朝日連峰 
大石橋〜(角楢小屋)〜祝瓶山〜北大玉山〜平岩山〜大朝日岳〜竜門小屋〜日暮沢
〜予想外の暑さとバカの攻撃にダウン寸前〜
2012年6月7日〜6月10日

 5月に続き朝日の縦走。
 今回は快適な避難小屋泊まりだ。平岩山から祝瓶岳方面を歩いたことがなくいままでの課題として残っていた。
 天気がよさそうなのが前半なので、登りとなって体力的にきついが登路にとることにした。
 できれば葉山までもう一度歩きたいとモコモコさんがしつこく言ってくるので、余裕があれば葉山までの縦走も視野に入れての出発となった。


アプローチ

東京駅8:08-米沢駅10:20/10:27-小国駅11:45/12:46-五味沢13:24

コースタイム

6月7日(晴れ)
五味沢13:35〜13:50頃拾われる  大石橋14:12〜角楢小屋15:29

6月8日(晴れ)
角楢小屋4:37〜鈴振尾根分岐5:17〜祝瓶山(分岐)9:38〜赤鼻10:38/11:22〜(水作り30分)〜大玉山13:27〜北大玉山15:07〜平岩山16:44〜大朝日岳18:29〜大朝日小屋18:40

6月9日(雨ときどき止む)
大朝日小屋8:50〜西朝日岳10:18〜竜門山11:12〜竜門小屋11:23

6月10日(雨ときどき止む)
竜門小屋11:23〜ゴロビツ沢源頭8:36〜日暮沢10:43




6月7日(晴れ)
コースタイム
五味沢13:35〜13:50頃拾われる  大石橋14:12〜角楢小屋15:29

ラッシュにならないうちに東京駅に着くようにしたが、今日は角楢小屋までなのとバスの時間の関係でいつもと比べてゆっくりの出発だ。
小国駅に着いてからバスの時間までも余裕があるので、駅前のラーメン屋さんで昼食を済ませてからお酒の買い出しをした。

バスは途中途中で人は乗り降りするものの、五味沢まで乗ったのは我々だけだった。
運転手さんには、「りふれ」の入口のところで降ろしてくれるように頼むと、「昨日だったら徳網まで行ったんだけどね」と申し訳なさそうに言われた。
日差しが強く、出発してすぐに暑くなってくる。
これは大変なアプローチになりそうだ。
とにかく歩くしかない。幸い天気がいいのと日が長くなっているのでできるだけゆっくり歩いて体力を温存する。
ふうふういいながら歩いて間もなく救世主が現れた。

なんと大石橋まで乗せてくれるとのことだ。なんでも山菜とりに針生平に行ったが、時期が合わずに収穫なく帰るところだったとのこと。もともと歩く覚悟だったとはいえ、登り気味でこの暑さの中歩いていくのは相当大変だったと思うのでとてもありがたかった。

大石橋には数台の車とマウンテンバイク1台が駐車(駐輪)されていた。
祝瓶から下りてきたばかりというご夫婦と挨拶を交わす。山中雨に降られたとかで雨具がシッカリと濡れていた。下では一滴の雨も降っていなかったのでやはり山は違うなと思った。
さらに大朝日岳を往復してきたという単独の男性もおり、少し話をさせてもらう。
昨日祝瓶経由で大朝日へ今日は北大玉山から角楢小屋経由で戻ってきたそうだ。
話を進めて行くうちに、なんともロマンあることを聞いた。なんとこの男性は、横浜を出発点として自転車で日本一周を目指すのだそうだ。その途中途中で機会を見つけて山を登っていくとのことだ。
まずは夏の北海道を目指して北上するとのこと。応援しています。今頃どこにいるのかな?

大石橋を渡り、すぐに樹林帯の平らな道となる。
のんびり歩いて、大石小屋脇を通過してから40分程で鈴振尾根の取り付きを通過する。樹林であるが、蒸し暑く汗が出る。
幾らも歩かないうちに、名物一本丸太吊り橋。そろそろと渡って、対岸のブナ林へと入る。
ここはとてもいいブナ林だ。足元にはブナの赤ちゃんがたくさんで足の置き場に困るくらいだ。

角楢小屋へは荒川本流を渡り返す前の小沢の渡渉では、水量や幅は大したことないが、石がとても滑るので少しひやっとすることがあった。
次の丸太橋では、モコモコさんが取り付いたときにワイヤーがザックにくくりつけたピッケルが引っ掛かってしまったりしたものの順調に小屋に到着。
早速水汲み。水汲みはモコモコさんに任せて、飲み物を冷やすために小沢に残る残雪を取りに行く。
戻るとまだ水汲みが終わっていなかったので、その間に顔を洗いさっぱりすることができた。

天気が良く、外にはテーブルとベンチがあって気持ちが良いので食事は外ですることにした。
ゆっくりのんびりして、日が暮れてくるとさすがに寒くなってきたので小屋へと入る。
小屋の中はこじんまりしていて、温もりがある。

小屋のノートを読むと、ネズミが出るそうなので食料関係の袋は吊るしてから明日に備えて休んだ。


6月8日(晴れ)
角楢小屋4:37〜鈴振尾根分岐5:17〜祝瓶山(分岐)9:38〜赤鼻10:38/11:22〜(水作り30分)〜大玉山13:27〜北大玉山15:07〜平岩山16:44〜大朝日岳18:29〜大朝日小屋18:40

やはり夜中にネズミが走ったり、小屋のデポ品らしき袋をガサガサさせている音がした。吊るしておいた我々の食料は無事。
今日は長丁場なので、早目の出発。
昨日来た道をもったいないが戻る。

鈴振尾根は傾斜があるが登りやすい。途中キツツキのドラミングらしき音を聞いたりしながら楽しく登っていける。
鈴の水場は登山道からすぐなので水汲みに行く。冷たくておいしい水が豊富に流れていた。

キツツキのドラミングを効くことが出来たりと最初は楽しく登っていく。
日が高くなり始めると、樹林帯だが気温が上がり汗が落ちてくる。

視界が効かないが、樹林もさほど高くないという中途半端な状態が延々と続く。一ノ塔でようやく周りが見えるようになった。
これから向かう大玉山までの尾根が見えたが、一気に下降して登り返すのが見える。

分岐まで思ったよりも時間がかかり、山頂往復は諦めて大玉山方面へと入る。
これまでの登りは何だったのかと思わせるようにぐんぐんと下る。途中、短いが岩場のあるヤセ尾根を慎重に通過すると間もなく急下降が収まり樹林帯の道となる。
標高が低いが樹林の中なので日差しをさえぎってくれるのがありがたい。
すると反対側から単独の男性が現れた。
大鳥からの完全縦走だそうだ。
しかしその道はなかなか大変だったようで、大鳥川沿いのへつり道は、残雪が豊富に残り恐怖のトラバース、稜線に出てからは悪天で小屋に停滞したので予備日を使い果たしてしまったとのことだ。
お互いの無事下山を祈って別れる。

赤鼻の分岐へは予定より少し遅れたが順調に到着。
分岐から少し登ったところに水場の標識。水場までの時間が書いてあるが、肝心の時間が読めない。
取りあえず水汲みに下ることにした。

最初はゆるやかなで両側に白い花が咲き乱れていてきれいだ。すぐに急な下りとなる。
結構下ると窪に出るが、窪は雪渓で埋まっており、水音もしないのでこれは相当下るかまだ水が出ていないかもしれないということで断念する。
これが後ほどモコモコさんを苦しめることになった。

気温が一段と上がり、バカ虫もまとわりついてきて不快な登りをひたすらこなす。
1319mピークまで異常に長く感じた。この登りで汗をこれでもかと絞られたモコモコさんが、水がなくなってきたと訴える。まだあるから大丈夫とモコモコさんには行ってみたものの、なにしろ暑く消費量が多いので足りなくなるかもしれない。
1319mピークからは森林限界となり、展望がいいが足取りが重い。

途中雪渓が残っていたので、思い切って水作りをすることにした。
この時期なので、雪渓はかなり汚れているが、鍋で少し掘ると汚れが気にならないくらいの雪質になった。
モコモコさんに十分飲ませるが、時すでに遅しで軽い脱水症状に陥ってしまったらしい。

バカ虫にまとわりつかれながら、えっちらおっちら進みようやく大玉山。
大玉山を過ぎてがくんとペースが落ちる。
大玉山を過ぎると緩やかな登り下りだけに登山地図では見えたが、実際は小さなピークをいくつも急傾斜で上り下りして越えて行く道だった。
モコモコさんの足が止まりがちで、大朝日小屋まで持たないかもと訴えてくる。そのたびに水分を摂らせて、ポカリスウェットも意識的に飲ませた。

コースタイムを大幅に上回ってようやく北大玉山分岐に到着。まだこれからもいくつかピークを越えて行かなければいけないのが見える。
モコモコさんが降りたいようなことを行ってくるが、何とか励まして先へ進む。バカ虫がうるさい。

モコモコさんにはポカリスウェットを飲ませながらこれまでにないノロノロスピードで歩いていくと、ようやく平岩山手前の水場の標識にたどり着いた。
水が出ているか分からないが、山人が代表して水を汲みに行く。

うれしいことに水場では冷たく美味しい水が豊富に出ていた。
たっぷり汲んで帰り、バカ虫と格闘しながら待っているモコモコさんの所へ戻り、早速冷たい水をモコモコさんに飲ませた。
さらに塩分の多い行動食を食べさせた。

ゆっくり休ませ、汗で失った電解質を補給したおかげかモコモコさんは少し回復したようだ。
平岩山へ登り返したところでモコモコさんがようやく復活した。どうやら軽い脱水症状と熱中症気味になっていたようだ。日も傾いてきて、風が吹いてきたこともあり回復してきたようだ。

バカ虫がうるさく、既にかみついてくる個体もでてきたので長袖を着る。さらに耳にまとわりついてかみつかれるので、頬かむりをしていく。
風が吹いてくる側にはいないが、人の体を風除けにして延々と付いてくるのが余計腹が立つ。

体調回復したモコモコさんは、バカ虫をやっつけながら歩いていた。
大朝日岳へは単調な登りだが、ニセピークがいくつか現れる。
そのため山頂もニセピークだと思っていたら標識が見えたところ、モコモコさんが「ニセピークかと思っていたら山頂だったでござる」と変な言葉を発した。
山頂には、ゆっくり景色を堪能していた方がいた。挨拶と記念撮影だけ済ませて小屋へと向かう。

これまでの大汗で足がふやけて痛いというモコモコさんから、先に下りて小屋の様子を見て置いてと言われたので、先行して下る。
小屋前には管理人さんの阿部さんがいて、到着時間がかなり遅くなったので最初怒られるかなと思ったが、お疲れ様とあたたく迎えてくれた。

時間も時間なので、阿部さんに指定された場所へ行き夕飯の支度かかる。
落ち着いたところで、山頂に居た男性と管理人の阿部さんを交えて楽しい団欒の時を過ごした。
その中で特に気になった話は、最近飯豊朝日で問題になっているハイマツにたかるハチの幼虫のことだった。
全ての葉を食べつくすわけではないが、幼虫にたかられるとやがてハイマツが枯れてしまうとのこと。また、昨年小国山岳会の井上さんが苦労してヤブに分け入ってムシにやられている木にテープをつけたのだが、強風でほとんど取れてしまったとのことだ。
そのハチの卵を大学の研究室に送って、ただいま生態の研究中だそうだ。


6月9日(雨ときどき止む)
大朝日小屋8:50〜西朝日岳10:18〜竜門山11:12〜竜門小屋11:23

昨日の天気は何だったのかと思わせるように辺りはガス。
今日は一日天気には恵まれないらしい。昨日から決定はしていたが葉山までの縦走はもちろん中止。

モコモコさんは今日中に降りてしまいたそうにしていたが、折角稜線に上がったのでもう一泊していくと宣言する。
それなら今日は停滞して明日そのまま降りようと、なんとしても今日の行動はしないつもりでいるのを却下して竜門小屋まで行くと重ねて宣言した。
というものの竜門小屋までなら急ぐこともないので、のんびりと起きて朝食をとる。

更に支度ものんびり済ませる。
もっとゆっくりして行こうかなと思っていたが、モコモコさんが、「行くなら早目に行かないと。今日は午後になるほど天気が悪くなるんだから。」とうるさいので、よいしょと重い腰を上げ、阿部さんに見送られて出発することにした。

鞍部までは夏路がでているので、ハイマツを観察しながらすすんだ。
鞍部からはほとんど残雪に覆われているので、時折現れる登山道を見失わないように進む。
稜線も時折見えるようになり、なかなか楽しい。
また綺麗に咲いている花を観察したり、いつもは殻だけだったりするカタツムリがうにょーんと出ているのを見られたりとこれくらいならば、この時期の悪天も悪くないと思った。

西朝日岳直下の登りで豊富な融雪水が流れていた。、味見をしてみると冷たくておいしかったので、水を汲んでいく。
西朝日岳山頂付近は風が強く、それなりに気温も低いため、雪面がやや固く慎重に登る。
指導標のあるところはどうせ行っても風が強いだけだと言うことで、雪面を利用して巻き気味にトラバースして行く。ふと足元を見ると、雪面状に黒いポツポツがたくさんある。最初は何のゴミだろうと思っていたが、よく見ると全てバカ虫だった。うぎゃー、天気がいいとこれが一斉に飛び立ってたかってくるのか。
天気がよくないのは残念だが、バカ虫にたかられないのは快適だ。幸い雨の降りもさほどではない。

順調に進み登山道が一番近づいてヤブが薄い辺りで、少しヤブを漕いで登山道へ戻った。
この後、主稜線には雪堤がたっぷり残っているが、ほとんどの部分で登山道がはっきり出ているのでサクサクと進めた。
尾根が広がりを見せるところは、今日の風向きの関係で山の陰となり風の影響もあまり受けずに済んだ。

そうこうしている内に竜門山へ着いた。
ここを一下りすれば竜門小屋だ。
相変わらずガスっていると分かりづらいが、夏路がバッチリ出ているので迷うことなく進み直前まで見えない小屋に無事着いた。

さすがにこの時期のこの時間では誰もいないようだ。小屋前の水はまだ出ていない。
早速荷物を置いて水汲み場所の偵察をする。

融雪水を摂る予定であるが、どうしてもだめな場合は小屋裏に残雪があったのでそれを融かすことにした。
最初は少し狐穴方面に進む。前年同様の時期に豊富な融雪水が流れていたのをモコモコさんが覚えていたからだ。しかし縦走途中にあるのとわざわざ汲みに行くのでは距離感が違う。

結局こちらの融雪水のところへ行くのはやめて、余り遠いようだったらあきらめることを前提に今度は竜門小屋の水源へ行ってみることにした。
小屋裏からのびるホース伝いにトラバースして行く。管理用に踏み跡が出来ているので結構歩きやすい。
水音もしてこないし、さすがに遠いな仕方がないがそろそろ諦めるかなと思ったら水音が微かに聞こえた。いよいよ水源かと思ったら、ホースの連結部が外れていたところから冷たい綺麗な水が豊富に出ていた。
ホースが外れていたことが逆に幸いし、水源まで行かずに済んでしまった。これはとてもうれしい誤算だった。

早速モコモコさんと交代で、顔を洗ったりがぶ飲みして、たっぷりと水を汲むことができた。
モコモコさんが、ホース連結しておこうかと言ってきたが、無闇に触らない方がいいよと答えてそのままにしておくようにして小屋へ戻ることにした。
これで水作りしなくて済む。やった、やった、と小屋に戻り、装備を片づけて二階に上がりお店を広げる。
ひと段落したところで、お腹がすいたのでラーメンを食べてコーヒーを飲んで、忘れないうちに料金箱に協力金を入れたのだが、この料金箱にはなんだか違和感があった。

再びモコモコさんと寛いで間もなく、なにやら人の話し声がした。誰か到着したらしい。モコモコさんが挨拶をしに下に降りるのに付いていくと、到着したのは管理人の遠藤さんとHさんだった。
一足先に協力金を料金箱に入れたことを伝えてまたもや寛ぐ。

遠藤さんたちは、休む間もなくいろいろと小屋の整備に取り掛かり、やがて水を出しに例の水源方面へと向かっていったのが見えた。
その間の我々は、というと、どうしようもない。相変わらずラジオを聴きながらのんびりと寛いでいる、そのうち少し寒くなったのと退屈になってきたので早足で追いかけっこをする。体が温まったら寛ぐ、寒くなったら・・・の繰り返しをしていた(全て2階で)。
その間にちょうどモコモコさんが水場の方をみたら、水が出る瞬間を目撃したそうだ。
これは水源の方にいたら絶対見られない瞬間だ。モコモコさんはいいものを見たと喜んでいた。

遠藤さんたちが小屋へ戻ってきたが、まだ仕事は終わらないらしい。色々作業をされている。
対して我々はというと、夕飯の支度をするにはまだ早いし、いよいよ寒くなってきたのでシュラフに包まることにした。
トイレを流す音が聞こえてくるようになってからうとうとと気持ちのいい時間を過ごした。

どれくらいの時間がたったのか覚えていないが、遠藤さんが夕食を一緒にどうぞと誘いに来てくれた。
ずうずうしくも、すぐに食器を持っていく。
既に美味しそうな鍋やら食材が準備されていた。
早速乾杯をする。

Hさんが用意してくれた鳥のつみれ汁を美味しくいただきながら、いろいろと遠藤さんの楽しい話を聞いていくと時があっという間に過ぎて行く。
そうそう料金箱の違和感がここで判明した。なんと5月の連休後に料金箱を壊して協力金を盗んだ者がいたそうだ。なんともいやな話だ。
また、水場のホースの話では、以前は細いホースだったのですぐ詰まったりして大変だったとのこと。最近やっと太いのに変えたのでつまりがなく良くなった。
途中の連結部は、専用の工具がないと連結できず、結構力を使うとのことだった。
更に竜門小屋の水場にはシーズン中ビールがバケツ内でメリーゴーランドのようにくるくる回るのでとても魅力的に映るのだが、あれも本数が8本のときががいちばんいい具合に回るとのことだ。
この他にも三面コース刈り払いの悲喜こもごもの話などなど・・・。

これまで竜門小屋で遠藤さんと何回か顔を会わせ少しお話することはあっても、いつも休憩で立ち寄らせてもらうばかりで、貸し切りの状態で宿泊しながらゆっくり話を聞くことはなかったので、やはり竜門小屋まで来て正解だったと思った。モコモコさんも同じことを思っていたらしいことを後日聞いた。
ちなみに竜門小屋は休憩するにも連峰一居心地というか使い勝手が良い小屋だと思っていたが、それもそのはず。
設計段階で、実際現場で使う遠藤さんが色々と意見を出して考えて作られた小屋だということがわかった。他の小屋は設計図を見せてもらえなかったらしい。
確かに他の小屋は、山でなければとても快適な小屋であるが、登山中で休憩のことを考えると、わざわざ靴を脱いで上がるのは大変だ。また、今この小屋内は引き戸であるが当初はドアだったらしく、それではデッドスペースが出来てしまうので引き戸にしてもらったとのこと。
なるほど、それで狐穴小屋は泊るときはすごく心地が良いが、休憩では小屋の中に入る気は起きなかったが、竜門小屋は気軽に休憩で小屋内に入ることができた訳が今更ながら分かった。

話は尽きないが、お酒がそれぞれ適度に回ったところでHさんの篠笛のコンサートが始まる。
篠笛を真近で聞くのは初めてだが、なんとも山に合う音色だ。
モコモコさんは特に気に入ったらしく、リクエストまでして「いいねー、天気のいい満月の下そよかぜと一緒に聞きたいなー」と聞き惚れていた。

もっと時間が欲しいところだが、そろそろいい時間になったのでお開きとなった。
外は相変わらずの荒れ模様だが、今晩もいい夢が見られそうだ。


6月10日(雨ときどき止む)
竜門小屋6:23〜ゴロビツ沢源頭8:36〜日暮沢10:43

早いものでもう下山日。
日暮沢への下山でこの時期、一か所迷いやすいところがあるとのこと。
遠藤さんたちが昨日登ってくるときにテープをつけてきたがガスッてるとぎりぎり見えるかどうかの距離でつけてあるとのアドバイスをもらった。そこはゴロビツ沢の源頭で、そのまま真っ直ぐ尾根伝いに降りないで沢の源頭脇をほぼ90°で降りるところだ。
登山者は我々だけだしと甘えて、遠藤さんのコールサインを教えてもらった。

清太岩山まで順調に進む。
清太岩山からなるほど雪堤状の尾根を降りて行くようになった。気を付けて歩いていたが、注意されたところを下りすぎてしまった。
途中、行きすぎではないかと止まるようにモコモコさんが声をかけたのに、一人先にずんずん下ってしまい、それが下降点を見落とした原因だとモコモコさんにも注意される。

ガスで周りが見えないのが、登り返しながら下降する方向を注意深く探していく。
すると雪堤の陰に倒れているデフ棒があった。
これから入る尾根の方向の検討が着いた。テープを探しながら少しずつ下ると、モコモコさんがテープを発見。最初のテープを見つけられると次のは比較的楽に見つけられた。

無事道がはっきりするところで、心配しているであろう遠藤さんに無線を入れる。
少し迷ったものの無事の下降を知ってほっとしたようだった。見守っていただいたお礼を言って最後の下りにかかる。
しばらく残雪と、踏みぬきに少し手間取ったが、やがて残雪がなくなり、雨の為スリップだけに気をつければいいだけの道になった。

途中朝日飯豊名物巨大ナメック(我々は大きなナメクジのことをこう呼んでいます)に遭遇したり、セミ君が奮闘した抜け殻を見つけて喜んだりしながら無事日暮沢小屋に着いた。
日暮沢小屋前の水場はホースがはずれたのか水が出ていなかったので、近くの日暮沢で汗と靴や雨具に着いた泥を洗いながして朝日の旅を完了させた。


強い日差しに、初っ端から大量の汗が出る 大石橋
今年折れてしまったらしい大木 それでも子供たちはすくすく育っている。
角楢橋を渡れば今日の行動は間もなく終了
小屋前のテーブルがいい 居心地のいい角楢小屋
鈴振の水場 まだまだこれからが長い
暑くて汗ばかり出る シラネアオイに癒される
赤鼻 赤鼻の水場への道 白い花が群生していてきれいだった
水を汲むにはまだ降りないといけないので断念する 羽化して間もない蝶
花と山がいい感じ 暑くて先を見るとうんざりする
やっとここまで来た 少し花を撮る余裕が戻ってきた
平岩の水場へと向かう 平岩の水場は冷たくて豊富な水が流れていた
やっと戻るよりも先へ進む方が早いところまで来た 日が傾いてきて風も出てきたので少し涼しくなった
バカ虫と格闘しながら最後の登りへと向かう 大朝日岳山頂
虫食いにやられているハイマツ 金玉水を過ぎたあたり
ガスってきた 竜門方面はまだ見える
ガスの中突然現れた竜門小屋 遠藤さんたちの尽力により小屋前に冷たい水が出ました
セミ君の格闘が偲ばれる 日暮沢小屋へ到着


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