山域 朝日連峰
コース 道の駅月山〜谷地幅〜八久和峠〜猿倉山〜高安山〜茶畑山〜狐穴小屋〜大朝日岳(往復)〜竜門小屋〜根子
〜朝日軍道北部を歩いてみた〜
日程 2017年5月2日〜5月8日

記録的な雪の少なさの昨年と打って変わったように、今年は残雪が豊富だ。
これはチャンスと朝日軍道を北部から通して完全に歩くことにした。ところが、今年の4月から大鳥方面へ向かうバスが夕方の2本だけ(しかも平日のみ)となってしまった。腹が立つと同時にいきなりタクシーでのアプローチは懐が非常に痛む。
考えた末、雪が多いのだから思い切って国道112号線から一気に入山して朝日軍道(八久和峠)に繋げることにした。
データ 地形図(主稜線部分は除く);1/25,000-上田沢、湯殿山、大鳥、大鳥池、1/50,000-湯殿山、大鳥池

アプローチ
大宮駅東口9番23:50《夕陽号》-鶴岡エスモール6:05/7:30-新落合8:06(タクシー1950円)−道の駅月山

コースタイム(天気)
※Pはピーク、△は三角点を表す
5月2日(晴れ)
 国道112号線道の駅月山9:10〜林道終点10:30〜谷地幅14:20〜838mP14:30〜831mPと△902.8mPとの鞍部16:20(幕営地@)
5月3日(快晴)
 幕営地@5:20〜八久和山11:40〜八久和峠13:30/14:00〜△728.1mP先16:30(幕営地A)
5月4日(快晴)
 幕営地A5:30〜猿倉山9:10〜兜岩巻き始め10:30〜兜岩の先の鞍部11:00〜高安山13:20/13:40〜葛城山手前鞍部17:10(幕営地B)
5月5日(晴れ)
 幕営地B5:30〜葛城山5:40〜芝倉山8:40〜茶畑山12:00/12:30〜戸立山15:00〜三角峰手前16:00(幕営地C)
5月6日(風雨)
 幕営地C4:20〜三角峰4:30〜三角峰下水場5:00〜オツボ5:40〜以東岳7:30〜中先峰9:00〜狐穴小屋10:00
5月7日(ガスのち晴れ(終日強風))
 狐穴小屋6:30〜寒江山7:50〜竜門小屋8:50/10:30〜西朝日岳11:30〜中岳12:10〜大朝日小屋12:30〜大朝日岳12:50〜大朝日小屋13:00/13:10〜西朝日岳14:40〜竜門小屋15:30
5月8日(晴れのちくもり(終日強風))
 竜門小屋5:00〜清太岩山7:00〜日暮沢小屋9:10/9:30〜根子12:10

1日目
5月2日
(晴れ)
コースタイム;国道1112号線道の駅月山9:10〜林道終点10:30〜谷地幅14:20〜838mP14:30〜831mPと△902.8mPとの鞍部16:20(幕営地@)

[アプローチ]
前もって仕事を片付けておいたので、バスに間に合う時間に上がれた。
バス停へ向かうために我々が乗ろうとしている電車があと1分で駅に到着、というところでいきなり緊急停止のけたたましいブザーが頭上で鳴った。夜行バスのために用意しておいた耳栓が変な所で役に立った。
少し遅れたが時間に余裕を持っていたので、焦ることなく復旧を待つことが出来た。
朝日連峰の時の定番となっている夜行バスのアプローチで鶴岡へ。始発からではなく途中の大宮からの乗車で結構乗る人も多そうだ、大型ザック2人分をトランクに積み込めるか心配になる。
幸い無事荷物を積み込むことができ一安心。連休の中日であるが、ほぼ満席で2号車まで出ていたが、みなさん静かにしていたのでよく寝られた。

夜行バスでもらった優待券で、東京第一ホテル鶴岡で朝食バイキング(1000円)を腹一杯に食べる。
タクシー会社のある新落合までは従来通りのバスが残っているので、バスで新落合まで行く。更に予約していたタクシー(1950円)で道の駅月山へ向かう。
道の駅で支度を済ませて出発。

[道の駅月山〜谷地幅]
快晴無風。国道112号を少し鶴岡方面へ戻り、「谷地幅」の地名のある登山道へと続く林道へ入る。
しっかり手入れされている。
途中桜が咲いていたり、カタクリの群生があったりとあまり退屈せずに林道歩きができた。林道終点付近から地形図では道があるが、実際には藪に戻ってしまって痕跡すらない。
藪の薄そうなところから適当な枝尾根を強引に登ることにした。標高差たった100mであるが、急な藪の登りで初日の重荷でかなりきつい。なんとか登り切ると一気に傾斜が緩んで稜線へ出た。
急登のときは、谷地幅付近まで林道を歩いて直接上がった方がよかったかなと思ったが、一面のブナ林と雪面となだらかな尾根を見て忠実に登ってきて良かったと思い直した。

稜線はまぶしいばかりの芽吹いたブナ。しかも融雪水が流れている。日程や天気に余裕があれば泊まっていきたいところだ。しかしまだ出発したばかり、ここで泊まるわけにいかない。多少のアップダウンはあるものの、雪のついたなだらかな尾根を快適にしばらく行き、一登りすると地形図に「谷地幅」とある場所まで来た。この辺り地形が複雑だが、晴れているので迷ったりすることも、全面に雪がついていてどこでも歩けるので行き詰まったりすることもない。谷地幅自体は窪地状になっており軽く下ると広く平らになった。雪がなくなるとどうなるのだろう?

[谷地幅〜831mPと△902.8mPとの鞍部幕営地@]
谷地幅から僅かに登り返してひたすら尾根を歩く。
標高は低いが、尾根がなだらかなので藪漕ぎすることなく進めて助かる。831mPを少し降りた所が舟形地形となっており、幕営するのに良さそうなところだ。
さらに足を伸ばして902mP手前の鞍部に近づくと水音がする。
予定では902mPを越えておくつもりだったが、水が取れそうなので鞍部で幕営することにした。
荷物を下ろして早速水汲みに行く。沢音がする沢を下ると早速雪が割れて水の流れが見えたが、調度滝の部分で雪が薄くて水汲みに近づけない。
慎重に雪を繋いでやり過ごしてさらに下るとなんとか水が取れそうな所があったので水を採る。ここも雪が割れている滝部分で、ちょいと危険な水取りだった。

水を取れたので、整地してテントを張って潜りこんだらすぐに夕食に取りかかることが出来て、燃料と時間の節約になって休む時間もとれていいことづくめだ。
今晩は奮発して上州牛の焼き肉だ。
早めに行動を打ち切ってしまったが、入山初日でもあり夜行バスで来て寝不足なのでよしとしよう。
今晩のメニュー;入山祝いとして少し豪華に焼き肉


道の駅月山から出発 谷地幅への林道を入る
池があった カタクリの群生地
ここから林道を外れて山道に入る 藪尾根の急登の洗礼を受ける
藪尾根を登ってくるモコモコさん ここまでが特にきつかった 登り上げると素晴らしいブナ林が広がる
芽吹いたブナがまぶしい 視界が開けたところから月山
思ったよりも雪が残っている これだけ残っていれば上出来だ
標高630mあたりから行く先を見る 再びブナ林になった
快適に歩いて行く 切りつけ発見
だだっ広い谷地幅 快適な雪堤歩き
雪堤が続くのが見えるとうれしくなるよ まだ標高は800m程度
アップダウンが出てきた 831mP付近の舟形地形
水音が聞こえてきた 水汲みに行く
すぐに水が出ているところに着いたが汲むのは無理 さらに下って藪につかまりながらやっと汲めた 危険な水汲みとなった
ちょっと贅沢なお肉屋さんの焼き肉 お疲れ様、また明日頑張ろう

2日目
5月3日(快晴)
コースタイム;幕営地@5:20〜八久和山11:40〜八久和峠13:30/14:00〜△728.1mP先16:30(幕営地A)

[幕営地@〜八久和山]
昨日は早めに行動を終了したので今日は長めに行動しなければいけないが、暖かい夜だったことで気持ちよく寝てしまい、結局出発はいつも通りの時間になってしまった。
暖かい朝とはいえ、さすがに雪面は固いのでアイゼンを着けて、△902.8mPへの登りからスタートだ。
早い時間から日差しが強く、ジリジリと焼かれる感じがする。
地形図で見るよりも大変に感じた登りだった。きれいに雪がついていたのが救いだ。山頂に着くと八久和ダムが見えた。と同時に先に続く藪の尾根も見えた。

全て雪を使えるとはさすがに思ってはいないものの、地形図で見るとそこまで痩せた尾根ではなく今年は残雪が多いので多少は雪がついているだろうと期待していたが、そうは甘くなかった。
昨日は稜線に上がってからほぼ100%雪面歩きだったのが、今日は昨日よりも標高が高いところを歩くのに藪歩きが増えそう。これで時間が読めなくなった。

ピークからは藪漕ぎになるのでアイゼンをはずして藪に突入する。
藪漕ぎになると特にモコモコさんのペースががくんと落ちるのであっという間に時間が過ぎていく。

またありがたいことなのだが、天気が良くて暑くなってきたので服を脱いだりで更に時間を取られる。

△923.2mP手前まで来たところで西側の沢の源頭にしっかりと雪がついているのが見えて、尾根通しで行くとヤブこぎになるので、沢の源頭を使ってピークを巻くことにした。やや傾斜がありモコモコさんは不安だというのでアイゼンを着けてトラバースした。
このトラバースを終えて稜線に戻ってから本来通る予定だった稜線を見ると、やはりすっかりヤブが出ていたので、巻いて正解だった。
先は尾根が広がるので、雪面が戻り、尾根が痩せてしまう所にも細いながらも雪堤が続いており、ヤブ漕ぎから開放された。

八久和山との鞍部に近づくと、正面にデーンと聳える八久和山が現れた。
鞍部からの急斜面の所で雪が切れている。地形図で見ても今日一番の急な登りとなるところだ。
一番気になる部分が手前のピョコの陰になっており見えないので、果たして雪が繋がっているのかよくわからない。鞍部で荷物を下ろして休憩を取りながら地形図とにらめっこ。
ルート取りは、尾根の西側の浅い沢状を辿って小さな小さなピョコを過ぎた辺りに乗り上げる。モコモコさんによると、このルート取りだと緩やかな登りでピョコを巻いていくことができるとのことだ。

たいしたピョコでもないし尾根に忠実に行った方がいいのではと思ったので、それとは違うルートを提案したモコモコさんに先導してもらって登る。結果確かに緩やかな登りで楽だった。
心配した雪面はきれいに繋がっていた。確かに傾斜はあるが思ったほどでもなく雪の状態もいい。
先頭を交代して一気に登り上がった。

来たところを見ると黒々しているが、これから行く先はしっかりとした雪堤状の尾根だ。
八久和山の直前まで進んだ所で、八久和山は稜線から外れた場所にあるため、モコモコさんから「八久和山どうする?私は行かないけど。もし行くなら待ってるよ。」と言われる。最初は山頂へ行く気満々だったが、巻いてしまうことにした。というより、藪漕ぎで思ったよりも体力を吸い取られたようで疲れて行きたくないので先に進みたかったのが本音。
ということで、山頂には寄らずに、北側にある沢の源頭部を使って巻くことにした。
(登っておけば良かったな〜と今更ながら反省)

[八久和山〜八久和峠]
八久和山のことは忘れて前進。ここの沢の源頭は緩やかで下手に尾根を歩くよりも歩きやすく、今日一番快適な区間だった。
巻き終わって942mPとの鞍部付近は、ブナ林となっていて幕営したくなるようないいところだが地形が複雑。視界が悪いと迷いやすそうなところだ。
進む方向を確認して、942mPへと登りかえす。
942mPに登ってやっと朝日軍道の稜線を見ることが出来るようになった。
藪漕ぎで時間ばかりが過ぎていったときはどうなることやらと思ったが、なんとかここまで来た。

942mP西のピークから南西へ延びる尾根が下りにとるルート。942mPから少し尾根通しに進んでから下りる方向を慎重に定めて、八久和峠を目指して一気に下降にかかる。
最初は快適な下りだったが、尾根はヤブがでているので尾根側面の雪の斜面を下りていくとやがて沢に押し出されるような感じになってきた。これ以上下りると完全に沢床に下りるようになってしまうという感じになったところで尾根は直角に曲がる。
そこでなんと融雪水が流れており水を汲むことができた。これまで暑さでかなり水を消費していたのでありがたい。

直角に曲がった先には尾根に雪がついていないので、モコモコさんはこれまで着けていたアイゼンを外していくことになった。先に進む尾根にはヤブを4〜5mほど登って乗り上げないといけないので、モコモコさんは尾根に登ってからアイゼンを外すといって先に登ったところ、奇跡が起きた。「刈り払いされている。」との言葉がモコモコさんから出てきた。
なんと幸運に恵まれているのだ。
ヤブになると時間がかかるので、八久和峠まではかなり大変だなと覚悟していたのが嬉しい誤算だ。

刈り払いされたばかりなのと、正規の道ではないので当然歩きにくいが、藪漕ぎせずに済むのとでは天と地の差がある。
一カ所妙に急で、刈り払いされたヤブを掴まないように注意しながら後ろ向きにヤブを掴んで降りた所もあったが、それ以外は普通に下りることが出来た。
行政の区境でもないのに何で刈り払いされているのだろうと観察しながら下りてきたが、所々営林署のなにかの境目を示すものがあったので、点検かなにかのために入ったのだろう。

やがて尾根が広がってきて傾斜が緩むと間もなくで、下に八久和峠を通る道路が見えた。植林地帯になって、除雪された道路に下りる直前に車が一台通過していった。なんだろう。熊狩りかな?峠の林道はしっかりと出ていた。道路に下りたって一安心。
側溝にきれいな融雪水が流れていたので、水を汲んでゆっくり休んだ。その間に先ほどとは別の車が今度は林道奥へと入っていった。

[八久和峠〜728mPの先幕営地B]
いよいよここから本格的な朝日軍道の入口だ。
目の前にある稜線は初っぱなからヤブが出ているのが見える。モコモコさんと作戦会議。
少し林道を歩いてから斜面に上がり、773mPの稜線がくびれている辺りを目指して尾根を乗り越す感じで進むことにした。
道路から雪面にあがると歩きやすい緩やかな斜面が続いていた。
斜登行しながら稜線に近づいていき、先に773mPが見えた所で急な登りを頑張って稜線に上がった。

773mP南の鞍部より728mPへ延びる尾根を辿る。
我々の下りるところだけに雪堤がなんとかついている状態の顕著な尾根を下りていくと、なんだか尾根が沢に吸収されて消えてしまった。
地形図を取り出して見たところ、どうやら773mPの北のピークから延びている尾根に入り込んでしまったらしい。本来入る尾根は、確かに我々の居るところから見て左手方向に延びており沢を挟んでさらに先へと延びている。

幸い沢は浅くまだ雪で埋まっているので、沢を横断して本来の尾根へと登りルートを修正した。
八久和峠より北の稜線よりも尾根が広いので全面雪がついているのを密かに期待していたが、標高が下がってしまったために雪は消えてしまってやがて藪漕ぎが始まってしまった。
面倒な灌木のヤブだ。こんなヤブが続くとやっかいだ。

灌木のヤブになるとモコモコ係数が大幅にアップして、先行しているといつの間にかずっと後ろでモコモコさんがヤブと格闘しているといった構図になる。そんな最中、モコモコさん大いに怒る事件発生。
モコモコさんから一足先に灌木の藪こぎから抜け出し、どんどん先行したところ後ろからかすかにモコモコさんからの呼び声が聞こえる。何回か返事をするが、向こうには聞こえていないらしいし、姿も見えない。
やっとお互いの姿を確認でき、モコモコさんが追いついてきたところで、「なんで声も聞こえないところまでどんどん進んじゃうんだよ、こっちは地形図もGPSも持っていないんだから、尾根の分岐があったら進む方向がわからないのに!」と怒られ、僅かに残っていた雪を使って作った雪玉をザックにぶつけられた。

確かに後ろを見ると、山の形が丸く尾根が分岐している。また、モコモコさんの怒りの原因は、藪だから足跡も残らず声かけをしても一切返ってこないので、音もなく転滑落したのではないかと心配になって、登り返したりしていたことにもあるようだ。
藪こぎがやたらに遅いモコモコさんにも原因があるが、それを分かっていてどんどん先に行ってしまったことは確かなので素直に反省した。

こんな騒動の後は、これまでのヤブと様子が変わり、尾根が切れ落ちていたり痩せているところがあまりなく、尾根自体の傾斜も緩いので、間もなく植生も比較的太いブナの木中心になって、ヤブが薄くなりあまり苦労せずに歩くことが出来るようになった。

また、八久和峠から北の稜線は、ピーク前後は雪が落ちてしまってヤブ漕ぎになってしまうことが多かったが、この先を見ると、ピークが丸い形をしており、太いブナの生える斜面になっているので雪をひろって登っていける。これには大いに助けられた。そのピークの先の尾根には雪がついていないが、側面にまだしっかりと雪がついているので、ほぼ藪こぎなしで進むことができるようにもなった。
△728.1mP手前で、そこそこな幕営適地があった。

いい時間になっていたので行動を終了するか迷ったが、△728.1mPにも雪がついているのが見えたので、目の前のピークだけでも今日の内に登ってしまうことにした。
わずかに雪消えした藪のうすい部分を歩き、登りに掛かるところから完全に雪を登って行くようになった。登りとしては僅かだが、この登りで終わりかと思うと疲れがどっと出てきて、登り切ったときにはへとへとだった。
さらにすぐ前に雪のついたピークが見えたが、728mPの先で力尽き幕営となった。
今晩のメニューはポトフ。


△902.8mPを目指して登る。テン場方面振り返る いい天気で初っぱなから暑くなった
△902.8mPに登ると八久和ダムが見えるようになる ぱっと見た感じ雪堤を使って楽勝で行けそうな気がする
しかしいきなり藪こぎ 藪こぎ結構長くなりそうだ
と思ったら天の助け ぎりぎり残っていた雪堤を使っていく
登りに雪が使えて助かる また藪
今度は長そうな気配 八久和ダムの放水音を聞きながら藪こぎ
雪堤に乗って楽をする 振り返る
八久和ダム どうかこのまま続きますように
そういうわけにもいかないね 藪の出ている△923.2mPは北側の沢の源頭部を巻くことにする
巻いてくるモコモコさん 巻いた後は雪面を歩けるようになった
八久和山に近づいてきた 八久和山との鞍部まで細い雪堤が繋がっていた
どこを登ればいいかな? 鞍部付近は素敵なブナ林
八久和山の肩まで登り切った 辿ってきた所を振り返る 八久和山に行く気がしなくなった
ということで北側の沢の源頭部を巻いた 942mPとの鞍部目指していく
なんと水が取れた 尾根は藪のため沢に押し出された
刈り払いされていた なんという幸運 お陰ですんなり八久和峠に着いた
少し道路を歩いてから稜線に登り返した 行く先
一本手前の尾根に入ってしまった 本来の尾根に戻るため沢を横断する
雪が残っていてありがたいが先が気になる やはり藪だった(ここの藪こぎでモコモコさん大いに怒る事件発生)
同じ藪でもこういうのなら楽しい このピークは越えておくことにした
ピークに着いたがまだ越えられそうなピークが見える 力尽きて手前で幕営

3日目
5月4日(快晴)
コースタイム;幕営地A5:30〜猿倉山9:10〜兜岩巻き始め10:30〜兜岩の先の鞍部11:00〜高安山13:20/13:40〜葛城山手前鞍部17:10(幕営地B)

[幕営地B〜猿倉山]
3日目にしていよいよ名前のある山に登ることが出来る。
早朝で雪が固いので、今日もアイゼンを着けて出発。
最初に昨日登るのを断念したピークに取り付く。鞍部から少し登り返したところに幕営適地があった。
山頂までしっかりと雪がついていた。山頂から少し尾根が痩せてくるので、山頂直下の部分の尾根上には雪がないが、尾根の斜面に雪がついていたので藪こぎせずに済んだ。

昨日モコモコさんが懸念していたのが、その先にある少し細長いピークの藪だ。
尾根が痩せてくるが、思ったよりも雪を使えた。それでもさすがに藪こぎなしとはいかず、標高も少し上がったことで灌木の藪となって意外に時間が掛かってしまった。山頂手前から雪堤がついて一安心。

この長細いピークを越えると尾根が広がってブナ林の完全な雪面歩きとなった。
ネジネジになった木があって面白いなと近づくと、側に生えていた細い木にピンクテープが巻かれていた。
この頃になると、日差しも強くなり熱くなってきたので、アンダーシャツやタイツを脱いだ。周りはブナの木の生えるいいところだ。緩やかな尾根を登って行くと、目の前には、これまで名無しのピークを延々と越えてきたのが報われるかのように、ようやく猿倉山ときちんと名前のついた山が見えるようになった。山頂手前のやせ尾根の藪こぎを覚悟していたが、どうやらさほど藪こぎはしないで済みそうだ。

やせ尾根手前は、当初の計画で幕営予定地としていたとこだ。モコモコさんの読み通り幕営するのにとても良さそうだ。昨日はここまで到達できずに力尽きてしまったのが残念だ。昨晩の幕営地はあれはあれでいいところだったが。

先ほどのシャツを脱いだところで休憩したので、そのままやせ尾根に取り付く。
やせ尾根には途中藪がでているものの雪堤がしっかりついている。その先の猿倉山直下は、手前から見ると、猿倉山は2段のケーキのように2段階に分かれて急斜面となっている。中間部分はまるで林道が通っているかのような台地になっているらしい。地形図で想像するよりも斜面が急なのが気になる。

猿倉山の登りはまずは、やせ尾根についた快適な雪堤歩きから始まる。一カ所雪堤が切れて藪こぎとなったが距離は短く、雪堤との上り下りは非常に楽だった。いよいよ1段階目の急登。雪のついたところは急なので、慎重に足場を固めて登って行く。台地状のところに着いて一安心。次の急斜面に取り付くと、熊さんが滑りながら下りていったような足跡があった。すごいな熊さんは、こういったところを縦横無尽に歩いているのだな。
この斜面にはまだあまり日が当たっておらず登るにつれて雪が堅めになってくるが、慎重に行けば登る前に心配するほどではなく登って行けた。猿倉山の直下は急で藪が出ていた。

急斜面が終わると一気に傾斜が緩む。少し雪堤状の尾根を進むと先ほどのやせ尾根と急斜面が嘘のように雪原状に広がった。入山3日目にしてようやく1000m越えした山、しかもしっかりとした名前が付いている猿倉山山頂は平で、行く先にこれまた以前から「兜岩」が見える。まさしく兜、誰が名付けたのか本当に素晴らしい。

[猿倉山〜兜岩巻き終わり]
兜岩までの直線距離は短いのだが、その前に藪の出ているピークを2つ越えていかなければならない。
最初に1005mのピークへと向かう。いよいよ藪こぎかと思ったら先行していたモコモコさんから「雪がついていて藪を巻ける」との嬉しい知らせ。
南側の斜面についていた雪は途切れることなく無事藪こぎなしで巻いて通過できた。

次のピークは痩せているのと、少し標高差がある。斜面についた雪を使うには急で結構下に下りないと行けないので、この部分の藪こぎは避けられない。
ストックをしまって藪こぎに入る。
灌木の藪なので歩きにくく、一部ものすごく痩せている部分があり転落しないように気を遣った。
登り切ると再び雪堤状になり快適な歩きに戻った。軽く尾根が曲がるところで意外にも人工物発見、アンテナが立っていた。雪に埋もれているのかアンテナしか見えないが、下にダムがあることから雨量観測所だと思われる。また比較的新しいソーラーパネルが取り付けられているので、現役で働いていると思われる。

ここまで来ると、今まで遠くに見えていた兜岩は目前だ。
遠目に見るとやはり、戦国武将が身につけていた兜にそっくりだ。近づくと大きく直立して聳えているのがよく分かり、登るとかは一切考えられない。巻一択だ。
巻く前に休憩をとってゆっくりと兜岩を見物する。

巻きは兜岩の北側から派生する沢の源頭部をトラバースするのが一番よさそうだ。雪堤状になっている稜線からは、傾斜の緩そうな所から沢へと斜面を下降し、トラバースできそうなところまで下りてから、ぐるっと巻いていくと兜岩の東側に延びている枝尾根が見えてくる。
枝尾根手前の緩やかな沢状を登り返せば稜線にポンと戻って巻は終了。

[兜岩巻き終わり〜高安山]
巻き終えた辺りはブナ林が見事だ。暑くて先ほど休憩を取ったばかりだが、ザックを下ろした。
さすがにこの辺りのブナは全く芽吹いていないが、枝振りが見事でほどよく木陰をつくってくれる。このブナ達にはとても助けられ、日陰を繋いで登って行くと暑さをしのげて楽だ。
ブナのお陰で思ったよりも早く1113mPに着いた。尾根の向きが少し変わるので、雪堤状になった稜線を辿っていくと、先に見える真っ白なピーク見えた。てっきりそれが高安山だと思ったが、実際はその奥にある藪が帽子のように見える一段高い方が高安山だ。
後ろを振り返ると、これまで見上げてきた兜岩が下に見えるようになっていた。

真っ白なピークの登りからこれまでの緩やかな傾斜と違って少し急になる。本峰となる高安山の登りはさらに急で効率よく高度を稼ぐことが出来る。
高安山の斜面は急で、藪も灌木中心なので雪がないとかなり辛い登りになりそうだ。山頂まで雪面や雪堤を使って登ることが出来た。
高安山には三角点があるはずなので探してみたが、見つからなかった。また、八久和山付近からも見えた、高安山山頂から東に延びる尾根の先にある灯明岩を見るのを楽しみにしていたが、上からではよく分からなかった。八久和川を挟んだ対岸の焼休山1057mPからは望めるだろうか?課題は増えるばかりだ。
山頂からの展望は素晴らしい。山座同定をして長い間休んだ。

[高安山〜葛城山手前鞍部(幕営地B)]
山頂からも雪堤が続いているのが見えたので気持ちよく下降かと思ったら、直下で一部切れていたので山頂から少しヤブ漕いでから先に続く雪堤に乗った。

切れていたのはここだけで、後は気持ちの良い雪堤下りだ。
高安山を越えるとようやく朝日連峰の一員になれたようで嬉しい。
天気も連続して晴れて最高ーと下っていくと、1095mPを持つ尾根が分岐する辺りで、なんだか水が取れそうな雰囲気を持つ場所があった。
荷物を置いて西側の小沢に下ってみると、すぐに水が取れる場所になった。僅かな下りで何の危険も無いので、モコモコさんも下りてきて冷たい水を十分に味わい、久しぶりに思う存分顔を洗ってすっきりした。
実は兜岩を巻き終わった辺りから暑くて水も不足しがちだった。、雪をペットボトルに入れて溶かしながら(我々はこれをシャカシャカと呼んでいる)なんとかしのいできたので、この水場がうれしい誤算だった。生き返った。

さらに下りていくと、尾根が広がり素晴らしいブナ林となった。
いつもならこんなに下りると「もったいなーい!!」と叫ぶのだが、あまりのブナ林の良さに「余裕があったら絶対ここに泊まるよな」とそのまま通過してしまうのが残念で寂しくてたまらなかった。兜岩を巻き終えた先のブナと高安山を下った先にあるここのブナは本当に素敵だった。

ご褒美は終わりと言わんばかりに、稜線は名も無き小さなピークがぽこぽこ連なる状態に戻ってきた。そのうちの登り返しとなって最初の小さなピークとなる1042mP手前は、とても標高1000m程しかないとは思えないほどの立派な雪堤だった。
1042mPから1115mP辺りまでは、緩やかで広い尾根状となるので、視界がなかったり逆走の場合は迷いやすそうな所だ。晴れている今日はもちろん問題なくルート取りが出来て楽しい歩きだ。

楽しいのは楽しいが、ここまで来て疲れが出てきた。1081mPを持つ尾根が分かれるなだらかなピョコの辺りで一度休憩をして、のろのろと歩いて行くと水音がする。間もなく行動終了となるので、ここで水を汲んでおけば燃料と時間の節約になるので、汲みに行くことにした。先ほどの水場に比べると少し下りることになったが、初日ほど下りなくても良く危険もなく水を汲むことが出来た。
水を担いだことでずんと重くなり、目標は葛城山だったが届かず手前で幕営となった。
今晩のメニューは、シチュー。


昨日越えるのを断念したピークへ取り付く あと10分頑張れば最高の幕営地があった
雪を繋いで 思ったよりもしっかりした雪堤が残っていた
尾根が痩せてきたので途切れがちになってきた ぎりぎり残る雪を使って
雪か藪か悩むところ 八久和山から繋がる尾根  ここを歩いてきた
猿倉山が迫ってきた ネジネジの木とピンクテープ
今日も暑そうだ 八久和山からぐるっと迂回するように伸びている稜線
いよいよ猿倉山に登ります なんだか急だなあ それに林道が通っているように見えるよ
その前にちょいと藪こぎ 急斜面に取り付く
林道のように見える台地まであと少し 台地に着いた 先のもう一つの急斜面を登ると
猿倉山の頂上台地に着く 入山3日目にしてようやく名のある山頂を踏む 化穴山方面
これから行く先 手前の藪と奥の高安山の登りが気になる 高安山から茶畑山に延びる稜線
藪を偵察するため先行するモコモコさん 猿倉山を振り返る
雪の斜面を巻ける やったね おお、兜岩が見えた 高安山の登り大変そうだ
兜岩の前に藪こぎ  一部両側が切れ落ちているので注意 藪を抜けるとなんとアンテナが どうやら現役らしい
とうとう兜岩 かなり大きい もちろん登るのは無理 巻きます まずは沢の下降
岩の基部をトラバース トラバース中 下を見る
岩の反対側の沢を登れば巻終了 兜岩と高安山の鞍部付近は素晴らしいブナ林
高安山に近づいてきた 兜岩を見下ろすようになった
まるで月山の展望台 猿倉山からこれまで歩いてきた尾根が見える
高安山まであと一登り 高安山山頂 三角点は見つけられなかった
高安山から月山 高安山からこれから行く先を見る
赤見堂山方面 遠くは障子ヶ岳か?
直下で雪堤が切れていたので藪を使って雪堤を繋いでいく 途切れることのない快適な雪堤歩き
次の山となる葛城山はどこだ? 高安山を振り返る
標高1200mに満たないとは思えない すぐそこで水が取れた
通過してしまうにはあまりにも惜しいブナ林 ブナの側にいるとなんだか落ち着く
しつこいようだが標高わずか1000m程ですよ 高安山も遠くなった
ゆるゆると高度を再び上げていく 歩きやすいけれど視界がないと怖いところ
これから辿る稜線 目の前のピークは明日登ることにしよう
今日も風もなく穏やかなテント生活 今日も一日お疲れ様

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