山域 南会津
コース 湯西川温泉〜安ヶ森峠〜県境稜線(中退)〜安ヶ森峠〜安ヶ森山(往復)
〜禁断の装備を手に入れた〜
日程 2016年2月25日〜2月27日

吾妻の帰りにあと玄関まで数10mというところでモコモコさんが捻挫。
今年は雪も少ないしスキーはモコモコさんの足のことも考えるとだめだろうと諦めた。山に行かないでいると物欲がフツフツと沸いてくる。
山の雑誌を見ていると、これまで見向きもしなかったのにここぞとばかりにスノーシューの宣伝などが目に入ってくる。
いつも迷わずワカンで出かけるというのに、何をとち狂ったか物欲に負けてとうとう我々にとっての禁断の兵器とでも言うべきスノーシューを手に入れてしまった。
データ アプローチ
浅草駅−湯西川温泉駅/−湯西川ホテル

コースタイム
2月25日(晴れ)
湯西川ホテルバス停9:40〜安らぎの森10:40〜安ヶ森峠14:50〜1294mP手前(幕営地)16:00
2月26日(晴れのちくもり)
幕営地8:50〜安ヶ森峠9:40/9:50〜安ヶ森山10:40〜1410m引き返し12:30/12:40〜安ヶ森峠15:00(幕営)
2月27日(晴れ)
安ヶ森峠7:00〜湯西川温泉ホテル10:50


2月25日(晴れ)
コースタイム;湯西川ホテルバス停9:40〜安らぎの森10:40〜安ヶ森峠14:50〜1294mP手前(幕営地)16:00

スキーよりはずっと軽いが、泊まり装備だと結構な重さになる装備を担いで駅へと向かう。
整形外科で処方された捻挫用のザポーターを巻いているが、モコモコさんの歩き方がやはりおかしい。いやな予感がした。

乗り換えは順調に進み予定通りにバス停に到着。
雪が少ないので最初は道路に全く雪がなく、手に入れたスノーシューはお荷物状態。
安らぎの森と名の付けられたキャンプ場まで来ると、路面に少し雪が着いているが除雪されており引き続きスノーシューの出番はない。

除雪終了点まで来るとさすがにつぼ足では潜ってしまうので、いよいよスノーシューを装着。
ここには、林道崩落のため通行止めの案内があった。昨年秋に鬼怒川が決壊した豪雨による災害によるものなのだろう。それでも車が通れない程度のものだとこのときは思っていた。

スノーシューで歩くと、最近雪が降っていないのかほとんど潜らずに助かる。
気になるのはモコモコさんの足であるが、スノーシューを着けると逆に安定するのか問題ない歩きだ。途中林道を分けていよいよ尾根を回り込んでの登りが始まるのかと先を見ると、除雪終了点にあった案内の箇所と思われる崩落地が見えた。崩落は沢を渡る場所で起きていた。なるほど土が見えている。斜面を巻いていけば行けるかなと近づいていく。
先行していたモコモコさんから「これは通れないよ。」との声が。どれどれと見てみると、ごっそりと道が落ちており、斜面は恐ろしく急でとても巻いて通過ができるようなものではなかった。
周りを見てみると、幸い沢は小さく沢床への斜面は急であるが雪がしっかり着いているので降りられそうだ。

慎重に雪の斜面を降りて小沢を渡り、さらに急な斜面を登り返した。
この後もこんな状態の場所が出てくると面倒だと心配になったが、幸い崩落箇所はこの一カ所だけだった。
時折雪が全くなくスノーシューを着け外したりして距離の割に時間が掛かってしまったが、5時間程あるいてようやく峠に着いた。ここが事実上のスタート地点。。

感想は一言、「雪少な!!」だった。
風が通り抜けて寒いので、早速県境尾根に取り付く。
南北ではなく東西に走る尾根のためか、ただでさえ雪が少ないので藪っぽい。また、細身の尾根で地形図には乗らない小さなアップダウンがあってとても歩きにくい。

スノーシューを履いて登るが、雪が少なく藪も出ており登り辛い。スノーシューは後退が苦手なのでいろいろと面倒だ。

雪が多ければいいが、今回はスノーシューは役立たずどころか足を引っ張る装備となっている。仕方が無いのでアイゼンに履き替えた。

相変わらず小さく急で藪がちなアップダウンが続く。ようやくアップダウンが落ち着いてきたかと思ったら、雪が少なくて埋まりきっていない笹が顔を出している片斜面になった。
ここで、斜面の傾きが捻挫をした方向と一致した瞬間にモコモコさんから「痛い!!」との声が上がった。
前回の山行で負傷したところがまだ完治してなかったようだ。幸いサポーターをしているので歩くことはできるが、この先重装備で進むことが困難になるのは目に見えている。
天気が良いのにとても悔しいが、撤退だ。

少し手前に幕営できそうな場所があったので引き返した。
その晩は、「出発するときに、変な歩き方を見ていやな予感がしたんだよ。」「あーあ、折角の休み無駄になったよ。」「おとなしく家で捻挫が治るのを待てばよかったんだよ。」と言わずにはいられず、お通夜のような寂しい夜となった。


やすらぎ森の林道分岐 道路決壊のため通行止の案内あり
雪は少ないがそれなりに冷え込む日もある とうとう買ってしまった(我々にとって)禁断の兵器
あまり沈まないのでまだ効果のほどはわからず 2015年9月の豪雨により林道が完全に崩落
一度沢に下りて急斜面を登り返す 安ケ森峠が近づいた
安ケ森峠に着いた 驚くほど雪が少ない 安ヶ森峠から県境尾根に取りつく
雪が少なくスノーシューは役立たず 小さいが急なアップダウンが続く


2月26日(晴れのちくもり)
コースタイム;幕営地8:50〜安ヶ森峠9:40/9:50〜安ヶ森山10:40〜1410m引き返し12:30/12:40〜安ヶ森峠15:00(幕営)

昨日の寂しいような悔しい気持ちを代弁するかのようにさらっと雪が降った。
先を急ぐこともないので、寝坊してのんびりの出発。

今日も天気が良い。前進出来ないことは非常に残念だが、引き返すことにした。しかし、このまま帰るのはあまりにも悔しい。峠まで戻りながら、ふと考えてみる。まだ休みはある。まだ終わったわけではないと。そこで、単独で荒海山を往復してくることにした。
最初は猛烈に単独行動することに反対していたが、峠に着いたところでモコモコさんから以外にも「それじゃ無理しないでね、気をつけて行ってきて。」との言葉。
「了解」とばかりに早速仕度をする。スノーシューはどうせお荷物状態になるだけだろうと思い、置いていくことにした。
昨日取り付いたのとは反対側の県境尾根に取り付いた。最初尾根は林道と平行するが、すぐに林道と尾根の方向が違う向きとなる。
林道を隔てただけなのに、昨日と違ってこちらは尾根が広くて雪が少ないのも幸いして歩きやすい。
空には青空が広がっている。
非常に気分良く、時折見られる太いブナの木に喜んだりしながらどんどん進んだ。
いよいよ安ヶ森山となったが、直下はこれまでと一変して岩がゴロゴロして転がっており、急な斜面となった。

大げさかも知れないが、壁のようなので藪に捕まって登った。
そのせいか長く感じた登りを済ませるとすぐに山頂だった。山頂にはそこだけしっかりと雪が残っておりしっかりとした山頂標識があった。眺めがとても良い。これから向かう荒海山もばっちり見える。
山頂から先を目指す。下りが藪で分かりずらかった。
そこからは平坦な道なりにあり歩きやすい。1363Pを越えると雪堤の稜線になり潜るようになってきた。
穏やかだった安ヶ森山への登りと違い、アップダウンが出てくる。そんな行程中、洞が貫通している木を発見したり、熊棚を見たり、ブナの木から例年の積雪量を想像したり、シャクナゲと檜?かなにか針葉樹がやたらに多いピークを越えたりと、色々変化があった。

いよいよそびえ立つ荒海山が目に入るようになってきた。
登りに取りかかると、傾斜が急になったためか、雪堤が痩せてうねってくる。標高が上がったため雪が深くなり一歩足を踏み入れるとズボッと深くもぐる。
ワカンがあればな〜と無い物ねだりしても始まらない。そこから急な斜面になり1475Pから荒海山への連なりがよく見える。
先はまだ長そうで、途中に雪堤が途切れているのも見える。

ひたすら登ってだいぶ近づいたように見えるが、荒海山まではさらに掛かりそうな雰囲気。時間も装備も足りないのでここから引き返すことにした。

往路を忠実に戻り、登りでも藪を掴んだ安ヶ森直下の急斜面は下りなので当然藪を掴んで降りた。
ここを済ませてしまえばのんびりと広い尾根を峠まで戻るだけだ。
峠手前の尾根と林道が並行になったところで、直下に見える林道にテント発見。風当たりの弱い所を見つけたらしい。
林道と尾根の間は削られて急になっているので、登りと少し場所を変えて無事到着。

テントに戻ると、水作りも済んでいたのでのんびりと過ごすことが出来た。
テントキーパーモコモコ報告によれば、テント場はすぐに曇ってしまい、シュラフはあまり干せなかった、雪が少なく水作り用の雪集めに苦労した、小鳥さんが目の前に遊びに来たらしい。それなりに楽しんだようだ。
昨晩と大違いの楽しい夜だった。

寂しい一夜が明け、さらっと雪が降った この山を越えて更に進む予定だった。
昨日通ったところを忠実に辿る 気を取り直して安ケ森山へ向けて再スタート
尾根が広くて歩きやすい 四方八方に枝を伸ばしている
安ヶ森山直下 壁のような急斜面を木につかまって登り下り 安ヶ森山
雪山っぽくなってきた 雪堤状になってきた
木の洞が貫通している わずかな距離だが歩きやすいところ
熊棚 シャクナゲと針葉樹が多いピークがあった
荒海山へと続く稜線 雪が深くなり、ワカンがあればな〜と思う。この辺りで引き返す
荒海山 1475mP
往路を戻る 安ケ森山からの急斜面は藪をつかんで降りる
ベースキャンプができていた 戻ってきた


2月27日(晴れ)
コースタイム;安ヶ森峠7:00〜湯西川温泉ホテル10:50

今日も天気がよくて何よりだ。
3日連続の良い天気。予定通り進んでいたら今頃はどこを登っているのだろう。
またの機会の楽しみにこの県境稜線は残しておこう。

帰りは地形図のユナゴ沢の表示へ延びる尾根を使って林道をショートカットすることにした。雪が締っておりアイゼンを着けて慎重におりた。このルートは良かった。
林道を忠実に辿ってきたモコモコさんが追いついてくるのを待って、あとはトボトボとバス停まで歩いた。
比較的バスの本数があるのがありがたい湯西川温泉。
さらに電車利用者に優しいのが、駅直結の湯西川道の駅にある温泉だ。ゆっくりと冷えた体を温めて帰ることができた。




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