吾妻連峰
高湯温泉〜家形避難小屋〜家形山〜昭元山〜継森〜中吾妻手前の鞍部〜谷地平〜吾妻小舎
〜残雪から贈られた最高の山旅〜
2013年5月17日〜18日

 今年の天気は週末や休日になると決まったかのように荒れて、山に入るには本当に恵まれない年だったが、ようやく穏やかに晴れる日が週末に現れるようになってきた。
 今冬は天候の関係で例年よりも家形山避難小屋に泊まることが多くなってしまったので、避難小屋の清掃や恒例の吾妻小舎泊を目的に吾妻へ入ることにした。
天気もよさそうなので、中吾妻山方面にも足を延ばせたらいいなと計画を立てた。

アプローチ
東京駅八重洲口23:59−福島駅東口6:10/6:25−高湯(ハイランド前)7:10

コースタイム

5月17日(晴れ)
高湯7:22〜登山口7:37〜スカイライン横断点8:39〜慶応山荘分岐11:20〜家形山避難小屋11:55
5月18日(晴れ)
家形山避難小屋4:48〜家形山5:54〜昭元山8:38〜トラバース開始9:04〜トラバース終了10:11〜継森10:56〜継森南の鞍部11:07〜中吾妻山手前鞍部11:56〜谷地平避難小屋13:30/13:57〜姥ヶ原15:37〜浄土平16:26〜吾妻小舎16:48
5月19日(くもり)


5月17日(晴れ)
コースタイム
高湯7:22〜登山口7:37〜スカイライン横断点8:39〜慶応山荘分岐11:20〜家形山避難小屋11:55

 早い時間に家形山避難小屋へ到着出来るようにするため、夜行バスでのアプローチ。ちなみにJRバスはスキー板を載せてくれないので、スキーを使うときにはできないアプローチ方法だ。
 しかしながら、JRバスでは余計なトイレ休憩がないのがお気に入り。バスも適度に空いており後ろの人に気を使うこともなく思い切り背もたれを倒せたので、耳栓をしても聞こえた誰かの寝言に一度驚いた(モコモコさんはこれに気付かず)くらいでよく寝られた。
 郡山駅でほとんどの人が降りてしまったらしく、ほぼ定刻に福島駅に着いたバスから降りた人は我々含めて5人程だった。

 朝の福島は寒かった。また冷たい風が吹いていたのでフリースと雨具を着込んだ。
 高湯行のバスとの乗り換え時間を利用して近くのコンビニ(ミニストップ)で朝食をとった。

 花月ハイランドにも定刻で到着。
 今回は日程と時間に余裕を持った計画を立てて帰りにここのお風呂に入るのを楽しみにしていたのだが、なんと大浴場は工事のため入浴できないらしい。また、日帰り入浴もこれまでより時間を制限すると立て看板に書かれていた。

 いつも通り支度と体操を済ませて出発だ。
 スキーの時と全く同じルートで登山口まで移動して登山届を提出してから登りにかかった。
 今回は実質1泊の荷物なのだが、モコモコさんの膝のリハビリ登山ということもあって本来モコモコさんが背負うはずのものまで担いでいるのでザックがずしりと重くペースが上がらない。まるで厳冬期のようなペースだ。
 それでもなんとかスカイライン横断点へ着いた。いつもならこの辺りで一息入れる所だが、今は車が通れるようになっているので少し先へ進んでから休むことにしてそのまま通過した。
 登山道に入り直してすぐに若い単独の男性に出会った。挨拶をして少し話をすると、昨日は雨と雷がものすごく酸ヶ平避難小屋へまさしく避難して泊まったとのこと。今日はスカイラインを歩いて降りてきたのだがあともう少しで高湯というところで、なんと靴のソールが剥がれてしまったので紐を巻いて応急処置をしてなんとか歩いていける状態だとのこと。
 色々と噂には聞いたり、雑誌等で報告を見たりしたことはあるが真近で見るのは初めてだ。
 これまで聞いたりした話は全く誇張ではなく、本当に、一気に靴の半分がベローンと剥がれてしまっていた。

 この青年と別れて間もなくで小沢の渡渉点だ。
 小沢を渡ったところで一度休憩を入れた。思ったよりも水の消費が激しく連休時の朝日のことが頭をよぎったが、井戸溝までは何とか持つだろう。
 不動沢バス停からの登山道を合せて少し急登すると、慶応山荘管理人の大柿さんにバッタリ出会った。
 積雪期でもないし、平日なのでまさかお会いできるとは思っていなかったので(でも少し期待はしていた)うれしい限りだ。
 大柿さんも登山道の手入れ作業を少し休めて我々と話をしてくれた。その際、気になっていた花月ハイランドのお風呂のことを尋ねてみると、いままで貸し切り風呂として使用していたのを男女別のお風呂にしており、日帰り入浴も問題なくできると言うことだ。また、花月ハイランドから大柿さんが聞いた話によると、大浴場は最初修復をするつもりだったのが腐食が激しく建て替えるしか手段がなかったとのこと、建屋そのものにも釘は1本も使っていないのだがそれでも駄目になってしまうということだった。
 
 本当に大柿さんの話はいつ聞いても楽しく名残惜しいが、また来ますと挨拶をして我々が先行した。
 二人旅に戻って先を歩くようになると、モコモコさんから花月の温泉はそれだけ強いということか、益々帰りに入るのが楽しみになったと言われた。
 雪が消えてヤブが出てきたことで、見頃のショウジョウバカマが目立つようになってきて癒された。気が付くと山鳥山。
 山鳥山を過ぎると、掘れた登山道に残る雪が増えてくるようになった。
 湯ノ平は融雪水が豊富に流れていた。
 写真を撮りながらのんびりと進む。夜行バスで来ると時間に余裕があっていいなと話しながら進んだ。

 井戸溝手前の登りから完全な雪道となったが、雪が締まっているので歩きやすい。
 モコモコさんの足も何も問題なく井戸溝到着。
 水が補給できるのがうれしい。
 沢へ下りると、沢へと融雪水が流れ出ていた所(枝沢)があったので試しに汲んでみたところ冷たくきれいな水だったのでこちらの水を汲んでいくことにした。

 相変わらずなんだか怖い橋で井戸溝を渡って、最後の登りにかかった。
 いつ来ても、自覚症状のなかったここまでの道のりの疲れが一気に現れる登りだ。木に打ちつけられているカエルの絵が見えれば間もなく慶応山荘分岐だ。
 大柿さんはまだここまで来ていないので、当然のことながら「命惜しんで定休日」になっていた。
 
 分岐からは一気にヤブっぽくなるのはお約束だ。
 それでも雪の状況がいいので歩きやすい。硯石から先も歩きやすい雪面で気が付くといつのまにか東海大緑樹山荘分岐を通り過ぎていた。
 うれしいことに予定よりも早く小屋へ着けそうだと話していると、本当に予定よりも早く小屋が見えた。
 小屋前の沢はまだ完全に雪に埋まっていて水音も聞こえなかった。ここも今年は雪解けが遅れているようだ。

 小屋へ着いてからは飲み物を飲んだりして落ち着いてから、まずは掃除だなと打ち合わせをして扉を開けると小屋の中がとても綺麗で驚いた。
 3月でまだ雪深い中、kenrokuさんとマリちゃんが一生懸命手入れしてくれたのだろう。
 お陰で我々はあまり作業をすることなく済んだので、水を探しに出かけることができた。

 小屋前の沢を下っていき、水音がするところを探していくとわずかな距離で水音が聞こえた。
 少しスコップで掘って覗いてみると水流が見えたので穴を拡張して沢床へ降りられるようにした。しかし水を汲むには鍋がないと効率が悪くとても時間がかかりそうなので、小屋へ鍋をとりに行くことにした。
 その間にモコモコさんは穴をさらに広げようとしていたが、もっと楽に汲めるところを探し当てたようだった。鍋を持って戻ると別なところで水汲みをしていた。
本流ではなく、融雪水が沢へ流れ込む小さな流れだった。そんな水量では時間がかかるだろうと思ったが、意外と汲みやすいところだったようで思ったよりも短時間で水がたまった。汲んだ水を飲んでみたが土臭くなく十分おいしい。こちらで必要な分の水全てを汲んで小屋へ戻った。
 
 まだ外は明るいが、明日は長い行程で出来るだけ早立ちするつもりなので早目に夕食の準備に取り掛かり、まだ外が明るいうちにシュラフに包まった。


5月18日(晴れ)
家形山避難小屋4:48〜家形山5:54〜昭元山8:38〜トラバース開始9:04〜トラバース終了10:11〜継森10:56〜継森南の鞍部11:07〜中吾妻山手前鞍部11:56〜谷地平避難小屋13:30/13:57〜姥ヶ原15:37〜浄土平16:26〜吾妻小舎16:48

夜行の疲れと、泊まりなれた小屋ということもあって少し寝坊した。
それでも今日の行程を考えて朝食はしっかり摂って出発。
ガンちゃん落としを登ってコルにでるつもりだ。最初は傾斜が緩いがだんだん立ってくると、早朝で雪が固いのでガシガシ登れなくなってくる。特にモコモコさんはこういった所の歩行が下手なので荷物が軽いくせに物凄く登るのが遅い。

できるだけ木が生えているそばを通るようにして慎重に登っていくとやっと終りが見えるようになってきた。
雪消えが遅い分しっかりと最後まで雪が着いていて助かった。五色沼はほぼ融けていて、風もなくいい天気の今日は綺麗に逆一切経山を映し出しており、縁の雪が残っているところはきれいな青色になっていて、余りにもきれいでずっと見ていたい気持ちになった。絵になる風景とはこのことだろうと思った。吾妻ならではの風景だ。

 ここから家形山の肩への登りは夏道がでていて登りやすかった。ここでは福島市街地が見渡せた。
 家形山山頂台地へ回り込むところからは完全な雪道となった。この辺りはいつもわかりにくいのだが、最近新しくテープを付けてくれたのか方向が分かるようになっていた。また、足跡も残っていたので迷わず進めた。これでかなりの時間短縮になったはずだ。

 登山道が北側の崖沿いに付けられている所までくれば、分かりやすくなる。夏道通りに行くと踏み抜きが酷いため、残雪豊富なことに助けられて歩きやすいところを自由に歩いていったが、天気が良く北側の崖から大きく離れないように気を付ければいいだけなので捗った。
 いつの間にか堀田林道分岐に着いており、ニセ烏帽子山への登りに取り掛かっていた。

 今回のように雪が豊富ならば、わざわざうねる雪堤上を歩かなくとも少し南側に降りてなだらかになっている所を歩いてもいいのだが、天気が良くて気持ちが良いので雪堤の段差の登り降りも苦にならなかった。途中熊さんの足跡っぽいのを見つけた。つい今歩いたような足跡ではなのでそばにいるはずはないのだが、枝がバサッと雪面から跳ね上がった時は二人とも口から心臓が飛び出るのではと思うほど驚いた。

 何事もなかったことにホッとして雪堤歩きを続けて行く。天気がいいせいか色々な鳥の鳴き声を聞けたので楽しい気持ちになって思ったより早く進めたと思う。
昨日モコモコさんから「歩くの遅くて大倉新道経由になったら御免」と言われていたが、足の調子もよさそうで、ニセ烏帽子山に到着したときには、これは予定通り行けるのではと大きく期待が膨らんだ。

 烏帽子山との鞍部まで来ると烏帽子山がでーんと聳えているのが見えた。前回スキーで来た時は、巻いている途中で天気が悪くなってきたのでそのまま谷地平へ下りたのだった。今回もなんだか登る気がせず巻こうと思ってモコモコさんに提案してみると、烏帽子山を嫌っているモコモコさんはこれだけ雪が残っているから巻けるよと一も二もなく賛成だった。

 鞍部から南斜面を巻いた。最初はあまり高度を下げずひたすらトラバースし、山頂の南斜面の木が生えていないところに出た。そのまま斜面をトラバースして行こうとしたが、雪が固く傾斜も急なので高度を少し下げて樹林帯へ入ってから再びトラバースした。
 ほぼ巻き終わったところでそのまま主稜線上へ戻ろうとすると、モコモコさんからしつこく主稜線へ向かって登らないで昭元山へ向かって歩くように声がかかるが、無視をして主稜線へと向かうとヤブに突入。改めてモコモコさんからこの辺りはヤブだから駄目だと言われたので、少し戻って鞍部から派生している沢筋へ入るようにヤブを突破しようとしたところ、回り込まないとヤブにはまるから駄目だと強く言われた。

烏帽子山は一言で表現するとパンチパーマのような山でした。ヤブというより、曲がりくねった太い幹を持つ低松密集帯(隙間を埋めるようにシャクナゲあり)とでも表現するのが相応しいのか分からないがとにかく濃い。ヤブ漕ぎという言葉だと間を進むことが可能という感じ。しかし低松密集帯のパンチパーマ状態だと分け入ることもできず、間をくぐり抜けることもできず、パンチパーマの境を縫って進むことしかできませんでした。

 確かにモコモコさんの言うとおりにルートをとった所すんなりと沢へと降りられた。沢と言っても広く傾斜の緩い単なる斜面に見えるところだ。これまでの藪は何だったのかという程樹林の間隔が広く、明るくて歩きやすい。それにしても、烏帽子山だけ植生がこれほど違うとは不思議です岩もやたら多いですけど。モコモコさんが烏帽子は変だと騒ぐのが分かった気がした。

 主稜線へ戻る為登り始めると、逆方向へのものだが足跡が出てきた。谷地平方面へ向かっているトレースだった。
我々はそのまま昭元山に取り付くようにして進み、再びはっきりした雪堤へ乗って昭元山へと登った。

 鞍部まで一下りし、大倉新道分岐手前のピョコを巻くように通過して東大巓との鞍部で中吾妻方面への稜線をじっくり眺めると、全面に雪が付いているのが良く分かった。
 これはヤブ漕ぎ0でいけそうだということで、鞍部から直接トラバースすることにした。東大巓の南の尾根(斜面)にはまだ雪堤がはっきりとついていた。我々はその雪堤下の樹林帯をトラバースする算段だ。
 この辺りは楽しい雪原の散歩道といった感じで最高に楽しかった。トラバース→斜面の傾斜が少し強くなったら緩やかになるまで標高を下げる→再びトラバースと繰り返していく。継森手前の鞍部の標高が1760m程なので、標高が下がってもあまり気にしなくて済んだ。概ね標高1800m辺りを歩いた。少し開けた気持ちのいい所があったので休憩をとることにした。水音がしたのでふと後ろを見ると雪が割れて融雪水が流れ出ているところがあった。少し崖状になっていたので地形図にある崩壊地点あたりだったのだろう。近づいてみると簡単に水を汲めるので水分補給できたのが助かった。

 ここからはあまり標高を下げないようにしてトラバースして行く。やがて稜線の雪堤下に出たので雪堤から離れないように行くと雪堤がやがて無くなった。そこから少しそのままの方向で進路をとった所、無事稜線に乗ることが出来た。ここからは進路を南に変えて左に沢の源頭が見えるようになるまで進んだ。視界が無いとこの辺りは難しいが、今日は展望バッチリなので、鞍部まで来ると次に目指す1807mのピョコがはっきり見えた。
 今度は進路を南西に替えてピョコを目指して登る。ピョコを目前にはっきり確認できるようになったところで進路を南に戻して、ピョコは巻いて通過することにした。
 方向を変えてからすぐに単独のはっきりした足跡を発見。
足跡を観察すると、アイゼンを付けておりまだ真新しいことから数時間前に通ったばかりだろうということが分かる。
 吾妻はペローンとしており、この稜線は特に歩く人も少ないので、ピンポイントで人の気配に出くわすことは珍しく思わぬ発見にうれしくなった。できれば直接足跡の主に会ってみたかったな。

 なんだか元気が出たので継森手前のピークまで順調に進めた。ここまでくれば継森は目前、きれいに繋がっている雪堤上を足跡を重ねるようにして行くと継森だ。前回はここから鞍部にある湿原の間にヤブ漕ぎがあった所だ。
継森はモコモコさんは登らず巻いたが、山人が代表して登り先の様子を見てみるとしっかりと雪が付いているようだ。

 鞍部を目指して一気に下降と行きたいところだが、ここは風が抜けるためか烏帽子山ほどではないが低い樹林が混んでいて踏み抜きが多く時間がかかってしまった。
ようやく到着した湿原は小さい面積だが雪が解けていて地面が見えていた。ほっとする所だったので休憩をした。
目の前に見える1933mピークはスキーではいつも西面を巻いているが、雪が締まって天気のいい今日はそのまま越えることにした。標高1900mまで登るとピークやその周りはヤブが濃いので少し回り込んで地形図では湿原マークとなっているところを繋いでやり過ごした。この辺りはなだらかで天気が良いととても楽しく歩けるところだ。鞍部まで一下りした先には中吾妻山が目の前にあるが、往復すると結構時間がかかるため残念だがここから谷地平へ向かって下降を開始した。

 ほぼ地形図の破線通りにルートをとった。モコモコさんから散々歩幅を小さくとって歩くか一度高度を大きく下げて傾斜が緩くなってから大倉川の渡渉点に向かうよう言われるが、ルートを外さないように気を使うのでそんなことは出来ないと返してどんどん下っていった。するとモコモコさんが大きく遅れるようになり待つようになった。何度かそんなことを繰り返していると右下がりの斜面のトラバースは傾斜があると左膝に負担がかかって膝が痛くなったとモコモコさんから文句を言われた。

 傾斜ががくんと落ちればもうすぐ渡渉点だ。予定よりも短い時間で下りてきているようだ。
熊かと一瞬思うった岩や、雪が融ければ小さな流れとなる所をやり過ごすと顕著な沢に出た。今の時期は埋まっているので沢へ降りてそのまま下降した。一部穴があいて流れが見えていただけで全て雪で埋まっていた。

 渡渉点では笹ヤブにテープが付けられていた。
 大倉川の痩せた河原へ下りると、思った通り融雪期の午後だけあってやはり水量が多い。
 少しうろうろして何とか渡れそうなところを見つけて先に山人が渡渉した。なんとか濡れずに済んだ。
モコモコさんも同じところを渡ろうとしているが、後一歩が出ない様子でうろうろしていたが同じところを渡渉し始めた。なんとか半分渡りあと少しというところで見事に転倒。

 胸まで水に浸かってしまい靴の中までびしょびしょとのこと。脱いで服を絞るか聞いたがこんなところでやったって仕方がないでしょう、そもそももっと簡単に渡れるところを探してくれればよかったんだよと物凄い八つ当たりをされた。
しかし、その先にある谷地平避難小屋手前の小沢も意外と手強かったので、実際のところそのまま進んで正解だった。
渡渉した先の登り返しにもテープがあった。この先は谷地平まで登り返さずに行けるようになっているのだが、残雪やヤブに覆われていたりで解り難かった。
谷地平への登山道と合流する前に、今まで気が付かなかったが記念碑や供養塔のようなものがあった。

 小屋直前の小沢は思った通り幅の割に水量が多くて深い。なんとか水中の石を踏んで濡れずに渡渉できたが滑りやすくて危なかった。後から渡渉するモコモコさんにはどうせ濡れているんだからそのまま水に入って渡った方がいいとアドバイスし、ここは転ぶことなく突破できた。

 モコモコさんは最初は小屋では休まずに最後の渡渉を済ませてから休むと言っていたが、小屋前の日当たりが良くやはり靴下等を絞りたいからと小屋内で休むことにした。
 しっかり水に浸かったようで、脱いだ靴を逆にすると水が出た。さらに靴下と水を吸った靴のパッドの水を絞った。幸いなことに今日は吾妻小舎泊まりでストーブが焚かれているはずだ。なんとか吾妻小舎まで頑張ってもらう。

 姥ヶ沢は意外に水量が少なくあっけなく渡渉できた。
 対岸の台地に登り返すと、うっすらと残る足跡発見。谷地平〜姥ヶ原間は、姥ヶ沢沿いに行けばいいのだが雪が付いていると非常に解り難いのでありがたかった。
 これまでの行程の疲れが出てきたので登りになった途端ペースががくんと落ちた。この調子だと吾妻小舎へ着くのは17:00頃になりそうな予感。
それでも足跡のお陰でルートを誤らないで済んだので、姥権現様の所に16:00前に着くことが出来た。ここから吾妻小舎まで1時間近くかかるので最後の休憩をとった。
 これまでと変わって残雪の中にも登山道や木道が現れるようになった。しかし雪解け直後なので靴が汚れてしまい少し不愉快になっていたところ、木道が敷かれているがそれが逆に融雪水の排水路になってしまったところがあった。「ぎゃー、沢になってるよ」と声を上げて通過したが、見事に靴の泥汚れが落ちてしまった。
靴のあまりの変わりように「おっ、靴が奇麗になったよ」と声が出てしまった。
そんな所もわずかで木道の快適な歩きになった。傾き始めたところもあるので濡れていると怖い木道だが、今日は乾いているのでペースを上げてどんどん進めた。

 再び雪上歩きが始まると浄土平も近くだ。最後の下りをこなしていると、いつの間にか単独の女性が現れた。挨拶を交わして先に行ってもらったが、とても足の速い方であっというまに見えなくなってしまった。
 我々はここまでくれば後急ぐこともないなと少しペースを落として無事浄土平へ到着。
桶沼回りだとこの時期中途半端に埋まっているヤブがうるさかった覚えがあるので、おとなしく兎平回りで吾妻小舎へ向かった。
 吾妻小舎直前で車が我々を追い越していった。車から降りた人はなんだか先ほど我々を追い抜いていった方のように見えた。今夜小舎泊まりかなとモコモコさんと話していくと小舎食堂入り口でお話をされていた。思った通り我々を追い抜いていった方で挨拶に立ち寄っただけとのことだった。

 我々も挨拶をすると、小舎内へどうぞと暖かく迎えてくれた。今年は小屋番さん(以降女将さんと称します)が入るとの事前情報を得ていたが、とても感じのよさそうな方だ。
ある程度の荷物整理を済ませてから小舎内へ入ると、若い単独の女性が干しものをしているところだった。
 こちらも干しものをして、全身着替えるとようやく落ち着いた。
 まだモコモコさんはビショビショの靴に新聞を詰めたりと忙しそうだったが、それも落ち着いた頃にお茶を頂いた。

 落ち着いたところで単独の女性と話をすると、なんとこの方は方々の山を登りながら旅をしている山旅人だった(以降山旅人さんと称します)。
 また驚いたことに、自家用車ではなく公共の交通機関やヒッチハイクで移動しているとのことだ。

 到着が遅く、色々作業をしていたのですぐに夕食の時間になった。
小舎の夕食は相変わらず美味しく、お酒も進んでしまった。食事の時間に山旅人さんとも打ち解けて2階に戻って2次会を楽しんだ。
 これから北上していくとのこと。どうかいい山旅になりますように成功と無事を陰ながらお祈りしていますよ。

 楽しい時間はあっという間に過ぎて消灯の時間。
 ストーブで暖まった小舎内のふかふかのお布団に横たわったら、あまりの快適さにあっという間に眠りに落ちてしまった。

 
5月19日(くもり)

入山前に見た天気予報では今日は雨だったが、うれしい方向に予報が変わったようで少し晴れ間も見える気持ちのいい朝だった。
昨日十分歩いたこととモコモコさんの靴の事情により、今日は浄土平をお昼過ぎに出発するバスで一気に福島駅へ出ることに昨日のうちに決定していたのでのんびり寝坊をした。

朝食もゆっくりとって、2階で本を読みながらのんびりと寛いだ。
山旅人さんは今日も移動するので、テキパキ支度を済ませて出発して行った。お気を付けて。

女将さんが挨拶に来てくれたので、ブログを拝見していることを告げると忙しい中暫しお話に付き合ってくれ、ひょんなことからなんと女将さんの実家とモコモコさんの実家が非常に近いことが解りモコモコさんが特に喜んでいた。
もう少し小舎に居させてほしいとお願いすると「ゆっくりしていって下さい」と快諾してくださり助かりました。

そろそろ出発しないと掃除もできなくて迷惑だよなと思ってモコモコさんに出発を促すが、後もう少しで履いていも気持ち悪くならない程度まで靴が乾くから待ってと言われたので、横になることにした。
10:00頃そろそろ出発しようとやっとモコモコさんから声がかかり、出発の準備にとりかかり靴を履いたところで、I田さんからお茶入れるからそれ飲んでから出発したらという声がかかり、お言葉に甘えてまた小舎に上がり込んでゆっくりお茶を頂いてしまった。

いつもながら快適に過ごさせていただけもう一泊したくなる小舎に名残惜しいが別れを告げて、今日も兎平経由で浄土平へ向かうことにした。
セントラルロッジを過ぎた先で、つがいの鳥(ウソ)さんが一生懸命なにかを啄ばんでいたので少し静かに観察した。
浄土平からは予定通りバスで福島駅へ出た。
楽しみにしていた高湯温泉は次回に持ち越して、ありがたくも営業存続してくれた極楽湯で汗を流して旅情気分とお弁当を味わいながら各駅停車でトコトコ帰った。


スカイライン横断点からすぐの辺り コケがきれい
ショウジョウバカマはまだこの辺りが見ごろ 湯ノ平手前で咲いていた
文句なしのいい天気 いつも静かな家形山避難小屋
ガンちゃん落としを登る 上部は結構急
雪が固いので怖々登るモコモコさん 五色沼 風もなく穏やかで逆一切経山が見られた
朝の福島盆地 指導標が顔を出した
東吾妻山もバッチリ見えた 楽しい雪堤歩きが続く 猪苗代湖も見えた
烏帽子山を巻き終えた 昭元山への登りから振り返る
雪堤ができている これから目指す稜線
水が取れて助かった 鞍部から登り返したところで東大巓を振り返る
継森手前から谷地平を見下ろす 1933mピーク
安達太良が見えた 磐梯山
鞍部には湿原がある 1933mピーク付近から主稜線を見る
鞍部まで一下り 中吾妻山は今回も見送り
樹林帯を大倉川渡渉点目指して下る ここを降りれば渡渉点
大倉川渡渉点から下流方向 大倉川渡渉点から上流方向
谷地平避難小屋と中吾妻山 姥ヶ原から前大巓
浄土平は間もなく 一切経山
つがいの鳥(ウソ)さん 蓬莱山



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