朝日連峰
大石大明神〜葉山〜中沢峰〜御影森山〜大朝日岳〜狐穴小屋〜天狗角取山〜粟畑〜大井沢
〜最高のルートとバカ虫との戦い〜

2011年6月8〜6月11日


 五月の連休は生憎の天気であまり歩くことができなかった。楽しかったが、今振り返るともう少し歩いてみたかった気がする。
 連休の確保に成功したので、朝日連峰を久しぶりに縦走することにした。
 大鳥からは大鳥川沿いの登山道がまだ残雪で隠されているのと以東岳周辺は先月歩いたこともあり、主脈へは二ツ石尾根を使ったルートで繋げるつもりだ。  折角なので、数年前天候により日程不足で歩けなかった大朝日岳と葉山をルートに組み込むことにした。
 大朝日岳〜葉山がメインなので、天気がいいときにここを歩けるように、北上ルートと南下ルートの両方の計画を立てておいた。
 週間天気予報では、4日目(下山予定日)に天気が悪そうなので、行動時間が一番短くなる南下ルートをとることにほぼ決まったが、直前に3日目も雨マークがついてしまった。これではメインの日が悪天候に当たってしまうということで、急遽北上ルートとした。
 北上ルートは大朝日岳へむけて登りベースになるので少し大変な感じだが、運が良ければ天狗小屋から障子ヶ岳を回って降りられる。

アプローチ

東京駅6:00〜赤湯駅8:40/8:59-長井駅9:31/(タクシー)−大石大明神

コースタイム

6月8日(晴れ)
大石大明神10:18〜オケサ掘11:43〜葉山14:14(泊)

6月9日(晴れ)
葉山山荘3:40〜中沢峰手前水場6:45〜中沢峰8:14〜(途中1時間ほどロス)〜前御影森山11:21〜御影森山12:13〜平岩山14:50〜大朝日小屋16:43(宿泊)

6月10日(ガス)
大朝日小屋7:20〜竜門小屋10:00/10:48〜寒江山11:59〜狐穴小屋12:55(泊)

6月11日(雨ときどき止むのち晴れ)
狐穴小屋4:05〜二ツ石山7:03〜粟畑9:59〜登山口13:30〜大井沢(湯ったり館)14:30


6月8日(晴れ)
大石大明神10:18〜オケサ掘11:43〜葉山14:14(泊)

東京はどんよりとした空だったが、山形県へ近づくにつれて青空になっていく。
順調に赤湯駅に到着。

今回は、山形鉄道フラワー長井線に初めての乗車。フラワー鉄道のキャラクター「もっちぃ」をとても気に入ってしまった。
長井駅でそばを食べて行こうと思ったが、まだ営業前とのこと、残念。

タクシーに乗り込み、登山口となる大石大明神まで入ってもらうが、ここへの入口が数か所ありわかりにくく、案内図はあるが肝心の現在地が書かれていないので少し不安だった。無事にたどり着き、準備体操などを済ませて出発。天気がよすぎて初っ端から暑い。
大石大明神からは林道が急に荒れるので、車高のある車でないと無理そうだ。

林道終点で山菜採りを済ませた御夫婦と会いしばし雑談をした。
さすが朝日軍道というだけあり、本格的に登山道となってからも九十九折りの広い道でとてもあるきやすい。久しぶりの重荷を背負っての登山で汗が滴り落ちるが、小沢を横切るので冷たい沢水を飲むことができて助かった。
えらく時間をかけてようやくオケサ掘りに到着。とてもいいところでゆっくりと休憩した。
この頃から、お互い口には出さないが、この調子では今日の目的地の中沢峰前の水場までは無理じゃなかろうかと思い始めていた。

暑いので一向にペースが上がらない。
登山地図には載っていない嘉永堰で休憩。少し降りたところで水が湧いていた。この辺りからバカ虫(毎度おなじみだが、我々の間ではブヨのことをこう呼んでいる。)が増えてきた。

 観進代コースと合流したところで、とうとう「今日は葉山山荘で終りになるんじゃない?」の言葉が出る。お互い否定の言葉も出ず、昭和堰では山荘泊が決定した。
 そうとなればあとはだらだらモード。「暑い、バカ虫がうるさい。」と文句をいい、道草を食いながら「あ〜あ、今日葉山山荘までだったら頑張ってビール担いできたのになあ」とつぶやきタラタラと歩いた。

白兎コースを合せてすぐで葉山山荘だった。
荷物を置いて早速水を汲みに行った。白兎コースへ入り数分下ったところに水場があり、冷たい石清水が豊富に湧いていた。
山荘へ戻り、まだ15:00前であるが、明日は早出する予定なので早速夕飯。
山荘はこじんまりしていて古いがとてもぬくもりのある小屋だった。地元の山岳会がよく様子を見に来ているようで破損しているところなどなく快適に過ごせた。


6月9日(晴れ)
葉山山荘3:40〜中沢峰手前水場6:45〜中沢峰8:14〜(途中1時間ほどロス)〜前御影森山11:21〜御影森山12:13〜平岩山14:50〜大朝日小屋16:43(泊)

 快適な小屋をまだ暗いうちに出発。
 出発して間もなくのちょうど白鷹町がくいこんでいる辺りにあるピークを巻くようになっている所には、大きな雪堤が行く手を塞いでいた。まだ早朝で雪が固いので、傾斜の緩くなるところまでピークよりに歩いて雪堤上に乗ってから雪堤を移動して登山道へ戻った。
このあたりはなだらかな尾根となっており、残雪が登山道を隠していたり、まだ藪を埋めていたりで意外と時間がかかってしまった。1264.4mの三角点付近は展望台となっているらしい。
 先が長いので、すぐそこであるがパスして先へ進む。

 八形峰との鞍部は残雪が豊富で少し尾根の形が乱れるため、少し登山道を探してしまった。
ここを過ぎると、尾根の形がはっきりして残雪もなくなったので、登山道に笹が生えてきたりまだ藪が被っていたりするが、踏み跡ははっきりと分かるようになった。
 焼野平手前は、きれいな樹林の中の気持ちが良い歩きとなった。ゆっくりしていきたいところだが、先が長いのでそのまま通過した。
 このすぐ先にある焼野平付近のピークは大きく巻いてしまうので、通過して尾根に戻ることで現在地を確認することとなった。
 何段階かに分けて中沢峰との鞍部へ大きく下ると、これまで以上に雰囲気のいいブナ林となった。
 鞍部に着くと登山道の一段下にテント数張分の小さな広場があるのが見えた。計画では昨日ここまできて泊まる予定だったところだ。
 広場に降りて水を汲みに行く。水場は軽く下り気味にトラバースした所にあった。冷たくておいしい水だ。
 水場は近くにあり、静かなブナ林で最高だが、バカ虫がとにかく大量にいて落ち着いて休むことができない。それを考えると昨日は葉山山荘泊にしておいて正解だったかもしれない。
 バカ虫うるさいといいながらも結構な時間を過ごした。
 まだここは今日の行程の1/3も来ていないところだ。名残惜しいが出発。

 ここから少し尾根が広がる。そのため残雪が道を隠すところが再びでてきた。道は尾根に付けられているが、正確には尾根のラインの左右どちらかに寄っているようで、残雪に覆われるとそのうちどちらかに寄ってしまうことがあるので、残雪上から戻るときは注意が必要だった。
 中沢峰直前で、久しぶりに「ここから朝日・・・保護・・」と書かれた看板があった。久しぶりに人工物を見た気分だ。三角点からは急に道がはっきりした。最近打った(打ち直した?)らしい境界の杭を見たことで良く確認せずに進んでしまった。
 少し進んだところで、全く逆方向へ下降するようになっており、さすがにおかしいと思い始める。地形図も出して確認すると、やはり祝瓶山荘へ向かっていた。
 そこで山人が代表して三角点までいったん戻ってみた。しかし、分岐らしきものは見当たらない。周りを見ると分岐は見当たらないものの、前御影森山手前の1423mピークへ続く尾根が確認できた。
 モコモコさんのところへ戻り、尾根が確認できたことを報告し、中沢峰へ戻る。中沢峰手前で本来入るはずの尾根の方向へ残雪がうまい具合についていたので、中沢峰を巻くようにして尾根へ向った。
 尾根の手前で少し藪をこいだが、比較的楽に登山道へでられた。
 登山地図ではこのあたりから藪がうるさいような記載があるが、我々には中沢峰までのほうが藪がうるさいような気がした。
 本当にこれが前御影森山へ続く尾根なのか確かめるため、中沢峰を確認しに戻ってみた。すると、分岐は三角点からではなく看板の近くで、赤布で印がつけてあった。
 正規のルートに戻るのにかれこれ1時間近く費やしてしまった。やれやれだ。

 相変わらずうるさいバカ虫と闘いながら進む。それでも前御影森山との鞍部周辺は、きれいな樹林帯となっていて涼しい風が吹き抜けることもあり癒された。涼みながら息を整えて、登りに備えた。
 樹林帯の中1423mピークを目指して黙々と登る。地図ではヤブ多いとあるが、さほど気にならなかった。
 1423mピークは、律義に登らずに少しかすめる程度で通過するようになっているが、ここから一気に展望が開けた。バカ虫がうるさいが展望があるのとないのでは気分が違う。
 1423mピークと前御影森山との間はこれまでと違い、地図で見るよりも近くに感じた。前御影森山はこれといった標識はなかった。
 登山道がよくなる御影森山まであと少しというところだが、今度は尾根が曲がっているので見ためよりも長く感じた。
 ここまでくれば戻るよりも進む方が短い。先を行くモコモコさんから「御影森山に着いた」との言葉が出たときはうれしかった。山頂でゆっくり休もうと楽しみにしていたが、そうは問屋が卸さなかった。
 大量に発生したバカ虫が絶好調で乱舞していた。
 あまりの不快さに、折角の眺めであるがそうそうゆっくりもしていられず先へ進むこととなってしまった。

 これまで登ったのを捨てるかのように一気に下降し、小ピークを1つ、2つとなんとか越えて行く。最後の小ピークとなる大沢峰の直前の鞍部に水場があるようなので、そこで今晩の水を汲んで行く気でいたが、ピークを越していくうちに、最後の大朝日岳への登りを水を担いでさらに重くなった状態で登るのもきついということになった。
 まだ残雪のある水場の標識のところに着いたので、休憩を兼ねて水場を確認しに行こうとしたが、雪堤上からのぞいてみると、水は出ているもののそこまで降りるのがとても急な雪の斜面を登り降りすることになるため危ない気がしたので、打ち合わせ通り水は汲んでいかないことにした。
 大沢峰を越すと、いよいよ平岩山への登りとなる。この頃から大朝日岳周辺の雲が濃くなってきた。天気予報で、午後は雷注意報とにわか雨が降るようなことを言っていたので雨が降らないように祈りながら登る。
 長い登りであるが、花がきれいに咲いていたのには癒された。風が出てきたので、バカ虫もあまりうるさくなくなってきた。
 ここまでの疲れもありペースも上がらないが、祝瓶方面や大朝日岳の稜線を眺めながらなんとか平岩山に到着。
 
 風が結構強く冷たくなってきたので、一枚長袖を着た。最後の標高差約300mの登りを頑張らなければならない。
 西朝日岳の山頂はずっと雲の中だ。大朝日岳の山頂はときどきガスが切れるのが救いだ。歩いてもなかなか近づかない山頂にこれまで以上の疲労感があり、モコモコさんがしきりに「きついよ〜」と漏らすが、とにかく進まないといけない。
 山頂手前の急登は、まだあまり人に歩かれていないせいか石があまり落ち着いていなかったので、余計に時間がかかったような気がした。
先を歩くモコモコさんからようやく「山頂だ」の言葉が出た。山頂から小屋を見ると、小屋のすぐ裏に雪があるのが見えたので金玉水のところまで雪取りに行かなくても済みそうでほっとした。

 山頂はあいにくのガスなので長居は不要と記念撮影を軽く済ませて小屋へと向かった。
 山頂からはさすが100名山のメインルート、良く踏まれており歩きやすかった。
 小屋へ着く直前、小屋内に誰かがいるのが見えた気がした。モコモコさんと「誰かいるかな?管理人さんが入っていたらもしかしてビールとか売っているかな?」「平日だしさすがにこの時期は管理人さんは土日にしか入っていないでしょ、人もいない確率の方が高いんじゃないかな?」と話していたので、見間違いな気もした。
 小屋へ入り、挨拶をしてみると何も返事がない。もう一度しつこく声をかけてみると、二階から1人の男性が降りてきてくれた。男性は管理人さんではなく、今晩の同宿となる方だった。ありがたいことに水場のことを教えてもらえ、親切にも小屋に常備されている水汲み用のペッボトル(大五郎4リットルの空容器)を我々の為にとってきてくれた。靴を脱がなくて済んだので助かりました。
 
 金玉水まで少し遠いが、雪を溶かす時間と味を考えると汲みに行った方が断然いい。
 聞いた情報通り、金玉水の標識から入ソウカ沢源頭へ少し下ったところで雪渓が割れており、小沢に流れる豊富な水を汲むことができた。昨夜同様冷たくておいしい水をたっぷり確保できた。
 小屋へタラタラ戻り、早速宴会開始。
 同宿の男性(N氏)は今朝大石橋から祝瓶山経由で来た健脚の持ち主だった。少しずつ話をしているうちに、我々のホームページを見ていてくださっていることが判明した。
 極限られた人にしか見られていないであろう超過疎化したページなので、ある意味とても驚いた。
 色々話すことができ楽しく過ごさせてもらっていると、19:30頃からとうとう雨が降り始めてしまった。今日一日行動中に降られなかったのは幸いだった。
 また、我々だけでなく、N氏も途中で泊まることも考えていたが頑張って小屋まできてよかったと胸をなでおろした。
 小屋内のトイレも非水洗トイレが使えたので、外に出ることなく用を足せるのが助かる。

 携帯電話が小屋内から通じたので、天気予報を見てみると明日はお昼頃まで雨らしい。
 N氏は明日北大玉山から角楢小屋経由で下山されるとのことだ。一緒に降りれば車に便乗させていただけるとのありがたいお話もあったが、我々はまだあと3日あることもあり折角ここまで繋げてきたので、予定通り狐穴方面へ縦走を続けることにした。


6月10日(ガス)
大朝日小屋7:20〜竜門小屋10:00/10:48〜寒江山11:59〜狐穴小屋12:55(泊)

 朝外を見ると、雨は止んでいたものの物凄いガスだった。
 今日は天狗小屋へ入る予定だったが、このガスでは歩いても景色も見えず服が湿ってしまうだけなので狐穴小屋までとした。狐穴小屋だったらその後停滞となってしまっても水場は小屋脇にあるし、快適に過ごせる。
 そうと決まればそうそう急ぐこともない。ゆっくり朝食を済ませた。N氏は我々より一足先に出発して行った。お世話になりました。

 水は今日の行動分だけ持てばいいので気が楽だ。途中天候が悪化して竜門小屋泊まりとなっても小屋のすぐ近くには残雪があったはずなので水はなんとか作ることができる。
 気温がさほど低くないので、5月のときと比べれば気持ちも体力的にも楽だ。
 中岳は残雪が豊富で夏路よりも残雪上を歩くことの方が長かったような気がした。とにかくガスで視界がないので夏路を見失わないように残雪と藪のコンタクトライン沿いを歩いた。
 中岳を越えると、西朝日岳までははっきりした尾根になるので時折残雪上を歩くことになっても分かりやすい。
 西朝日岳〜竜門山の間はちょっとしたウスユキソウの群落だ。まだ少し時期が早いような感じだがとてもきれいだった。
 竜門山に順調に到着。モコモコさんは今日のうちに降りてしまいたいようなことを言ってくるが、とにかく竜門小屋へ行こうと促した。
 
 竜門小屋に入り休憩をする。
 快適な小屋なので靴をぬいでゆっくりすることにした。無線を取りだして小屋に備え付けてあるアンテナと接続できるか試してみた。モコモコさんの無線はばっちりだ。
 そんなことをして遊んでいるうちにずいぶんと時間がたってしまったようだ。
 狐穴小屋でまったりする時間が減ってしまうので、重い腰をあげて小屋を後にした。竜門小屋を出てすぐのところでは、登山道を覆っている残雪からの融雪水が流れていたのでこれを利用して竜門小屋に泊まるという手もあるが、気持ちは狐穴小屋だ。

 ガスは全くうすくならず視界がないが、物凄い量の残雪ときれいな花を見ながらいくといつのまにやら南寒江山、寒江山と越えて行き、相模尾根分岐となる北寒江山まで来てしまった。
 もう少しで今日の行程は終了だ。
 三方境からは一気に下りとうとう狐穴小屋の入口だ。小屋は大きな雪堤状となった残雪の下の方向にあるので、ここからは見ることができない。
小屋の方向へ近づくと無事発見。雪が少し硬いので、少し回り込んで傾斜が比較的緩くなっている斜面をバックステップで数m下降した。
 小屋前に引いてあるホースからは豊富に水がでていた。やはり狐穴小屋は素晴らしい。
 
 早速小屋へ入り、水を汲んだりのんび荷ほどきをしたり着替えを済ませてもまだ14:00前。
お腹が酷く空いていたのと、体が冷えていたのでパスタをゆでで食べたところ、眠気に襲われ気持ちよく御昼寝をした。

 数時間の昼寝から起きて外を見てみると、相変わらずの物凄いガスであるが、たまに二ツ石尾根方面は少し見えるようになったりした。
 小屋は予想通り貸し切りとなった。明日は早くも下山日。少々行程が長いのとバスの時間のことがあるため、早朝の出発をするため早目に宴会を打ち切って休んだ。


6月11日(雨ときどき止むのち晴れ)
狐穴小屋4:05〜二ツ石山7:03〜粟畑9:59〜登山口13:30〜大井沢(湯ったり館)14:30

まだうす暗いうちに出発。
幸いにして雨は降っていない。また、寒くもなく、風も吹いていないのでなんとかこのまま持ってくれればと願いながら、小屋横の雪堤に上がった。
昨日ガスが切れた瞬間に二ツ石尾根への巻き道を確認しておいたので、迷わずに登山道に乗ることができた。
登山道に入り、二ツ石尾根にのる直前に雨がポツリポツリと降り出してきた。
このまま雨具なしでも行けるかと期待したが、期待に反した降り方だったので雨具を着た。
雨具を着ての歩きは憂鬱であるが、救いは、雨が降ったことでガスが薄まってきたことだ。

二ツ石尾根は通年歩く人が少ないお陰で裸地化とは無縁の道だった。
高松峰までは順調に進んだ。高松峰の下りからは、所々ロープが張られた道となった。
前回歩いたときは雨も降っておらず結構楽しく歩けたが、雨が降っているとロープも足元も滑りやすくあっという間に時間が過ぎて行く感じだ。

オバラメキ付近に着いたときに雨がほとんど止んだので、雨具を脱いでいくか迷ったが、様子を見ながらそのまま行くことにした。雨が止んでくれるのはうれしいが、雨が止んだ途端にバカ虫が活動を始めるので困った。
コバラメキを過ぎればサクサク歩けた覚えがあったが、それはまだ雪堤が残っていたので歩きやすくなっていただけだった。
さすがにこの時期は雪堤を歩くことはなく、大雪だった今年は登山道が削られてしまったようで、外傾が強くなったり、藪ごと巻きこまれて落ちてしまって道幅が狭くなったりしているところありで、期待したほどペースは上がらなかった。
ようやく二ツ石尾根の水場(狐穴小屋情報によると、ここの水場は枯れてしまっているらしい)の標識に着いた。標識は、熊さんのサンドバックになっているような感じで削られた跡が目立った。
ここまで雨もほとんど降らなかったので、雨具の下を脱いだ。
 
標識を通り過ぎると、モコモコさんがなんだか地面を触っている。なんだ?と思っていると、食べごろの笹があちらこちらから生えていた。
ただでさえ遅れているのに、笹に手が伸びてしまいかじりついてしまった。これでは我々が熊のようだ。

その先もあちらこちらで道草を食いながら歩いたので、ウツノシマ峰にはようやくといった時間になっていた。
ここからは天狗角取山までの登りだ。さすがに道草を食うのはやめにして登ることに専念した。
視界が効かないので、ひたすら登り続けると、ようやく傾斜がなくなった。

天狗小屋に寄ると長居してしまいそうなので、大幅な遅れを取り戻すために小屋には寄らないことにした。
遊び心のある人がいるもので、天狗角取山には土俵が作られていて微笑ましかった。

ここからの登山道には今朝登ってきたらしき足跡があった。
管理人の山田さんのものだろうか?いずれにしてもこの足跡の持ち主には後々助けられた。
この頃から再び雨が本格的に降りだしてきたので雨具上下を着込んだ。粟畑までは夏路とほぼ同じ状態で歩けた。
雨量観測所手前にはまだ豊富な残雪があり、少し傾斜があるので念のためピッケルを出した。

竜ヶ池が見えるところまでは、明瞭な尾根上がルートであるお陰か夏路がほとんどでていたので楽に歩けた。
竜ヶ岳を巻くようになる頃から登山道を残雪が覆い始めた。
分かりにくいところは赤布があるので、赤布を探し、また、足跡をはずさないように進んだ。

猟師の水場は、周りが残雪で覆われていてもきちんと機能していた。冷たくておいしい水だった。
この辺りは5月の連休の時には、天狗小屋の管理人である山田さん先頭にズンズン下っていけたところであるが、雪が少し硬く、登山道が出始めている今は慎重に先にある登山道を探しながら下り気味にトラバースした。
登山地図に記載された水場となる小沢はまだ完全に雪の下であった。

地図で見るよりも長く感じるトラバースを終えたところで一休み。雨も止んだので雨具も脱いで、ついでにシャツも一枚脱いだ。
バカ虫が執拗にまとわりついてくるので落ち着いて休めないのがうらめしい。
とにかく後はひたすら下るのみ。

きれいな樹林帯なので、登山道が滑りやすくなる所までは、単純な下りもそう苦痛に感じなかった。
カラ松が見えてくるようになると傾斜もほとんどなくなり、バスに乗る前にお風呂に入っていける目途も立ったので、セミの抜け殻を探したりしながらのんびり歩いた。
間もなくで堰堤が見えた。
これが見えたということは車道も間近だ。

やった、もうすぐだと言いながら最後でコケないように気を付けて行くと、すぐに登山道終了。
駐車場に山田さんの車はなかった。おそらく足跡の主は山田さんではなかったのだろう。
南沢の出合いで最後の休憩をしてから、湯ったり館へ向かった。
タクシーの予約をしてから4日分の汗を流した。雨にぬれたこともあり、最高に気持ちが良かった。

今回は16:05発の高速バスに乗るため月山口までの短い利用だが、タクシーは離れた間沢から来るので以外に料金がかかった。
高速バスは荷物をトランクに預けられるのがいい。
骨折したときの思い出(月山口から救急車に乗って高速道路を走った)を久しぶりにモコモコさんとしばし話してから心地よい眠りに着いた。
山形駅まで快適に移動して「味処 やまかわ」(親方の丁寧な仕事。大満足でした。)で打ち上げをしてから家路に着いた。




どうでもいいおまけの話
帰りに乗った山形新幹線は、土曜日にもかかわらず最終まで指定券は売り切れだった。
なんとか自由席を1つ確保できたので交代で座った。また、ちょうど確保したところは車両の一番後ろの通路側だったので、座席の後ろの空間に荷物を置き、荷物に座って移動した。ネズミのように縮こまっていなくてはならないが、意外と居心地が良くモコモコさんに交代の時間と起こされるまでぐっすり眠ってしまった。
今度は立つ番になったモコモコさんは、最初は座席の肘掛に座っていたが、山人同様ネズミになってみたところやはり寝てしまったらしい。
幸運にも郡山駅からは二人とも座ることができ、ネズミ状態から解放された。


震災以来、新幹線の下り先頭車両には全てこれがプリントされている 長井フラワー鉄道車内には、もっちぃがいた
大石大明神 オケサ掘
嘉永清水 .古いが居心地の良い葉山山荘
大朝日岳への縦走が本格的に始まる キツツキの開けた穴 まだ新しい
雰囲気のいい樹林帯(行者ニンニクがたくさん) 中沢峰手前の鞍部にある水場
水場のあるちょっとした広場 いい所だった 中沢峰への登り途中で葉山方面を振り返る
前御影森山を目指して 前御影森山手前から大朝日岳へ続く稜線を見る(遠い・・・)
御影森山を越えた 平岩山への登りでは祝瓶方面への稜線がとても魅力的に見えた
大朝日岳への最後の登りだ 今晩も冷たくておいしい水が飲める
中岳 翌日はガスで見えず 竜門小屋手前に咲いていた
竜門小屋付近の残雪 ガスっているのが残念 最終日 皮肉にも雨が降ってきたことで視界がよくなった
オバラメキ、コバラメキ付近でやっと主稜線のガスがすべて晴れた 土俵
竜ヶ岳 ありがたい猟師の水場
竜が岳のトラバースは残雪が多い 長い山旅もフィナーレ(上り先頭車両にはこれがプリントされている)


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