山域 吾妻連峰
コース 高湯温泉〜家形山避難小屋(往復)
〜またもや山越えならず〜
日程 2018年2月10日〜2月12日

今シーズン3度目の吾妻。
今度こそは山越えをしようと吾妻小舎の管理人の高橋さんへ小舎宿泊の連絡を入れた。
気になるのは、山越えの時から高山下りのときに天候が悪そうな予報が出ていることだ。
また、最優先事項として、前回探すことが出来なかったスコップを何としても回収しなければならない。
データ アプローチ
東京駅6:40-福島駅8:36/9:25−ハイランド前10:01

コースタイム(天気)
2月10日(晴れ)
花月ハイランド10:23〜登山道入口10:56〜スカイライン横断点12:20〜山鳥山14:08〜慶応山荘分岐15:45〜家形山避難小屋16:45
2月11日(くもり 風強い)
家形山避難小屋停滞
2月12日(雪 風強い)
家形山避難小屋9:05〜慶応山荘10:05/11:15〜山鳥山12:31〜花月ハイランド14:11


2月10日(晴れ)
コースタイム; 花月ハイランド10:23〜登山道入口10:56〜スカイライン横断点12:20〜山鳥山14:08〜慶応山荘分岐15:45〜家形山避難小屋16:45


いつも通りに花月ハイランド前を出発。
前回とは打って変わって、気温が高くいい天気だ。

スカイラインゲート近くには、今年一番の駐車台数。
丁度車の持ち主の方々が出発準備をしていた。挨拶を交わすと、慶応山荘泊りの7人ほどの団体さんパーティだった。

団体さんは記念撮影をしていたので、我々が先行する。
今日は天気がいいが、前日まで結構積雪があったようだ。しかしさすが天気のいい連休初日だけあって、トレースはばっちりついていた。
天気がいいのはありがたいが、スカイライン横断点までの一番登りがきついところでは風通しの悪い樹林の斜面なのでとにかく暑い。

トレースのおかげで前回30分もかかった堰堤工事現場まで15分ほどで着いたが、余りにも暑くて薄着になるだけでなくタイツも脱いでいくことにした。
ちょうどこの辺りで団体さんに抜かれた。団体さんが過ぎた後、モコモコさんから「今の人達、一昨年に谷地平の小屋往復して帰るときに会った人達じゃないかなあ?」と言われた。そう言われてみると見覚えが。

重荷となんだか体が重く感じる中、スカイライン横断点にようやく辿り着いた。
横断点では団体さんが休憩中だった。
ここまでが一番きついですねとお互い苦労を分かち合っていると、団体さんから「もしかして・・・」との言葉。嬉しいことに団体さんも我々のことを覚えていてくれた。
我々はもう少し先で休むことにして、そのまま再び登山道へ入る。
小沢を渡って少し登ったあたりから妙にスキーが重くなってきた。気温が上がったためシールに団子が付き始めたのだ。
シールワックスを塗ることにしてついでに休憩もすることにした。
このときに団体さんに追い越され、二度と追いつくことはなかった。

今日はラッセル皆無なのに、ペースが上がらず山鳥山までが異常に長く感じた。
順調に来たときは、この辺りでお腹がすくので休憩を取ることがあるが、今日は大丈夫なのでそのまま湯の平へと向かう。
この辺りは傾斜がほとんどないのに、先頭を行くモコモコさんから遅れがちになる。
途中下山する方とすれ違う。家形山避難小屋までいってきたとのこと。今日はトレースがないとちょっと潜るのでありがたい限りだ。

井戸溝への登りにかかると体がずどんと重く感じて、慶応山荘分岐への登りでは完全にモコモコさんから遅れる。
のども痛くなっていて、完全に体調を崩しているらしい。
そんな調子なので、硯石からトレースがあってもペースがガクンと落ちて、当初は16:00過ぎには小屋に着くかなと予想していたが、実際に小屋に到着したのは17:00近くになっていた。

天気はこれから下り坂に向かい、特に明日の午前中から風が吹きだすとのこと。
モコモコさんは、小屋に着いたらスコップを掘り出して明日はできるだけ早く出発と考えていたらしいが、到着が遅くなったのでスコップ掘り出しは明日に持ち越しとなった。

いつも通りの場所から出発 早速団体さんに追い抜かれる
それなりに積雪があったようだ。トレースつけてくれた先行者に感謝 ペース上がらず小屋到着は夕暮れ


2月11日(くもり 風強い)
コースタイム; 家形山避難小屋停滞

明け方、いきなり「・・・9千八百・・のお釣りください!・・・」というモコモコさんの寝言に驚いて目が覚めた。いったい何の夢を見ているんだろう?と気になったが眠かったので直ぐに寝直した。
一晩寝て、体調は少し回復した気がする。
本来ならば吾妻小舎へ向けて出発するところだが、スコップの回収を一番の目的に来たので、朝食後早速スコップの掘り出しにかかる。
写真で見た感じではこの辺りと検討をつけて、ゾンデで探っていく。

1.5mほどゾンデを刺した辺りで一度ガツンという感覚がある。どうやら凍った層があるらしい。
少しずつ雪堀をしながら探ってみるが一向に手ごたえがない。
かなり掘ったところで有力な手ごたえがあった。下に下にと掘り下げていく。モコモコさんはその間、掘った雪の除雪をする。
二人がかりでここ掘れワンワンと頑張ったが、見えたのは雪に埋もれた枝だった。

がっかりしたが、考えてみれば写真には枝がまだ見えていた。その該当写真を持ってこなかったので記憶が曖昧だが、スコップは枝よりも小屋側にあるように写っていたはず。
捜索範囲が狭まったので、再び雪堀にかかるが一向に見つかる気配がない。
これは雪融けを待つしかないかあ?、少し休憩するか?と話しながらも、半ば諦めかけてゾンデを突き刺していると、モコモコさんが刺したゾンデの先で明らかに今までと違った「ボコッ」という音がした。
二人とも「!!!!」
とばかりにここ掘れワンワンと一気に雪堀の気力が戻ってきた。

そしてとうとうスコップの先がガツンと埋もれたスコップに当たり、さらに掘り進めると置き忘れていたスコップの姿が現れた。
スコップは写真では雪に突き刺して立てた状態で写っていたが、実際は横に倒れて埋まっていた。
とうとう掘り出して約1月ぶりのスコップとの再会。
元々自分の忘れ物を見つけただけであるが、宝物を発見したようにうれしかった。二人で声高らかに笑って喜んだ。

気分よく小屋へと戻り、作戦会議。
   外は風が出てきており、雪が飛ばされてきて雪煙状態になることもある。
   時計を見るとお昼近い。体調も良くないので、これから吾妻小舎へ向かうのは気象条件から言ってもかなりきついものになりそうだ。
   今週は小舎のスタッフの方が雪下ろしに入っているので、小舎に着きさえすれば、ストーブに当たって布団で手足を伸ばしてヌクヌクしてゆっくり休めるのだが、明日はさらに天候が悪化するので、思い切って吾妻小舎へ行くことは諦めることにした。
  また、これから下山するにも時間的に中途半端で忙しい。もう一泊して明日ゆっくり帰ることにする。

そうと決まったところで、軽くお昼ご飯。
再び外に繰り出して、窓の除雪。更に今度は強風でも用が足せるように風除けのブロックを積む作業をした。
一通り作業が済んだところで、本格的に小屋に籠ることにした。
起きていても寒いし体調回復のために、しばしシュラフに包まることにした。
一眠りして起きると、外はますます風が強まっている。夕食も早めにとって、シュラフに包まった。


ここ掘れワンワン 手ごたえを感じたところを掘っていく
見えた!! もう少し
1月ぶりに姿を現した 諦めないでよかった


2月12日(雪 風強い)
コースタイム; 家形山避難小屋9:05〜慶応山荘10:05/11:15〜山鳥山12:31〜花月ハイランド14:11

昨日から気温がどんどん下がっていったので、今朝はシュラフから出るのが辛い。
決心してシュラフから出てみると、除雪した窓はすっかり埋まっていた。
外を覗いてみると、本格的な風雪となっている。
昨日吾妻小舎へと行っていたら、吾妻小舎からの下山で一番風雪の影響少なく降りられる高山下りでもこの風雪にたたかれながらでは、体調の方もかなり悪化してしまうことだろう。中止にして正解だ。

下山だけなのでゆっくり出発。
当たり前だが、来た時のトレースはきれいに消えてフカフカの雪。
小屋を出てすぐのところでウサギさんが飛び跳ねていくのを目撃できた。今回は真っ白な毛玉状態のウサギさんだった。

今回はゆっくりと温泉に浸かって、17:00のバスに乗ればいいやと比較的余裕があるので、慶応山荘に寄っていくことにした。
積雪が十分になったので、山荘へは登りが少なくて済む冬道ルートを進んだ。
小屋に着くと、小屋の前は既に20cmほどの新雪が積もっており風雪により外扉が少し空いていた。
内扉を開けて挨拶をすると、大柿さんが出てきてくれた。
風雪が治まるまで除雪はあきらめているとのことだが、我々のために扉付近を軽く除雪してくれた。私も微力ながらお手伝い。

改めて中へお邪魔すると、山荘もすっかり雪に埋もれて明かりが入ってこなくなってしまったため、穴倉生活になってしまったようだ。
入山するときに出会った団体さんは昨日中に下山してしまったとのことで、お客さんは只今いないらしい。
おいしコーヒーだけでなく、水出し抹茶もごちそうになった。ここでいただく水が冬でもとても美味しいので、水について質問してみると、なんと厳冬期の今でも水が小屋内まで引いて出ているとのこと。
水自体が湧き水なので通年止まることがないとのことだった。それでも今年はかなり水の出が細くなっているとのことだ。
この話から、小屋の立地のことなど話がどんどん発展していった。毎度のことながら、初めて聞く興味深いお話を色々と伺うことができた。

楽しさについ時間を忘れてしまうが、そろそろいきましょうかねとテムレスをはめると、大柿さんが「おっ、テムレスだな、ちょっと待ってて」と奥へと入って行った。「???」と待っていると、大柿さんの手にもテムレスが。しかも雪が入らないように風に飛ばされないように見事に改造されていた。
あまりの出来のよさに感動した。どのように改造したかを教えてもらったので真似をして改造したいと思った。

外に出ると、雪は弱まるどころかドカドカ降ってきて気温も一段と下がったようだ。
大柿さんに見送られながら山荘を後にする。
分岐に戻り本格に下降にかかる。
気温が低く雪質がいいので、シールを付けたままでもよく滑る。スキーど下手のモコモコさんでも楽しそうだ。

調子がよかったのは井戸溝先の傾斜が緩むところまで。
雪質がよくても傾斜がなくなって滑らなくなるので、ラッセルになると一気にペースが落ちる。モコモコさんと先頭を交代しながらいくが、だんだんきつくなってきて、いつもとは逆にモコモコさんに先導してもらうことになった。
モコモコさんがトレースをつけてくれるのだが、すぐに息が上がるし体は重いしで着いていくどころか追いつくこともできない。
山鳥山までの短い距離であるが、きつかった。

山鳥山までくれば再び滑るようになるが、モコモコさんから遅れがち。本当にいつもと逆だ。
なんとか旧ゲレンデトップまで出た。
ここまでくればなんとかなる。積雪が一層増したことで、前回よりも藪が埋まっていい感じだ。雪質がいいので前回同様のコースで楽しく降りることが出来た。
無事花月までたどり着き、玄関入ってすぐのホールでゆっくりパッキングさせてもらった。続いて吾妻小舎の高橋さんに吾妻小舎には行かずに下山した旨の連絡をしてからゆっくり温泉で温まった。

風雪の中出発 「命懸けて営業中」の慶應山荘へ寄り道
今回は冬道ルートで 慶應山荘もすっぽりと雪に覆われている
今回はモコモコさんに先行してもらうが着いていくのがやっと 雪質がいいのでスムーズに降りてこられた
スカイラインを少し歩いて 花月に到着 早く温泉で温まろう



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