吾妻連峰 
天元台〜藤十郎〜ヤケノママ〜中吾妻山〜議場〜秋元湖
〜5年越しの念願のルート〜
2012年2月24日〜2月26日

 モコモコさんがしつこくらいに狙っていたルートだ。
 天気は相変わらず芳しくないが、風に吹かれると厳しい又は断念することになる県境稜線を行動する日は高気圧がやって来るらしい。
 2日目以降はまた天気が悪くなるらしいが、県境稜線から降りた後は、ほとんどが樹林帯の中の行動なので多少天気が悪くてもなんとかこなせる。
 日程も厳しくならないように組んできたので挑戦することにした。

地形図;
天元台、吾妻山、中ノ沢

アプローチ

東京駅6:12−米沢駅8:25/9:00−湯元駅前9:41

コースタイム

2月24日(曇りのちときどき晴れ)

 リフトトップ11:30〜人形石12:28〜藤十郎鞍部13:00〜中津川14:00〜ヤケノママ15:25〜ヤケノママ対岸15:30(幕営)

2月25日(大雪午後小雪)
 幕営地7:07〜継森とP1933m鞍部10:44〜地形図の破線P1933m中吾妻山間乗越し11:51〜中吾妻山とひょっこりピークの間12:13〜1150m付近15:38(幕営)


2月26日(小雪)
 幕営6:46〜林道(議場)7:42〜レークライン下隧道8:28〜レークラインへの林道分岐9:00〜秋元湖9:31〜千貫10:33〜秋元湖入口11:18




2月24日
(曇りのちときどき晴れ)
 リフトトップ11:30〜人形石12:28〜藤十郎鞍部13:00〜中津川14:00〜ヤケノママ15:25〜ヤケノママ対岸15:30(幕営)

昨日は全国的に雨となったが、今日は高気圧がやってくる。
久しぶりに天元台からの入山だ。白布温泉に近づくと雪が降っていたが、リフトに乗る頃には止んでいた。
登山届を出して、リフトトップへ向かい、リフトトップでシールを貼る。

準備中に、最終リフト終点で良く見かける係員のお兄さんに声をかけられる。今後の予定を話すと、昨日はこの辺り(1800m付近)でも雨が降ったので雪面の状態はかなり悪いと思うからゆっくり行ってくださいとありがたい情報をもらえた。

モコモコさんの音頭で体操をして出発。
なるほど雪面は最悪で少しでも傾斜が強くなると、普段ではなんでもないところが後滑りして登れなくなる
今朝がた降った雪が少しでも風でたまったところを選んで地道に登る。
それでもラッセルがないのは早い。
稜線には30分ほどで到着。風もほとんどないので楽勝かと一瞬思ったが、お兄さんの言う通りガリガリの雪面に苦労して後滑りに横滑りが加わったことでペースがガタンと落ちた。

それでもなんとか1時間で人形石に着けた。ここからいつもは楽しい下りだが、コントロールが効かなくなりそうで結構怖い。雪面にわずかな段差があると、急にやわらかい表面があって滑り具合が180度変るようなところが頻繁に出てくる。
慎重にトロトロと下降を始める。

下降してわずかに尾根の形をとるようになったところは極力風下側の斜面を使って降りた。風下側は雪がとてつもなく重いが、アイスバーンではないだけ制御しやすい。
鞍部に降りてからも状態は変わらず。ちょっとした段差でいきなり滑ったりその逆だったりと目まぐるしく変わる雪面に苦労しながら藤十郎まで進んだ。条件がいいともうここまで来てしまったかという気持ちになるが、今日は気を張ってきたせいかいつもより遠くに感じた。

ここから中津川へ向けて下降開始だ。
最初はやはりガリガリと重い雪の吹きだまり状態と色々変わる雪面に気疲れるするが、樹林の背が高くなってきてからはただの重い雪質となってくれたのが助かった。天気も良くなってきているのでうれしくなる。ほぼ破線通りに下降して中津川へ降り立つ。

中津川を横断して少し高台へ登るところで雪質が悪い所もあるが、てこずるところはなかった。
いよいよヤケノママ手前のへそのようにでているところを回り込んで再び中津川への下降だ。
ここの下降は楽しかった覚えがあるが、今日は最悪の雪質の為あまり楽しめなかった。

ヤケノママへ近づくとボコっと雪面に穴があいているのが見えた。ヤケノママへ到着し、その穴に近づいてみると、わずかに地面からポコポコと湯が湧きでていた。温度は何度くらいか測ってみたかったが温度計を持っていなかったので断念。
記念撮影をして今日の幕営地を探す。

中津川へ降りてスノーブリッジを渡り対岸へ。木のそばで幕営することにした。結構時間がかかったが、整地を済ませテントを張ったら中津川の水を汲みに行った。
旨い具合に水を汲めるところがあったのが助かった。
明日天気が悪くなるとは思えないほどのいい天気だ。
テントに入って落ち着いたところで問題発生。なんとこの先のGPSのルートデータをモコモコさんは入れ忘れてしまっていた。
現在地が分かるのとあまり複雑な地形を通るわけではないので大丈夫だが、やはりショックだ。モコモコさんは責任を感じてか、長い間明日のルートを地形図を見ながら確認していた。
そうこうしてるうちに時間が経っていく。
明日雪が降るのは仕方がないが、どうか風だけはあまり吹きませんようにと祈りつつ眠りに就いた。


2月25日(大雪午後小雪)
 幕営地7:07〜継森とP1933m鞍部10:44〜地形図の破線P1933m中吾妻山間乗越し11:51〜中吾妻山とひょっこりピークの間12:13〜1150m付近15:38(幕営)


寒くて目が覚めた。
出発準備を始める頃になると雪が降ってきた。
少しの時間でも雪に覆われてしまうくらいのどかどかと降る雪だ。
昨日はガリガリの雪面にとても苦労したので、この雪が逆にいい状態にしてくれるかもしれない。

しょっぱなから急な斜面を登る。
雪面の状態が悪く非常に苦労する。途中まで登ってこのまま斜面を登るのは大変なので少し中津川を下降して小沢から上がろうとしたが、中津川の側壁が立っていて滑落すると中津川へぽちゃんと行きそうなので、そのまま頑張って登ることにした。

モコモコさんが先行して登る。バリバリに堅いところやうっすらと雪が積もっているところなど後滑り横滑りしやすくなっていて傾斜をとって登ることが出来ないので、何度もターンをして固い雪面を踏み込んでなんとか登っていく。
出発してなんと1時間もかかってようやく緩やかな台地状になっているところに着いた。

すぐにはっきりとした沢形に出た。ここで先頭を山人に交代して行く。
小沢を対岸に渡り、いよいよ継森中吾妻山の稜線へと登り返しが始まる。今回は地形図の破線通りではなく、継森から延びる尾根を登路にとり、継森と1933mピーク間にある湿原を目指して登ることにした。
雪がどかどか降る中黙々と登っていくが、昨日のガリガリを覆ってくれるので逆に登りやすくなっていく。どかどか降っているがラッセルになるほど積もるわけでもない。
尾根自体も登るのにちょうどいい傾斜であるのと、樹林間隔が適度に広いので登りやすい。

雪だけでなく風も結構吹いているようだが樹林帯の中なのであまり気にならずに登っていける。
標高1800m近くになると樹林の背が低くなるだけでなく樹林そのものが薄くなってきたので、さすがに風が直接吹き抜けて行く。このまま吹きさらしの中を行くことになるのか不安になったが、再び樹林帯となったので一安心だ。
継森中吾妻山の間は樹林帯の中を行動出来ることがわかっているのでここまでくれば予定通りにいける。心なしか雪も小降りになってきたようだ。
途中なぜか継森へ登る方向へ行ってしまったが、無事湿原に到着。ありがたいことに雪だけでなく風も収まってきた。

1933mピークは今回元から巻いていくつもりでいたので、そのままの高度を保ちながら進んだ。樹林帯なので西側(本日は西風)斜面でも平気だ。
このピークは意外に大きくいつも越すのに1時間程かかるところだ。今回もやはり時間が掛った。
破線が稜線を乗り越すところは晴れていれば絶好の休憩場所だが、今回はそのまま通過。
この頃になると風雪が弱まったお陰で少しずつ視界が効くようになってきた。下降地点となる中吾妻山と隣のひょっこりピークの鞍部が見えてきた。

遠いようで意外に近い鞍部に着いた。今回はもちろん中吾妻山山頂へはいかずにそのまま下降する。
最初はコンパスを標高1600mの等高線と夏路が交差するところに合せて下降開始。
ついつい滑りやすい方向へ行ってしまうので目標よりも大分西へ行ってしまう。モコモコさんに適当なところから次のポイントへ向かおうと提案するが、きちんと行ってと却下された。

最初の目標に到達。第二ポイントは標高1500mまで南進。傾斜がゆるくなっていくのが特徴なので少しでも急になるとモコモコさんから注意が入る。なんだか今日のモコモコさんは転倒することが多いせいか気が立っていた。
ここから議場へ降りるのに破線から大きく外れる。破線通りに進路をとると、標高1250m付近と標高1050m付近の急斜面でヤブと植林地帯に悩まされ、林道に出てからは傾斜がないのでひたすらの歩きとなって時間ばかりがかかってしまった記憶があった。これと違い中津川を大変な思いをして横断したときに使ったルートは少なくとも標高1166m付近までは快適に下れた覚えがあったので、今回も中津川に沿った尾根を辿ることにしている。

第三ポイントは1286m地点だ。この間はやはりとても快適だった。やがて対岸にグランデコが確認できるようになったと同時に、うさぎさんがダッシュしていくのを今回も目撃できた。いつもは先頭者しか目撃できないことが多いが、今回は二人揃って目撃できた。ラッキー。
1286mポイントで一度休憩がてら今後のルートを確認する。

モコモコルートによれば、ここで一度西へ行って中津川への急斜面を確認するのがポイントだそうだ。すると自然に目的の尾根に乗って今日の目的地1166mポイントに自然に着けるとのことだ。
ここでモコモコさんが恒例の立ちゴケ。何もしていないのにモコモコさんに八つ当たりされた。やれやれ。モコモコさんはどうやらお腹が減っているようだ。行動食を無理やり食べさせると気持ちが落ち着いたようだ。

中津川へ落ち込む急斜面を確認したところで急斜面に沿って南西へと進路をとる。グランデコが見えるので方向確認が簡単だ。
傾斜がゆるんだのと、標高が下がり雪が重くなったので進まなくなった。ここまで来てようやくモコモコさんが先頭を買って出た。
するとすぐに行動ストップとなった。なんだ?と思ったらやたらにシールがひっかかるとのことで、確認してみるとべったりとシールに雪が付いていた。「どうりでやたらに滑りが悪くて転ぶわけだよ」と漏らしていた。もうすぐで今日の目的地だが、シールワックスを塗ることにした。

シールワックスの効果でひっかかりがなくなったことでモコモコさんの機嫌も良くなったようだ。
大きな広葉樹の森の中で今日は幕営だ。
1166mピークのすぐそばでちょうど入り組んだところに大きな木があり、風が避けられそうないいところがあった。二人とも一目で気に入り、時間も時間なので幕営地とした。
どかどか雪が降ったものの、その下は完全に締まった雪なので整地は比較的早く完了した。
テントに入れば快適な宿となり、今晩の寒さと明日に備えてたっぷりの夕食をとって休んだ。


2月26日(小雪)
 幕営6:46〜林道(議場)7:42〜レークライン下隧道8:28〜レークラインへの林道分岐9:00〜秋元湖9:31〜千貫10:33〜秋元湖入口11:18


昨晩から明け方まで結構風が吹いていたようだが、幕営地の選定がよかったのか一切風の影響を受けずに済んだ。
ただ気温が一段と下がったので、昨日よりも標高を大分下げていたが昨日同様寒さで目が覚めてしまい、起床時間までしばらくうとうと状態で過ごすこととなった。

昨日は進むにつれてだんだんと重くなっていった雪が、気温が下がったので雪質が良くなり軽い。
昨日は標高がさがるにつれてシールをつけたままでは滑らなくなってしまったくらいのゆるい傾斜でも良く滑る。順調に進み、標高1000mまで中津川側の崖沿いに進む。

標高1000mになったところで、進路を左に降って中津川から数えて2本目の尾根に進路をとる。そのまま中津川の崖沿いの尾根にすると最後で苦労しそうだからだ。
無事目的の尾根に入ると唐松林となる。さすがに積雪量が少なくなるので時折笹やヤブ枝が出てくるが樹林間隔が開いていて適度な傾斜で快適だ。
林道が近づいてきたところで尾根から下りてしまおうか迷ったが、そのまま尾根上を行くことにした。これが正解で、しばらく進むと尾根の両側は植林されたまま放置された背の小さい混んだ針葉樹林帯となっていた。尾根から下りていたら前回同様に障害物競争をやるはめになっていた。

尾根末端の数m急な斜面を降りるとすぐに林道だった。
この林道は全く滑らないのでこれからが本番といった感じになる。一息入れて第2ラウンド開始。
林道になってようやくモコモコさんが先行してくれるようになった。

中津川渓谷道入口、唐松川を橋で渡り、すぐに中津川を橋で渡り延々中津川沿いを歩く。
レークライン下の隧道をくぐると、レークラインへの林道分岐までは目印が無くなる。夏道のコースタイムの2倍の時間をかけて林道分岐に着いた。
ゆっくり休憩をとって、林道歩きを開始する。
予定では、秋元湖の回りの林道を延々と歩いて標高803m地点があるところから湖を横断するつもりだったが、湖を見ていると全面凍結しているようでワカサギ釣りのテントが沢山見える。
これはいける!!ということで秋元湖を横断して一気に千貫まで抜けてしまうことにした。

湖上は風が吹いていて時折視界が悪くなるが、目標が見えなくなることはないしなにしろ良く目立つテントがあちらこちらに立っているので迷うことがない。
秋元湖の島までくると目的地に向かって(目的地から来た)スノーモービルの跡を使ってサクサク進む。

かなりの近道となり、前回林道に忠実に歩いた時は3時間かかったのがなんと1時間で着いてしまった。
車道に出ても路面にはばっちり雪が付いているのでそのままスキーを履いて歩く。
バス停まで以外と長く、登りになったりするがあとわずかと思うと頑張れる。
バス停に予定よりもかなり早く到着。
モコモコさんはバス停近くの家の除雪作業をしていた方としばらくのんびりおしゃべりをしていた。

秋元湖入口のバス停はありがたいことに、とても小さいが待合室があったのでここでスキー板やブーツなどのパッキングをすませた。
パッキングが終わったところで問題浮上。
当初は歩いていける距離の裏磐梯ロイヤルホテルでお風呂に入らせてもらおうとしたが、早く降りてきたことで入浴時間まで1時間以上待つことになってしまう。これはあまりにももったいないのでモコモコさんと議論を交わす。結果、裏磐梯高原行きのバスがもう少しで来るのでそれに乗って裏磐梯高原ホテルへ行きそこで入浴させてもらうことにした。

裏磐梯高原ホテルの入浴時間は12:30〜なのでパッキングをやり直したりしているうちに入浴時間になるし、近くに食事ができるところがあるらしいので入浴と食事を一気に済ませられる。ちなみに裏磐梯高原ホテルは改装工事のため2012年3月1日〜2012年4月23日の間は営業休止らしい。ぎりぎりだった。
バス代が少し余計にかかってしまうが、1時間食事もとらずにぼーっとしているよりはいい。

ありがたいことにバスはホテルの玄関前まで乗り入れてくれるので一切歩くことはない。
入浴前にフロントで荷物置き場などを尋ねると、乾燥室へ置いてくださいとのことなので乾燥室へ向かうと、とても暖かく、しかも靴を脱いで上がるじゅうたん敷きの部屋だったので、誰もいないこともあってお店を広げて本格的にパッキングをし直した。

パッキングが終わったところでちょうど入浴時間となった。
お風呂はタオル・剃刀付で、モコモコさんによれば女風呂はタオルの他化粧品や櫛も完備で手ぶらでOKの快適さだったそうだ。実際のお風呂も露天風呂付きで裏磐梯スキー場を眺めることができ、今は凍結しているが弥六沼が眼下にあるとてもいい景色だった。
湯あがりは裏磐梯の美味しい水が飲み放題。満足でした。

さっぱりしたので、少し移動して目黒ゴールドハウスでボリュームたっぷりのチーズカツ定食を食べて猪苗代駅行きのバスに乗り込んだ。
猪苗代駅前の「かくだい食堂」の暖簾がかかっていたが、さすがにお腹いっぱいなので今日も残念ながら食べずに帰ることになった。
毛布が待っているので、後は一切寄り道せずに一直線に家へ帰った。


天元台トップから出発 中大テン付近(ガリガリでシールが効かず苦労する)
中津川(気持ちのいいところでした) モコモコさんだす
対岸の壁 モコモコ滑る
ヤケノママ ポコポコ
湯気が出ていた シーン
朝方までは良かった 出発するころから雪が降ってきた
中吾妻山の隣のピーク 滑る
天候は安定 林道直下の樹林帯
モコモコ進む トンネル
秋元湖 突っ切る


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