山域 南会津
コース 小立岩〜安越又川道行沢〜稜線〜上梯子沢大枝沢(下降)〜黒谷川本流〜東実沢中沢右沢〜1538Pと1692P鞍部〜弥次郎沢(下降)〜袖沢林道〜奥只見ダム
〜憧れの黒谷川〜
日程 2017年8月9日〜8月12日
 待ちに待った山モコ夏合宿だが、めでたく?「長寿台風」となった台風5号(約19日間・歴代3位・8月8日温帯低気圧になる)のお陰で、当初予定していた東北の山域は天候が怪しくなった。
 また、東京都心では8月1日から16日連続で雨を観測。40年ぶりとのことだ。今年は天気がおかしい。
結局、行きと帰りの夜行バスをキャンセルして南会津の山に落ち着くことになった。
データ アプローチ
浅草駅6:30〜会津高原駅9:22/バス9:50〜小立岩10:44

コースタイム(天気)
8月9日(薄雲り時々雨)
小立岩11:20〜安越又川橋11:51〜工事終了点12:30/12:45〜いにしえの林道の橋14:00〜三又14:30

8月10日(快晴午後曇り)
テン場6:33〜稜線9:30〜二俣1185m10:55/11:10〜1043m下梯子沢出合12:30/12:40〜黒谷川本流13:50/14:00
〜東実沢・西実沢出合14:42〜大休止〜1030mテン場16:10

8月11日(曇り夕方から雨)
テン場1030m6:20〜1110m魚止め滝7:51/8:30〜東沢出合8:37/9:27〜〜8m滝11:18=滝上11:52〜稜線13:26〜1538Pと1692Pの鞍部1480m13:42/13:50〜1320m14:34〜右岸崩壊地1075m15:50〜袖沢16:25〜袖沢林道16:34
〜テン場17:05


8月9日(薄雲り時々雨)
コースタイム;小立岩11:20〜安越又川橋11:51〜工事終了点12:30/12:45〜いにしえの林道の橋14:00〜三又14:30

浅草駅より特急「リバティ」に乗って出発となった。以前は快速で行けたのに、特急とは名ばかりで到着時間は結局同じで単なる値上げだ。出費が痛い。それでも金券ショップで東武鉄道の株主優待乗証を購入して乗ると少しお得になる。新車の匂いのする「リバティ」はやはり快適。

会津高原駅の売店でバスの回数券を購入すると100円ほど安くなる。平日にも関わらず登山者は20人ほど。小立岩で下車。少し奥に入った広場で身支度する。天候は曇りで、歩きやすい。しばらく歩くとメジロ虻がやって来た。最初は無視していたが、チクリと刺したりしてきて、数も多くなってきたので防虫ネットを被ることにした。暑いが刺されるよりはましだ。

安越又川橋を渡り、巨大な堰堤を横目で見ながら進む。途中、コンクリートのテトラポットが300個程、道路脇にきれいに整列して置いてあった。沢は濁りがあり水量が多そうだ。ここを過ぎると工事終了点だ。ちょうどお昼休みなのか、作業員の皆さんは車内でお休みのようだ。この先の林道は急に足場が悪くなるので沢を通っていくことにして、足早に人目に付かない所まで降りて入渓する。

不思議なことに沢にはメジロはいないので防虫ネットを脱いで行く。最初は小滝が多いがやがて平瀬になる。増水しているため1箇所だけ少し泳ぐところがあり、モコモコさんにはお助け紐を出した。

やがて、左岸に橋が見えてきた。いにしえの林道の名残だ。右岸からはっきりとした7m直滝が入る。ここを過ぎると東沢と西沢の出合いにちょうど道行沢が入る三又となった。
道行沢の左岸に天場を発見。初日ということもあり、行動時間も短いがここで泊まることにした。あまり使われていないようなので、整地と草刈りで結構時間が掛かった。雨よけ用に2枚持ってきたタープを調整したりで、落ち着くまでにだいぶ時間が掛かってしまった。

あとはお決まりのパターンで、入山祝いとなった。一時雨に降られたが、雨除け用のタープが大活躍して影響なし。
寝不足なので早めに寝た。(今晩のメニューは、少し贅沢に焼き肉・ご飯・味噌汁)

8月10日(快晴午後曇り)
コースタイム;テン場6:33〜稜線9:30〜二俣1185m10:55/11:10〜1043m下梯子沢出合12:30/12:40〜黒谷川本流13:50/14:00
〜東実沢・西実沢出合14:42〜大休止〜1030mテン場16:10

昨夜21:00頃。トイレに出てみると星空が広がっていた。月も明るい。朝3:30起床。6:33出発。なんだか出発がいつにもまして遅くなってしまった。
道行沢はぬめりが多いが、きれいなナメ滝が続き気持ちがいい。水は最後まで続いていた。特に何もなく稜線へ辿り着いた。約3時間。

上梯子沢を目指して大枝沢を下降。小滝を1つ軽く巻いた位で順調に下降して上梯子沢本流に出る。ここまでは一度来たことがあるので問題なかった。
さらに下降を続けていく。いくつか小滝がある程度で問題なく12:30に下梯子沢出合に到着してほっとする。稜線から約3時間。

黒谷川本流までは、2011年福島新潟豪雨の形跡なのか立ち枯れの木々や崩れている斜面が目立った。沢は広く長いゴーロ歩きが中心だ。大きな滝も出てこなかった。黒谷川本流に入る手前がゴルジュっぽくなる。大木が沢を塞いでおり、ザックを下ろして空身でくぐった。
下梯子沢出合から黒谷川本流まで1時間10分かかった。初日からここまで問題になるところはないが、とにかく長いの一言だ。

大幽沢を分けてからの黒谷川本流に来るのは初めてだが、豪雨の影響か木が軒並み流されてしまったようで、河原状が広がっていると感じた。本流の水は思ったより少なく見える。恐らく河原が広すぎるからだろう。すぐに左岸から特徴的な左右の大岩の間からスギソネ沢の水流が本流に落ち込んでいる。渡渉を繰り返しながらしばらく進むと、東実沢と西実沢の出合に到着。

途中大休止を含み、16:10テン場到着。右岸の倒木が多い広い場所だった。やたらと穴が空いていたりする倒木もある。
昨日は設営に時間が掛かったので今日は早めに済ませる。
夜になると、明るいときに騒いでいたメジロアブの替わりに黒いカミキリ虫が何匹も襲来。アブと違って噛みついてきたりしないが、一個体が大きいので鬱陶しい。手づかみして遠くに投げても、次々と新たな奴が現れてくる。ここはカミキリ虫の惑星かとも思った。恐らく倒木があまりにもたくさんあるので、奴らの一大繁殖地になっているのであろう。

本日は昨夜焚き火で作った焼き豚、ご飯、味噌汁、自然の恵み。

8月11日(曇り夕方から雨)
コースタイム;テン場1030m6:20〜1110m魚止め滝7:51/8:30〜東沢出合8:37/9:27〜8m滝11:18=滝上11:52〜稜線13:26〜1538Pと1692Pの鞍部1480m13:42/13:50〜1320m14:34〜右岸崩壊地1075m15:50〜袖沢16:25〜袖沢林道16:34
〜テン場17:05

天候は曇り。渓相もだんだん良くなってくる。途中、大休止を挟みながらのんびり行く。唯一特徴的な前衛に美しい釜を持つ魚止め滝5m。ここは左から簡単に登る。

西岐沢、東岐沢を分けると本流はゴーロで高度を上げていくようになる。大きな支流を分けた後左岸から入るのが我々の目的とする沢だ。ここで現在地を見誤り少し本流を進んでしまった。先に小滝の連瀑帯が見えた所で間違いに気がついた。

稜線の一番低いところを狙って入った沢は、穏やかな流れが続いてこのままいってくれるといいなと思ったが、そこは南会津ちゃんとイベントが用意されていた。
しばらく進むと8m滝が行く手を阻む。直登は無理で、右岸のルンゼを登ることにする。ザイルを出して山人トップで登るが、ドロドロで足場が定まらない。ジリジリと樹林帯間近まで進むが、ドロドロで苦労する。やっとの事で樹林帯に登ることが出来た。スパイクを着けて登るべきだった。モコモコさんはスパイクを着けて登ってくるが相当苦労して登ってきた。樹林帯に入った後は、藪を少し漕いで滝上には懸垂なしで下りられた。嫌らしいところはここだけで助かった。

あとは1480mの鞍部を目指して登る。予定していた沢より1538P寄りの沢を詰めてしまったため稜線へ出てから鞍部へ向けて藪を漕いで移動した。
ここまでテン場から約7時間。道草をしない場合は我々の足で5時間ほどか?
1480m鞍部より地形図には名前がないが「弥次郎沢」を下る。地形図を見て分かるように一直線に急な傾斜で袖沢へ向かって落ちている。

斜面全体がとにかく急でできるだけ樹林帯を降りていくことにする。時折枝をつかんで後ろ向きで降りたりと急な樹林帯を下降していくと、1320m地点で冷たい湧き水が出ている所に出た。弥次郎沢源頭部に入ったらしい。
沢下降を初めて間もなく、途中8m程の滝が2つ程でてくるが、懸垂なしで巻下りることが出来た。あとは兎に角急で、ガラガラと石が崩れて足下が濁って見えない不安定な沢床を慎重に足を運ばせる辛抱の下降が続く。

やっとのことで袖沢に到着。鞍部から標高差約530mを約2時間30分で下りたことになる。無事に袖沢を渡渉し、対岸の岸壁沿いに登ると林道へ出ることが出来た。10分ほど、下流に向かって林道を歩くと山側から沢が入り水を確保することが出来た。ちょうど雨が降ってきた、雨具の上だけ羽織る。沢の中で降られなくて助かった。時間も押しているので、そこから数分先の林道のスペースを切り開いて本日のテン場とすることにした。

焚き火はできないので、ガスでの調理となった。本日はご飯・レトルトショウガ焼き・味噌汁
雨はその後朝方まで止むことはなかった。

8月12日(曇り)
コースタイム;テン場6:25〜ミノコクリ橋7:05/7:20〜分岐7:23〜小屋7:33〜ガレ場8:05〜工事現場9:36〜北沢出合10:32〜南沢出合11:10〜ダム下の橋11:55〜奥只見ダム12:51

3:30分起床の予定だったが、タープを叩く雨音がしたので2度寝。それでも、4:00に起きた。ゆっくりとミルクティーを飲みながら、今後の予定を話し合う。
予定では中門沢を詰めて会津駒ヶ岳に詰める予定だが、昨夜の雨とラジオの天気概況から良い天候は望めないと判断。

また、今シーズンまともな沢をやっていない。前回の南アルプスで沢と縦走でもとことん歩き詰めていない。体力不足等、諸々の状況を踏まえて奥只見ダムへ逃げることにした。お天気を恨むしかない。

ラインとしては美しくない敗退の袖沢林道ということになった。モコモコさんは奥只見ダムまで時間が読めないと騒いでいる。2011年福島新潟豪雨で林道が崩壊しているからだ。ということで林道といっても踏み跡がある程度で軽い藪のような道といったところ。

私はそんなことはないと考えていた。最悪、また林道のど真ん中でもう一泊でもいいと気軽に考えてた。ともかく、歩かなくては始まらない。いつも通りの出発時間になった。何カ所か土砂が側壁から押し寄せている箇所を通過していくと、いつの間にかミノコクリ橋を見逃して、沢沿いに少し進んでしまったミスがあった。少し高いとこから振り返ると橋が見えた。ヤレヤレだぜ。

ミノコクリ橋の上でザックを置いて早くも休憩。ここで最後の意思決定。中門沢へは一歩も踏み入れず袖沢林道を奥只見ダムへ向かって歩くという結論になった。中門沢への分岐を越えると小屋発見。豪雨による林道崩落の後しばらく使われていない気配だが、林道整備の拠点のようだ。

そこを過ぎるとまたもやガレ場に出る。大雨の後で緩んでいるので慎重に一人ずつ通過。
相変わらずの草ボーボーの林道を行くと、惣十郎沢と思われる渡渉点に着いた。が、水害の時にごっそりと削られて、沢床へ下りる箇所は岩盤がむき出しになっており、お助けロープとスリングがある。それを使って沢床へ下りた。渡渉は全く問題ない。

9:20頃かな突如、草ボーボーの林道が刈り払われている。なんじゃこれは?嬉しい反面、メジロ虻の活動が急激に活発になってくる。防虫ネットジャケットを被って攻撃をかわす。

しばらく進むと、工事現場到着。ここまで重機が入っているということはこの先普通の林道になっているということで、今日中の帰宅が約束されたようなものだ。今朝の出発当初は林道でもう一泊してもいいと思っていたが、メジロアブに包囲されている今そんな気はさっぱり飛んで行ってしまったので嬉しい限り。
挨拶をして通らせてもらう。すぐに真っ暗なトンネル。ヘッテンを出す。工事関係者は真っ暗闇でも道が頭に入っているらしく、何も明りをつけずに真っ暗な中を歩いてくる。結局は短いトンネルでした。

そこを過ぎてしばらくで、男性2人パーティに出会う。メルガ股沢から丸山岳を目指し、大幽沢を下降するとのこと。モコモコさん曰く「美しいルートで、勝手に丸山岳のゴールデンルートと呼んでいる」そうな。健闘を祈って別れる。さて少し元気が出てきた。感覚としては、北沢を過ぎた辺りまでが特にメジロ虻が酷くミツバチの巣状態だった。具体的にいうと、モコモコさんの臀部にたかっているメジロを手づかみすると、手の小さなモコモコさんでも必ず最低10匹以上は掴める感じの密度。
最後のトンネルを抜けると奥只見ダムが見えた。

谷底の橋から辛抱の1時間で、奥只見ダムへ到着。汗臭い服と泥臭い身なりで、大勢の観光客があふれる広い広い駐車場に飛び出た。
3泊4日の長いようで短い南会津の沢旅が終わった。

追伸
バスは17:10までないので、下山祝と称してレストハウスで「千と千尋の神隠し」に出てくるカオナシのように、ビール・お酒・岩鱒の刺身・舞茸の天ぷら・天ざるそば・カツ丼とひたすら飲み食い。あとは、普段はスルーの奥只見ダムをしっかりと見学。その上にある電力館で時間を潰しての帰京となりました。

8月9日 ちょっとした広場で入渓準備 安越又川林道を行く
安越又川を渡る 渡った先は資材置き場になっている
堰堤を過ぎてしばらく行くと 壊れた堰堤の修復現場
工事現場で林道も荒れるので入渓 いきなりゴルジュ状
増水して色も付いているが問題ない 増水のため少し手間取った
すぐに開ける 美しい滝
だいぶ緑が戻ってきた 雨対策ばっちり
8月10日 道行沢も良い雰囲気 小滝
小滝 小滝
小滝 稜線の湿地帯
大枝沢二俣手前の右岸に小さなテン場があった。焚き火跡有り 1130mの二俣
下梯子沢と上梯子沢の二俣 梯子沢を下降
立ち枯れの木々が目立つ 黒谷川本流手前のゴルジュ。大木が通せんぼう
黒谷川本流が見えた 本流も立ち枯れが目立つ
スギソネ沢出合 本流
東実沢と西実沢の出合 1030m付近 右岸のテン場
滑滝
魚止め滝 東岐沢が右岸から滝で入る
巨岩を右の水流から 1230m付近 間違えて左に入り戻った。
8m滝。右岸のグズグズのルンゼから巻く。 源頭のヤブに突撃
稜線鞍部1480m付近から弥次郎沢を下降 1320m付近でようやく冷たい湧き水が出てきた。
右岸の崩壊地 袖沢本流
林道を開拓。テン場 8月12日 崩壊地を行く
道が崩壊、ガレと露出した岩盤を残置ロープ頼りで沢床へ下りる 工事現場
メジロアブ 一叩き10匹は嘘ではない。 レストハウスで「かおなし」状態の山モコになった。


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