南八幡平
小和瀬川大沢〜大沢森〜中ノ又沢〜葛根田川〜戸繋沢〜乳頭温泉
〜のんびり癒しの沢旅〜
2011年8月5日〜8月6日

今シーズンは癒しの沢巡りということで、南八幡平へやってきた。癒しということでルートを急遽短縮したりしながら、のんびりと遡行した。

アプローチ
8月4日〜8月5日
夜行バス 東京駅八重洲口23:30−盛岡駅6:50(実際到着はこれより20分程の遅れ)/7:57−田沢湖駅8:31/(タクシー約12000円)−小和瀬川林道終点9:45/10:20〜入渓点10:40/10:56

コースタイム
8月5日
小和瀬川林道終点10:20〜入渓点10:40/10:5610:56〜F3 20m11:24〜二俣13:53〜稜線14:49〜15:31P999より下降〜中ノ又沢16:26〜テン場16:45

8月6日
テン場6:25〜葛根田川8:33〜大石沢9:44〜戸繋沢10:12〜金掘沢出合11:49〜稜線13:40〜乳頭温泉14:52



 8月5日
コースタイム
小和瀬川林道終点10:20〜入渓点10:40/10:56〜F3 20m11:24〜二俣13:53〜稜線14:49〜15:31P999より下降〜中ノ又沢16:26〜テン場16:45


 出発前からとても腹の立つことがあった。東京駅で帰りの新幹線の切符を取ろうとみどりの窓口に並ぶ。営業時間終了の23:00までになんとか間に合った。するとキャリーバックを引いたサングラスを掛けた70才位のクソババアが割り込んできた。(クソババアと言わせてください)
 関わりあいになりたくないので、誰もが列に並ぶように声もかけず、JRの窓口の人も忌まわしいその存在を無視していた(恐るべし、日本人のスルー能力の高さ。また、みどりの窓口の人 GOOD JOB!!)

 営業終了間際ということもあり、窓口は2つしか空いておらず、1つの窓口(1番窓口)は酷く長引いていて空く気配が全くない。幸いクソババアが割り込んで張りついた窓口が長引いている一番窓口なので、クソババアには順番は回らず順調に我々の番になった。後でモコモコさんと話したところ、1番窓口で切符の申し込みをしていた人は、モコモコさんにとって最初は空気の読めない悪役だったのがいつのまにかクソババアを阻止する英雄に変わったそうだ。

 もう時計は23:00を回り、JR側も痺れを切らして臨時に3つ目の窓口が開いた。クソババアはものすごい勢いで3つ目の窓口にやってきた。対応した女性の担当者から「ここまでどうやってきたのですか?」ときつく何やら言われている。そんなことは全く気にもせず「電車できた。」といまどき小学生でも言わないようなふざけた答えを返した。窓口を開いていきなりクソババアの対応をしなくてはならない担当者もかわいそうだ。どうやら無賃乗車のようだがこちらも夜行バスの時間が迫っている、その後が気になるがバス停に急いだ。

本来ならば、田沢湖駅へ直通で行ける「レイク&ポート号」で行きたかったが、天候を見極めているうちに満席になってしまったので、比較的乗りなれた盛岡行のバスでのアプローチだ。このバスになってもレイク&ポート号の30分遅れで済む。
荷物をトランクに預け早速乗りこみ、気を取り直して出発。
夜行バスなので当然リクライニングを倒して寝る。夜中の3時頃、後ろの席から足が痛いからリクライニングを上げてほしいと要請を受ける。めちゃくちゃ背が高く脚が長いからなのだろうと思い、リクライニングを上げた。悶々とした時間を過ごし、本宮付近での道路工事に寄り発生した渋滞のため予定より20分ほど遅れて盛岡駅に到着。私の後ろの席の人は、私と同じぐらいの身長で足も同じくらいの長さだった。まったく、座っている姿勢が悪いから膝が前にくるんだよ。モコモコさん曰くそいつはリクライニング全開で寝ていたそうです。もう腹が立つ。

ということで、入渓前からこんなことが起こり幸先の悪いスタートとなりました。

改めて気を取り直して、盛岡駅で朝食をとり田沢湖駅へと向かった。
久しぶりの田沢湖駅(骨折した年の夏の旅行で訪れて以来だ)は、クニマス発見に関することが新しく加わっていた。
駅からはタクシーで入渓点へ向かった。
男神橋を渡り、発電所への良く整備された道と分かれて小和瀬林道へ入る。林道は終点手前で通行止めとなっていた。
話がとても面白い運転手さんとはここでお別れだ。

沢支度を整えて林道を先へと進むと、大した距離もなく終点へと着いた。
ここからは良く踏まれた沢沿いの登山道を行く。
1時間くらい歩くことになるのかと思っていたが、案外早く入渓点に着くことができた。ここから登山道は尾根に取り付いて一気に登っていく。
軽く食事を済ませてから入渓。

少し暗いゴーロ歩きからのスタート。
進むこと少しで沢が大きくカーブすると滝が出てくる。
なかなかきれいな滝だ。簡単に越すと8m滝(F1)だ。途中までは簡単に登れるが、上部が立っており、完全なシャワークライムになりそうで少しヌメッていそうだ。お助け紐を出して登ろうとしたが、時間がかかりそうだ。周りを見ると、中段から左岸を簡単に巻けそうなのでさっさと巻きに入った。
巻きは階段状になっており、上部はしっかりとした枝があって落ち口へとすんなり戻れ予想通り簡単だった。
地形図の滝での一つでもある10m滝(F2)を問題なくこなして、この沢で一番大きな滝である 20mスラブ滝(F3)が出現した。
登れるが、少し足を滑らせると下まで一気に行ってしまうので怖がるモコモコさんにはザイルをだした。モコモコさんによると、難しくはないが、所々この一歩だけという感じで緊張したようだ。

この滝上は快適に登れる滝が続いてとても楽しい。
3:2で支流を合せると、かわいいゴルジュ状と簡単に登れる滝がでてきたり、とても小さい沢であるが大凡八幡平と思えないような高い側壁が現れたりしてなかなか見ごたえがあった。

左岸からルンゼが入った先にある8m滝では念のためお助け紐を出したが、モコモコさんともにすんなりクリア。
簡単でお助け紐さえいらないかもと思っていたが、なかなか登りごたえがあって楽しい。
どんどん登れる滝を快適に越えて行くことができ、気が付くと沢はV字谷状となっていた。
アブが少しうるさく、時々かみつかれたりすることもあるが、とても気持ち良く遡行できる沢だ。
だんだん源流の様子を見せてくる頃に左岸に30m程の滝が入ると本流も10m滝がかかっていた。階段状になっており問題なく登れた。
この滝上は既に源流域だ。途中5m程の滝がある以外は、2m程の小滝と河原歩きをこなすと二俣となった。
ここは目的の大沢森に近い右俣に入った。
右俣に入ってからも10mと7mの滝がかかっていたが、これも難なく登れ、あとは小滝をこなして水流を辿っていく。
いよいよ水涸れが近いところで、二俣のようになっていた。左のほうが沢床は低く開けていたが、水を汲んでから水流がある右沢へ入った。

右沢へ入るとすぐに水涸れとなり、窪を辿っていく。この窪もすぐになくなり、藪こぎへ突入。
しかしヤブはそう濃くないので意外と早く進めた。
最初は大沢森方面へ直接向かい、空が良く見えるようになってからは登山道に早く出るためトラバースするように進んだ。
ヤブコギの途中なぜが赤テープがあった。無事登山道に出ることができ、休憩した。モコモコさんはなんだか具合が悪くなってしまったようなので、山人が代表して現在地を確認しに行くと、すぐ大沢森に着いた。思ったより大沢森に近づいていたようだ。

ここで作戦タイム。
当初は大沢森から少し曲崎山方面へ下ったあたりから中ノ又沢へ下降する予定だったが、時間がかかりそうだし、モコモコさんの具合も悪そうなので登山道を使って距離を稼いで、標高999mピークのあたりから下降することにした。
歩きながら具合が悪いモコモコさんに「今日は大白森山荘泊まりにする?」と聞いてみると、回復してきたので沢で泊まるとの返事があったので一安心だ。
この辺りは良く歩かれるようになったのか、登山道が非常に整備されていて歩きやすい。以前歩いた時はもっと笹藪がかぶっていたような感じだったと思う。
お陰で予定よりも早くに下降点に着いた。
999mピークの分岐にはテープと標識があった。

一番沢が近づいていそうなところを探ると、ここから入るのですよと言わんばかりに窪が見えた。
早速一歩足を踏み入れると、良く利用されているのかステップができていた。
すぐに水も現れ、すこしヤブを払えばいい水場になりそうな感じだった。

どんどん進んでいくが、蛇行を繰り返し一向に高度も下げず距離も稼げない。時折ボサがかぶったり、倒木をまたいだりヤブをショートカットしながら滝一つないブナ林の中の静かな流れを黙々と下っていくと、やっと本流に合流した。
本流と合流しても、規模が大きくなっただけで滝は皆無だった。
そろそろいい時間になってきたので、泊まるのにいい場所はないか物色しながら進む。最初は誰かが泊まった跡を利用しようと思っていたがそういった形跡が現れてこないので、自分で開発することになりそうだ。

標高860m付近だったと思うが、モコモコさんがヤブが薄そうなところを発見。焚き火するにちょうどいい河原もあり、良く見るとうっすらと焚き火の跡があった。
下流をのぞくとめずらしく側壁が立ってきて、河原もなくなりそうな感じだったので、今晩の宿に決定した。
ヤブを軽く刈り払い、邪魔な枝を縛るとなかなかな物件となった。
薪を集めて早速点火。

アブは日が暮れるまでまとわりついたが、秋田県側と比べで数も少なく気性もおとなしい感じがした。
その晩は雨に降られることもなく、蛍が飛ぶのを観賞しながら楽しく過ごした。


8月6日
テン場6:25〜葛根田川8:33〜大石沢9:44〜戸繋沢10:12〜金掘沢出合11:49〜稜線13:40〜乳頭温泉14:52


 今日の予定は金掘沢出合までのんびり遊びながら行く予定だ。
朝もゆっくりの出発のつもりだったが、アブが活動を始めたので我々も動かざるをえなかった。

昨日同様、滝がなくブナ林の中を蛇行して静かに流れて行く沢を景色を観賞しながら下っていく。
途中いくつか泊まった跡があったが、やはりこの沢へはあまり入らないのかあまり使われていない感じだ。

ひたすら河原歩きをこなしていくと、雰囲気がいきなり変わって滝が出てくる。いくつかのきれいな滝を簡単に下ると葛根田川本流出合いだ。
遊びながら、かなりのんびり降りてきたが予定よりも早く降りてきてしまった。そこで少し本流を上流方面へ歩いてみたり、葛根田川本流を遡行したときに泊まったところを確認したりして時間を潰した。

葛根田川を遡行した時は寒かったり雨に降られてしまったりで、大石沢出合までの間をのんびり楽しみながら歩いた記憶がないので、あちらこちらを覗いたりしながらさらにたらたらと下降した。

大石沢は葛根田川の一大支流らしく水量が多い。
岩盤の発達した申し分ない渓相だ。残念なのは温泉水が入っているらしく白濁してしまっていることだ。
それでも規模が大きくちょっとした滝も出てきたりと楽しく遡行して行けた。
戸繋沢出合からの大石沢は途端に小さい流れとなっていた。戸繋沢は本流の風格を残したままゆったりとしていた。
河原歩きも増えてくるが、大きな釜を持つが簡単に突破できる小滝を越えたり、突然幅広美しい滝が現れたりと満足に行く沢旅だ。
今日は日差しが強くとても暑いので、修行をすることにした。ところが予想以上に水が冷たく結構きつい修行となった。しかしほてった体を一気に冷ましてくれ、さっぱりした。
この滝は左を快適に登れた。滝上は久しぶりにナメ床となりごきげんなところだ。
ナメ床もわずかで終り、ゆるやかな河原歩きを続けて行くと、金掘沢出合だ。
のんびりとこのあたりで泊まっていく予定だったが、そうするにはあまりにも時間が早すぎこのまま十分下山できそうなので先へと進むことにした。

金掘沢を分けると、ひたすら蛇行する河原歩きだ。
途中、木に食われ始めている程、古い「ガ二場方面」の標識がなぜかある。
いい加減河原歩きも疲れてくるが、周りをみるときれいなブナ林で癒される。
滝は終了したかと思っていたら突然小滝が出てきたのがうれしい。

この小滝から30分も歩くと、一部だけ岩盤が発達した感じになりすぐに左岸から小沢が入った。
出合いにはテープがあり、蟹場分岐に行くにはもう少し先まで言った方がいい気もしたが、昨日の様子からこれは稜線との連絡通路として使われていると思われたので迷うことなくテープの付いた小沢へ入る。
この小沢はとても小さく水量も少ないのに、ガレがたくさんある不思議な感じのすることろだ。小沢はこれまでの平坦な流れから普通の源流部の傾斜となっていた。さほど歩かないうちにモコモコさんが「あれ、テープがある何だろう?」というので、少し先を見てみると登れない滝がかかっていた。どうやら巻き道の入口らしい。

踏み跡を探して忠実に辿ろうとすると、少し迷う気もするが普通の感覚で行けば低く巻けすんなりと沢床へ降りられる快適な巻きだった。
順調に高度を上げていき、水を汲んでからもまだちょろちょろと流のある中を辿っていく。またテープがでてきたが、蛇行する部分の近道だった。
窪を忠実に詰めて行き、窪の本筋が大きく左にカーブするところで小さな窪に入るようにテープがあった。これに従い浅い窪をどんどんつめていくとヤブコギなしで登山道にひょっこり出た。なんともらくちんなルートだった。蟹場温泉への分岐まで10分ほどのところだったので、ほぼ予定通りに詰め上げられた。確認はしなかったが、反対の秋田県側のヤブもなんだかルートが出来ているようだったので、我々が導かれて登ったところは稜線をまたいで行き来する色々な道の一つなのだろう。

蟹場分岐にある標識には登山口まで30分とあり、地図には40分とある。どちらにしてもバスの時間には余裕で間に合いそうだ。
下り始めると、登山道はとても良く整備され、傾斜も程良くとても歩きやすくなっていた。これは標識のコースタイムで下れそうだ。
下りの途中では田沢湖が見えたりとなかなか景色もいい。少し傾斜が増したあたりで話声が聞こえた気がしたが、気のせいではなく間もなくで登山口だった。

バス停は小さな物置のような小屋があるだけで宿のすぐそばにあって、人が頻繁に行き来しており、着替えをするのが困難だ。小屋はというと年配の夫婦らしき登山者が独占しており中で着替えるのは難しそうだ。
仕方なくモコモコさんは藪の中で着替えをすることになったが、ヤブ蚊が朝日飯豊や南会津のメジロアブのように一斉に押し寄せ攻撃してきたので下半身だけ着替えるのが精いっぱいで飛び出してきた。シャツの上からも蚊に刺されたので、全身かゆがっていた。
山人もとばっちりを受け、モコモコさんが連れてきた蚊にさされた(バスに乗り込んでから二人ともムヒ塗り大会となった)。
そうこうしているうちに小屋に陣取っていた登山者がやっとバスに乗り込んだので、小屋の中へ入ることができた。
人通りがないのを見計らって二人とも無事着替えを済ますことができた。

今回は始めと終わりに少し残念なことがあった感じだが、天候に恵まれ、八幡平の自然の素晴らしさには癒された。


入渓して間もなく変化が現れる F1 直登も可能だが、中段からは巻いた
F3 20mスラブ滝 モコモコさんが登ります 快適に登れる滝が続く
中流部の明るい連瀑帯 とても楽しいところ 上流部にも美しい滝が次々とかかる
これ以上ないくらいに快適に登っていける 明るくきれいな沢
大沢森山頂標識 熊さんに攻撃された? 中ノ又沢での朝、焚き火を熾す
変化が現れれば葛根田川本流はすぐそこ 大石沢は岩盤が発達している
申し分ない渓相 水が白濁しているのが残念 戸繋沢のクライマックス 幅広7m滝
滝上はきれいなナメ 突如として現れた古い標識
さすがに沢も小さくなってきた 支流に入ってから出てくる登れない滝(簡単に巻けた)


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