山域 朝日連峰
コース 古寺鉱泉〜大朝日小屋〜狐穴小屋〜善六池往復〜二ツ石尾根〜天狗小屋〜大井沢
のんびりふれあい朝日連峰〜
日程 2014年10月10日〜10月13日

当初では、南アルプスへ行くつもりだった。週間天気予想もばっちりだった。
ところが、直前になって、影に隠れていた台風19号が、台風18号に続いて日本列島横断ツアーへの参加を決め込んでしまった。
それに伴い、南アルプスだと悪天になるのが10/11の夜からになってしまい、ほとんど行動できなくなってしまう恐れが出てしまった。あわてて全国の予報を見てみると、朝日連峰ならば10/12まではなんとか天気がもちそうだ。
これは朝日連峰に呼ばれているに違いないと勝手に解釈し、小屋の管理人さんに挨拶をしに会いに行くのもいいなということで今秋も朝日連峰へ向かうことにした。
 
データ アプローチ
代々木駅23:30−(夜行バス)−山形駅5:40/山形駅7:04-左沢7:51/(タクシー)-古寺鉱泉

コースタイム

10月10日(くもりのち晴れ)
古寺鉱泉9:50〜古寺山13:25〜大朝日小屋15:56

10月11日(晴れ)
大朝日小屋7:00〜竜門小屋10:30/10:45〜狐穴小屋13:00/狐穴小屋13:35〜善六池14:35〜狐穴小屋15:45

10月12日(晴れ)
狐穴小屋7:40〜二ツ石山10:55〜天狗小屋13:40

10月13日(くもりのち雨)
天狗小屋7:20〜大井沢12:10


10月10日(くもりのち晴れ強風)
コースタイム; 古寺鉱泉9:50〜古寺山13:25〜大朝日小屋15:56


今回も夜行バスでのアプローチ。JRバスは体にやさしいバスなので体力を温存できる。一気に山形駅まで運んでくれるので助かる。
山形駅では始発の左沢線まで時間あるのでお約束の「松屋」で朝定食を食べた。

左沢線では我々のほかに女性二人組が乗っていた。左沢駅に到着すると先ほどの女性二人はタクシーを予約していて天狗小屋方面の南俣まで行くという。
我々は古寺鉱泉方面で行き先は違うが、別のタクシーは予約が入っているため他にタクシーがないということだったので相乗りをお願いしたところ、快く承知してくださった。

先に予約されたお二人優先でまずは南俣へ向かう。2日目は狐穴小屋に宿泊するということでまたお会いできるだろう。お二人とはここで別れて、今度はそのまま古寺鉱泉へ向かってもらう。

古寺鉱泉から登るのは初めてで、アスファルトの道が駐車場まで続いているのには驚いた。
駐車場についた所、平日にも関わらず車は既に一杯だった。人気の程が伺える。駐車場にはトイレが二基と奥には水場まであった。なかなか素敵な場所だ。
我々が出発準備をしていると、一台の車から山の格好をした単独の男性が降りてきた。この方も今日は大朝日小屋泊まりとのことだが、平日なのに沢山の車が停まっていることに驚いていた。

駐車場から5分ほど沢沿いのよく整備された登山道を歩くと、鳥原山方面への分岐になり、分岐前の橋を渡ると古寺鉱泉の朝陽館前に着いた。
朝陽館の軒先をお借りして準備を整える。準備中に、カメムシ(我々はカメックと呼んでいる)がどこからか飛んできてザックにとまった。臭い匂いを付けられないように慎重に払った。

部屋の中には猫が気持ちよさそうに寝ていた。もう少しでここにも雪の便りが届く頃だ。そうなるとこの猫も一緒に里に降りるのだなと思うと、なんだかおかしな感じがした。

ところで、飛んできたカメックは仲間を呼んだのか、いつの間にか2匹になっていた。怖いもの知らずのカメックはモコモコさんのザックにも取りついていたが、モコモコさんに即排除されていた。
床に落ちたカメックはひっくり返った状態になったが、もがくと縦方向に、むんっ!!と言う感じで起き上がるのには笑った。
先に準備が済んだモコモコさんは、面白がってカメックをひっくり返して遊んでいた。ちなみに起き上がりがうまくいかない場合は、そのまま死んだふりをしていた。
準備を整え終わったら、体操を済ませて、登山届のポストも柱にあったので提出し、いよいよ出発だ。

道は歩きやすく、取りつきからいきなり登りになるがふくらはぎが伸びきるような感じではない。それでも初日で荷物が重いので、今回ストックをある場所に忘れてきたため、木の杖を現地調達した。

早朝は雨が降っていたらしく、地面が濡れていたが良く整備された登山道には水たまり等はなく順調に高度を稼いで行けた。登山道整備の個所があり作業にたずさわった皆さまに感謝。
合体の樹を過ぎた辺りで、早速下山してきた方とすれ違う。上はガスと強風で残念な天候だったとのこと。

黙々と登っていると、なにやらモコモコさんが慌てて振り返った。
なにかと思ったら、リスが真近に降りてきて登山道を横切ったとのことだ。いままでになく近い距離で見られたのでそうとう興奮したようだ。残念ながらあまりにもすばしこいので、教えてもらった時には既にリスは薮に入ってしまった後だった。

麓の紅葉はまだまだだが、この辺りはなかなか綺麗だ。ゆっくり眺めながら歩を進めると楽しみにしていた一服清水に到着した。
荷物を降ろして、一服清水で休憩。豊富な水が流れており、丸太のベンチもあり素敵な場だ。休憩中に下山途中の方に出会う。
そのうち、若い女性は天気が心配で予定を繰り上げて降りてきたとのことだ。
いい所だが、まだまだ先は長い。重い腰を上げて出発するときに、男性二人が登ってきた。

一服清水から一登りすると、ハナヌキ峰だ。
日暮沢への林道が通行止めの今はひっそりとした感じだ。例年ならば周回する人が行き交いにぎやかな所だったろう。
ハナヌキ峰から先は、地質の関係か傾斜が強いためなのか分からないが、登山道が崩れてしまい、付け替えられた所が目立った。大変な作業だったことが伺える。

旧登山道を見たり、暑くなってきたので一枚シャツを脱いだりとしていると、一服清水で見かけた男性二人組が早々と追いついてきた。
どう見ても我々の方が遅いので、先行してもらうことにした。思ったよりも時間がかかって三沢清水に到着。水場では、先ほどの男性も水を飲んでいた。
三沢清水は一服清水ほどは出てはいないがそれでも喉を潤すには十分な量だ。

男性二人はまだ休憩中だったので、三沢清水からは再び我々が先行した。重荷にあえいで登ると、先の視界が開けてきた。視界が開けると間もなく古寺山だ。
古寺山山頂では4人グループが大休憩中だ。古寺山からはほぼ森林限界となり、小朝日岳がデーンを聳えているのがよく見えた。
一際高く見るので、登らないといけないならひと騒動だが、巻き道もあるので山頂までは登らないのでも済むのが救いだ。

古寺山からの尾根は、紅葉が見頃かと期待したが、紅葉する樹林よりも笹が目立った。
分岐まで意外と距離があった。山モコは迷わず巻き道を選択。巻道はよく歩かれるためか、幅もあり歩きやすかった。小朝日岳へ登ると、熊越えまで一気に下降するので精神的なダメージが大きいので助かった。

トラバースが終わり、熊越へ下降していると後ろから人が来る気配がした。
足が速そうなので、先へ行ってもらう。若い単独の男性だったが、なんと、サブザックを片方の肩掛けにして、まるでアルバイトに遅刻しそうな学生さんのように飛ぶように駆けあがって行った。
なんだろう、大朝日小屋へ急用かな?と話しながらえっちらおっちら下るとやっと熊越だ。
熊越から振り返る小朝日はとてもきれいだ。
この辺りまでくると、紅葉は先日の台風の影響もあってかかなり葉が落ちてしまっているが、それでも岩と残った紅葉が対照的だった。

熊越を過ぎた所で少し休憩。
風が出てきたので雨具とフリースを着こんだ。主稜線からは新潟県側からのガスが強風でひっきりなしに湧いて吹き飛んでいる。
秋なので14:00を過ぎると日も傾いてくるので、強風で寒さを感じるくらいになってきた。時折強風にあおられながら登っていくと、先に小さなピークが見えた。銀玉水はあのピークの手前だったはずだ。

記憶通り、ピークの前に銀玉水はあった。
当初は小屋へ着いてから金玉水へ水汲みに行く予定だったが、この強風の中また外に出るのは面倒だ。銀玉水で今夜と明日の竜門小屋までの水を担いで行くことにした。
銀玉水は誰もが褒める通り、冷たくておいしい水だ。一服清水と三沢清水には悪いが全然違う冷たさとうまさだ。

ずしりと重くなったザックを担いであとひと踏ん張りと気合を入れていると、前方から人影が。なんと熊越で我々を追い抜いていった若者だった。帰りの足取りも一向に衰えることなく、飛ぶように掛け下って行った。
石畳になった登りをこなしてちょっとしたピークに着くと、風も絶好調になっていた。最後の登りをこなして、稜線を越えてきたガスに巻かれながら重荷で何度も風にあおられて、よたよた歩きをするモコモコさん先頭にひと頑張りすると、突然小屋が視界に飛び込んできた。
ようやく辿りついた大朝日小屋へ早速逃げ込んだ。

管理人の阿部さんに今夜の寝床を指示してもらった。2Fには全部で20人ほどだろうか。
我々の次に、前後して登っていた男性二人組も無事到着した。

今回の登山の最大の目的の一つに阿部さんへのお礼がある。2012年6月に大変お世話になったので、どうしてもそのお礼がしたかったのだ。
1Fに場所を借りてささやかな乾杯を阿部さんと一緒にできたのが何よりも嬉しかった。
夕食を済ませた後も外では風が唸っていたが、小屋の中は至極快適だ。
ほどほどに埋まった人々で暖かく過ごすことができた。


10月11日(晴れ)
コースタイム; 大朝日小屋7:00〜竜門小屋10:30/10:45〜狐穴小屋13:00/狐穴小屋13:35〜善六池14:35〜狐穴小屋15:45


5:00に起床。
昨日悩まされた風は、一晩中唸っていた。外は相変わらず風が強いようだ。その状況でも日の出を撮影に多くの人が出かけて行った。
我々は一切外には出ずに、いつものようにゆっくりと準備する。なんといっても今日の目的地は狐穴小屋だ。
のんびりと行けばいい、ただそれだけだ。これぞ山モコスタイル。

小屋を後にし、目指すは中岳。金玉水への指導標手前の小さな地塘はうっすらと氷が張っていた。
中岳を巻くようになると、尾根が風がさえぎってくれるので歩くのが楽になった。
ぐるっと巻いて中岳からの下降に移ったときに見えた景色は、大朝日岳の影が覆いかぶさって良い感じだ。奥には西朝日岳から延びる袖朝日岳〜桧岩屋山へ続く尾根が見渡せる。荒川側は荒々しく切れ落ちている。
反対斜面には 越年確実な残雪を見ることができた。西朝日岳の登りにさしかかる手前にあった地塘は枯れておらず健在だった。

ぼちぼち竜門方面からの縦走者とすれ違うようになってきた。
天気がよく、風も穏やかになってきて暑くなってきたのでシャツを一枚脱いだ。
そこから少し歩くと、逆走してくる方とすれ違う。少しお話をすると、昨晩は竜門小屋に泊まったとのことだ。日暮沢の林道を歩いたのかなと思ったら、なんと古寺鉱泉から登り、一度日暮沢へ降りてから登り返したのだそうな。さすが朝日、いろいろと健脚な方が登ってきているなと思った。

今日は時間があるので西朝日岳の先にある1813mの三角点を目指すことにした。モコモコさんからは、いつもの「私は行かなくていいや」が出たので、単独での往復だ。
三角点への途中までは、岩井俣沢畑沢のときに、それよりも前には末沢川遡行のときに袖朝日からきて通ったはずだが、まったく記憶になかった。
思ったよりも短時間で三角点に着いた。往復25分ほどでなかなか見れない角度から山を見ることができる。
しかも静かで、お得な気分になれる。スイスイと進める薮なのでストレスはない。
山頂に残ったモコモコさんに手を振り合ってから戻る。

本当の西朝日岳山頂に戻るとモコモコさんが若い男女のパーティーとお話をしていた。我々が出発する際に、古寺鉱泉から登ってきたお二人だった。
変なところから飛び出してきた自分が誇らしいやら恥ずかしい気持ちだ。
お話に加わり楽しいひと時を過ごしていると、単独の男性が颯爽と到着したのとほぼ同時に再出発の準備ができたので、入れ替わるようにして我々は西朝日岳を後にした。

ここからは、アップダウンが緩やかで尾根も広がって稜線漫歩の始まりだ。
6月にはウスユキソウが咲き始めていたが、今はすっかり茶色くなった状態でよく見ないとわからない。たった3カ月半ほどでものすごい変わりようだ。
のんびり歩いていると、西朝日岳の単独の男性が追いついてきたので先を譲る。この男性はとても足が速く、あっという間に姿が見えなくなってしまった。

天気が良く、ちょうど風も止んで暑いなと言いながら竜門山へ登り、一踏ん張りをして竜門小屋へ到着。小屋の前には豊富な水がドバドバ出ていた。
小屋の中に入り、行動食を食べる。管理人の遠藤さんはまだ到着していない。お会いできなかったのは残念だが、到着を待っていると狐穴小屋へ着くのが遅くなってしまうので先へ進むことにした。

さて出発の準備をしていると昨日、大朝日小屋で一緒だった男性が到着。竜門小屋ではビールが手に入るということでここまで足を延ばしに来たが、管理人さんが居ないので譲ってもらえず残念そうだった。少しお話をすると、西朝日岳を過ぎたところで我々を追い抜いた男性は、お仲間の方なのだが、いつも歩くのが早すぎて、今日は以東岳へ行く気満々で一人先行していってしまったとのことだ。確かに、「今日行かないでいついくの?今(今日)でしょう。」とういう勢いだったなあ。

小屋から5分程行くと登山道にサングラスが落ちていたので石の上に置いておいた。
6月上旬だと大きな雪堤となるこの辺りは、まだ残雪が見られた。

南寒江山の登りに入る。マツムシソウが健気に数輪、咲いていた。あれほど咲いていたウスユキソウも当たり前だが、もう見られない。
また来年、可憐な花々を咲かせてくれるだろう。
暑くなってきたので、さらにシャツを一枚脱いだ。先へそのまま進んでいたモコモコさんは、途中に生えていたホコリ茸をつついて、ホコリ(胞子)を飛ばせて「文字通り、たたけばホコリが出る」と喜んでいた。

南寒江山に登ると重厚な相模尾根が三面に向かって延々と延びているのが一望できる。
ふと前を見ると、例の以東岳へと向かう彼は北寒江山の山頂にいた。以降姿を見ることはなかったが、あのペースならきっと以東岳へと行けたことだろう。

モコモコ係数を掛けた山モコペースでゆっくり進みながら、相模尾根や主稜線の両側から派生する沢を眺めて景色を楽しんだ。ガッコ沢の源頭には細長い雪渓が急斜面にへばり付いている。

相模尾根分岐となる北寒江山を通過し、一下りした三方境を見送り狐穴小屋へ向かう。小屋前の長椅子で寛いでいる男性に声をかけられた。
山の世界は狭いもので今年の7月に天狗小屋で御一緒した山形のマキさんでした。

今日はのんびりと以東岳ピストンをしてきて小屋前でまったりしている状態だった。
管理人の安達さんはまだ到着しておらず、マキさんによると、安達さんは、今回南俣から天狗経由で小屋へ上がってくるとのことだ。
小屋へ入り、2階に上がると、初日にタクシーで御一緒した女性2人組の方が寛いでいた。

山モコも荷物をほどいて、寝床を確保。本日は天気もいいし、時間も早いので相模山方面にある善六池まで足を伸ばそうということになった。
サブザックを背負って足軽に出発。

三方境の手前で若い男女パーティと会う。なんと2012年8月、八幡平の大深山荘でお会いしたkeen2さんma-kuroさんご夫妻でした。
なんと、古寺鉱泉から一気に登ってきたということだ。山モコの常識では考えられないことだ。やはり秋の朝日連峰は足が早く健脚な方が多いなとつくづく思った。御夫妻も狐穴小屋に泊まるということで、今晩が楽しみだ。

お二人と別れて、まずは三方池。小さな池であるが静かでいい雰囲気だ。尾根から外れて池近くまで寄れるような踏み跡がある。
次に源蔵池を目指す。あまり人に歩かれていないのでふわふわした歩きやすい登山道で、きれいに刈り払いされているのでのんびりと気持ちよく歩ける。

のびり気分になるのは人だけでなかった。いきなり足元からバサバサと勢いよく飛び立ったものがあった。余りにも突然だったので、驚きのあまり心臓が飛び出そうだった。ハトらしい感じだったのでヤマバトか?本当に気持ち良く歩いていたので、冗談抜きで驚いた。

驚きのあまり、既に姿が見えない鳥さんに向かって、モコモコさんは「動物だったらもっと早く気付いて逃げてくれよー、こっちは鈍い人間なんだからさー」とクレームをつけていた。

気を取り直して、相模尾根を通るときには必ず撮影するガッコ沢上部を覗いてみる。スリット状のゴルジュにはまだ雪渓が多く残っていた。昨年よりも多い気がした。
ガッコ沢の上部の雪渓を見ながら進むとひっそりとしている源蔵池に到着。
源蔵池からは、少し足場が狭い短いトラバースを交えてさらに進むと、最後に善六池。これが一番大きい。善六池と以東岳の眺めが素晴らしい。ここまでゆっくり歩いて片道1時間。足を延ばして来る価値はあると思う。さらに相模山へ行ければ楽しいが、ここまでにして往路を戻る。

小屋に戻ると管理人の安達さんとしょうこさんも到着していた。改めて7月の山旅の時のお礼を言うことができた。タクシーを相乗りさせていただいた方も外に出ており、挨拶をすると、「ものすごい人が増えたよ」と教えてくれた。中に入ると、散策出発時とがらりと変わり、小屋内はとてもにぎやかだった。
1Fに15人。2Fにも15人ほどが居るような感じだ。

狐穴小屋でこの状態だ。大朝日小屋の混雑ぶりは恐ろしいことになっているに違いない。

今夜はkeen2さんma-kuroさんご夫妻をお誘いして、鍋をつついてお話もはずみ、楽しい夜はあっという間に更けていった。


10月12日(晴れ)
コースタイム; 狐穴小屋7:40〜二ツ石山10:55〜天狗小屋13:40


今日も天気がいい。朝焼けが以東岳を染めている。keen2さんma-kuroさんご夫妻は古寺鉱泉までの長丁場ということで早立ち。
山モコは天狗小屋までなので、今朝ものんびりと出発の準備をする。

マキさんも天狗小屋泊まりということでのんびりとしている。
流石に誰もいなくなり、いつもの如く最終出発者となって、管理人の安達さんしょうこさんに別れを告げる。

しばらく行くと狐穴風呂場(コン浴)を発見。真夏にスッポンポンになって汗を流すのは最高だろう。
名残惜しく、狐穴小屋を何度も振り返りながら高松峰を目指す。高松峰へはハイマツの細い道が続く。大事に歩きたい。
高松峰で一枚シャツを脱いだ。ここでパッキングし直したので時間を浪費してしまった。
ふと三方境をみると、後方に2人が見える。竜門小屋に泊まってきた方だろうか?

高松峰直下のザレ場には、ロープが設置してありいつも通り慎重に時間をかけて行く。2か所ほど岩場を巻き下り、一息付ける所で、2013年5月に通ったルートを確認していると、後ろから見えていたお二人にとうとう追いつかれたのでパスしてもらうつもりで道を開ける。

突然「モコモコさんですか?」と声を掛けられた。お話をすると「山楽番」のお二人でした。2010年に吾妻連峰で一度、お会いしたことがあるとのこと(下山してから当時のことをやっと思い出しました)。こうして実際お互いを認識してお会いするのは初めてで驚いた。

山モコがいつも履いている安いジャージ(ジャージ最高!!)と原地調達の木の杖でピントきたとのこと。
天狗小屋でまたお会いしましょうということで別れた。

二ツ石尾根の紅葉は終わりに近いがなかなか見事な感じだ。
しばらく続く痩せ尾根と、紅葉を楽しみ岩稜の終わりを告げるサイコロ岩を越えると、間もなく7月の東俣遡行時に詰めあげた場所に着いた。
振り返ると二ツ石尾根が見事だ。ここは天狗小屋から向かう方が眺めが楽しめるな。

緊張から解放され、登山道が樹林の中へと入っていくとお馴染みの二ツ石水場の標柱だ。標柱は見るたびにボロボロになっている感じがした。まだ方向を示す文字は無事だが、これ以上(熊さんに?)やられると、地名を知らない人は分からなくなりそうだ。

時間があるので二ツ石山の手前の水場を偵察しに行くことにした。きれいに刈り払いされた道を3分ほど下ると、苔むした沢床になり水がにじんできてそこから水が取れた。
思ったほど近いので拍子抜けした。渇水期であるが、先日の台風のお陰で近くで水が取れるようになっていたのかもしれない。
お腹がすいたので腹ごしらえしてから二ツ石山への登りにとりかかった。

この登りでは、風がちょうど尾根にさえぎられて暑さに苦しんだ。登りきると山楽番さんが休憩を終えたところだった。
さきほど休憩を取ったばかりであるが、靴の調子を見るためザックを下ろした。
実は、今朝、狐穴小屋を出発するときに、靴紐が芯だけを残して表皮(?)が切れて剥けてとれてしまったのだった。
芯だけだと、伸びないため履き心地がよくないので、取れた表皮の紐を結んで繋いでみた。芯だけよりも具合がよさそうだ。

二ツ石山から再び展望のきく尾根道。
天狗角力取山へは、これまでと違い岩稜歩きはないが、いくつかピークを越えていかねばならず苦しい所だ。湯沢峰を通過し、ウツノシマ峰への下降に差し掛かったところで、山楽番さんがウツノシマ峰へと登っている姿が見えた。

登りは大変だが、その先へ見える天狗角取山までは、これまでの距離に比べればあともう少し。天気はいいし、なにしろ天狗小屋まで行ければいいので、ラジオを聞きながらウツノシマ峰を登った。
お腹がすいたので、ウツノシマ峰で休憩を取った。ちょうど、のど自慢が流れていたので放送をじっくり楽しんだ。それにしても、我々は一度荷物を下ろすと、出発までやたら時間がかかるな。

いい加減重い腰を上げて、最後の我慢の登りに入る。
この登りのときにちょうど一日で一番気温が高い時間にあたってしまったので、とても暑かった。時折吹く風が心地よかった。
また、この登りの紅葉がとてもきれいで目の保養になった。

登ってしまえばあっという間だ。天狗角力山に着くと、早速モコモコさんが山頂にある石で造られた土俵の手直しをしていた。
天狗小屋からの楽しそうな声がここまで聞こえてきた。

紅葉に囲まれた絶好の場所に建つ小屋へと降り立ち、管理人の石川さんに会う時のお約束の挨拶を、今度は、こちらからいきなり大きな声で言ったら、意表を突かれたようで驚いていた。途中、シミュレーションし練習もしてきた甲斐があった。
おかしな再会を果たし、先に着いた皆さんに混ぜてもらって、新たに設置された特製のテーブルベンチで夕方まで楽しい時間を過ごすことができた。

夜は夜で、小屋仕舞の特別延長ということで、21:00頃まで宴会に参加させてもらい交流を深めた。

今夜の宿泊者は15〜20人程だろうか、ゆったり過ごすことができた。


10月13日(くもりのち雨)
コースタイム; 天狗小屋7:20〜大井沢12:10


5:00頃起床。天気はどうやらもってくれそうだ。「山楽番」さんは手早く準備をして出発して行った。

我々も遅いながら準備を進める。今日は小屋仕舞いの日だ。来年の春まで小屋を守る為の色々な準備が必要なのだ。
いつも小屋の床がピカピカなのはワックスを塗っているためであり、その作業も今日行われる。
山形のマキさんも急遽、作業に参加することが昨夜決定したのだった。

足の遅い我々は、先に下山することにした。最後の紅葉を味わいながら下山した。

林道に下りてから大井沢の「湯ったり館」まで1時間ほど歩くことになる。橋が落ちてしまっているので、車は迂回コースを行くことになるが、歩きならば迂回しないで進むことができる。が、最後の最後に渡渉が待っていた。前回の7月の時は川の流れを変えていたので渡渉しなくて済んだので少しこれは予定外。
左岸の護岸工事が終了して流れをもとに戻したので渡渉必須になっていた。

今回は靴を脱いで裸足で渡ることにした。幸い水量が少なく距離も短いので助かった。
ついでに靴の泥を洗い流した。こんなことをしているとあっという間に時間は過ぎて迂回路を歩いたのとあまり時間が変わらない気もするが、本来の道を行く方が精神的に楽だ。

大井沢温泉(2014年10月時点では沸かし湯 200円)で汗を流し終わって外を見ると強い雨が降っていた。
軒下に適当に置いていたザックと靴だが、どなたか親切な方が雨に当たらない場所に移動してくださったようで、お陰で濡れずに済んだ。この場をお借りして改めて感謝いたします。本当にありがとうございました。

ちょうど小屋仕舞いの作業を終えたマキさんが到着した。お疲れさまでした。
また最後に狐穴小屋と天狗小屋でお会いしたSさんにお会いできたのも良かった。小屋仕舞いお疲れ様です。

帰りはマキさんにお世話になりながら無事に帰ることができた。ありがとうございました。

古寺鉱泉の駐車場 トイレあり 駐車場奥の水場
朝陽館 中に寝ていた猫がいた いい雰囲気の宿だ
合体の樹 登山道整備の箇所
ところどころ綺麗 天気がよくなってうれしい
登山道整備の箇所。水を逃がす 一服清水
ハナヌキ峰分岐 三沢清水
小朝日岳 小朝日岳、熊越方面から
大朝日岳方面 上部はガスが流れる
銀玉水 甘露 小朝日岳方面を振り返る
中岳方面 風の強い中、大朝日小屋に到着
2日目
中岳、西朝日岳 小さな地塘が凍っていた
大朝日岳を振り返る 中岳へ向かう。雪渓が残る。
西朝日岳はもうすぐ 西朝日岳の奥に見えるのが1813m三角点あり
大朝日岳方面 袖朝日岳方面
相模尾根方面 1813m三角点から見る西朝日岳
西朝日岳から竜門山へ向かう 竜門小屋
水はドバドバ 竜門山と竜門小屋
寒江山へ向かう 南寒江山へ
竜門山方面を振り返る 寒江山より以東岳
健気に咲残る花たち 狐穴小屋が見えてきた
狐穴小屋 三方池
三方池 三方池と以東岳
相模山 ひっそりとした源蔵池
ガッコ沢上部 善六池と以東岳
3日目
朝日を浴びた以東岳 エズラ峰方面
狐穴小屋と以東岳 名湯 狐穴風呂(コンヨク) 心臓の弱い方は禁止
高松峰 高松峰の先の急な下り
振り返る 振り返る
紅葉は終わりに近いがきれいだ ザレ場 ロープあり
サイコロ岩を越えれば岩稜歩きも終了 東俣沢のときに出てきたところ
この辺りはまだ身頃 青空に映える
二ツ石水場 ボロボロ標柱 水場へ下る
水、出てます 以東岳が良く見える
紅葉が登りの辛さを忘れさせてくれる 天狗角力山への最後の登り
ヤマネの死骸 開けた青空と紅葉が見事
天狗角力山 土俵 修復にとりかかるモコモコさん
4日目
天狗小屋を望む 二ツ石尾根を望む
トラバースから尾根へ戻る場所 紅葉の中を下る
秋だと特別な場所に見える めがね橋
作成中の橋 左岸側の護岸工事が終了していた 最後に渡渉



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