山域 南会津・尾瀬
コース 実川硫黄沢
〜ようやくの沢開き〜
日程 2014年7月12日〜7月13日

 最近土日になると雨降りが多く、そうこうしているうちに梅雨入りしてしまった。
 朝出発で、公共の交通機関を使える所で沢開きなのであまり厳しくない所を探すと、そうそういい場所はなかなかないものだ。天気予報を見ると日曜日は天気が崩れるらしいので、前から行きたいと思っていたものの行程が中途半端でなかなか実行に移せなかった尾瀬の硫黄沢にした。
 
データ
地形図;
燧ケ岳、山と高原地図;尾瀬

アプローチ

浅草駅5:43/6:20-会津高原尾瀬口駅9:25/9:50-七入11:05

コースタイム

7月12日(晴れのちくもり)
七入バス停11:54〜入渓点(堰堤下)12:09〜二俣13:12〜ゴルジュ出口15:53〜BP17:00
7月13日(くもり後雨)
BP7:29〜上の二俣8:17〜長池湿原8:41〜車道8:49


7月12日(晴れのちくもり)
コースタイム

会津高原からの御池行きバスへと最近定番になりつつあるルートで七入まで入る。
御池へとバスが入るようになったので、尾瀬への入山者も一気に増えて、バスは2台出ていた。そのうち一台は御池まで行く人の専用となり、御池まで全ての停留所を通過する特急バスとなっていた。

我々は、途中下車なので、通常の停留所を回っていく路線バスだ。
途中の駒ヶ岳登山口では結構下りた人がいたが、七入で下りたのは我々のみ。
七入りで初めて下りたが、広々とした駐車場にはあまり車はなかった。シーズンに入ったといってもまだ御池まで皆車で上って行けるためここから歩く人以外は利用していないのだろう。

バス停のベンチで、お昼御飯を食べてから沢の準備をして出発した。
七入山荘手前で右に分かれる林道へ入って道なりに進むと、登山道が硫黄沢を横断する地点へと辿りついた。
横断する前に、硫黄沢上流方面へとはっきり踏み跡がついていたので、踏み跡を使っていくと横断地点から見える堰堤下へと導かれた。

堰堤は左岸の方が平らで巻きやすそうなので、対岸に渡渉してそのまま台地まで登りあがった。登りあがると平らで歩きやすく堰堤上まで簡単に巻き下りることができた。
堰堤上は土砂がたまっているが、所々深くなっており、いきなり股下まで浸かってしまった。
ここで二人ともふと気がづいたのだが、なんだかかすかにどぶ臭い。堰堤上の土砂が原因かと思ったが、以降この臭さは続いた。
水も少し濁っている感じだ。

森の中を流れる沢の遡行を初めると、間もなく小滝が現れるが、左から簡単に巻いた。
次の3段滝は最初容易に登れたが、水量が多いので迫力があった。いくつか小滝を越えていくうちにゴルジュっぼくなった。その出口にあたる部分には深い釜を持つ7mほどの滝がかかっていた。右岸を巻くとすぐ上にも小滝がかかっていた。
息つく間もなく5m2段滝だ。これまでで一番大きな釜を持っていた。右から巻いて越えた。ここまでの巻きはいずれも小さく巻け、ほとんど滝横の棚を歩いて進むようなものがほとんどで、楽しく遡行できた。
沢が開け、ほっとするナメが出てくると二俣(3:1)だ。ここまで来ても本流の水は濁っていてなんだか臭うので、ここはありがたかった。苔むした2条の滝をかけて左岸から入る水は澄んでいてきれいなので、こちらの水を飲んだ。
その先のことを考え、行動用に水を汲んだ。

二俣からは沢は少し開けて明るい。この区間では、地形図からは読み取れないが、左岸から枝沢が何本か入ってきた。どれも滝をかけていた。
再び沢が狭まると、第二ラウンドの始まりという感じだ。
最初は少し長い淵を持つゴルジュだ。出口には小滝をかけている。左右どちらからでもいけそうだが、左からへつるように進んだ。二回ほど水に腰まで浸かったが、簡単に通過。小滝も簡単にとりつけ越せた。
いくつか小滝を越えて沢が左に曲がるところには、堰堤状で、水量の多いこの時期限定かもしれないが左岸から小沢が入り込む6m滝が現れた。
左壁を直登できそうだ。今シーズン初の沢であり、水量も多くぬれているのでザイルを出していくことにした。
この滝には、いつかけたがわからないが、トラロープがたれていた。

次の滝をなんなく越えていくと、この沢では珍しい感じの苔むした大岩が鎮座する4m2条滝がかかる。右岸の窪から登り、倒木をよいしょと跨いで落ち口へとトラバースしたが、倒木が太くて跨ぐのが思ったよりも大変だった。
ゴーロ歩きがほとんどなくあきさせない渓相で困難なところもなく楽しく進むと、これまでで一番大きな滝が現れた。10mほどの3条の滝だ。
近づいてみると直登は無理なので、手前のガレから巻きに入るかと上を見ると、すぐに行き詰まりそうだ。更に戻ってぐずついたルンゼ状の小さな斜面から巻きに入った。
難しくはないが、落石が発生しそうなので足の置き場に注意だ。少し登れば棚状になり、すんなり落ち口へと巻き下りることができた。落ち口をみると、滝本体は暗いが、落ち口はなんだかすがすがしい感じだった。

滝上すぐで、きれいなナメ滝がかかっており、いい沢だなーとなんだかうれしくなった。滝幅いっぱいに水が流れているので、スリップに注意しながら登った。
この辺りは、手前の滝から次の滝が見えるという、ハードル障害のコースのように息つく間もなく連続して滝がかかっており、ナメ滝の上には、本日の核心部7m滝とその前衛の滝が見えた。

前衛の滝は、深い釜を持つ7mほどの2段滝だ。
巻くと面倒そうなので、登ることにした。一段目は左からとりついて、強い水流に耐えながら、右へトラバースして落ち口に立った。
続いてモコモコさんだ。最初は順調だったが、岩を越える辺りで動きが止まった。踏ん張っていたが、とうとうはたき落とされた。
落差もほとんどなく、下は釜で順調に吐き出されていったので危険はないと思っていたが、いつまでたっても這いあがることができず少し心配になった。
ようやく水から脱出したのを見て一安心。モコモコさんからは「この水量では私には無理」とのこと。上段を見ると、ここも大変そうだ。水がもう少し少なければなんとかなるかもしれないが、今日はやめておいた方がよさそうだ。
ここは巻くことにして滝下へ戻る。登りと同じコースを取るのは逆に危険なので、そのまま釜へ飛び込んだ。
それからすぐにモコモコさんがいつまでも水に浸っていた理由が分かった。
この釜見た目よりもずっと深くて岩へ這いあがる直前も足がつかないほどだった。岩自体もつるつるでえぐれており、ほとんど釜の終了地点まで行かないと這いあがれないものだった。二人揃って余計な苦労をしてしまった。

巻きは、右岸の方が簡単そうだが、かなり高くまで追いやられてしまうので、左岸にとった。
濡れた立った岩場の登りになるので、ザイルを出した。
細く頼りないが、灌木で何か所か中間支点を取った。前衛滝横の岩棚に立ったところで一度モコモコさんに登って来てもらう。
後続のモコモコさん曰く、2か所ほど残置ハーケンがあったとのこと。全く気がつかなかった。

次が7m滝横の大岩を回り込んでの巻きだ。先ほどと違い草つきになるのがいやらしい。
灌木は意外にあったので、こまめに支点をとって、灌木帯になったところでモコモコさんに登って来てもらいそのまま落ち口へ抜けてもらった。
もうあまり支点を取らなくても大丈夫といったのだが、ここで滑り落ちると草つきを登ってくることはできないとわずかな距離で頻繁に支点を取るので時間がかかった。
辛抱強く待っていると、「いいよー」のコールが掛ったので、後に続いた。支点を外すためにわざわざ止まるのが少し面倒だったが、安全第一だ。よしとしよう。
巻き終わりは、ここは秩父か?というほどすんなり落ち口へと出られた。この巻きも含めて、巻き終わりで枝にぶら下がっての草つきの下降やザイルでの懸垂下降がないので、短いながらもひそかに人気急上昇の沢であることが分かる気がした。

滝上はすぐにゴルジュ。
これを吹けると核心部は終了だ。
ゴルジュへはモコモコさんが先行。すんなり岩棚に上がりあとはトラバースするだけと見守っていたが、戻ってきた。なんでもトラバースにかかる最初の一歩でホールドが遠くて体重を移せないのだとか。
モコモコさんと交代して行ってみる。確かにホールドが少し遠いが本当にこの一歩だけであとはすんなり抜けられた。
落ちても下は淵になっているから大丈夫だよと励ますが、当のモコモコさんからは、どうせ落ちるんだったら最初から水に浸かっていくとお助け紐を要求された。

「飛び込んだらひっぱってね」と開口一番、淵に飛び込んだモコモコさんをわずかに引っ張るとすぐに足がついて手頃な場所から出口の小滝を登ってきた。
感想を尋ねると、下手に落ちるよりも引いてもらえるんだったらこっちの方が楽でいいとのことだ。

この短いゴルジュを抜ければ核心部は終了だ。
綺麗な小滝をいくつか越えると一気に森の中を流れる穏やかな沢となった。
右岸に整地され薪も揃った幕営適地があったので、行動を終了しようとしたがモコモコさんからもっと先で探そうと言われて通過した。

その先にもすぐいい所が見つかるかと思ったが、適地はなかった。
20分ほど歩いたところで3m滝が現れた。「いい所が全然ないよ。さっきの所にしておけばよかった。」とモコモコさんに文句を言うと、「それじゃあ戻る?」と言われるが、これまで歩いてきたところは河原であるが、ぬめっていてあまり歩きやすくなく戻るのは大変だ。
仕方なく、ブツブツ文句を言いながら3m滝を右から小さく巻いて越え、さらに先へと進んだ。

結局、最初の幕営適地から1時間ほど歩いたところまできてしまった。
これぞ天の助けという具合に広々とした適地が現れた。段差があったりしたが二人で泊まるには整地不要だ。そばには清水が流れている。
ここまで上がっても、本流の水は濁り気味でかすかに臭うので正直生活の水として使いたくなかったのでありがたい。
時間が遅くなり、ゆっくり沢の夕べを過ごすことはできなくなってしまったが、結果として良かったということにした。



7月12日(くもり後雨)
コースタイム;BP7:29〜上の二俣8:17〜長池湿原8:41〜車道8:49

バスの時間があるので早めに起きたが、例によって予定よりも30分ほど遅れて出発。沼山峠発8:40のバスに乗りたいところだが間に合いそうもなさそうだ。
滝らしい滝は殆ど越えて標高差もほとんどないので、グネグネと曲がる河原歩きだ。
それでもたまに岩盤が発達しているところもあった。

泊まれそうなところも何箇所かあったが、その場合はほとんどが本流の水を使うことになるので昨日の場所が一番だったようだ。
今回最後の滝となるえぐれた釜を持つ5m滝が現れた。右岸から取りつき数m登ると、上部は傾斜が緩く簡単に上流へと歩いて行け、落ち口近くへとすんなり下りられた。

あとはだらだらと続く退屈な河原歩きをひたすら進むと、二俣に着いた。天気もあやしくなんだか飽きてきたので右に入って終了させてしまいたくなった。
協議の結果、早めに終了しても一本前のバスには間に合わないようなので、皆が終了点としている長池湿原までは行ってみることにした。
蛇行する沢を20分ほど進むと、バスの音が聞こえるようになった。車道は近くだ。
ぱっと左岸が平坦な感じになり、車道があるはずの辺りを見るとブルーシートが見えた。出口が分かったので湿原へと上った。
もう少し先へ進めば開けた湿原に感動したと思うが、なにせ上ったのが早かった。周りは葦原だ。
予定のバスの時間から数分過ぎてしまったので、少し湿原を見てみることにした。

上流方面へと移動してみると、湿原が広がっていた。先ほどから時折雨がぱらついていたので、周りの山は見えない。湿原が見られたことでよしとして、車道へと沢からの脱出にかかった。
車道の途中でずぶずぶの泥沼状態にはまってしまい、スパッツから下が泥まみれになってしまった。
車道へ上がった所、山側に池か水たまりかわからないが、とにかく靴の泥を落とせそうな所があったのでバスに乗車拒否をされない程度まで汚れを落とした。
さて、バスが来るまで結構時間があるだろうとザックを下して装備を解こうとしたところ、なんとすぐにバスがやってきた。

慌ててザックを担ぎ手を挙げた。
バスには乗客なし。
下半身が濡れているので、座席横のひじ掛けに軽く腰掛けた。
運転席のそばにいたので、運転手さんとお話をしながら御池へと向かった。沼山峠へと向かうバスには若い人で満員状態だ。
今ブームの山ガール、山ボーイと呼ばれる人達かな、やはり尾瀬は人気だなと感心していると、意外な情報が運転手さんから得られた。なんと、沼山峠で山コンが開かれるのだそうだ。どんな感じなんだろう。参加したいというよりも覗いてみたいと思った。

楽しい運転手さんのお陰であっという間に御池到着。ちなみに御池−沼山峠間は、どこから乗っても(下りても)片道520円
歩くとかなり時間がかかりそうだったので、助かった。この沢の最大のポイントは、下山0分(秒)だが、今回の我々の場合は待ち時間も0秒だった。
御池からのバスまで時間がありすぎるくらいある。
靴やスパッツを洗ったり着替えをしたりパッキングをしたりと時間を潰しても、まだまだ時間がある。
休憩所で飲み物を仕入れ、残ったつまみを引っ張り出してテラスでバスの時間までのんびり過ごすことにした。

その間にも沼山峠-御池間のバスが定期的に離発着していた。その間に、我々を乗せてくれたバスの運転手さんが、バスの床掃除をしていた。申し訳ありません。快く乗せて下さりありがとうございました。

会津高原行のバスは我々含め5人ほど。途中会津駒ケ岳などで数人乗ってきてほどほどの人数となった。
今日は涼しくて汗もかいておらず、外は雨降りのこともあり、お風呂には寄らずに電車へと乗り込んだ。


林道入口 七入山荘 とてもきれい
堰堤を右岸から巻いた 森の中の流れ
最初の小滝 左から簡単に巻けた 3段滝
7m滝 滝上から
5m2段滝 このように開けると
二俣 ゴルジュ
奥の滝でザイルを出した トラロープがたれていた
4m2条滝 10m3条滝
落ち口 ナメ滝
ナメ滝を登るモコモコさん 7m滝とその前衛の滝
モコモコさんがはたき落とされた滝 拡大 巻き終わったところ
最後のゴルジュ ゴルジュ先の小滝
ゴルジュを出て最初にある幕営地 最優良物件 時折小滝が現れる
森の中を流れる ようやく見つかった本日の宿
最後の小滝 右岸巻 二俣
長池湿原 車道のブルーシートが見えた 少し湿原を歩いた



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