山域 谷川連峰
コース 土樽〜コマノカミ沢〜シシゴヤの頭〜土樽
〜春の谷川ミニミニ周遊〜
日程 2015年3月29日〜3月31日

 谷川連峰の残雪期はとても短い。
 運よく連休と天気のご機嫌がうまく合ったので、短い谷川の残雪歩きを楽しむことにした。
データ
アプローチ

東京駅5:53-高崎駅7:48/8:24-水上駅9:31/9:47−土樽駅10:05

コースタイム
4月18日(晴れ)
 土樽駅10:35〜黒金沢出合11:41〜コマノカミ沢出合12:38〜支稜線15:13〜シシゴヤノ頭16:02〜下降点16:16〜蓬沢東俣沢出合17:08〜コマノカミ沢出合17:20(幕営地)
4月19日(曇り)
 幕営地@5:07〜黒金沢出合5:46〜土樽駅6:29



4月18日(晴れ)
コースタイム; 土樽駅10:35〜黒金沢出合11:41〜コマノカミ沢出合12:38〜支稜線15:13〜シシゴヤノ頭16:02〜下降点16:16〜蓬沢東俣沢出合17:08〜コマノカミ沢出合17:20(幕営地)

 いつもは一番電車に駆け込んで始まるが、今回はのんびり山行なので余裕を持って電車を待つことができた。
先月から高崎線に東京駅で乗ることができるようになっているので、乗り換えが一回で済むようになったのも余裕が出来た理由の一つだ。
今日は土樽駅まで全て各駅停車で行ってもこなせる行程で、新幹線は使わずに済むが、一本前の高崎発7:08の上越線に乗るには新幹線を使わないといけないのは相変わらずよろしくないことだ。

 上越線では、思ったよりも多くの登山者を見ることができた。乗客のほとんどが水上から先へ行く電車に乗り換えた。
 登山者はほとんどが土合駅で降りてしまい、土樽駅で降りたのは我々と二人組の登山者、単独の自転車ライダーさんの計5人だった。
 土樽駅で他に下車する人と会うのはこの時期ならではだ。

 それぞれ駅で支度を済ませて出発。ちなみに二人パーティーは毛度沢方面へ向かっていった。
 我々は蓬峠方面へと出発。
 日差しが強いので、薄着になっておいて正解だ。
  蓬橋を渡る際には、釣人も見えた。まだまだ雪が残っており、桜が咲く気配はまだ先だが、蓬峠へ向かう林道には融雪水が勢いよく流れている。春だな。

 いつも、入山時には水を汲み下山時には顔を洗う水場で、水を汲んだ。
 茂倉新道への分岐を通過すると、林道は途端に雪に覆われるようになった。

 出発が遅いので、先行者の足跡も融けて崩れかかっているが、坪足2人ほどとスキーのトレースを見ることができた。
 雪解けが急速に進んでいるようで、気温が高いこともあって思ったよりも潜る。先行者のトレース上に足を置くようにして歩いても砂浜を歩いているような感じだ。路肩が幅1mほど現れているところが続いているところは雪面から下りて路肩を歩いた。
 途中斜面からスノーブロックが落ちてきた。日当たりがいいので、斜面に着いた雪が次々と落ちてきているようだ。
 
 林道が植林地帯に入ると日陰になって涼しいが、融雪や早朝の凍結が緩やかなためか日向よりも潜る。
 途中、携帯通話可能を知らせる看板があり、しばらく来ないうちに少しずつ変わっていたことを実感した。
 ズボズボ潜るのでペースが上がらないが、この時期あちらこちらの小沢から豊富に水が流れているので実際に飲まないにしても、水を思う存分飲めるのがうれしい。

 無積雪期でも長く感じるこの林道は、ズボズボ潜る今日のようなときは特に長く感じた。やっと大きな堰堤が見えた。黒金沢の出合だ。
ここまでくれば、取りつきのコマノカミ沢出合まであと30分くらいだろうと見込んで、休憩をとった。

 新しい堰堤をもう一つ通過すると、間もなくコマノカミ沢の出合だった。
見込み通り約30分だった。以前スキーで来た時は、この先の東俣沢左岸の尾根を登ったが、今回はスキーではないので、支稜線に最短距離で登ることのできるコマノカミ沢を詰めていくことにしていた。
少し上がったところでアイゼンを付けて出発。

最初台地状の緩やかな斜面を少し登ってから沢へと下降した。
沢との高低差が数m程しかないので楽に沢へと入ることができた。

沢は割れているところが一切なく傾斜も手ごろだった。後ろを振り返ると対岸の尾根の斜面に何やら動く黒い物体を発見。
熊さんだ。モコモコさんは「え-、カモシカじゃないのー?」と疑ってくるが、あれは絶対熊さんだ。
動きが結構早いので、あっという間に雪の切れ間に入ってしまって姿を見失ってしまった。

天気がいいので暑くなってしまい、ペースが上がらず標高1070mの二俣に着くのにかなり時間を掛けてしまった。
お腹がすいたので、ここで休憩をとって進路を確認した。
稜線にはこの二俣は右に入り、すぐ先にある二俣のような三俣のような二俣のようなところは、一番広く最短距離で稜線に出られる沢を選択することにした。

三俣のような二俣のような場所は意外に近く感じた。予定通り一番広くなっている沢へ入った。
ここから傾斜が一気に増すので、先頭を交代しながらゆっくり確実に足場を作って登った。
登って行くにつれてどんどん傾斜がますので、左右どちらかの尾根に登ろうかと思ったが、距離は沢も尾根も直線的に稜線に突きあげており同じ距離なので結局のところ傾斜も同じということで、雪質は比較的柔らかいのでそのまま沢を詰めることにした。

稜線が目前に迫ってきた。
さすがに稜線の雪は被っており、直接上がれないので少し尾根に移動してから雪堤上へ上がった。
上がったところは、コマノカミノ頭東側にある標高1464mの小ピークの左となりの小さなピークから一下りした小さな小さなピョコで、予定通りの場所だった。
スキーでなく、稜線に上るのが目的ならばこのルートが一番早く着いていいと思った。ただし、傾斜が急で最後はかなりきつくなるのでスキーで登るのは向かないな。

周りを見ると、この時期にこの支稜線で幕営するには最高の場所にいた。
北風が直接当たるが、背後に風を完全に防いでくれるように薮が生えており雪面も簡単に整地できるような状態だ。
ザックをおろして休憩しながら作戦会議。

当初の計画では、サブザックでコマノカミノ頭を往復してくるつもりだったが、ぎりぎりヤブ漕ぎなしで1464mピークまで行けそうだが、手前の小ピークの処理が面倒そうなのと、1464mピークから先はヤブ漕ぎになりそうなので、モコモコさんから「なんだか面倒くさそう、私行かなくてもいいや」とお決まりの言葉が出た。コマノカミノ頭にはこだわっていないので、往復はやめることにした。

目指すはシシゴヤノ頭だ。予定では適当な所で幕営するつもりだったが、天気もよく日没までまだ時間があるので進むだけ進んで、降りられるようであれば稜線から下りてしまおうということになった。

モコモコさん先頭にシシゴヤノ頭へ向けて出発。
最初は雪堤がいい具合についていたが、すぐに雪堤から雪の斜面になってしまった。
雪が適度に柔らかいので歩きにくくはないが、歩きやすくはない。一気に下降して小さなピョコを二つほど越えるといよいよシシゴヤノ頭への登りだ。
登りに取りつく所では、幕営するのによさそうな所があった。
また、シシゴヤノ頭の頭へは登らなくても、南側を巻けそうだったが一つくらいはピークに登ってもいいだろうということで斜面にとりついた。

標高差はわずかであるが、それなりに傾斜があるので大きく斜面を使って登った。直下で雪が切れていたが、雪と2mほどの距離で登山道があるので簡単に山頂に着くことができた。
この登山道が再整備されてからの歴史は浅いが、大源太山を登っての周回コースをとることができるので結構人気があるようだ。

尾根が細いので、山頂付近の稜線からはすっかり雪がおちてしまっているが、登山道があるのでかえってありがたい。
雪堤の尾根に戻ったり夏道が出てきたり何回か切り替わると、ふたたび雪堤の尾根となった。
夏道が蓬峠に進む尾根が派生する場所まで行ってから下降する予定だ。
右下を見ると広い斜面があり、その斜面に難なく下りられそうだ。
ここから下降すればかなり下まで降りられるということで、緩いところを見つけて降りることにした。

下降点は幸いすぐに見つかった。
モコモコさんはストックだと少し怖いというので、ピッケルを出して下りることにした。
下降点からはモコモコさんを待ちながら先行した。

最初はストックでも前向きで下りることができた。
緩やかな斜面に変わる手前は急なので、念のため後ろ向きで下りた。あまり待つことなく、後続のモコモコさんも無事下りてきた。
ここからの下降はとても楽しかった。

ブナ林に入って東俣の中間尾根に入ると、スキーのトレースと合流した。
尾根は広く、適度な感覚のブナ林の斜面を気持ちよさそうに滑った様子が伺え、軽い荷物だったらここをもう一度スキーで滑りたいなと思った。
尾根が少し狭まり傾斜がでてきた頃から、スキーのトレースは沢へと消えて行った。

我々はそのまま尾根の末端まで下りた。
沢へ下降する直前が急なので、数mほど後ろ向きで下りた。
下りた所は標高1070m辺りの二俣だ。
ここまでくれば翌日土樽駅発10時台の電車に余裕で間にあうが、欲がでてきて水を汲める所まで降りることにした。

少し下降して完全に沢床に下りると、再びスキーのトレースに出合った。
スキーで滑り降りた跡に再び乗ってずんずん下ると、沢が狭まった所に穴があいており、結構な水量で流れている音がした。
危険を感じることなく穴を避けて下降できた。

そのすぐ下は、右岸から入る沢との出合いだった。
出合にある尾根末端で小沢がでており、水を簡単に汲めるので泊まるのに必要な水を汲んでいくことにした。
水汲みを済ませると荷物がぐっと重くなるが、蓬沢との出合まであとわずか。幕営するのにいい場所を探すだけだ。

出合直前に水流が顔を覗かせている所があったが、沢床が広いので近づくことなく通過できた。
ここから土樽方面へ向かうには、何度か沢を渡渉しなければならないが渡渉点は、雪で埋まっているかしっかりとしたスノーブリッジがかかっていたので全て何も問題なく通過できた。

雪原がでてくるようになって幕営してもいい所が頻繁に出てくるが、ここはルート上で早朝テント脇を通過されるのも何なのでさらに進んだ。
結局コマノカミノ沢出合まで戻ってきた。
いくら日没が遅くなったとはいえ、この先に進むと幕営準備をしているうちに暗くなってしまいそうだ。

行きに休憩した少し登ったところ所がなかなかよかったので、そこで幕営することにした。
幕営となると平でないため整地が必要だったが、この時期は整地がしやすい。
デラックスフライを持ってきたので整地の範囲も広くなってしまうが、思ったよりも早くテントに入ることができた。
今日は水を汲んできたので水作りの行程をとばすことができ、早めにシュラフに包まることができた。

土樽駅からここまで時間でこられたので、10時台どころか8時台の電車に間に合う。
予定行動時間は2時間だが、早起きすることにした。寝不足と疲れであっという間に意識を失った。

4月19日(曇り)
コースタイム; 幕営地@5:07〜黒金沢出合5:46〜土樽駅6:29

時計のアラームで予定通り3時に目が覚めた。ここですぐに起きればよかったのだが、モコモコさんをあと10分ほど寝かせておいてあげようと予定より10分遅く起きた。
しかし、いつものことながらモコモコさんは山で自分で起きたことがほとんどないな。

天気は曇り。その影響で放射冷却による冷え込みはなかった。
予定では5:00出発だったが、寝坊した分きっちり遅れた。

放射冷却がなかったとはいえそれなりに冷えているので、雪面は硬くなっていたためアイゼンを着けて行くことにした。
植林地帯までほとんど沈んだり踏みぬくことなく快適に進むことができた。
お陰で下りということもあるが、予定を大幅に短縮できた。

植林地帯になると、一日中日陰であるため融雪して再凍結することがないのか昨日の入山時と同じくらい踏みぬいてしまう。
それでも下りであるというのは大きい。
途中数はまだ少ないが、蕗のとうを摘みながらでも早くも関越自動車道(土樽PA)が見えるようになった。
ここまでくると、雪も切れ切れになり路肩もでてくるのでアイゼンを外した。

蓬橋までくれば雪は終わりだ。
水場まで戻ってきた所で、モコモコさんから顔を洗っていこうと言われた。寒いから洗わなくていいと断ったが、お風呂も入らずにこれから電車に乗って行くのだから洗わないとだめといわれ渋々顔を洗った。

入山する人と結局一人も会わなかったなと話しながら、上越線の下をくぐり駅手前の蓬橋まで戻ってきた。バス停があるので時刻を見ると一番早くて7:48だ。こ時間に越後湯沢に出てもお風呂にはまだ入れず(営業開始前)、結局予定している電車で折り返してくることになるだけだ。
そのまま土樽駅へと上り坂をえっちらおっちらと歩いていき、土樽駅は目前という所で・・・ギャー!!!

駅に電車が入り込んできた。
8時台の前に6時台がもう一本あったのだ。実はうっすらと6時台があったような気がしたのだが、勘違いだったら申し訳ないと思いモコモコさんには話さなかったのだ。昨日時刻表を写真に撮っておけばよかった。

走ったものの、すぐそこにホームはあるのに入口へはぐるっと回りこまないといけないので間にあわなかった。
駅に着いて時刻表を見ると6:28発の電車が確かにあった。現在6:29。ああ、顔さえ洗わなければ、なによりも目が覚めて温情をかけずにモコモコさんをたたき起していたらと、次々と、たら、ればが浮かんできて悔しさがどんどん強くなってきてしまい、モコモコさんに当たらないではいられなかった。

パッキングをゆっくりしても、あと1時間40分もある。
曇空で日差しがないため、駅舎の中にいても寒いだけで暇すぎる。
近くを散歩しに行くことにした。モコモコさんは駅にいるということで一人で出かけることにした。

下山してきたのとは逆の毛渡沢方向へ向かった。
毛渡沢を渡る上越線の鉄橋がとてもいい雰囲気だが、護岸工事をしてるのでその良さを損なっていた。早く工事が終わるといいな。
摘み頃の蕗のとうがあったのでいくつか摘んで駅へ戻った。

駅で待っていたモコモコさんは、手袋をはめていた。やはり駅でじっとしているのは寒かったらしい。
電車がくるまであと20分。
駅ノートを見ていたモコモコさんによると、スキーで来た人が間違えて登り列車に乗ってしまい、次の駅である土樽駅で慌てて下りたものの、戻る電車まで1時間30分待ちとあったり、3時間も待たなければならないとの書き込みがあったとのこと。我々は予定の電車を逃したわけではないのに待つのがつらい。さぞかし大変だったことだろう。
散歩に出かけたので、悔しさもうすれあまり待ったという気もしないで済んだ。

やっと待ちに待った上越線が来た。
長いトンネルを抜けた先の土合もまだ雪が残っており、桜の開花もまだまだ先のようだ。
谷川連峰付近の桜前線は、群馬県側で言うと上牧と後閑辺りが満開で見頃だった。やはり土樽や土合は山だな。しばらく花見列車となった上越線の車窓を楽しみながら春の谷川ミニミニ周遊を終えた。


吾策新道、茂倉新道へはこの橋を渡る 一気に雪解けが進んでいる
植林地帯 黒金沢出合の堰堤
コマノカミ沢出合から蓬峠方面 コマノカミ沢出合 コマノカミノ頭が見える
対岸の斜面に熊さん コマノカミ沢は全面雪で割れているところもない
左俣 右俣は広い
大障子ノ頭、万太郎山さらに仙ノ倉山まで見えるようになった 下を見ると結構な傾斜だ
稜線がせまってきた 稜線直下から武能岳方面 右には茂倉岳
国境稜線がはっきり見える コマノカミノ頭方面
シシゴヤノ頭方面へ向かう コマノカミノ頭方面
シシゴヤノ頭の左には大源太山 標高は低いが立派な雪堤
曇ってしまったのが残念 シシゴヤノ頭への取りつきにはこんな所があった
コマノカミノ頭への稜線はこれで見納め 登山道に出た
山頂標識もあった(小さいけれど) 大源太山 奥には3週間前に歩いた国境稜線が見える
少しの間夏道を歩く 大源太山から七ツ小屋山
時折夏道が現れる 武能岳と茂倉岳 黒々している
コマノカミノ頭が再び見えた 先に見えるピョコを越えるのが面倒になってきた
右を見るといい斜面が広がっている とっとと降りることにした
ブナ林を目指して下降 下りは早い
以前スキーで滑ったのはどのあたりだったのだろう スキーで滑り降りた跡があった
気持ちよく滑ることができそうだ 尾根末端で沢に下りた
そのまま沢を下降 蓬沢出合に到着
東俣出合と蓬峠方面 コマノカミ沢へ少し入った所で幕営
蓬沢が埋まっている 大障子ノ頭と万太郎山



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