山域 尾瀬
コース 大清水〜片品川北岐沢〜ブナ沢(下降)〜大清水
〜2015年沢始〜
日程 2015年6月11日〜6月12日

例年だと、もう少し暑くなってから沢に入るのだが、今年はなんだかいつもより暑い日が続いているので沢に行きたくなってきた。
朝出発で、1泊二日の行程で行ける癒し系の沢ということで尾瀬の沢にした。この時期尾瀬は水芭蕉シーズンで混んでいるだろうが、沢はまだ混む前なので問題ないだろう。人気の北岐沢も例外ではないだろうということで、天気が少し不安だが沢に入ることにした。
データ 地形図:1/25,000;三平峠,川俣温泉、 山と高原地図;尾瀬

アプローチ

東京駅5:53-熊谷駅7:04/7:15-(Maxたにがわ)-高崎駅7:34/7:45-沼田駅8:33/8:40-大清水10:10

コースタイム
6月11日(晴れのちくもり)
 大清水10:45〜小淵沢橋11:43〜入渓点12:40/13:16〜15m大滝下14:44〜1650m二俣15:54〜C1790m付近(BP)16:59
6月12日(雨一時止むのちくもり)
 BP6:19〜小松湿原7:18〜登山道7:38〜下降点9:09〜林道奥鬼怒トンネル入口10:40/10:51〜入渓点戻り11:26〜大清水13:15


6月11日(晴れのちくもり)
コースタイム; 大清水10:45〜小淵沢橋11:43〜入渓点12:40/13:16〜15m大滝下14:44〜1650m二俣15:54〜C1790m付近(BP)16:59

平日なので、通勤客と一緒に電車に乗り込む。
大清水行きのバスは出発時刻が少し遅いので、東京駅からではなく途中の熊谷駅から新幹線を利用した。

沼田駅には既にバスが到着しており、乗り込むと10人ほど乗っていた。上毛高原駅から乗ってきた人達らしい。服装から見て皆尾瀬かな?
前回尾瀬方面へのバスに乗った時に工事中だった椎坂峠は、バスもトンネルを通過するようになっていた。
数人乗り降りして、戸倉へ到着。戸倉で皆降りるかと思ったら殆どの人が大清水へ向かうようで、更に乗りこんでくる人もいた。

大清水に到着し、支度をしているうちにバスで一緒だった人は皆出発してしまった。
我々も重い腰を上げて出発。
一ノ瀬へと向かう林道へ入ってすぐに北岐沢へ向かう林道の分岐があるのだが、第二駐車場から先に林道が伸びているように見えて一度間違えてしまった。
小淵沢の遡行をしたときに通ったはずだが、すっかり忘れていた。

林道はしばらく日影なので助かる。以前来たときには見かけなかったシカよけのフェンスができていた。フェンスは延々と続いているが、何カ所か破損している所があったので早々の修復が必要そうだ。
小淵沢橋を渡り、彦之丞沢橋と東岐沢橋を渡って、まだかなーと歩いていくと前方から人が下りてきた。
挨拶をすると、釣り人だった。なんと年間の釣券をもっており、この辺りの沢によく入るとのことだった。
少し沢の様子を聞くと、水量はこの時期の平年と比べると少ないとのこと。ただし水はとても冷たいとのことだった。さらに一週間前は林道はまだ雪でふさがっていたとのこと。
下降点の目印となるヘアピンカーブまでもう少しだよと教えてもらい、元気が出た。

釣り人の言う通り、カーブは間もなくだった。
下降する前に腹ごしらえをして、装備を着けた。さて行こうかとヘルメットをかぶろうとすると、モコモコさんから「あー!!」との声。ヘルメットの紐の根元がとれてしまったらしい。良く見ると、ビスが腐食してしまったようだ。
針金で応急処置をしてなんとか留められるようになった。

下降するときに太い竹の子が出ていたので引っこ抜いた。先にもあるだろうと思って2本しか採らなかったが、先にはなかったのでもう少し採って行けばよかった。
沢床まで下りると、想定はしていたが、沢床がヌルヌルする。フエルトにして正解だった。靴紐を締め直していると、釣り人が通過していった。
しまったなと思ったが、モコモコさんから「なんだかヌルヌルしてて、早く歩けないから後からついていくのでちょうどだと思うよ。」と言われた。そうかな、絶対こっちの方が早いよなと思うが、実際遡行を始めると、ヌルヌルがかなり強いので、釣り人の足跡を追うのが一番楽であるのが分かった。
この沢は遡行時間が短いし、今は日も長く焦ることもないので、釣り人の後を進むようにした。

ぬめりに注意して簡単な小さな滝やナメを進むと、倒木のかかる6mほどの滝に着いた。比較的大きな釜をもった滝だ。釣り人が本格的に釣りに入るらしい。先に進んでもいいか尋ねると、釣り人はこの先には進まないとのことで、気持ちよく通してもらえた。
見た目巻かないと越えられないように思えたが、釜をへつって行き左壁から登ることができた。

この滝上から登れる滝が続く。
2条5m滝は右側の水流横を登ったが、ぬめりで滑りそうで怖がったモコモコさんにはお助け紐を出した。紐を出したのはここが最初で最後になった。
滝上に上ると、沢の岸には大きな残雪があった。
出てくるのが早いなと思ったら、その先で早速スノーブリッジが出てきた。水が冷たいわけだ。

幸いブリッジは低くしっかりしていたので、簡単に乗って通過することができた。降りるときに少し踏みぬいたが問題ない。
ブリッジのすぐ先で綺麗な枝沢が入ると、次に7m滝だ。釜の左をへつっていけば簡単に越えられそうだが、濡れそうなので、右をへつって水流横から取りついた。登りは簡単で快適だ。
そのすぐ上には、ぱっと見ると2段言われてみれば4段に見える滝。
ガレルンゼ状のところから取りついて、落石に注意しながらトラバースして中段へ進み水流横を登った。

小さな滝を越えて、軽く右に左に曲がると見事な岩場が見えるようになった。これが見えたということはもうすぐ大滝だ。
実際5分足らずで大滝に到着。
記念撮影をモコモコさんに頼んで大滝の下まで行ってみた。
滝下には、右岸から入る滝も落ちていた。大滝は、下段は濡れるのを覚悟で登れそうだが上部はだめそう。また、全体的にぬめっているようだ。それならば修行をと思ったが、水量が多く冷たいのであっさりあきらめて巻くことにした。

巻きのとりつきは、滝左岸に張り出している小尾根にとる。小尾根を回り込むように手前まで一度戻って、登りやすそうなところを小尾根目指して登ると、しっかりとした木の根のお陰で苦も無く小尾根に乗ることができた。小尾根には踏み跡が付いていた。小さく巻いており、落ち口を見ることができた。滝下で出合う小沢は、2段の滝となっていた。
踏み跡を辿って行くとすぐに沢床への下降点だ。そのまま直下に下りる踏み跡もあったが危ない感じなので、少し先まで進んで(うっすらと踏み跡あり)から下りた。ここの下りはしっかりとした木の根があり、危なげなく下りられた。
なんとも快適な巻きだった。いつもこうあってほしいね。

大滝を越えると、沢は一気に明るく開けナメやナメ滝がでてきて楽しい。
沢が左に曲がる所に掛っている6m滝も快適に登ることができた。後から登るモコモコさんを写真に撮ったところ、とても簡単なところなのだが、この滝下にある大きな残雪のお陰か、なんだか格好良く写っていた。

しばらく平凡な流れを進むと、右岸から階段状の赤い岩の滝が入ってくるすぐ上流に、泊まるのに快適そうな所があった。
薪も残っており、明日の天気が良ければ泊まって行きたい所だ。明日の天気がよろしくないので、できるだけ先に進まないといけないため、休憩だけして通過した。
平凡な流れの続きをこなして、飽きてくるころに階段状の5m滝。快適に登り、滝上はしばらくナメ。
この沢は、楽しく滝を登り少し息を整えたいなと思う頃に穏やかになって、飽きてくるとまた滝となかなかよく出来ている。
時折、泊まれそうな所が点在するが、まだ先へ行けるとそのまま通過した。
1650m近くの二俣を右に入り、1660m付近の左岸から入る枝沢を見送るとすぐに右岸に大きく崩壊した場所を見る。

すると、また滝が出てきた。大きな釜をもつ4m滝は左をへつって取りついたが、ヌメヌメしていて一瞬滑りそうになった。
これを見てモコモコさんは、少し水流から離れて乾いたところを登っていた。
きれいなナメやナメ小滝の先に2段堰堤状の滝。右から簡単に越えると、滝上はまたナメ床が復活。

途中途切れたり、残雪で沢床が埋まったりするが、快適に進めた。左岸からきれいなナメ滝が入ると間もなくで1760mの二俣だ。
ここを右に入ると、倒木などでうるさくなってきた。なんだか沢も日が当たらず暗い感じで、泊まる所が見つけられるか不安になってくる。
二俣から10分足らず進むと、標高1790m付近の小さな二俣に着いた。その手前にここしかないでしょうという絶好の幕営地があった。

当たり前のように荷物をおろして薪集めだ。
枯れ木という枯れ木は全て切られているほど薪は少ないようだが、我々が今年初で泊まるようで薪はあまり苦労せずに集めることができた。
前日は雨だったが、たいした降りではなかったようで、焚き火も順調に燃えた。

ラジオをつけて天気予報を聞こうとすると、いきなり「沖縄は梅雨明け・・・」とのことに二人声を揃えて「え!?」と言ってしまった。
こちらはこれから梅雨だぞ。日本は縦(南北)に長いね。
さすがに標高が1800m近くだと、冷えてくるが、焚き火と雨を考慮してもってきたブルーシートで風除けを作ったお陰で寒さを感じることなく過ごすことができた。
幸い雨にも降られず、沢始の夜を楽むことができた。


6月12日(雨一時止むのちくもり)
コースタイム:BP6:19〜小松湿原7:18〜登山道7:38〜下降点9:09〜林道奥鬼怒トンネル入口10:40/10:51〜入渓点戻り11:26〜大清水13:15

雨は出発する頃に降りだしたが、ここまでもってくれて恩の字だ。
目の前の二俣は右に入る。これまで平坦だった流れは傾斜を取り戻してきた。
標高が上がると同時に、日当たりが悪いので沢床が雪に覆われるようになってきた。

雪がかなり残っていることもあるが、昨日の場所を逃すといい泊り場はなくなった。それを考えると益々昨日の場所は最高の幕営地だったと評価が上がった。今後泊まるには、薪集めが大変になりそうなので薪が豊富だと更に良し。

出発して最初の滝は、小滝を前衛にもつ5m滝だ。
右から小さく巻気味に登り、泥を少し踏んで落ち口にトラバースして越えた。今日はこの滝が最初で最後の滝となった。
滝上はさらに残雪が多くなり、残雪上を歩くことが多くなった。

左岸に黄土色の土壁を見たすぐ先で、左岸から入る沢に入った。
この沢はほとんど残雪に覆われていた。
残雪上をてくてく歩くが、冷えが伝わってきて冷たい。
小沢が分岐してくると、木にテープが巻かれていた。テープが巻かれている方へと入ると樹林の隙間から前方がガスで白くなった空間が見えた。

小松湿原だ。まだ湿原が植物でにぎわうには早いが、晴れていればさぞかしきれいなのだろう。
今はガスで真っ白で何も見えないので、写真だけ撮った。
皆湿原を回り込んで、先に続く窪を登って行くようだが、ガスだし、ぬかるみがひどいので、鞍部の登山道にコンパスを合わせて登ることにした。

残雪で埋まった窪を詰める形で登って行く。
最初は快適だったが、だんだん急になってきて、フエルトでは危うくなってきたので、小尾根に取りついて土の斜面を登った。
針葉樹の斜面で、下草もまだ生えていなかったので足に薮が絡むことなく登ることができた。

登山道に無事出て少し休憩。
ここで下山についてモコモコさんから「ブナ沢下りることにしたけど、多分ブナ沢の上流部も雪で埋まってるから、登山道を降りた方がいいんじゃない?」と提案される。
最初は東岐沢を下降する計画だったのをブナ沢にしたのは一番早く林道におりられるからで、登山道にすると降りるのが遅くなってしまうため、モコモコさん案は却下した。

ブナ沢の下降点までしばらく縦走となる。この登山道は、ピークを巻いてくれるので体力的にやさしい道だ。
と気分良く歩いていたら、突然鹿が走り下りてきて目の前を横切って行った。驚いて変な声を出してしまった。

ゴザ池沢源頭部が見られる場所までくれば、間もなく下降点だ。
モコモコさんがしつこく登山道、登山道と言ってくるので、ブナ沢左俣を最初から降りるのではなく、奥鬼怒トンネルの上にある尾根をできるだけ下降してからブナ沢に入るルートの下降を提案すると、渋々ながら了解したようだ。

尾根に入ると、下りやすいなと嬉しくなったが、そういったところはすぐに終わってしまった。尾根上は灌木と岩場で阻まれてしまったので、尾根斜面を降りて行くことになった。傾斜が急だが、草つきでなく足場がなんとかある針葉樹林帯なのでなんとか下りていける。

やがて窪に吸い込まれるように入った。
最初は下りやすかったが、だんだん窪が残雪で埋まるようになってくる。
とうとう降りられなくなってしまい、左岸の斜面にとりついて尾根状の斜面を降りた。

斜面は急だが、しっかりした木が手がかりになるので問題なく下りることができた。
やがてブナ沢右俣の本流が見えてきた。

我々が最初下りていた小沢と本流との出合の手前で尾根は急激に落ち込んでしまうので、一度小沢に入ってから出合まで下降した。
本流は出合から見ると残雪はなかったが、もっと上に行くと雪で埋まっているのかもしれない。

本流に合ってからは沢をどんどん下るが、所々沢はまだ雪で埋まっている所があった。中には傾斜が急な所もあって、後ろ向きで下りたりと快適な下降とはいえない。
そんなこんなで時間がかかり、地図で見ると、出合から林道までわずかな距離であるがなかなか着かない。間違った沢に入ってしまったかもと少し不安になった。すると、網の切れはしのような人工物を見ることができたので、林道は間もなくで、間違っていないことを確信した。
思った通り、そこからすぐで林道だった。
林道へは簡単に上がることができた。

林道へ上がった場所は、奥鬼怒トンネル入り口のすぐそばだった。
誰もいないので、叫んでトンネルの反響を楽しんだ。雨が降っているため、トンネルの中で休憩した。

ここから長い林道歩きだ。
30分ほど歩いたところで、車が登ってきた。いったいどうやってゲートをくぐりぬけたんだと、ゲートがあってもなくても我々には全く状況が変わらないが、少し腹が立った。

雨が降る中とぼとぼ歩いていくと、やっと入渓点まで戻ってきた。
ここからまだまだ先は長いが、雨が時折止んでくるようになったのが救いだ。小淵沢の橋を渡った先で、先ほどの車が引き返してきた。良く見ると、どこかの会社の車だった。林道の様子を見に来たのだろうか。

ここから大清水までコースタイムで50分。大清水発13:00のバスがあるが、間に合うかどうか微妙なところ。次の14:15発でいいやと雨も上がったことだしゆっくりいくことにした。
途中道草を食ったりで、結局大清水に着いたのは13:15.
急げば間に合ったが、着替える時間が取れず濡れた状態でバスには乗りたくないので未練はない。
それよりも、物見小屋のご飯を食べる時間を取れなかったのが残念だった。山菜のてんぷらを食べていた方がいたが、とてもおいしそうだった。

大清水からのバスはほぼ座席が埋まった。ザックを抱えているので満員に近い状態だ。戸倉でお風呂に入って行くつもりだが、次のバスも一杯だったらどうしようと不安になった。
ところが、我々も含めて戸倉でほとんどの人が下りてしまった。皆ここまで車で入っており、駐車場までの利用だったらしい。
ほっとしたところで、お風呂に入る。尾瀬ぷらり館という日帰り入浴できるところができていたが、混んでいるといやなので、少し料金が高くなるが旅館のお風呂に浸かって行くことにした。
とてもいい湯で貸し切りで入ることができた。

バスは空いており、途中の鎌田でわらびを買うことができた。空腹を抱えて沼田駅まできたが、「山彦」で分厚いとんかつを頂いてお腹を満たすこともできて幸せな気分で帰ることができた。



奥鬼怒林道は右に入る シカよけフェンスが延々と続く
ヘアピンカーブの所から下降した 渓相はいいがヌルヌルしている
倒木の掛る滝 ヌメッて怖がるモコモコさんにお助け紐を出した
きれいな枝沢 早くも出てきた
快適に登る 左岸のルンゼ状のところから小さく巻いた
大きな岩場が出てくると 大滝
巻きの途中で落口を見下ろす 落口のすぐ上に下りられた
大滝の上は明るいナメ 何となく格好良く写った、雪渓を背後に滝を登るモコモコさん
1620m付近の幕営適地 5m階段状の滝
釜を左からへつって登った ヌルっていた 明るくきれいな所
右から登れた ナメが続く
ナメの中に枝沢がナメ滝で入る 枝沢の滝
そろそろ泊り場に着きたい 絶好の幕営地に到着
2日目
翌朝は生憎の雨 今日最初で最後の滝らしい滝
近づいて見た 滝上は雪で埋まってくる
小松湿原 ガスで何も見えない 雪で埋まった窪を詰める
前回泊まった所(テントは奥へ入った見えない所に張った) ここから下降した
枝沢は雪渓がつまっている 本流に出合った
林道が見えた トンネル入り口すぐそばに出た



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