山域 朝日連峰
コース 大石橋〜大玉沢出合〜荒川本流〜大帯沢〜稜線〜ヒノキモッコ沢(下降)〜荒川東俣沢左沢〜大朝日小屋〜竜門小屋〜根子
〜久しぶりに朝日の憧れの沢へ〜
日程 2016年9月3日〜9月7日

荒川は以前から遡行してみたかった沢だ。
今年は例年になく雪が少ないので、朝日の沢に入るのに絶好の機会だ。

本流通しての遡行はモコモコさんが拒否反応を示すので、一度稜線に出てから東俣沢へ入るという計画だ。
結果的に代表的な曲滝、綾滝、大滝を全てカットする形になってしまった。

変なルートになってしまったが、記録の少ない大帯沢、ヒノキモッコ沢と繋いでまた荒川に降り立つので帳尻はあったということにしておこう。

一番の見どころで雷雨に見舞われたが、それでも美しい沢だった。
データ アプローチ
東京駅八重洲通23:05-(東北急行バス)-米沢駅東口4:30/5:57−小国駅7:27/(タクシー)-大石橋

コースタイム
9月3日(晴れ)
 大石橋9:06〜角楢小屋10:30〜大玉沢出合(入渓点)10:58〜大帯出合13:00/14:13〜大帯沢標高780m付近16:17(BP@)
9月4日(晴れ)
 BP@6:12〜大帯沢標高850m二俣6:39〜登山道10:26〜平岩清水12:09(BPA)
9月5日(晴れのちくもり夕方雷雨)
 BPA5:31〜ヒノキモッコ沢下降点6:28〜荒川東俣沢出合10:45/11:00〜二俣12:47〜大滝上14:42〜標高1300m付近二俣(BPB)17:32
9月6日(くもりのち暴風雨)
 BPB6:13〜大朝日小屋10:35/11:00〜西朝日岳12:24〜竜門小屋13:40(泊)
9月7日(くもりのちときどき晴れ)
 竜門小屋6:02〜日暮沢10:40〜アメリカ橋11:41〜根子バス停12:27

ルート図はこちら


9月3日(晴れ)
コースタイム;大石橋9:06〜角楢小屋10:30〜大玉沢出合(入渓点)10:58〜大帯出合13:00/14:13〜大帯沢標高780m付近16:17(BP@)

 夜行バスで、米沢駅に降り立つ。始発の米坂線までしばらく時間があるので、歩いて5分ほどのセブンイレブンで朝食を摂る。ここに来て山人が首にぶら下げる3点セット(笛、ナイフ、コンパス)を忘れたことが判明。モコモコさんは、特に笛がないと意思疎通が図れないので、荒川東俣沢には行くことが出来ないと主張してきた。当然、セブンイレブン内にはそんな代物は置いていなかった。

その筋の店が開くのは10時近く。そこまで米沢に留まる訳にもいかないので、一路小国駅へ向かうことにした。車内でも笛の話になり、「笛がないだけで行かない」の一点張りで非常に腹が立つ。モヤモヤした気持ちの中で列車は小国駅に到着した。

天気は快晴。こんな天候の中、沢に行かないなんてバカらしい。小国は米沢より町の規模としては小さいので果たして笛があるか心配だった。しかし意地でも笛を見つけてやろうと町内をぶらぶらすることにした。

歩いて数分の所に「いずみや金物店」を発見。早朝にも関わらず入口が開いている。「おはようございます。」と言って店に入ると女将さんが出てきた。
笛ありますかと聞くとあるという。何という幸運。こんな早朝に笛という代物が手に入るなんてうれしくて小躍りしたくなった。

なんでも早朝に現場へ向かう職人さん達の為に店を開けているのだそうだ。

意味もなく笛を吹きながら小国駅へ向かいモコモコさんを威嚇した。モコモコさんはどっかの小学生が笛を吹きまくっているのだろうと思っていたらしい。小学生に笛を売ってもらおうとまで考えていたそうだ。

得意気に笛を見せつけた。ヤレヤレ、どうやら本当のスタートラインにたったようだ。

気を取り直してタクシーで大石橋まで向かう。(中型10330円) 早朝にも関わらず車が15台ほど止まっていた。早速身支度をする。メジロはいない。蚊がやたらと多い。一本橋吊り橋をスタスタと渡り1時間ほどで角楢小屋に到着。さらに登山道を進んで大玉沢の出合のテン場で入渓準備。たき火の跡がありまだ燻っている。近くの河原には銀シートが掛けられたザックが数個あった。

2008年に一度、大帯沢までは遡行済みなのでスタスタと進む。マス止め滝は右から登った。しばらくゴーロを進むと先行者発見。ちょうどナベクラ沢の先のトロ場で追いついた。日帰り装備の7人?パーティー。沢登りのようでもあり、釣りでもあるようだ。右岸を巻き始めたので、我々は前回同様、左岸側を泳ぎながら突破した。

大人数ということで時間が掛かっているようなので先に進む。すると見覚えのある大帯沢出合に到着した。計画ではこの出合に泊まる予定だったが、時間も早いので先に進むことにした。その前に少し釣りをすることにした。出合に戻るとちょうど先ほどのパーティーも到着した。自然の恵みに感謝しながら出合で休憩して大帯沢に入ることにした。

大帯沢の出合はボサが掛かっておりショボさを演出していた。しかし少し入ると小滝を掛けてなかなかの癒やし系の渓相。20分ほど登ると前衛に小滝を抱え奥に8m直瀑が現れた。小滝を越えるが直瀑は登れそうもない。左岸から高巻いた。

巻き終えるとさらに、10m斜めトイ状の滝。いきなり2本も立て続けに高巻きの滝が出てきてモコモコさんは「もうやだよ、帰ろうよ〜」と泣きが入っている。
なだめて、左岸から高巻く。ここの巻きは思ったよりも簡単ではなく、すぐにトラバースできるところまで登れると思ったらつるつるの岩に阻まれたりして、弱点を探しながら登ることになった。落ち口の高さまで登っても岩に阻まれてトラバースできないので、もう少し上まで登ると灌木帯に入ることができた。落ち口に向かうとその上にも面倒そうな小滝がかかっていたので、まとめて巻いて枝を使って沢床に戻ることができた。

この先面倒なところが出てきたら厄介だと思ったが、幸い滝上は沢の傾斜が緩みゴーロ歩きとなった。
時間も押してきているので天場を探しながら進むと、二俣(780m付近)まで来てしまった。左俣に入って5分ほどで左岸になんとか泊まれそうな場所を発見。蔓性の植物が多く整地に苦労したが、なんとか2人分のスペースを作ることができた。たき火も出来て予定外のハードな一日が終わった。


笛を手に入れた 大石橋
角楢橋 角楢小屋
大玉沢出合の快適そうなBP マス止め滝下段
マス止め滝上段 滝上から
ナベクラ沢出合先の瀞場 暑いので楽しく泳いだ 大帯沢 最初は癒し系
水流を浴びて登る 登れない8m滝 左岸を巻いた
10m斜めトイ状の滝 左岸を巻いた 巻の途中から
穏やかになった 今回最初で最後のたき火


9月4日(晴れ)
コースタイム;BP@6:12〜大帯沢標高850m二俣6:39〜登山道10:26/10:50〜平岩清水12:09(BPA)

朝から快晴だが、モコモコさんは朝から胃がムカムカするとかで絶不調だ。
昨日の続きのゴーロを進むと、間もなく850m付近の二俣。ここは右俣へ入る。
沢を登るにつれて正面の西朝日岳から袖朝日岳へ伸びる長大な尾根の無名峰が朝日に照らされる。

さらに進むとすぐにまた二俣。本流筋の左俣と北大玉山の北側の登山道に伸びる沢に分かれる。
左は小滝の先に逆くの字滝。右は2段ナメ小滝5mが登場。本流筋を上り詰めたい気持ちもあるが、ここは朝日の沢。
この先、何が待ち受けているか分からないので、右俣へ入ることにする。相変わらず、モコモコさんのムカムカは収まることを知らない。

その後は難しい滝もなくグングン高度を上げる。朝日に照らされて荒川本流の毛無沢が見えてきた。本来は膨大な雪渓に覆われている沢とのことだが、記録的な小雪の今年でも僅かに雪渓を残してその姿を拝むことが出来た。あの真っ黒い谷筋を今まで覗いた人はいるのだろうか?ドローンでも飛ばして見てみたいものである。

ゴーロと快適な小滝をどんどん登り、とうとう水枯れになってきた。二俣になっており右に入ることにした。窪を詰めていくとやがて斜面に窪が消えていく。
最後は40分ほど灌木帯を藪漕ぎすると登山道に出た。意外に素直な藪で思ったよりも早くに藪漕ぎが終わった。出た所は北大玉山の少し北側だった。稜線に上がってもモコモコさんの調子は上がらず、朝からほとんど口にしていない。

大帯沢の源流にある「平岩の水場」まで取りあえず頑張ってもらうことにした。天気はカンカン照りでペースも上がらず正午過ぎにようやく到着した。
水場でゆっくり休んで、ヒノキモッコ沢下降地点へ向かう。

下降地点で一悶着。モコモコさんが「明日の午後と明後日の天気が悪くて雨が2ミリ以上も降る。」「もう、このまま大朝日小屋へ行って縦走に切り替える」「もう沢へは行かない」「もういやだ」等々、事実上の終了を宣言してきた。これにはさすがの山人も腹が立って(もうこの山行で2度目)、絶対に譲らない姿勢を見せつけた。

結局カンカン照りの中、口論(ケンカ)を交した結果、山人はいじけて平岩の水場周辺で「もうごろ寝(ふて寝)する」と宣言。モコモコさんも大朝日小屋まで行く自分の体力と到着後の水汲みを天秤に掛けてごろ寝という結果になった。

すごすごと水場(入口)へ戻り、水を汲んで日陰を見つけて昼過ぎから山人はヤケ酒を喰らう。ボケーと平岩清水から御影森山を眺めながら未練たらたら酒を飲む。
よくよく考えてみると予備日も余っているしまだ2日目、まだ諦めるのは早いと考えを直した。

幸い携帯の電波が通じて天気も読める。今日は骨休みと割り切って明日以降に掛けてみようという気持ちになった。そうなると怒りも収まってくる。

夕方になっても、登山者は現れず。僅かなスペースを見つけ今晩はここを一夜の宿とすることにした。


テン場後 ゴーロが続く
左俣 右俣を登る
快適 正面の山に日が差す
快適 毛無沢が見えてきた
黒い割れ目を覗いてみたい 上部の二俣、左に登る
稜線に出た 大帯沢本流の上部
暑い中歩く 平岩の水場


9月5日(晴れのちくもり夕方雷雨)
コースタイム;BPA5:31〜ヒノキモッコ沢下降点6:28〜荒川東俣沢出合10:45/11:00〜二俣12:47〜大滝上14:42〜標高1300m付近二俣(BPB)17:32

3日間連続、晴れ。モコモコさんも体調を取り戻したようだ。ヒノキモッコ沢の下降地点を見極めながら登る。最初はここだ、と思った地点から下降してみたが、沢から遠いということで登り返した。失敗した。1分ほど下ったが、登りは5分以上掛かってしまった。

気を取り直し、登山道を少し戻り1550m付近の沢に近づいた登山道から下降。今度は上手く下降できそうだ。朝日が西朝日岳から袖朝日岳へ伸びる尾根を照らし出し朝日連峰の壮大さが際立つ。下降地点から望むヒノキモッコ沢はストレートで、下部には河原も垣間見ることも出来る。何もなさそう(悪場なし)のような印象も受ける。また、これから登る荒川東俣沢、中俣沢を分ける尾根が重厚に際立つ。果たして、登り切ることが出来るだろうか不安になる。

藪を下り窪に出た。一安心だ。途中で先人が落としてしまったと思われるカラビナを発見。山と高原や地形図には名前がないが、ヒノキモッコ沢はエスケープルートとして沢ヤの間では認知されているようだ。

エスケープルートとして使われるので楽勝かと思ったら大間違い。中流部から下流部に掛けてやっかいな滝が出てくるようになった。丸い巨岩と小さな丸岩の5m滝が登場。小さな丸い岩にロープを通して支点としてなんとか下降することが出来た。

開けた沢になったかと思うと、V字状になってきた。そう安々と東俣沢出合にはたどり着けないらしい。傾斜は緩いがゴルジュの連瀑帯が登場。落ち口に細長の釜を持った2m滝。空身で下ってザックを荷下してなんとか突破。

しばらく進むと7m滝。支点がなく離れた流木を利用して懸垂下降したが、3分の2程回収できた時にちょうど落ち口の所で引っかかった。二人で力を合わせても回収することが出来なかった。仕方がなく回収することになった。幸い、右岸から空身で簡単に登ることが出来た。無事に回収。帰りも無事に降りることが出来た。結果として懸垂下降しなくても降りられたようだが、上部からは草が生い茂り、見極めることが出来なかった。

この滝を降りたところが待ち焦がれた東俣沢の出合だった。
ヒノキモッコ沢は、二人でも横になれる場所が全くなかった。昨日のモコモコさんの体調のことを考えると残業確定で、焦って危なかったと思うと下降を今日まで待って正解だった。
モコモコさんも覚悟を決めたらしく騒がない。出合から稜線まで標高差約800m。天候は晴れ、ここまで来たら上り詰めるしかない。

ゴーロ状の東俣沢に入ってすぐに、手前に釜を持つ右に斜めに落ちる10m滝の登場。左壁を快適に登って越えた。

さらに進むと、遠くから3段に見える滝が現れた。一段目の左斜め10m滝は水流左から登るが、一歩を完全に水流中に足を置かないといけないので水流が多いと苦労しそうな滝だ。2段目は特に気にせず登ってしまった。3段目は、水流沿いには登れないので、手前の左岸のルンゼを登ってトラバースか右岸の滑り台状岩棚を登るかだ。

乾いた滑り台状岩棚のほうが登りやすそうなので大岩を目指す。鋭く尖った岩が多い。どうやら、右岸の高く聳える岩壁が供給源らしい。近づいて見ると珍しくクラックが発達した滑り台状岩棚だった。最初の支点を取るのにここまで担ぎ上げたカムが役に立った。慎重に越えると意外に短かった。モコモコさんを迎えて終了。以前はチムニー状の登り口があったらしいが、現在は途中と出口が大岩で塞がっていた。

さらに進むと二俣。右俣はゴーロ、我々が進む左俣には10mのすっきりとした美滝が掛かっている。右側のブッシュと岩肌のラインが登れそうなので取り付いてみた。灌木から支点を取ることができ割とスムーズに滝上に登ることができた。

間髪入れずナメ滝7mが現れた。ここは左のブッシュから簡単に巻く。すると目の前に30m大滝がドーンと立ち塞がった。折角なので、空身でゴルジュの中を偵察に行く。門番の小滝を超えると井戸の底から上空を眺めるよな感覚。大量の水が降り注ぐ。自分なりにラインを観察しながら、その満足感に浸りモコモコさんのもとに戻る。

ここはセオリー通りに右岸から大高巻に入る。ペットボトルに水を満たしピンソールを装着して登る。巻の登りは最初は灌木が少しうるさいくらいだったが、小尾根に登りあげようとすると岩に遮られたりで、岩を避けながら弱点を探しながら藪の中をしばらく登って行くとリッジ状の岩峰が現れた。岩峰に巻き登ると素晴らしい景色が広がってきた。右俣の深い切れ込み、遡行してきた下流部、これから向かう左俣の10mナメ滝が見渡せる。まさに展望台だ。

景色を堪能しつつ、尾根状になった藪を進む。上流部には登れない10mナメ滝がかかっているので、まとめて巻く為にさらに藪漕ぎを続ける。尾根状の行き先にシャクナゲが混み合って生えていて通せんぼしているあたりからトラバースしながら下ると上手い具合にナメ滝の落ち口上に出られ、懸垂下降なしで巻き終えることができた。
巻き終えたところのすぐの左岸には泊まれそうなところがあった。
狭いが二人ならば東俣沢左沢中一番快適そうな所だが、明日の天気を考えるとできるだけ先へ進みたいので後ろ髪を引かれながら通過。

先程の大高巻きを終えるとようやく沢が少しばかり、こじんまりしたような感じに思えた。

その後は、二つばかし面倒な滝が現れる。一つは水流右に取付いて中段まで簡単に登れるが、その上の落ち口への数mがヌルヌルのホールドのない斜め岩なので右の草付き交じりの岩をずり登った。

二つ目は、中段までは簡単に右岸のスラブ状の岩を登れるが、やはり上段が登れないのでブッシュを頼りに急な斜面を登り草付きに出てから上流へとトラバースして沢床へ戻った。この滝の登りに時間がかかってしまった。

これらを超えると、東俣沢で一番きれいなナメ滝が連続する渓相となった。一番いい所なのに雲行きが怪しい。ゴロゴロ鳴り始めて雨が降ってきた。こんなV字谷のスラブの場所で激しく雨が降ったら、すぐに増水するので必死に草にしがみつきながら雨が収まるのを待つしかない。そんなことにはなりたくない。

スピードを上げてスラブを登るモコモコさん、しかし焦るあまりルート取りを誤って雨に濡れたツルツルのナメ滝でセミになっていた。結局はどうにもならず、滑り落ちて下で受け止める形で止まった。

幸い激しい雨にはならず、目に見える増水もなしで助かったが、東俣沢左沢の中で一番いい所で最悪の天気となってしまった。せめてあと1時間、いや30分だけでも降り始めを待ってくれれば最高だったのにな。手前の滝で時間をロスしたのが痛かった。

雷雨の中急ぎ足で遡行していくと、二俣の手前で細長岩を挟んだ2条10滝が登場。天気が良ければ水流を登れそうだが、いつ増水するかわからない今はそんなことは恐ろしくてできない。右岸のルンゼ状の枝沢を登り小尾根を跨いで、その上にある滝をまとめて巻き降りた。高巻く途中に二俣の滝が見えた。二俣のあたりに藪地帯が見える。あそこまでいけばなんとか泊まれる場所が見つけられそうだ。

すぐに目標地点である二俣(1300m付近)にたどり着くことができた。
期待とは裏腹に二人でも泊まるにはとても狭くて傾いているところが2か所なんとか見つけられただけ。
迷ったが、少し広そうな上流の方を整地して泊まることにした。雨の中、苦労してやっと整地が終わったと冷静になって周りを見るとすぐそばに水が流れている。今日の天気では少しの増水ですぐに水が流れてきてしまう。
がっかりだが、下流のもう一つの候補地にとまることにした。

こちらの整地もかなり大変だった。
雨とバカ虫攻撃に耐えながらひたすら整地を頑張る。
タープを張る前に暗くなってしまったのでヘッドランプを出すことになったが、なんとか落ち着くことができた。
傾斜があり、二人とも寝心地が悪いが横になれるだけでもありがたい。

たき木がほとんどなく、天気も悪いし時間も遅いので今晩もたき火なしの寂しい夜となったが、暖かい食事をとればそれなりに幸せだ。
両俣の滝の下なので、滝音が大きく賑やかな一夜となった。


本日も快晴 祝瓶山へ続く稜線
中俣沢と東俣沢出合まで延びる支尾根に朝日が照らす 大朝日岳
ヒノキモッコ沢下部(写真左下) 西朝日岳から延びる支尾根に日が差す
先人の落とし物 丸い巨岩と小さな丸岩の5m滝。岩にロープを通して懸垂下降
右岸の岩場 ゴーロが続く
右岸から巻き降りた ちょっとしたゴルジュ
癒やし系 ザックをに荷下げして突破
ミニゴルジュ ゴルジュが続く
ヒノキモッコ沢最後の7m滝 懸垂する。しかし回収に失敗 東俣沢最初の滝10m
3段滝が見えてきた 一段目は水流左から水流が多いと難しそう
3段目の滝。 右岸の滑り台状岩棚
チムニー出口は埋まってる 右岸の岩壁
10mのすっきりとした美滝。岩とブッシュの間のラインから登る 間髪入れずナメ滝7mが現れた。
30m大滝 一段目の滝を登り奥に足を踏み入れた
高巻き途中から 上部の岩峰は展望台 後方には右俣が見える
大滝30m滝、上部10mナメ滝 大高巻き終了。先ほどの展望台が見える
こじんまりしてきた 面倒な滝の1つ目。右から乾いた岩をずり登った
面倒な滝2つ目。上段で時間を食った 上段の滝。少し登って水流左から藪に逃げた。
一番良いところで雷雨。逃げるように登る 落ち着いて写真を撮りたかった
細長岩を挟んだ2条10滝 ルンゼを登り小尾根を乗っこす。ゆっくり歩きたかったナメ滝を望む
二俣の滝が見えた 夕方になり天場を探す


9月6日(くもりのち暴風雨)
コースタイム;BPB6:13〜大朝日小屋10:35/11:00〜西朝日岳12:24〜竜門小屋13:40(泊)

夜中に雨に降られたが、大した降りにならずに済んで、朝には雨はやんでいた。
泊まれば都で、寝心地はよくなかったが疲れもありそれなりに眠ることができた。

昨日までの晴天はどこへやら、雨こそ降っていないがガスガスだ。風もある。
大朝日小屋に近い左沢に入る。
出合にかかる10m滝は、中段まで登り上段は水流れを登ろうと取りついたが、余りにも冷たいので左から巻き気味に登った。

沢の側壁が立ってきてゴルジュ状になってくる。
その上にかかる小滝を超えて沢が右に曲がったところに10m滝がかかっている。一見登れそうだが、ぬめっており傾斜のあるナメ状の滝なのでおとなしく巻くことにした。右岸は高い岸壁なので左岸を巻くことになる。草付き交じりの岩との境目に沿いながら登り、さらに土のルンゼ状を少し登って落ち口にトラバース。
この沢の特徴でもあるが、落ち口は必ず門柱のように岩が立っているので門柱岩の上流側に出るようになってから下降。
藪を使って懸垂下降なしで戻ることが出きた。

巻き降りた先に直瀑の滝が見える。
直瀑の滝6mは登れないので右岸を巻くが、取りつきにうまい具合に傾斜の緩いルンゼが入っておりルンゼから上がってから草付きをトラバースして小さく巻くことができた。

直瀑の滝上はちょっとしたゴルジュの始まりだ。ゴルジュ入口の6m滝も登れない。
右岸の濡れた岩から取りつき、岩上のルンゼを登っていく。その途中にハーケンが落ちており、先人になんだか励まされているような気がした。
ルンゼがなくなり草付きになったところから灌木の生えているところまで斜上する。先を見るとまだ降りられない。草付きのトラバースが続くのでピンソールを付けることにした。

モコモコさんにはお助け紐を出してトラバースを続けると、トラバース斜面を横切って支流が入ってくるのが見えた。支流の手前では本流へおりることができない。本流には先にも面倒そうな滝が掛かっているので、もう少し上流へトラバースしてまとめて巻いたほうがよさそうだ。そこで、支流を横切るために支流の沢床に降りた。ちょうど降りた所はうまい具合に棚状になっているところだった。本流は滝となって注いでいるようだ。支流を渡って再び草付きの斜面にあがって上流方向へトラバースしていくと、懸垂下降なしで降りることができた。

ピンソールを外して、風が強く吹くようになって寒いので雨具を羽織った。
雨具を着ている間にモコモコさんは先行して様子を見に行った。すぐに沢は左に曲がっているようで、曲がり角でモコモコさんの歩みはとまった。
後を追うと、曲がった先は狭まった連瀑帯となっていた。登れないとかなり面倒だなと思ったが、取りついてみると快適に滝を登っていくことができた。
この連瀑帯を過ぎると沢は一気に開けたV字谷となった。

平凡な渓相となり終了間近かと期待したが、小さな小沢をいくつか分けた後にヌメヌメした2状5m滝が現れた。巻くのが一番面倒そうだ。ザイルを出して取りつく。
ヌメヌメを慎重に落としてそうっと体重を移しながらなんとか登りあがる。滝上はナメ状小滝がそのまま続いているのでスリップしないように少し登ってからモコモコさんを迎える。
モコモコさんは何度かヌメりで足を滑らせそうになったとかで緊張したと騒いでいた。

源頭部に近づいたので全体的に滑っており、気を使いながら行くとすぐに2段4m滝。
下段は水流を浴びて登り、上段は急な左壁をヌメでスリップしないように気を付けて登る。モコモコさんにはお助け紐を出した。

藪が被るようになって特にアザミが多いのでチクチクを避けながらたまに現れる小滝を登っていくととうとう水涸れ。標高1600m付近(低気圧が近づいているので実際の標高とは違うかもしれない)で、あと標高差約100mだ。
水枯れした沢を詰めると、とうとう急傾斜の草付きの中の窪になった。

窪がなくなると草付き斜面でモコモコさんの登る時間がかかりそうだと不安になるが、幸運にも窪は延々と続いてくれた。
いよいよ窪がなくなったというときにはハイマツや灌木が生えているところが出てきて、手掛かりにできる。モコモコさんによると、木の生え際には小さな溝があって楽に登れたとのことだ。

かなり登った気がするが、先は濃いガスで稜線が全く見えない。
とにかく灌木沿いに登っていくと、草付きも終わり灌木帯に突入した。

灌木帯に突入して、さらに登ろうとすると「左に行かないと小屋まで延々と藪漕ぎすることになるよ」とモコモコさんに言われて、藪を左にわずかに横切ると、ガスの中にぼーっと小屋が建っているのが見えた。
小屋手前の登山道に出るはずだったが、ガスで稜線が全く見えず忠実に詰めすぎて小屋まで一直線に来てしまったようだ。

いずれにしても詰め上げた後は、まず最初に小屋へ寄っていく予定だったので結果としてよかった。二人そろって登山道に出たところでモコモコさんと固く握手を交わした。余韻に浸りたいが、ガスガスでビュービュー風が吹いているので小屋へと入る。
シーズンの狭間の平日であり、この天気なのでさすがの大朝日小屋も誰一人おらずひっそりとしていた。
それでも、ガスと強風の外とは全く違って静かで暖かい。

びしょ濡れなので座って休憩ができないのが残念だが、落ち着いて休めるだけでもありがたい。
行動食をかじりながら今後の相談。
予定では、大朝日岳を往復してから竜門小屋へ移動だったが、この天気なので大朝日岳はもちろん中止。
このまま大朝日小屋へ泊まるか、一気に古寺鉱泉へ降りるか、それとも日暮沢まで降りてしまうか、予定通り竜門小屋へ向かうか天気予報を見て決めることにした。

大朝日小屋は小屋に居ながらにして携帯電話が通じるのがありがたい。
予報を見ると、今日はこの後風雨が強いが明日には天気が回復して登山日和になるらしい。
今日の悪天候の中、長時間の行動となる古寺鉱泉や日暮沢への下山はやめることにした。
大朝日小屋に泊まる場合は、水を汲みにいかなければならないし、我々のペースでは大朝日小屋からだと根子発のバスの時間までに降りることができない。
竜門小屋ならば、水の不便はないしバスにも無理せず間に合う。
モコモコさんも3時間ならば頑張れるとのことで、竜門小屋まで頑張って移動することにした。

小屋を出ると同時に雨が降り出してきた。
金玉水までは風は強いか雨はさほどでもなく、「こんな中水汲みで往復しなくないなー」と軽口をたたく余裕があったが、中岳に近づくにつれて雨が強くなり、強い西風にのって叩きつけてくる。
雨具に当たる雨音で難聴になりそうだ。雨が顔に直接あたるととても痛い。

中岳を越した先の掘れた登山道のおかげで風が当たらないところで少しホッとするが、すぐに強風地帯へと突入する。雨か風のどちらかが半分の強さになってくれれば、少しペースを上げられる広い稜線歩きであるが、今日は平坦な地形が災いして吹き曝しとなり、風に倒されないように踏ん張って歩くのでペースは上がらない。

休む間もなく西朝日岳を越える登りとなる。ここは穏やかな気象条件でもきついところだ。
やっと山頂標識ついたときは、きついところは終わったと思ったが、まだこの先も吹き曝しとなる地形があったことを忘れていた。
台風のような暴風雨の中、これまで以上に踏ん張って歩いた。
このままだときついなと思い始めたころに、ところどころ灌木が生えてくるようになってその灌木の背も高くなり風をしのぐことができるようになってきた。
やがて上り坂になってそろそろ竜門小屋と日暮沢との分岐だなと期待すると「分岐に着いた」と前を歩くモコモコさんからうれしい声が聞こえた。

ここから小屋まで吹き曝しとなるが、あとわずかで小屋だと思えばなんでもない。
足元に気を付けて暴風雨に耐えながら降りていくと、ガスの中ぼやーっと目前に小屋が現れた。やったね。
荷物を小屋に入れて、最初に水汲みを済ませる。

ここまでやってしまえば、あとはすべて小屋の中で済ますことができる。
大朝日小屋で誰もいないくらいなので、林道歩きが長くなる今日の竜門小屋にはもちろん誰もいない。荷物を広げて荷ほどきをする。
全身びしょ濡れなので時間がかかったが、なんとか落ち着くことができた。

外は相変わらず暴風雨であるが、小屋の中は平穏そのもの。
沢の装備(服装)でなく、あともう少し距離が長かったり、気温が低かったら危なかったと思う。また、何度か歩いて道の状況が分かっていなければ、気持ちが折れていたと思う。けれど、悪い条件ながらもうまい具合に隙間を縫ってここまで頑張ってよかったと祝杯をあげながら快適な一晩を過ごすことができた。

なんとか泊まった 出合の滝 中段から左の藪に逃げた
右沢の滝 危なそうなので左岸を巻いた
巻き降りたところ 巻き降りたところから振り返る
直瀑 6m滝 右岸を巻いた 登れないゴルジュの滝 右岸から巻いた
ルンゼに落ちていた。先人に励まされた気分 巻き降りた先を偵察するモコモコさん
連瀑帯 全て快適に越えていける 開けた これで終わりかな?
登ってきた方を見る まだ6mほどの滝が出てくる ヌメヌメで神経を使った
2段5m滝 1段目は水流を2段目は右壁を登る 滝場が終わった
急な草付きを登る 窪があって助かる 灌木帯の藪に突入・・・
・・・したと思ったら大朝日小屋 暴風雨のため本日の撮影はここまで


9月7日(くもりのちときどき晴れ)
コースタイム;竜門小屋6:02〜日暮沢10:40〜アメリカ橋(中先橋)11:41〜根子バス停12:27


昨日の暴風雨が嘘のように穏やかな朝だ。
昨日びしょびしょの状態で小屋に入り、その後もガスで周りが全く見えなかった分を補って余りあるほどの視界が得られる。
こんなに眺めがいい朝日連峰をモコモコさんと二人占めだ。
予定よりも30分早起きして出発準備を済ませる。手分けしてお世話になった小屋の掃除を済ませていよいよ下山にかかる。
早朝のためかバカ虫がワンワンたかってきて、モコモコさんは発狂寸前。竜門山で蚊取り線香を身に着けていくことにした。

ユウフンまで意外とアップダウンが多いので、景色を楽しみながらのんびり歩いているとコースタイムを大幅にオーバーしてしまう。
山頂で少し腹ごしらえして清太岩山まで移動すると、日差しが出てきて暑くなってきた。一枚シャツを脱ごうと荷物を下ろしていると、羽アリが大量に発生したようでたかってくる。噛みつかれたりとかはないが、とにかくたかってくるので早々に立ち去った。

ゴロビツ清水でのどを潤してこれからの下降に備える。
昨日の雨で土がしっとりしているので、フエルト靴でもさほど滑らないが、粘土質の土が現れているところではなす術もなく尻餅をついてしまい体力が削られる。
何回かの緩やかな登り返しがきつく感じた。

松の木が出てきて尾根が痩せてくると、あと一頑張りで日暮沢のはず。木の根につまずかないように降りていくと沢音が大きくなり尾根が広がってくるのが下に見える。最後まで気を引き締めて下ろうと声を掛け合って一下りすると一気に傾斜がなくなった。日暮沢小屋だ。
現在小屋まで車は入ってくることはできないが、きちんと小屋前まで引水されており、顔を洗って水を飲むことができた。

日暮沢小屋自体はとてもきれいだが、昨日の気象条件のことや小屋周りが開けている竜門小屋の方が気持ちがいいので、昨日日暮沢まで頑張らなくて正解だった。
これからコースタイム2時間20分の歩きが残っている。
思ったよりもここまで時間が掛かっているので、休憩もそこそこに林道歩きを始める。

車が入らないとあっという間に草が茂ってしまい、ほんの2〜3.年前まで普通に車が入ってくることができた道だとは思えない。
などと話ながら歩いていると、工事現場になった。登山者用に通路が作られているので安心して通過できた。

以降は工事車両が入って来られたことからわかるように、普通の林道歩き。
時折オニヤンマが並走してくれて、励まされているような気になった。小屋から1時間ほど歩いたところでクマスベリ沢と案内の標柱が立っているところに着いて、すぐ先で通行止めとなっていた。
工事が終わるまでは車の人はここで終了だ。我々はまだバス停まで歩かないといけないので気合を入れ直す。

すぐに根子川を渡る橋(アメリカ橋と呼ばれている)となり、それまで日が当たって暑かったのが、樹林の影がでてきて少し楽になった。
特徴のない舗装道路をてくてく歩いるだけで退屈になったので、落ちていたイガを蹴っ飛ばして遊びながら行くと、電線が出て来た。里は近いぞ。期待を込めて歩くと、モコモコさんから「家だ。」との声。「イエーイ、やったね。」

家が見えてからすぐに日暮沢林道の案内板が立つ道の分岐となり、すぐ先に神社があった。
歩きの遅いモコモコさんが、珍しく休憩なしで林道を歩いたので、時計を見ると、予定よりも早く根子に着くことができた。

主要道路に出て、あとはバス停を探して待つだけとあたりを探してみるが見つからない。誰かに聞こうと思っても誰も外にいない。
幸い携帯電話が通じるので、役場に問い合わせてみた。すると、根子に着いたときに見かけた神社の敷地に反対側にあるとのことだった。
ちょうどバス停の囲みの裏から出てきたので気がつかなかったのだった。考えてみれば住民のためのバスだから家の周辺を探せば良かったのだな。

着替えとパッキングを済ませてバスを待つが、時間になってもバスは来ない。もしかして予約が必要になったのかと不安になる。予約が必要な場合10:00までに済ませなければいけないので完全に手遅れ。あまりの不安に今度は運行会社に問い合わせてみた。予約なしでもバスは行く、多分遅れているのだろうとのことで一安心。

その数分後無事バス(なんと一人200円)に乗ることができた。水沢温泉館で6日分の汗と汚れを落として、隣接する食堂で食事をとり(地ビールおいしかった)、寒河江から左沢線に乗って、山形駅からは頑張ったご褒美に新幹線でバビューンと毛布の待つ我が家へ帰った。

水がドバドバ お世話になりました
昨日はここまでこないと小屋が見えるようにならないほどひどいガス 昨日ここに着いたときはうれしかったなあ
ユウフンへの登り返し 微妙にきつい 日暮沢 ここから根子まで林道歩き



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