那須・男鹿山塊
男鹿高原〜横川〜ひょうたん峠〜男鹿岳(往復)〜大佐飛山〜大長山〜西村山〜黒滝山〜百村山〜巻川林道〜光徳寺〜穴沢バス停
〜VIVA 男鹿山塊!〜
2013年3月20日〜23日

 前回、時間切れで西村山までしか行けなかった大佐飛山へ再挑戦することにした。
 日程に余裕があるので、折角なら往復ではなく男鹿高原から縦走しようということになった。
 当初は山王峠から県境尾根を辿って男鹿岳へ登るつもりでいたが、丁度男鹿岳へ登る日に強い冬型の気圧配置になってしまうらしい。
 あの辺りは積雪以上に強風が怖いところだ。
 そこで、塩那スカイラインのひょうたん峠へ初日のうちに上がってしまう作戦に変更した。


地形図;日留賀岳、板室
、(荒海山アプローチのみに使用) 山と高原地図;那須・塩原

アプローチ

浅草駅6:20−男鹿高原駅9:19

コースタイム

3月20日(くもり)
男鹿高原駅9:45〜ワイルドフィールズ男鹿(JOBS男鹿)ゲート10:44〜白滝沢林道入口ゲート12:30〜標高1080m付近朽ちた木橋14:14〜標高1380m付近折り返し点16:35〜瓢箪峠17:51

3月21日(暴風のち強風、昼過ぎから晴れ風弱まる)
停滞

3月22日(曇り風やや強くのち晴れ風弱まる)
瓢箪峠6:16〜1754mピーク6:59〜男鹿岳7:15/7:39〜瓢箪峠8:30/9:34〜標高1622m付近10:09〜1870m無名峰11:31〜大佐飛山13:09〜大長山14:27〜西村山15:14〜黒滝山15:38〜山藤山との鞍部手前幕営地15:55

3月23日(曇りのち晴れ)
幕営地6:10〜山藤山6:25〜サル山6:54〜三石山7:33〜百村山巻川林道分岐7:59〜巻川林道8:20/8:36〜登山道横断点9:05〜光徳寺9:33〜穴沢バス停10:20



3月20日(くもり)
コースタイム
男鹿高原駅9:45〜ワイルドフィールズ男鹿(JOBS男鹿)ゲート10:44〜白滝沢林道入口ゲート12:30〜標高1080m付近朽ちた木橋14:14〜標高1380m付近折り返し点16:35〜瓢箪峠17:51

浅草駅近くの松屋で腹ごしらえをして東武鉄道に乗り込んだ。
乗り換えなしで行けるのがありがたい。
男鹿高原駅で降りたのは我々のみ。
何も無い駅だが、鉄道好きの人の間では結構有名な秘境駅であるらしい。

ホームにある待合室にはノートが置かれていたのでパラパラとめくってみると、今年に入ってからも毎月一人は書き込みしているようだ。
ホームで準備を済ませて出発。
階段を上り道路に出て待ちの方へ歩くとすぐにヘリポートがあった。このヘリポートも密かな人気らしく、ノートにもこれからヘリポートまで行ってみるという書き込みがあった。

国道へ出てしばらく歩くと一里塚があった。
右に分岐する道を入れば横川の集落だ。集落には雰囲気のいい建物があったが誰も済んでいないらしい。
集落を抜け、ワイルドフィールズ男鹿の案内に従って車道をテクテク歩く。

車で来た場合はこのワイルドフィールズ男鹿のゲートまで入ってこられる。
ゲートには1台車があった。また、この施設はまだ閉鎖中のようでひっそりとしていたが、きれいなコテージが点在していてなかなかよさそうな感じだ。

道は、施設のど真ん中を通り抜けてすぐに男鹿川を渡る橋となり、右に林道を分けて男鹿川沿いに延々と続く。
林道は最初雪はなかったので楽勝と思ったがが、すぐに雪が出てくる。
先行者がいるらしく、あまり古くない足跡があった。しばらくは潜ったりすることなく行けたが、沢を渡るために林道が回り込むところになると沢の左岸側は山陰になるので足跡があっても雪解けが遅くズボズボ潜る。
沢を渡り右岸側に移ると日当たりが良いので雪がなくなるということを何度か繰り返す。その間に横川放牧場には放牧団地があるらしくA〜C団地への入口の表示が建っていたので現在地を特定しやすかった。

重荷と潜る雪で一向に進まずにいるところいきなり後ろから声がかかり、とても驚いた。
なんでもこの先にワサビ田があり様子を見に来たとのことだった。そういえば横川の集落入口に山王わさびと看板があった。なんだかとても興味が湧いてきたので次の機会があったらぜひ味見をしてみたいものだ。
歩みののろい我々は追い抜いてもらいノロノロと歩く。

余りにも踏みぬきが酷いのでワカンを付けた。
林道は男鹿川沿いに行くのものと白滝沢沿いに行くものに分かれる(白滝沢沿いの道には使われていないゲートがある)。
瓢箪峠へは白滝沢沿いの道へと入る。少し進んでふと左下をみると、先ほどの方がこちらに手を振ってくれていた。

林道をさらに奥へと進むと木に赤テープが巻かれているところがあった。今思うとここをもっと注意してみればよかったのだが、何か作業をする人のためのものだろうと思い無視をしてそのまま行くと2本の沢が合流する沢の渡渉地点となってしまった。
ワカンを履いたままなんとか濡れずに渡れた。そのまま進むと道がなくなってしまう。もう一つの小沢を渡るとなんとなく道っぽい。
白滝沢の左岸を行っているのでてっきり林道を歩いていると思ったら、すぐに側壁が切り立った場所になってしまった。

林道は崩れてしまって地形図で見るよりも手前で終点なのか?と思い、沢の水を汲んで尾根へ登ろうと言うことになった。
少し急な斜面であるが、雪がついているので少し頑張れば登れそうだ。
直登は大変そうなので斜上するように登ったところ、なんと林道に出た。
どうやらあの赤テープが本来の林道へと入るための印だったのだろう。

この辺りからの林道は荒れていたり林道そのものが小沢のように水が流れていたりするが、はっきりとしているので実際歩くとやはりかなりの時間短縮になったと思う。
いよいよ林道が白滝沢から離れて斜面へと大きく曲がって登り始めるようになった。そろそろ林道も終りかと半ばかっがりしたが、以外にもはっきりとその先にも続いているのが見えてうれしくなった。

雪が無くなるとヤブがうるさそうだが、今はとても歩きやすい。
道形があってありがたいねなどと話していると、いきなり目の前に男性3人組の登山者が現れた。

お互いこの時期にこんな所でと驚いた。
お話を伺うと、ゲートに止めてあった車の持ち主の方々だった。てっきりこれから登るのかと思ったら、すでに大佐飛山を往復してきて瓢箪峠から降りてきたとのことだった。
また、瓢箪峠のプレハブ小屋(スペースハウスというらしい)に泊まったということなので、様子を聞いてみると、窓から出入りできるとのことだった。
今日の我々の目的地から降りてきたということはこの方達のトレースを追って行けば確実に着けるということだ。
お礼を行って別れた。

道形は今のところはっきりしているが、いつなくなるか解らないのでとてもありがたく、気持ちも楽になった。
人気のないところで思わず人に会うと元気がでる。
真新しいトレースのお陰で潜ることもなくなり快適に進めた。
この道は標高約1200〜1400mの間が急な斜面となっていて、これをしのぐために大きく斜面を使って標高を稼ぐようになっている。
2つ大きく折り返しをすると延々とトラバース道となるが、トレースのお陰で不安もない。
最初はめんどうだから直登しようとしたが、モコモコさんからトレースを追った方が早いからと直登禁止令が出されたためおとなしくトラバースしていく。

途中ヤブが張り出していたり、崩れているのか少し巻きあがることもあったが特に問題なく折り返し点に着いた。
折り返しても同じような感じで歩ける。こちらの方は少し崩れている箇所が多いのか少し斜面を登り降りして交わすところがあったり、テープに従って片斜面を歩くところもあった。こういったところもトレースがしっかりしているので難なく通過できた。

長いトラバースも上方の傾斜が緩んできたのが見えるといよいよ終了だ。
ここまでくれば、瓢箪峠まで標高差で約300m直線距離で約1kmだ。現在の時刻16:00過ぎなんとか明るいうちに着ける目途が立った。
最後の小さな折り返し地点で我々も最後の休憩をとった。

標高1450m付近は少し地形が複雑なので時間がかかりそうと思っていたが、トレースがあるのでただ足を前に進めるだけでいい。
瓢箪峠までの間に2回ほどきちんとした登りがあるがトレースがきちんと階段状に残っているのでさほど苦もなく淡々と登っていけた。
稼がなくてはいけない標高差の登りをほとんど済ませると、鹿又岳方面から延びてくるスカイラインも同じ目線で見えるようになってくる。あとはトラバース気味に少し登れば今日のゴールは目前だ。
みぞれのようなものが降ってきたが特に雨具を着なくても大丈夫なくらいの降りなので、お互い励ましあって歩く。

いよいよ傾斜がなくなったとほぼ同時に目の前が開けた。
瓢箪峠に着いたらしい。
少し周りを見てみると記念碑があり、その先にスペースハウスもあった。

後から来るモコモコさんに声をかけた。
モコモコさんもうれしそうだった。

スペースハウスは教えてもらった通り窓から入れるようになっていた。ドアは外開きなので掘らないと開けられない。
トイレなどの度に一々窓から出入りするのは大変なので、まだ明るいうちに着けたこともありドア前を掘ることにした。
シャベルは1つでいいと思っていたが、この時期は絶対各自で必要と強く主張していたモコモコさんの言うことを聞いておいて正解だった。

掘り出しが終わったところでドアを引いてみると、ドア自体は動くが下面がひっかかって開かない。ピッケルを使って凍ったところを取り除くと無事開いた。
これで足がつりそうな思いをしなくて済む。
良く見てみるとドアの内側のノブが取れていた。なんとか差し込んでおくことは出来るが優しく扱わないとすぐにポロっと取れてドアを開けられなくなるので要注意だ。

荷物を取り込み、水用の雪取りをすませればあとは夕食の準備にとりかかれる。
小屋であるし大して寒くもなかったがテントを張ることにした。
夕食を済ませてシュラフに潜り混む。乾いた床で雨風におびえることなく生活できるのは本当にありがたい。
つくづくあの3人パーティーに感謝だ。


3月21日(暴風のち強風、昼過ぎから晴れ風弱まる)
停滞

昨晩は暖かく風もなく静かだったので本当にこれから荒れるのか疑問だった。
花粉症のため鼻が詰まっていてなかなか寝就けなかったが、ようやく鼻が通ってきて寝られたと思ったらとても寒い。

明るくなってからテントを開けてみるとテントの外はもっと寒い。窓の外を見てみると外は吹雪だった。
即二度寝をする。

寒さで寝ていられなくなり、テントを出てみてびっくり。
小屋内に雪が吹きこんでいた。
驚いて吹き込んでくる場所を見つけると、小屋には不要の換気扇がついているのだが、排気口のカバーの羽板が取れていたのでそこから雪が吹きこんできたらしい。
また出入りできるようにと鍵を掛けていない窓は少し隙間があいてしまうためここからも吹きこんできたようだ。

寒いのでまずは朝食をとってから吹きこんだ雪の除雪をした。小屋にはほうきとチリとりがあったので助かった。
一通り除雪が終わったところで小屋内にあるぼろきれを使って換気扇の隙間を埋めた。
窓は鍵をかければ隙間ができなくなる。誰か来た場合、我々が直ぐに開けられるので問題ない。ちなみに昨日除雪したドアはこの雪の為また開けられなくなってしまった。

ひと騒動が落ち着いたところで外を見るが相変わらずの強風で地吹雪となっていた。
小屋でおとなしくしていることにした。

ちなみにモコモコさんも昨晩はなんだか寝られなかったらしく、日付が変わる頃までラジオを聞いてうとうとしていたところ、突然「気象情報です。奥日光と那須に暴風警報が出ました。」と流れてすぐに強風が吹き始めたとのこと。緊急地震速報を聞いた時のように緊張して少し恐怖を感じたとのことだ。
更に小屋は風を避けられる場所にあるのだが、それでもときどきドカッと小屋が揺れたり、恐らく換気扇の音だと思うがなんだか小屋の壁が飛ばされるようなバタンという音がしたため余計に寝られなかったようだ。

本当に昨日の内に小屋に入れてよかった。またテントを張っておいてよかったと思った。
寒いのでシュラフに包まってラジオを聞きながらうとうとしたりして過ごした。

お昼過近くなると風も弱まって明るくなってきた。ラジオでも悪天は今日の午前中がピークでその後回復していくと言っていたのでこの後の青空が期待できそうだ。

お昼を過ぎると青空が見えた。
外に出てみると風も普通の山の風という程度まで治まっていた。霧氷がとてもきれいだった。
男鹿岳側(北方面)はまだ空が暗いが、鹿又岳側(南方面)は青空だ。
モコモコさんにこれから男鹿岳へ行こうと誘いをかけてみるが、男鹿岳はまだ天気悪いからと断られる。そこで鹿又岳ならどうかと聞いてみたが、今から行くと帰ってくるのがヘタすると17:00頃になる。それよりも今のうちに水作りとかを全て済ませて明日朝早く雪が締まっているうちに往復してきた方がいいとのこと。

それもそうだなということでドアを掘り起こしてから水作り。
また、天候が回復して日が差してくるとプレハブなのであっという間にポカポカになる。
シュラフを干したりしながらのんびりと過ごした。

天気予報でも明日は朝夕は曇りだが、日中は晴れで雨の心配はないとのことだったので明日に勝負をかけた。


3月22日(曇り風やや強くのち晴れ風弱まる)
コースタイム
瓢箪峠6:16〜1754mピーク6:59〜男鹿岳7:15/7:39〜瓢箪峠8:30/9:34〜標高1622m付近10:09〜1870m無名峰11:31〜大佐飛山13:09〜大長山14:27〜西村山15:14〜黒滝山15:38〜山藤山との鞍部手前幕営地15:55



朝食を済ませ、ある程度荷物をまとめてからアイゼンを付けて出発。
今日の核心部となる1870m無名峰は雲で覆われており見えない。雲も物凄い勢いで飛んでいた。
最初の小さなピークは登らずにスカイラインを通って巻いて尾根がスカイラインに一番近づいたところで尾根に乗り上げた。
ここまでくると男鹿岳が一望できるようになった。男鹿岳はいい天気だ。

男鹿岳手前の1754mピーク直下で雪が切れてヤブが出ているのが見えたのが少し気になるが、尾根上をアイゼンを快適に効かせて進めた。
風が結構強いが南寄りの風なので特に寒くもなく、登っているときは逆に涼しく快適に感じることもあった。
雪堤のうねりが以外と激しいが順調に気になるヤブの手前まで来られた。
ヤブコギかと思いきやきちんとヤブに踏み跡ができており、快適に登れてしまった。
1754mピーク手前でも少し雪が落ちていたところもあったが、なんとか繋いでいけたので、結果的に、見た目は急な登りに見えたが実際登ってみると、急な部分はヤブの踏み跡を登れたので全く問題なく登れた。

1754mピークで東に伸びる尾根を確認して男鹿岳へ向かう。1754mピークの北は二重山稜のようになっていた。
男鹿岳との間の尾根はこれまでと比べ少し細くなるので雪堤も崩壊が始まっていたところもあり藪のある斜面へ回り込むことがあった。しかし意外と人が入っているのかナタ目が見られ、本当に邪魔になりそうな枝が無くなっていたのには助かった。

予定よりもかなり早く男鹿岳に到着。
山頂には我々がさっと見まわしたところで3つの山頂標識があった。
山頂は樹林に囲まれた平らなところであるが、東側は展望があって気持ちが良いところだ。
早く着いて時間に余裕ができたのと、天気がいいので山座同定をしながらのんびり過ごした。

もっと留まっていたいがこれからが本番の長丁場なので、男鹿岳を後にして全く同じルートで瓢箪峠へ戻った。
スペースハウスに戻り軽く行動食をつまんでいると日が差し込んできて小屋内はポカポカになった。
折角なので少しの間シュラフを干してからパッキングした。

雪面は固くはないが締まっているので再度アイゼンを付けて出発。
1870m無名峰への尾根へとつながるところまでスカイラインを歩く。
スカイラインが左にカーブするところから降りるつもりでいたが、横着したモコモコさんが手前から下降して行ったため本来の尾根に乗り損ねてしまった。
少し登り返して沢の源頭をトラバースして予定の尾根に乗った。
もったいないくらいどんどん下降して標高約1600mの鞍部まであっという間に着いてしまった。これから標高差250m以上の急な登りだ。

以前下降したときも転落するのではないかと思うくらい急だったので雪が付いている今登れるのか不安だったが、初日に会った3人パーティーのトレースが残っており雪も緩んでいないのでなんとか登っていけた。
登山道はないが、時折赤テープを見ることができた。登山道としていたらきっとロープが張られ解説では胸突き八丁のきつい登りとか書かれそうだ。
朝は曇っていたこの辺りも雲がとれてきたらしく日が射すようになってきた。重荷で直射日光が当たっていたらとても大変だが、午前中の西面で樹林帯なので日陰となり登るには最適の条件となった。

息を整えながらなんとか標高1800mまで登ると、ザックを置いても転がり落ちない場所を簡単に見つけられる程度まで傾斜がゆるんだ。
それと同時に樹林の背も低くなってきて周りが見えるようになってきたので休憩しながら少し景色を楽しんだ。
普通の登りを一頑張りすると1870m無名峰に到着。

大蛇尾川東俣を遡行するときには現在地特定するための非常に重要なピークだ。
MWVのプレートがあった覚えがあるが見つけることは出来なかった。
ここまでくるとそれまで見えなかった大佐飛山がやっと見られるようになった。
そこまでの稜線は開けて明るく歩くのが楽しみだ。

楽しそうな歩きになりそうですぐに大佐飛山へ向けてまずは下降。
日が当たって雪面の柔らかさがちょうどでズンズン下っていけた。5月の吾妻を歩いているようでとても楽しい。
鞍部で一度腹ごしらえをしてから、まとまった登りとしては最後となる大佐飛山への登りにかかる。

最初はこれまでの延長の雪堤歩きであるが、だんだん尾根が広がり樹林の中の斜面をとにかく上を目指してゆっくりと登っていくとポコッと目の前が開けた。
息を整えながら景色を堪能してすぐ先に見えるピークを目指す。大佐飛山はそのピークを越えたところかと思っていたら、先行していたモコモコさんから「大佐飛山に着いた」と声が掛った。
やったね。

山頂にはこれまで以上に沢山の標識があった。ざっと数えたところ6つあった。
これまでの苦労が報われないような樹林に囲まれた展望がきかない山頂なので記念撮影を済ませて次なる目標の大長山へと向かう。
瓢箪峠からここまで4時間もかかったので(一応これは計画通りである)予定通り大長山辺りで幕営かなと話して一歩先へと進むと、ここ最近結構な人が入ったようでしっかりと跡が残っていた。
その跡に乗ってみると、かなり踏まれていて全く沈まない。うれしい誤算だ。ほとんど踏みぬくことなくどんどん進めた。
大佐飛山と大長山間も気持ちのいい雪堤歩きだった。途中何か所か東側に尾根が張り出しているところなどは雰囲気がよく遊んで行きたいところだった。

大長山には予定よりもずっと早く到着できた。
この山頂も展望は樹林で全くない。
驚いたのが、山頂標識が「だれがどうやって持ち上げたんだい?」と思わず言ってしまうくらい重そうな大きなものだった。
標識の撮影だけを済ませて西村山へどんどん歩みを進める。

この間は尾根が少し細くなるので雪堤の幅も狭まるが全く問題なく楽しく歩け、なんだか見たことあるような所まできたと思ったらすぐに西村山だった。ここまでくれば一日で確実に下山できるのは前回の偵察で確認済みなので一気に楽になった。
しっかり踏まれたトレースがあるので黒滝山へもさほどかからずに行けるはずだ。先へ進もう。

天気がいいのとトレースがあるので少し迷いやすい西村山黒滝山の間もルート取りは楽勝だ。鞍部から黒滝山は前回踏みぬきが酷くてとても時間がかかった覚えがあったが、今日はトレースを辿ればほとんど踏みぬくことはない。
さらに少し登ると完全に雪が融けて土が見えていたところもあったので前回の苦労はなんだったのかというくらいサクッと黒滝山へ到着。
驚いたことに黒滝山山頂は完全に雪が融けてなくなっていた。
山頂でさすがにそろそろ幕営地を探しながら行こうと打ち合わせをして更に先へと進む。

この辺りはまるで5月のような雰囲気だった。
黒滝山近くの小ピークからの下降では前回わずかしかでていなかった虎ロープが完全に出ており、トレースがきちんと段差をつけて残っていた+ちょうどよい雪の固さで拍子抜けするほどあっという間に急下降が終了した。

この10日間で急に雪融けが進んだようだ。笹がかなり目立つようになってきた。
さらに前回は雪堤の壁となっていたところが今回は既にブロックが落ちていていた。この調子だと前回泊まった所は完全に笹が出ていて泊まれないなと幕営適地を探しながら歩いていると、山藤山との鞍部に小さく尾根が張り出してわずかな平地を作っている場所が目に付いた。前回は泊まるのによさそうだが雪庇状に張り出した雪堤の雪壁で降りて行けそうもないと思ったところだ。よく見てみるとブロックが落ちており一番急なところは既にササが出ていたので降りられそうだ。

モコモコさんも幕営適地だと判断したようで、今晩の宿が決まった。
ここならば周りを山や尾根に囲まれて風が当たらない。
早速設営を済ませ、予定以上の行程を無事にこなせたことにささやかながら乾杯した。


3月23日(曇りのち晴れ)
コースタイム
幕営地6:10〜山藤山6:25〜サル山6:54〜三石山7:33〜百村山巻川林道分岐7:59〜巻川林道8:20/8:36〜登山道横断点9:05〜光徳寺9:33〜穴沢バス停9:48


夜中から風が出始めたが、風を避けられる場所だったのでほとんど風に当たることなく済んだ。
撤収時に少し雪に降られたが一時的なものだったらしくすぐに止んだ。
穴沢バス停9:52発の板室温泉行のバスに間に合うように出発。

尾根に登り返して山藤山を越えたところで登ってくる単独の男性とすれ違う。
やはり林道奥まで車で入ったそうだ。
ほとんど間をおかずにもう一人男性が登ってきた。
雪が締まっておりアイゼンを着けてちょうどだ。

雪消えが早く前回は真っ白だった所が今は笹が目立つ。
サル山手前の直下も結構夏道が出ていた。サル山でも登ってきた単独の男性とすれ違った。この先の様子を伺うと、三石山直下の斜面には既に雪がないとのことだった。

サル山からは少し傾斜のあるうねった雪堤を降りるのだが、驚くほど雪堤が痩せていた。
標高1300m辺りは急な斜面で前回は少し滑落して二人ともお尻を濡らして冷たい思いをしたところだが、今回はしっかりと崩れないトレースがあって難なく無事に降りられた。

雪がよく締まっているのですぐに三石山へ着いた。ここからの急な下降では雪がないとのことだったのでアイゼンを外した。
本当に雪が無く完全に夏道が出ていたが、逆にニュルニュル滑るところがでてきてここは雪があってもなくてもいやなところだ。

急下降が終わると百村山まで比較的緩やかな尾根道だ。
前回は冷たい強風が吹き抜ける中の上り下りだったが今日は快適な陽気、ザ・春山状態だ。
時折現れる夏道を歩いたりしていると百村山の巻川林道への分岐点に着いた。

皆が登ってくる所を知りたくなって林道へ降りてみることにした。
一歩斜面に足を踏み入れると、植林地帯の急な尾根に踏み跡程度に道があった。雪は全くなかった。
植林地帯では作業道であるため急傾斜でも歩きやすかったが、植林地帯から外れ広葉樹林帯となると傾斜が増して転滑落しそうだった。
これだけの急な下降なので想像以上の速さで林道が見えるようになってきた。

林道へは長梯子を使って降りるようになっていた。これが曲者で、ただ立てかけただけの梯子だったので安定はしていたが怖かった。今回の行程中心理的に一番の核心部だった。
車で入山していたらここで終了だが、我々はバス停まで頑張らないといけない。行動食を食べて、シャツを一枚脱いでと少し休憩してから本来降りてくるはずだった登山道との交差点までてくてく歩く。

林道を歩いていくと梯子が何か所かかかっていたが、そのうち歩き始めてから数えて2つ目までの梯子は全く使われていないらしく、藪がかぶっていたり、梯子の上がガレて危なく登っていけそうな感じがしなかったりといった状況だった。
折角梯子を作っても崩壊が激しく使えなくなるのでその前後で安定している場所を探して敢えて固定しない梯子を掛けているのかもしれない。

3つ目の梯子はヤブがついておらず、しかも梯子には黒滝山登山口とプレートが取り付けられていた。
事前学習の際に写真で見た梯子だ。
今はどちらが主に使われているのだろう。
地形図で見るよりも長く感じた林道歩きは登山道との交差点で終り、あとは前回と同じように植林地帯へと入り光徳寺まで下降。
バスに間に合うか少し怪しくなってきたのでペースを上げた。

お寺に着いたところでバスに間に合いそうだと判断し普通のペースに戻してテクテク歩く。バス停近くの牛舎にいる牛さんが見えればバス停は間もなくだ。
無事バスに間に合って、板室温泉で4日分の汚れを落とすことができた。


秘境駅として鉄っちゃんの間では人気 駅そばのヘリポートも密かな人気らしい
車もここまで 横川放牧場C団地入口
渡渉点(本当は渡渉しなくてもいいらしい) 朽ちている橋 小さな沢なので渡渉した方がいい
今回の救世主の方々 標高1400m近くになると傾斜が緩む
最後の一登り なんとか明るいうちに着いた
1870m無名峰 瓢箪峠スペースハウス
1870m無名峰 本当に登れるのかなという急傾斜 塩那スカイライン
スカイラインから尾根に上がる 男鹿岳へ続く雪堤
快適に登れた 1754mピーク直下のヤブが気になる
1754mピークと男鹿岳間の稜線 男鹿岳山頂はいい所だった
1870m無名峰と大佐飛山はまだ雲に隠れている 瓢箪峠から那須連峰 茶臼岳から噴煙が上がっていた
スカイラインから延びる尾根へとトラバース 標高1622m付近
標高1800m辺りから瓢箪峠 標高1800m辺りから男鹿岳
1870m無名峰から鹿又岳方面 1870m無名峰に来てやっと見えた大佐飛山
大佐飛山へ向けて登る 大佐飛山への登りで無名峰を振り返る
大長山 大佐飛山山頂
大佐飛山-大長山間はのびやかな尾根が続く 大長山山頂には立派な標識が
次に目指すは西村山 那須連峰 沼原池が見える
黒滝山山頂はすっかり雪が融けていた まるで5月のような陽気と雰囲気
今晩の幕営地 たった10日間で雪がほとんどなくなった
車の人の登山口 こちらの梯子の方がしっかりしてるようだ



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