山域 上信国境
コース 野反湖〜高立山〜五三郎小屋〜小ゼン沢(下降)〜魚野川本流南ノ沢〜大沼〜大沼池入口
〜台風に翻弄された後の美渓〜
日程 2015年7月11日〜7月12日

当初は東北の沢の遡下降を楽しむ予定だった。
ところが、台風11号が海の日の連休を狙っているらしいとの情報が出始めた。何年か前の八幡平のことを思い出した。
折角遠征しても、入渓すらできないのはもうごめんだ。とはいえ、上越の沢はまだ雪渓で埋まっていることだろう。
うーんと悩んで、結局考えるのが面倒になったモコモコさんから「魚野川に決定!!」と鶴の一声。
何度行ってもいいと思っている所なので、両手をあげて賛成した。

データ 地形図:1/25,000;岩菅山、 山と高原地図;志賀高原

アプローチ

上野駅9:29/6:40-高崎駅8:31/9:13-長野原草津口10:33/10:42−野反湖11:58
コースタイム
7月18日(雨のちくもり)
 アプローチのみ
7月19日(くもりのちときどき晴れ夕立あり)
 野反湖4:08〜三壁山5:50〜カモシカ平6:36/6:54〜大高山8:16〜五三郎小屋分岐8:40/8:57〜五三郎小屋9:02〜小ゼン沢本流出合10:19〜魚野川本流出合12:15〜庄九朗大滝下14:37〜ゴウトウ中間部(BP)16:00
7月20日(くもりのち晴れ)
 BP6:27〜南ノ沢北ノ沢出合10:48〜登山道13:27〜赤石山14:25〜大沼池15:35(10分ロス)〜大沼池バス停16:50



7月18日(雨のちくもり)

予定通りに乗り換えを済ませて長野原草津口へ。
ここからバスになるが、草津へ行く大型のJRバスとは正反対で、野反湖へのバスはマイクロバス1台。
そこに多くの人が乗り込み、中には自転車を担いだ人までいる。ぎゅうぎゅうの状態で1時間以上揺られて野反湖へ向かう。
途中見える川は増水して濁流が流れている。

外は本降り。今日は入渓点の渋沢出合まで行くつもりでいたが、初っ端から雨の中を行動して濡れたくない。昨日まで大雨注意報や警報がでており、今現在もこの様な雨の降り方をしていたら、水が引いていないだろう。せっかく行っても増水していたら、最初の渡渉が不可能になるどころか入渓すら危うい。
車中で早々と今日の行動は中止とすることにした。

バス停に着いて、目の前にあるトイレ兼休憩舎に走り込んだ。
これから行動するには「もうお昼」だが、行動しないならば「まだお昼」だ。
隣に立つ休憩舎(17:00まで営業)には、うどんやそば、カレーなどの軽食を売っているので、お昼ご飯としてカレーを食べに行った。その後は、明日以降の作戦会議の合間に味噌田楽(とてもおいしかった)を食べに行き、ついでにビールを仕入れたりして過ごした。
後で気が付いたが、うどんは御主人の手打ちだった。そうとわかっていたらうどんを頼んだのにな。それが少し心残りだった。

夕方になると雨もやんで、コンクリート打ちっぱなしのトイレ舎よりも外の方が暖かいので、外にあるテーブルで夕食を取った。
その晩はそのままトイレビバーク。

7月12日(くもりのちときどき晴れ夕立あり)
コースタイム:野反湖4:08〜三壁山5:50〜カモシカ平6:36/6:54〜大高山8:16〜五三郎小屋分岐8:40/8:57〜五三郎小屋9:02〜小ゼン沢本流出合10:19〜魚野川本流出合12:15〜庄九朗大滝下14:37〜ゴウトウ中間部(BP)16:00

上流部からの遡行とはいえ、魚野川本流まで距離があって長丁場になりそうなので、まだ暗い4:00に出発。
野反ダム先のキャンプ・バンガロー場までくると完全に明るくなった。

三壁山登山口は、わかりにくい。登山口への近道はバンガローの並ぶ中を登って行くものだが、つい道なりに進んでしまい一度戻った。ちなみに道なりに進んでも登山口には着く。

三壁山までは最初急登だ。昨年の秋には枯れていた途中の宮次郎清水では冷たい水が出ていた。時折野反湖を俯瞰しながら登って行くとやっと山頂標識。
バカ虫がうるさいので先へ進むと、笹原になって視界が開けるようになる。この辺りは気持ちのいい所だ。順調に進みカモシカ平への下りに入った。前回は刈りはらわれた笹が登山道を覆っていて滑って仕方がなかったが、ここ最近の雨で流されたのか滑ることなく下降できた。

カモシカ平手前からニッコウキスゲの群落がでてきた。
登山道近くにあるニッコウキスゲの群落はここだけで、あとは登山道から離れたところにあるがそれは見事だった。

水場の分岐で休憩。バカ虫がうるさい。トンボさんが何匹か飛んでいるが、バカ虫が怖がって隠れるほどはいない。
早くトンボさん、たくさんでてこないかなと話しながら登っていると、なんと群馬県側から長野県側に(ちょうど南風に乗って山を登っている状態)群れをなして飛んでいくトンボさんを見ることができた。
なんだかとてもいいものを見た。トンボさんが山に上ってきたということは梅雨明けかな?(下山したら梅雨明けしたことが分かった。)

吾妻連峰のような山様を歩いて大高山を越えて五三郎小屋分岐に到着。
普通はオッタテ峠から小ゼン沢へ下降するらしいが、距離を短縮するために五三郎小屋の水場から下降する計画にしていたので、分岐で沢の装備になった。

五三郎小屋は、前回はもっと中に板があったりした覚えがあったが、心ない人がどうやら焚き火の薪にしてしまったようでほとんどない状態になってしまった。
小屋の前の水場となる沢が下降する沢だ(以降便宜上、五三郎沢とする)。昨年秋には渇水期であるのでぽたぽた状態だったのが、さすがにこの時期、先日までの雨でドバドバ流れている状態だった。ボサがかぶっていたりするが、しばらく平凡な渓相。

小沢でも水量が多く、水がとても冷たい。歩いていると、キーンと足先が冷えてくる。
ボサがうるさくなくなってくると、小滝やちょっとしたナメが出てくる。どこも問題なく下りられる。
2つほどクライムダウン出来ない滝があった。一つ3mほどの滝で右岸へトラバースして薮の枝をつかみながら下降した。もう一つは、10mほどの滝で左岸から巻き下りる。左岸の側壁を一段降りた所が大きな岩の基部に張り付いている土がはがれおちそうで少し怖かった。実際はしっかりしていたが。いつまでもってくれるだろう。沢床へは枝をつかんで下降。過去にも下降に使われていたのか、ここにはトラロープが掛っていた。

少し下るとミニゴルジュ。登れない(下れない)滝が掛っていると面倒だが、ゴーロ(ゴロジュ)だったので簡単に通過。
地形図を見ると、結構等高線が詰まっていたので滝が連続するのではと少し心配だったが思ったよりもすんなり下りられた。
それでも結構長く感じてようやくオッタテ峠からの小ゼン沢本流と出合う。

小沢ではあるが、沢が一気に開けた感じだ。水量もそれなりに多くなるが、河原が出てくるので五三郎沢を下降するときよりは冷たさでキーンとする感覚は緩んだ。

小ゼン沢は概ね平凡。ゴーロ滝が連続する所は、右岸に踏み跡があったのでそれを利用して下りた。
そのあとも、ゴーロ滝等で面倒なところはどちらかに踏み跡を見つけられることが多かった。

地形図で見ても結構長いので、下降でも結構疲れた。魚野川本流との出合にかかるネジレゼンは飽きたころにようやく現れた。
ネジレゼンの左岸をトラバースし最後はトラロープを利用して下りた。

ここまで下りてくると小ゼン沢の水量も多いが、本流はもっと水量があった。ここでこの水量。下からの遡行はやめてやはり正解だったと思った。
本流にかかる燕ゼンは右の岩を登るので、一度本流を渡渉する。
水量が多いので慎重に渡った。

燕ゼン自体は滝右横の岩を快適に登り、小さく巻気味にすんなりと越えることができた。
滝上を少し歩いた先で少し開けて明るい所があったので、休憩した。

休憩して少し進むと人の姿が突然現れた。
先行者の足跡はなかったし、もしかして本流を来たのだろうか?と近づいて挨拶をすると、庄九朗沢を下降してきたとのことだった。
お互い「今日は水が多いですね。」と昨日までの雨を思い返した。
3人パーティで幕営準備をしているところだった。なるほどいい所だ。

我々は明日少しでも早く下りられるようにと先へ進む。
魚野川の水はきれいで、ナメや小滝が続いたり、雰囲気が明るいので気分が良く、遊びながら歩いたので一向に進まなかった。

普通なら、燕ゼンから庄九朗大滝まで1時間程度で着く所が、大幅に上回った時間でようやく着いた。
庄九朗大滝も水量が多く見ごたえがあった。
左岸の水の流れるルンゼから巻きに入った。最初はグズグズで岩が溜まっている状態なので間を開けて落石を起こさないように慎重に登った。滝の高さまで上がるとルンゼへ滝上方向からトラロープが垂れているが、足場が悪そうなのでそのまま登り小尾根に上がった。

小尾根をそのまま降りて行けばすんなり下りられる。大高巻きのお手本のような巻きだ。
巻き下りた先の小滝の手前で、左右から小沢が入る。
このあたりでそろそろ泊まる場所が欲しかったが、ピンとくる所がなかったので先へ進み沢が右に曲がると上のゴウトウだ。

選択は二つにひとつ。戻り幕営地をさがすか、先へ突っ込むか。今はまだ明るい時間が長いので先へ進むことにした。
魚野川本流で、難しくはないが一番骨の折れる所だ。
何回か来た時は、面倒な所はほとんど左岸を巻気味に進んだが、今回は出来るだけ水流から離れないように登ってみた。

沢が再び右に曲がる手前に泊まれそうなところ発見。よく見ると、岩陰にブルーシートが残置されていた。
時間もちょうどいいので荷物をおろした。

魚野川は開けているのだが、幕営地適地は意外に少ない。
そこに皆泊まるものだから、薪が乏しいことが多い。
ここも薪に乏しく、二人でかなりの時間を掛けて集めて鋸で長さを揃えた。

やっとタープを張れる段階になってきた所で、夕立が。天気予報通りだ。
急いでタープを張るが、張り終わったころには二人ともびしょぬれだ。沢も少し増水していた。

焚き火に直接雨が当たらないようにタープを張ったので、薪は先日までの雨で結構濡れていたが、モコモコさんの尽力もあって無事燃えてくれた。
乾いた服に着替えると寒さは感じなくなるが、火があるのとないのでは全く違う。
お陰で寒さを感じることなく過ごすことができた。


7月20日(くもりのち晴れ)
コースタイム;BP6:27〜南ノ沢北ノ沢出合10:48〜登山道13:27〜赤石山14:25〜大沼池15:35(10分ロス)〜大沼池バス停16:50

夕立の為にびしょ濡れの服を乾かすことができなかったので、遡行時の服に着替えるのが一番の関門だった。
昨日増水していた分は、増水する前の水量に戻っていた。
ゴウトウの続きからだ。
パズルを解くように岩の間を通ったりやヨイショと登ったりでカタツムリの歩みで進むと、少しずつ岩の転がり状態がおとなしくなってくる。ゴウトウが終わったようだ。

ゴウトウをの抜けるといくつか登れる滝をこなして、やがて開けた河原歩きが続くようになった。河原歩きの途中で何箇所が泊まれる所があるが大きな増水にはあまり耐えられない感じだ。
今日はこの3日間で一番天気がいいので、遊びにも精が出る。

そんなこんなで、南ノ沢北ノ沢の少し前にある大きめの滝で先日の3人パーティーに追いつかれてしまった。
我々は、のんびり休憩を続けるため、先行してもらった。後ほど分かったが、なんとこのパーティには、日頃拝読しているブログの管理人さんがいたことが後でわかった。色々と凄い記録の持ち主に対して、馴れ馴れしくお話をしてしまった。知らないって恐ろしい・・・。

話は戻り、大きな釜を持つこの滝は登れないので、釜を少しへつって釜に流れ込む小さな流れから取りついて越える。快適な登りだ。
この滝を越えてしまうと、一気に上流の雰囲気となって、二俣だ。
二俣にはいい泊まり場があるが、最近誰か泊まったのかさっぱりとした感じだった。

ガイド等では北ノ沢へ入るようになっている。北ノ沢を詰めれば、温泉が下山地になるし、稜線に出るのが遅れた場合、東館山から文明の利器を使って下りられるので楽なのだが、今回はあえて南ノ沢へ入ることにした。モコモコさんによると、計画から1時間半遅れ、遊びすぎとのこと。

南ノ沢へ入るといきなり源流部に入ったように一気に沢幅が狭まり、両岸から枝が被さってくる。ふと足元を見ると、足跡があった。
最初は倒木だらけだったり、ボサがかぶったりと失敗したかな?と思ったが、だんだんすっきりしてくると、沢床に岩盤の一部が現れ初め、そのうちナメが出てくるようになった。

湯の沢の頭西の標高1960mを目指して最初の二俣は右俣へ。しばらく進むと、ナメやナメ滝が出てくるようになった。不思議と沢床や水量のある倒木には湯の花成分のようなものが付いて白っぽくなっていた。
標高1810n付近の二俣に着くと、ここで入る左俣からの沢の水がどうやら原因だったようだ。右俣に入ると白くなる成分は一切なくなったと同時に、赤い石が基調のなめやナメ滝、更にはフワフワ苔がびっしりついた階段状の快適に登れる滝が出てきたりととても楽しい。

苔のついた階段滝の落ち口に小さな流れが入っており、そのすぐ先でまた標高1860m付近の二俣。
沢はほとんど窪のような細さだが、それでもナメ床になったりととても歩きやすい。
標高1900m辺りで水枯れだ。

水がなくなってもはっきりと窪があるの迷わずに詰めていける。やがて窪がなくなり、いよいよ薮漕ぎ突入か?と比較的樹林が立つ笹薮に入ると思ったよりも薮は濃くなく気が付いたら登山道に出ていた。
最後の詰めは濃い笹薮漕ぎになるのが魚野川本流の特徴であったように思ったが、薮漕ぎはほとんどないあっけない詰めだった。

時計を見ると、「予定通りに稜線に着いたよ」とモコモコさんからうれしい言葉が。薮漕ぎがなく、沢自体が登りやすかったので、計画段階で多めに取っておいた詰めの時間がうまい具合に調整してくれたらしい。

さて、ここから赤石山まで昨年秋に歩いたばかりで、結構な登りだった憶えがあった。虫も集ってくるのでさっさと下山にかかる。
歩き始めてすぐに、あれ?こんなに歩きやすかったかな?と思った。周りを見てみると綺麗に刈り払いされて道幅が広がっていた。
どうりで歩きやすいわけだ。感謝だ。といっても標高差がなくなるわけではないので、大変なのは変わりない。

樹林はさほどないが、兎に角背が高くて太い笹が、登山道両脇に壁のようになって生えているので周りが全く見えない。とうとう退屈になって、登山道の真ん中に生えてどうせ邪魔になるだけだろうということで、かろうじて食べられそうな竹の子を引っこ抜きながら登った。

やっとたどり着いた赤石山は暗い感じの所に分岐の道標が立っている。
少し岩場に登れば展望があるのだが、先を急いだ。

大沼池方面へと下りると赤石山の岩が見え、前回はわからなかったが思ったよりも立派なのに歓声を上げた。
ここからの下りはとてもやっかいだった。整備した大変さは分かるのだが、木を組んで作った階段の土が全て抜けてしまい、階段自体もぐらつくことがある。階段を避けようとすると、土がニュルニュルしていてフエルト底では滑って大変だ。
周回する場合は登りにとった方がいいなと思った。
何ヵ所が小さな沢の源頭を横切るので、渇水期以外ならば地図には載っていないが水が取れそうだ。

大沼池が見えてから一向に近付かずうんざりしてくる。やっと傾斜が緩んでやれやれ。
沼直前で道横に沢が流れていたので、ドロドロの靴を洗った。

沼直前で道が分岐した。直進すると、レストハウスに着くらしい。レストハウスに大声で話している人たちがいたので何となく避けたくなって、右の道に入った。
道を歩いていると、沼の近くから話し声がする。
しまった間違えたか、でもこのまま行けば結局あの人たちが通っている道と合流しそうだと思ったが、戻ることにした。結局戻らなくてもよく、戻ったことで時間を無駄にしてしまった。(物資輸送道路か?)

池からは道幅も広く歩きやすい。17:00発のバスに間に合いそうだ。するとモコモコさんから「え-着替えもしないでバスに乗るのやだートイレに入ることもできないよ」と次のバスにするように言われる。次のバスまで約一時間ある。そんなに待つのいやだな。と攻防を繰り広げながら結局モコモコさんに負けた。と見せかけて歩く速度を落とさずに行ったところ、10分前に着くことができた。

着替えはできなかったが、トイレは入ることができた。
無事バスに乗り込んで、湯田中駅へ。バスの運転手さんに教えてもらった、線路を挟んで駅の反対前にある「楓の湯」で沢の汚れを落としてすっきりすることができた。


お世話になったトイレ舎 三壁山の登りから野反湖
カモシカ平への下りで カモシカ平 ニッコウキスゲの群落
五三郎小屋 荒れている 水場 今日はドバドバ
巻き下りた滝 沢に下りる所にトラロープがあった 小ゼン沢本流出合い
踏み跡を辿って下降 小ゼン沢の癒し
ナメ滝が出てきた ネジレゼン上から
ネジレゼン 燕ゼン
燕ゼンの上流 清らかな流れ これが見たくて来たんだよ
庄九朗沢出合 ナメが続く
水量豊富 庄九朗大滝 巻きの途中から
ゴウトウへ突入 夕立の中タープを張った
大岩の間を這いあがってくるモコモコさん 左壁を登った
ここを越えれば二俣は近い 南ノ沢北ノ沢出合
なんだか白っぽいものがつくようになってきた ナメに苔が付くようになってきた
苔むすナメ滝 岩盤が発達している
ほとんど薮漕ぎなしで登山道に出た ひっそりとした仙人池
大沼池 赤石山の岩場
レストハウス 大沼池




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