栗子山塊
滑谷沢左俣
〜可能性を見せた癒しの沢〜
2013年6月29日〜6月30日
いつも吾妻連峰から栗子山塊を眺めていた。身近なのに遠い存在だったが、ようやく行くチャンスが巡ってきた。
 
アプローチ
東京駅八重洲口23:59(夜行バス)−福島駅6:10/6:12-飯坂温泉駅6:34/(タクシー(4910円))−東栗子トンネル入口

コースタイム

6月29日(曇り)
東栗子トンネル7:51〜二ツ小屋トンネル8:34〜烏川橋9:07〜滑谷沢出会10:50〜二俣12:30

6月30日(曇り)
二俣7:03〜10m滝7:23〜大平橋9:20〜烏川橋11:10〜二ツ小屋トンネル11:35〜東栗子トンネル12:15


6月29日(曇り)
コースタイム

夜行バスで福島駅東口に到着。そこから飯坂線で飯坂温泉駅へ向かった。飯坂温泉駅にはコンビニ(サンクス)があり、朝食を調達することができた。
タクシー(4910円)で、東栗子トンネルの入口に向かう。

路肩の広い場所で準備を整える。滑谷沢へ向かう林道の山の斜面は、法面工事を大規模に行っており、どこから入るのか分からない。工事現場の人に聞いても分からなかったので、取りあえず上へ登ることにした。現場の最上部には昔のリフト降り場のような建築物があった。そこから少し右に行ったら道が見つかった。

この道は昔の国道で、米沢まで伸びているそうだ。しばらく行くと、山鳥の小さいのが藪から飛び出してきて我々を驚かせた。もともと遠くまで飛べない鳥だが、我々と遭遇してパニックになったのか駆け足で藪へ逃げていった。

二ツ小屋トンネルがデーンと現れる。モコモコさんがすぐに取り出せるようにヘッデンを入れていたので、それを点けてトンネルへ入る。以外にもトンネル内はしっかりしていた。出口の壁上部が少し崩れており土砂がトンネル中まで入り込んでいたが、まだまだ十分持ちこたえられそうだ。

トンネルを抜けるとすぐに烏川橋だ。橋の上で、一休み。ここから入渓。といっても、沢の下降から始まるのでなんだか調子が狂う。滑谷沢出合いまでに、クマが食べたと思われる植物の切れ端を2か所で見つけた。

なんだか沢の石が良く滑るので、慎重に足を置く。時期的なものか、ただ単にフェルトがすり減っているのかわからないが要注意だ。

沢の両岸のブナが白く美しく立っている。この山塊のブナは、みな同じ太さのように見えた。なんだか不思議。
滑谷沢出合まで何箇所か岩盤が発達した所がでてきたが、一か所濡れるのを恐れたモコモコさんが軽く巻き降りたくらい(普通に滝を降りることができる)で穏やかな流れが続いた。滑谷沢出合手前でゴルジュ状になったところがあったが、何も問題なく抜けられた。

滑谷沢出合いには立派なテン場があった。ここから遡行を開始する。
水量は滑谷沢の方が多い感じだ。
こちらの方を川と名付けたい気もするが、実際遡行してみると、傾斜は緩くても河原が全くと言っていいほどなくなるので、やはり沢と名づける方が正しいと思った。

天気が曇りのせいかテンションが上がらず、なんでもないところで滑って頭からデングり返しのように沢に突っ込み全身ビショヌレになった。Tシャツと長袖ラガーシャツを脱いで絞る。ヘルメットもビショビショでますますテンションが下がる。
そうこうしていると、今度はモコモコさんが沢中の倒木の枝に足を引っ掛けて転倒して全身びしょ濡れになった。
こうなると二人揃って完全にやる気がなくなった。

辛抱して進むと、右岸にテン場発見。少し進むとそこが二俣だった。予定では奥の二俣まで進むだったが、沢初めでそう無理はしなくていいだろうという結論に至った。これぞ山モコスタイル。

そうと決まれば話は早い。タープを張って、薪を集めてのんびりすることにした。自然の恵みに感謝して、ガスが出てきたものの楽しい夜は更けていった。

6月30日(曇り)

ほとんど霧雨のようなガスは一晩中続いたものの、幸い雨も降らずヤブ蚊もあまり気にならず過ごせた良い寝床だった。

さて、右俣は次回の宿題ということで左俣に行くことにした。左俣には何もないと思ったが結構滑床があったりと楽しめた。途中10mの立派な滝があった。直登は無理なので左の濡れた岩の斜面を少し登ると踏み跡が出てきたので、踏み跡に従って巻いていくと上手い具合に沢床に降りられた。

そこからも何も問題なく歩いていくと三本松沢との出合となった。我々の目指す沢は裏見ノ滝となっていた。三本松沢はゴーロ滝をかけて出合っていた。
裏見の滝は登れないので、三本松沢のゴーロ滝を登ってから滑谷沢へ戻った。

この沢の出合からすぐのところで快適そうな幕営適地があった。ここを過ぎると綺麗な滑床になった。

滑床と河原が交互に出てくるようになって、やがて平凡な流れになり蛇行をはじめた。まだか〜まだか〜と歩くと大平橋に到着。

大平橋から烏川橋へ向かう。大平橋から先は踏み跡があるが、藪が覆いかぶさって、露でビショビショになった。少し進むと林道がはっきりしてきた。

烏川橋手前で痛恨のミス。林道が大きく崩壊していて、道を見失った。あれこれ探して見つからないので、適当なところから沢に降りる。烏川橋の上流に下りたと思っていたが実は、橋の下流に下りていた。アホの二人は、初日下降した沢を、「この熊の喰いかけみたことあるな〜」などと話しながら15分程歩く。

モコモコさんも「このオタマジャクシの水たまり見たことある」というので、ここで引き返すことに。これで30分程ロスした。

ようやく、烏川橋へ到着。次回の参考の為に、モコモコさんが先ほど林道崩壊地まで足を延ばして様子を見てきてくれた。なんてことはない、すぐ下に道が続いていたとのこと。思い切り注意力不足だ。

気を取り直し、二ツ小屋トンネルへ。今日のトンネルは湿度の影響か、ガスが立ち込めておりなんだか怖い。ヘッデンを点けて通過。あ〜怖かった。
ここは一人で来たら精神的なもので敗退しそうだ。モコモコさんも同意らしく、敗退の言い訳をヘッドランプを忘れたことにすれば「チキン野郎」と笑われることはないかな?と話していた。

あとは林道を下っていくと、例の工事現場に飛び出した。

今日は工事はお休みらしい。着替えを済ませてタクシーを呼んで(※)飯坂温泉駅へ向かった。
  ※トンネル入り口は携帯電話(docomo)が通じます。携帯電話が使えなくても、公衆電話があるので心配ありません。

帰りは飯坂温泉駅前にある「つたや旅館」500円で温泉に入って汗を流した。(小さなお風呂ですが、駅前にあるのがありがたい。常連さんが偶に居る程度で、貸し切りで入れて快適でした。湯あがりに冷たい水のセルフサービスも有、ありがたい)


はっきり言って日帰りでも余裕の沢をわざわざ泊まりで行ったことになったが、装備点検も兼ねて良い沢初めとなった。栗子山塊は素晴らしい可能性を秘めているのでまた訪れてみたい。

後日談
家に帰ってお腹を見たら、ダニがくっ付いていました。以前やられた時よりも小さい奴だったので、ピンセットで引っ張ってやっつけることができました。
ヤブのある所へ行く者は、こうしてダニー教に陥っていくのだ。

阿武急と飯坂線 2013年6月30日現在。写真右端の道を辿ると林道に出た。
ブナブナ。昔の道に思いを馳せる 山鳥の子供?まだ遠くまで飛べない
二ツ小屋トンネル 烏川橋
クマが食べた後か? 滑谷沢へ下降の途中にあった滝
ブナブナ 岩盤が出てくると滑谷沢出合は近い
唯一あった雪渓 二俣のテン場。ブルーシートがあった。
モクモク、モコモコさん 夜は更けていく
左俣10m滝 裏見ノ滝を越えるとナメが目立つ
大平橋、道はヤブで覆われている ガスっているトンネルは怖い



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