきくもり、終日強風  ※参考資料 当日の気象状況
コースタイム
家形避難小屋9:30〜五色沼のコル11:35〜前大テンのコル13:10〜酸ヶ平避難小屋前13:58〜吾妻小舎15:00(泊)


昨晩は、月明かりで明るく、モコモコさんがしつこく「月明かりを利用して、今日中に吾妻小舎に入りたい」、「あ〜あ、今日中に吾妻小舎に入れたらな〜」と繰り返していた。

まだ暗いときに目が覚めると、雨が降っているのか雪が融けている音が聞こえた。
明るくなってから起きて外を見ると、昨晩までの穏やかな天気が一変して視界が悪く、風もある。そのうち雪も激しく降るようになってきた。
今日は午後になると風が一層強まる予報だったので、モコモコさんは早立ちを狙っていたが、結局出発したの前回よりも遅くなってしまった。
このときは、今日はゆっくりでも余裕で吾妻小舎には14:00頃には付くだろうと思っていた。

昨日のトレースが残っていたので、硯石まで忠実に辿って戻った。
ここからは、ラッセルとなった。
五色沼のコルへと最後の登りにかかり、尾根上へ乗った途端強風をもろに受けるようになった。気温が低くないのが救いだ。
いつもガリガリの尾根を登るが、強風でバランスを崩したりで大きく転倒してしまった。
ザックをはずして起き上がると、ガリガリと坂の為、強風でザックが転がり始めてしまい慌てて跡を追うことになってしまった。5mほどで済んだが、今日の気象条件ではこの5mを取り返すのも結構大変だ。

モコモコさんが先行して、アイスバーンでないところを探して、厚いモナカ雪を踏みこんで割りながら進む。
そのあと二人とも数回転倒しながら大岩まで辿りついた。
家形山のトラバース地点までは、今日の風向きのお陰かいつも通りの風のような気がした。
家形山のトラバースを済ませて、次の樹林帯までが今日の核心の一つだ。
モコモコさんの懸念通り、大倉深沢からの強烈な風が吹きぬけていた。風に耐えながら一歩ずつ進み、なんとか樹林に逃げ込んだ。

風が弱いところで一休みし、前大テンのコルへの登りに取り掛かる。
この登りで真っ白な兎が駆けていくのを見ることができ、少し和んだ。
前大テンのコルに辿りつけばあとは、1時間ほど滑り下りるだけと思っていたが、そうは問屋が卸さなかった。
視界が全くなく、強烈な風が吹き下ろしている。

少しずつそろそろと尾根上を下降する。
モコモコさんからは、尾根の左右どちらでもいいから降りるように言われたので、左側(正規のルートは尾根の右側)へ降りることにした。
モナカ雪のときは、シールを付けて稲妻ターンでいくのが我々にとって一番いい方法であり、結構まともに降りられるのだが、今日は強烈な吹き下ろしの風と、これまでにない厚い超極悪モナカ+地吹雪による視界0の世界のため、数m移動してはとまり、お互いを確認時にはカニさん歩きで進むといった具合だ。

前大テンのコルからは、酸ヶ平避難小屋を目指していくのが常だが、今日はどこにあるのか見当もつかない。
とにかく風が吹き下ろす方向へ従っていくと一切経からの尾根がぼんやりと見えた。
この尾根のヘリを回っていけば小屋だ。えぐれた沢形が現れたところで尾根を乗り越して正規のルートへと戻ると、ぼんやりと小屋が見えた。

まずはポイントを押さえることができた。
集束して一層強くなった風のなかを、倒されないようにそろそろと進むが、モナカ雪と格闘して少し滑ると上下の感覚が分からず転倒してしまう。また、キックターンをしようとすると、風にドンと押されて転倒するの繰り返し。
結局、カニさんで一歩ずつおりるのが一番早い。
たまにお互いを見失う。とにかく風が降りる方向に進めば浄土平であるはずなので進むしかない。

やっとの思いで浄土平に着いた。
吾妻小舎まではあともう一頑張りだ。
桶沼をぐるっと巻いて小舎が見えたときは、本当にうれしかった。
吾妻小舎の除雪するつもりでいたが、疲れてしまったので申し訳ないが免除してもらおうと思っていたところ、連休までに入った人が頑張って雪下ししていたらしく、屋根に雪がなく除雪の必要がなかった。
早速装備を解いた。小舎に入れば快適そのもの。
暖かく穏やかに過ごすことができた。



2月19日(晴れ)
コースタイム
吾妻小舎7:51〜東吾妻山11:42〜林道14:20/14:40〜県道蒲谷地入口15:26



昨日はこれまでで一番ハードな山越えとなったが、今日は文句なしの晴れ。
県内に強風注意報がでており、会津は雪が降っているようだが午後には晴れるとのことだった。予定通り蒲谷地へ進路をとってもよさそうだ。

兎平の駐車場脇から取り付く。
最初は風が結構あったが、だんだんと落ち着いてきた。
雪質は、モナカだったり、モナカの上にうっすらと新雪が乗っていたり、フカフカ雪だったりと目まぐるしく変わった。

標高1850mを越えたあたりで、雲が広がるようになった。
あれだけ天気がよかったのが、またもや悪くなってしまうのか心配になったが、幸いにも山頂に近付くにつれて再び雲もなくなっていった。
山頂はやはり風が結構あるので、証拠写真だけ撮ってさっさと立ち去った。

まず目指すは山頂の南にある湿原だ。
景場平への指導標を確認したところで、さらにほぼ南に向かって進路をとると、今まで気が付かなかったがアンテナがあるのが見えた。
雪質はモナカの上に新雪が良い具合に乗ったいい状態で、昨日の七転八倒して降りたときとは大違いの快適さだ。

相変わらずシールを着けたままで下降していくと、標高1800m付近からは樹林間隔も広がり楽しくなってきた。
標高1700m付近の傾斜がゆるむあたりで休憩をとった。ここからシールをはずすか迷ったが、そのまま着けて行くことにした。
ここで携帯電話が通じるか試してみるとバッチリ通じる。
予定では、蒲谷地に降りた後もう一度登り返して高森まで行くのだが、登り返すのは正直かったるいので蒲谷地までタクシーの迎えを頼んでしまうことにした。
さらに、折角ここまで来たのとゆっくり温泉に浸かっていきたいので、予備日も使わずに済んだことだし、宿泊の申し込みまでしてしまった。
降りた後の楽しみができたことで、やる気が出てきた。

標高1600m付近と標高1500m付近の少し傾斜が増すところを慎重にこなすと、後は林道目指して傾斜面を行くだけだ。
雪質がいいので、シールを着けたままでもよく滑って楽しい。
林道に予想よりも早く到着した。
このまま行くと、タクシーを結構待つことになりそうだ。試しに携帯電話が繋がるか見てみるとなんとここでも通じたので、迎えの時間を早めてもらうことができた。
ここで初めてシールをはずす。林道の雪質もよさそうなので、林道での滑りも、もらったも同然だ。

シールをはずすととても軽い。ここの林道は傾斜があるので、最後林道滑りをする吾妻のコースのなかでも、一番快適で楽しい林道だ。
入山してから一番いい雪質なので、ヒャッホーと歓声を上げながら滑り進んでいった。
ゲートを通過して除雪された道路までスイスイだった。
道路も雪がついていたので、担がずに済んだ。また、圧雪又は氷の路面だったのでここもよく滑り、歩くよりも早く進めた。

前回見られなかった蒲谷地の犬は今回も見られなかった。寂しいことだが、どうやらもういないらしい。
蒲谷地に入ると一番最初にある家では、除雪作業をされてる人がいた。
挨拶をし、少し会話をしていく内に、これからどうするのか聞かれたので、タクシーを呼んであるが、いままでは携帯の通じる高森まで山越えしていた等を話すと、最近、市沢部落にDocomoのアンテナが立ったので、少し歩けば携帯が通じるようになったことを教えてくれた。
歩く距離は結構長いが、高森へ抜けるよりは近い。

蒲谷地入口で板をしまい、タクシーを待つこと10分。
無事タクシーが現れ、温泉へ直行し打ち上げをしたのでした。


暑いくらい天気がよかった 井戸溝の窪が現れ始めてしまった
天候が一変してしまった 大岩
やっと酸ヶ平避難小屋、ここからがさらに大変だった 快適な吾妻小舎ようやく到着
東吾妻山への登り途中昨日下ったところを見る 山頂までもうすぐ
山頂から東大テン方面 標高1700m付近は樹間隔も開けていいところだ
あっという間にゲート 東吾妻山が見える蒲谷地入口に到着


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