八幡平・裏岩手連峰
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八幡平〜大深山荘〜大深岳〜八瀬森山荘〜(関東沢本流まで往復)〜小畚岳〜三ツ石小屋〜奥山道登山口〜網張温泉 |
〜沢旅から縦走に切り替え〜 |
2013年7月13日〜15日 |
例年この時期の上越国境や南東北は梅雨末期の集中豪雨に見舞われることが多いので、少し影響が小さい北東北の沢旅をしようと夜行バスの指定券販売当日に予約を完了させた。
ところが、今年は予想を大きく外れて例年より10日も早く関東は梅雨明け。直後から猛暑の連続。
梅雨前線はというと、なんと我々の目的地へと北上していた。
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アプローチ
東京駅八重洲口23:10−盛岡駅6:40(予定では6:30)/9:35−八幡平頂上(レストハウス)11:20
コースタイム
7月13日(雨後くもり)
八幡平頂上(レストハウス)11:41〜裏岩手連峰登山口12:01〜諸桧岳12:55〜剣岨森14:21〜大深山荘14:54
7月14日(雨のち曇り、夜は雨)
大深山荘10:36〜関東森分岐11:15〜関東森13:30〜八瀬森山荘13:57/14:19〜関東沢本流出合15:36/16:30〜八瀬森山荘17:20
7月15日(雨後晴れ昼頃雷雨)
八瀬森山荘5:18〜関東森分岐8:28〜小畚岳9:22〜三ツ石山10:32〜三ツ石小屋10:58/12:08〜奥山道路分岐12:36〜奥山道路登山口12:40〜ゲート13:16〜拾ってもらう13:50くらいだったと思う
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7月13日(雨後くもり)
コースタイム
八幡平頂上(レストハウス)11:41〜裏岩手連峰登山口12:01〜諸桧岳12:55〜剣岨森14:21〜大深山荘14:54
出発前に気象庁のアメダスを見ると、岩手秋田県境でかなりの大雨が降っているらしい。まずい・・・このままの降りだと増水で遡行が困難になってしまう。
予報では夜遅くには雨が止むと出ていたので、わずかな望みをかけて出発した。
夜行バス乗り場はさすがに三連休の前夜だけあって各地へと向かう人で大混雑していた。
我々が乗るバスは、ドリーム盛岡(らくちん)号。今日はなんと3号車まで出ているらしい。もともと乗り心地がいい路線であるが、さらに快適さがパワーアップされており、快適に寝られた。盛岡には東北道途中の通行止めにより10分遅れで到着。
窓際に座っていたモコモコさんによると、盛岡駅に着く前に見えた雫石川が堤防のかなり上の方まで増水しており、ミルクコーヒー色した濁流が物凄い勢いで流れていたそうだ。盛岡駅もまだ雨が降っていた。
我々と同じように登山目的で夜行バスに乗ってきた人が何人もいたが、どうしようか思案している様子だった。
ひとまず駅改札口へ向かい荷物を降ろすと、田沢湖線や花輪線が大雨の為遅れや運休といった案内がされていた。
これでは遡行困難どころか入渓すらできないだろうと判断し、本日の入渓は中止することにした。天気予報を見てみると、今日の午後には雨が止んで来るらしいので稜線から下降して上流部の遡行を楽しもうということにした。
まずは、朝食をとるため駅前の松屋へ向かった。
すると同じように夜行バスでアプローチした登山者(5名ほどだったと思う)が朝食を済ませており、やがてジャンボタクシーに乗ってどこかへと向かっていった。
我々は食事をしながら作戦会議。
今日はお昼頃まで雨が止まないらしいので、急がずに稜線の小屋へ入って泊まることにした。
どこの小屋にするかは、明日以降のことを考え大深山荘にした。
場所を変えて、さらにどこから登るかを相談した。松川温泉から登るのが一番早く着くが、なんだか標高差を稼ぐのが面倒になったのでバスに標高を稼いでもらい八幡平から入ることにした。
そうと決まれば、軽量化のためビールを持ってこなかったのだが今日はらくちんお気楽コースになったのでビールとつまみの買い出しをして、乗る予定の散策バスの乗車券(盛岡駅-八幡平頂上1200円也)を購入した。
バスの時間まで結構あるので、駅で人間観察をして暇をつぶすとやはり三連休で山に入ろうとしているらしい単独の男性が登山地図を熱心に見ている姿を発見した。
バス停へと移動すると、八幡平方面へ向かう人が結構並んでいた。
ところが、ほとんどの方が我々が乗る散策バスではなく、路線バスに乗るらしくゆったりと移動できた。
ちなみにこの散策バスは季節運行だが、事前にバス案内場で専用乗車券を買っておくと路線バスより若干お得で、八幡平頂上に一番早く着くことができる。また、盛岡駅を出発してすぐに高速道路に入るため乗り心地もいいのでモコモコさんともどもお気に入りのバス路線の一つだ。
懸念の雨であったが、八幡平に近づくにつれて空が明るくなってくる。
アスピーテライン入口を通った時にちらっと見えた電光掲示板には、アスピーテライン全面通行止めの表示がされていた。おそらく大雨のためだと思う。
幸い我々の乗るバスは、松川温泉に寄りそのまま樹海ラインを通っていくので問題なく時刻通りに到着した。
降りたところにはトイレとレストハウスが建っていた。
ここで靴を履き替えたりして準備をしていると、秋田県側からのバスも到着した。バスからは小屋泊まりの装備を持った登山者(男性3人)が降りてきた。この方々は我々の向かう方向へと歩きだした。この時間にここから向かうと言うことは恐らく大深山荘泊まりだろう。盛岡駅で泊まり装備を持って路線バスを待っていた人もきっと山荘泊まりだと思うので、我々を含めて最低7人にはなるなと予想を立てた。
そうこうしているうちに空にかかっていた雲が取れてきたり、ガスも晴れてきた。
雨具を着ることもなく出発できた。
少し車道を歩いて登山口へ移動した。登山口には先行した男性3人が食事をとっていたので挨拶をして我々が先行することになった。
登山道に入ってシャクナゲがあちらこちらに咲いているのに気が付いたが、連日の雨で花が傷んでいたのが残念だった。
登山口から良く見えた畚岳は寄らずに通過した。
登山道には新しい足跡が二人分ついていた。しばらく足跡は続いていたが、やがて登山道が先ほどまでの大雨により沢の源頭状態のように水が流れるようになって足跡は分からなくなった。
登山道に水が流れていると、土の部分のニュルニュルが流されるので沢靴の我々には逆に歩きやすい。
順調に諸桧岳に着いた。諸桧岳周辺はガスがかかっていたが逆にそれがいい雰囲気を醸し出しており、蒸し暑いが楽しい歩きとなった。
相変わらず水の流れる登山道を、周りの景色を楽しみながらのんびり行くと石沼に出た。
モコモコさんが、「動物が何もいない。鴨くらいはいるかと思った。」と声に出したところ、「失礼な、ちゃんといるわよ」と言わんばかりに水面から音を立てて鳥が飛び立った。
前諸桧まで以外に長く感じたが、ここを過ぎると剣岨森も近い。
前諸桧からの下りになると、ヤブを延々こいで行かないと近づくことが出来ない池を見ることができた。ここまでの風景はすっかり忘れていたが、この池のことはしっかりと覚えていた。
剣岨森直下の登りに入ると、斜面に残雪があるのを確認できた。剣岨森ではガスが晴れてくれ、今日の宿泊地である大深山荘を見ることができた。また、明日下る予定の北ノ又沢源頭部も良く見えて期待が膨らんだ。
すぐ傍に道路が通っているのが全く気にならないくらい静かだ。鳥さんの鳴き声を聞きながら、もうすぐ山荘だと思うと足取りも軽くなり、小さな池を過ぎればほんの数分で山荘だった。
早速中を覗いてみると、まだ誰もいなかったことに安堵した。
梯子の上り下りが面倒なので、一階の隅に陣取ることにして荷物を降ろした。
次は早速水汲みだ。ここの水場は、質・量だけでなく眺めも素晴らしいので、水筒は勿論のことタオルとカメラは必携だ。
ふと小屋の壁をみると、水場にあるはずのどっしり柄杓とそっくりなものがかかっていた。誰か同じものを持ち上げたのかな?とこのときは気に留めなかった。
水場への道はきれいに刈り払いされており、木道になれば水場はすぐだ。
相変わらず冷たくて美味しい水がドバドバという表現がふさわしい程大量に出ていた。ここで二人で「あっ」と声をあげてしまった。あのどっしり柄杓でなく、プラスチック製の柄杓に変わっていた。
やはり小屋にあったのは水場のだったのか。どっしり柄杓で水を飲んだりするのを結構楽しみにしてたので残念だった。
それでも豊富な水があると御機嫌だ。顔を洗ったりしているうちに、なんと晴れてきた。このときの眺めは最高だった。(間抜けだが、このときの風景を写真に撮り損ねた)
たっぷり水を汲んで山荘に戻った。天気が良くなってきたので、担いできたビールを無性に冷やしたくなり、もう一度ビールを冷やしに水場へ向かった。
山荘へ再び戻り、ビールが冷えるまで靴を脱いだりして着替えるとほっとした。
荷物整理をしたりとバタバタしていると、なにやら人が着いた気配が。てっきり登山口で会った方かと思ったら、なんとこの条件で沢(赤川)を詰めて登ってこられたご夫妻(Oさんご夫妻)だった。
挨拶をし、少しお話をすると「もしかして・・・」と我々のことをご存じの様子。どうして分かったのだろうと思ったら、なんと2009年のナルミズ沢でお会いした方だった。
記憶力のないモコモコさんはもとより、あのときは二人とも急を要していた(●●●を催していた)ため気もそぞろだったので、顔を拝見しても失礼ながら全く気が付かなかった。それでも山での再会ほどうれしいものはない。今晩はいい夜になりそうだ。Oさんご夫妻もやはり1階に泊まるように荷物を降ろしていた。
そろそろ乾杯しようかということになって、水場へとビールを取りに行った。もう一度行動用の服に着替えたりと少し面倒だが、今日は快適な小屋なので嫌な気持ちはおきなかった。
戻って今度こそ落ち着いたところで乾杯だ。
今朝買い出したつまみとビールを味わっていると、盛岡駅で見かけた女性2人組と登山口で出会った男性3人組が同時に到着した。
建て替えられた山荘は2階建になったので2組とも2階にあがることになり、依然として各組とも広々と過ごすことができた。
小屋全体が落ち着き、もう来ないだろうと思っていたところ外に人の気配。
単独の男性と、男性二人組が同時に到着したようだ。予想外のアスピーテライン通行止めにより余計な歩きを強いられたたため遅くなってしまったとのことだ。
皆それぞれ何らかの影響を受けてしまったようだ。
小屋内は総勢12名となって程良く埋まり、お陰でその晩は暖かく過ごすことができた。
7月14日(雨のち曇り、夜は雨)
コースタイム
大深山荘10:36〜関東森分岐11:15〜関東森13:30〜八瀬森山荘13:57/14:19〜関東沢本流出合15:36/16:30〜八瀬森山荘17:20
女性二人組は今日は田代平山荘に行くとかで我々が起きたときには既に出発した後だった。気合いが入っている。
さらに、Oさんご夫妻も既に出発した後だった。我々は一番最後に起床。
昨日の天気予報では雨マークはなかったが、外を見るとしっかりと雨が降っていた。
北ノ又沢下降は最初からヤブ漕ぎでびしょ濡れになるのがわかっているので、早速中止とした。
同宿の皆さんも雨降りなので、ゆっくりの出発となった。
我々は特に目的地があるわけではないので、雨が止むまでこのまま停滞することにした。
皆さんが出発してしまうと一気に暇になった。
暇つぶしをかねて小屋内の清掃をした。
バケツとトイレ用ブラシがあればトイレ掃除を、せめて雑巾があればついでに拭き掃除をするところだが、どれもないので掃除終了。またもや暇になった。
小屋内のノートを読んだりしていると、ハエのうるささが気になった。
暇なので、ハエ退治の名目でハエを追いかけまわして遊んだ。
それも飽きたので、シュラフに包まって二度寝することにした。
モコモコさんは執念深くハエ退治に勤しんでいた。
どれくらい時間がたったか、外で足音がした。
しかし、一向に中に入ってこなかったのでモコモコさんが外に様子を見に出てみると全く姿が見えなかったそうだ。
モコモコさんによると、一心不乱に髪の毛を振り乱してハエを追いかけている丁度のタイミングで、足音の主が小屋内を覗きこんだので目が合ったらしい。すると、さっと隠れるようにしていなくなったとのこと。ハエを真剣に追いかけてたから、頭がおかしいのがいて暴れていると思われたのかなあ?とつぶやいていた。
天気は相変わらずで、時折サーッと雨が降ったりするので行動する気が一切起きない。
このまま暇なままかなあ、誰か来ないかなあと思っていると、願いかなったりで松川温泉から登ってきて三ツ石山を周って降りるというご夫婦がやってきた。
このご夫婦も泊まりでの縦走を予定していたが、悪天候の為泊りの山行から天気がよさそうな日を選んでの日帰り登山に変更したとのことだった。
とても雰囲気のいいご夫婦で、ゆっくりお話できるかなとわくわくしていたが、防寒対策を済ませるとすぐに出発するとかで、思わず「もう行ってしまうのですか?」と言ってしまった。
ご夫婦が立ち去って再び暇をもてあまし気味に過ごし、時折外を見ると霧雨もほとんど止んできた状態になっていた。
パトロールの方が倒木の処理をするために小屋へ着いたのをきっかけに、我々も移動することにした。
行先は八瀬森山荘だ。三ツ石山荘にするか迷ったが、せっかく沢装備で来たので、少しは沢に降りようと思ったからだ。
もっと早く決断すれば良かったと一瞬頭をよぎったが、出発する頃には雨具不要となったので結果としてこれまで待機して正解だったようだ。
出発直前に単独の男性が休憩に立ち寄り、その方とほぼ同時に出発した。
大深岳への登りは掘れた溝状の道だが、ある程度登ると歩きやすい道となった。
関東森分岐から三ツ石山方面へとの登山道を分けると、一気にヤブが被るようになった。
昨年歩いた時はここまで笹藪が伸びてなかったような気がした。先ほどまでの雨で水滴がついたササを掻き分けていくので、すっかり濡れてしまった。
それはそれでかまわないのだが、一番困ったのが登山道がニュルニュルしていることだ。ぐちゃぐちゃのぬかるみや水たまりは一向に平気なのだが、ニュルニュルはフエルト靴には油を撒かれた又はスケートリンク状態となり、ことごとく滑る。まるで交代で掛け声をかけているかのように、おわっ、うわっとつるつる滑る中、転ばないように歩くのは思ったよりも大変だった。
そんな中でも湿原が出てくるようになると楽しい。湿原を抜けるとコバイケイソウロードとなったりしてとてもきれいだ。また、蜜を集めに来ているハチさんが我々が通るとあわててブンブンブンと飛び立っていくのがかわいい。
東ノ又沢源頭湿原に着いたときに、このまま東ノ又沢を下降して三俣あたりで泊まろうかという案も出たが、Oさんご夫妻の邪魔になるだろうからやめて、最初の案通り八瀬森山荘へと向かった。
いくつもきれいな湿原を横切って、やがて森の中を歩くようになると見覚えのある倒木地帯に着いた。ここは昨年関東沢を遡行したときに出てきたところだ。山荘まであと少し頑張ろう。
関東森を過ぎて1168mピークの小さなプレートを見ると珍しく大きく下るようになったが、ここはあまりニュルニュルでなく助かった。下りきれば八瀬山荘手前の湿原だ。シャクナゲというのは湿原でも咲くのかい?とおしゃべりをしながら湿原を通過すればすぐに山荘だ。
山荘には誰もいなかった。天気が良くないせいか薄暗い。
ここに来る途中、そのまま下降してせめて沢の中で泊まろうかという案も出たが、やはり小屋の魅力には勝てない。
荷物を置いて、関東沢本流出合まで遊びに行くことにした。
まだシーズン前なのか、湿原には踏み跡ができていなかった。
できるだけ湿原の端を歩くようにして沢に下りた。
下降し初めの最初は、ヤブがうるさい。
やがてヤブが被ることがなくなってきたが、水量が多い気がする。さすがに源流が湿原と森では水が引くのが遅い。水量が多いので思ったよりも下降に時間がかかった。
関東沢本流も増水しており、天候が不安定な中遡行するのは気が引ける。
また、泊場の候補としていた所も薪に乏しく寝心地もよさそうではないので、今晩雨の予報がでていることを考えると小屋泊まりにして正解なようだ。
のんびりと遊んで小屋へと戻った。やはり誰も居らず、結局貸し切りとなった。
着替えを済ませて落ち着いた頃には、また雨が降ってきた。小屋で良かった。
この小屋は壁板が一枚で隙間が開いているところもあり、連日の雨のせいか湿気が溜まっているが、雨風をしのげて乾いた平らな床で寝られるほど幸せなことはない。
山人の好きな毛布がありうれしい。布団もあり快適だが、連日の雨の影響でかなり湿っていた。
焚き火ができなかったので、燃料に不安があったがなんとか明日の朝の分まで持ちそうだ。
いよいよ明日は下山日。最初はそのまま松川温泉に降りるつもりだったが、最近きちんと歩いていないのと久しぶりに三ツ石山経由で降りようということになった。
7月15日(雨後晴れ昼頃雷雨)
コースタイム
八瀬森山荘5:18〜関東森分岐8:28〜小畚岳9:22〜三ツ石山10:32〜三ツ石小屋10:58/12:09〜奥山道路分岐12:36〜奥山道路登山口12:40〜ゲート13:16〜拾ってもらう13:50くらいだったと思う
夜中、何の虫かわからないが顔に乗っかられたりしてあまり寝られなかった。モコモコさんも同様で少しおしゃべりをした。暗闇でなんの虫だったかは分からないが知らぬが仏だ。(カマドウマ 別名?便所コオロギでないことを祈る)
外は結構な雨が降っている様子だ。
雨漏りがしているような音がするので、小屋内を見て回ったが何も問題がなかった。外の水滴の落ちる音が壁板が薄いので中で落ちているように聞こえたのだろう。
いつの間にか再び寝就いており、気が付くと予定起床時間を30分過ぎていた。
あわてて起きて朝食をとった。
支度をしている間にも外はザーザーと強い雨が降っている音がしている。本当に小屋泊まりにしてよかったと思った。
予定よりも遅れて出発となったが、その頃には雨が止んでいてくれていた。寝坊したことが逆にいいことになった珍しい瞬間だ。さらにこの寝坊が後でもいい効果をもたらした。クマ鈴を持ってくるのを忘れたので、クマ対策を兼ねてラジオを聞きながら行くことにした。
小屋をでてすぐのところにある湿原に出るとなんと青空がのぞいていた。
ニュルニュルは相変わらずだが、昨日と違い登りベースになるので滑る回数が大幅に減った。
早朝と雨上がりのためか蚊が多く、しばらく蚊退治をしながら歩いた。
昨日歩いてきたばかりの所を通るのでこれといって目新しいものはないが、視界と天気が昨日よりいいので湿原は昨日よりきれいに見えた。どの湿原だったかは憶えていないが、登山道近くの地塘にいるオタマジャクシ達が盛んに浮上と潜水を繰り返していたのを見られて楽しかった
立ち止まると蚊にたかられるのであまり休憩をとらずに歩いたところ、ニュルニュルで歩きにくい状態でも順調に進めた。
ラジオでは、山形県と宮城県を中心に大雨が降っており土砂災害に注意するようさかんに呼び掛けていた。こちらは晴れ間も出ているくらいなのに・・・。
笹藪がうるさくなってくるとまもなく関東森分岐だ。大深岳を中心として岩手県側はまだ雲に覆われていた。進むにつれて頭上の空もだんだんと曇りになってきたが、登りになっているので暑くなくて具合が良い。
今日も笹にびっしりと着いた水滴により、ビショビショになりながらガサガサ音を立てていくと分岐の指導標が見えた。
分岐に着いて休憩をとろうとザックを降ろし、ついでに半そでシャツになった途端蚊に刺された。
良く見てみると、もともと蚊がいるところに、これまでの樹林やヤブの中から蚊を連れてきてしまったのか二人とも蚊に包囲されていた。
これはたまらんということで休憩は取りやめて先に進むことにした。
ここから先を歩くのも久しぶりだ。大深岳〜三ツ石山の間はのびやかな稜線歩きで気持ちが良いが、鞍部へのもったいないくらいの下降と小畚岳への登り返しが妙に急だった憶えがあった。
記憶通り鞍部までもったいないくらいどんどん下っていくが、道が整備されているためか思ったよりも短い下りですんだ気がした。
小畚岳と大深岳の鞍部ではまだ豊富な残雪があり、丁度いい具合に水が取れる場所があった。前回通った時は、残雪期又は晩夏〜秋だったので水が全くとれる場所ではなかったのでうれしい誤算だった。
早速顔を洗い、冷たく美味しい水を堪能した。
鞍部からの登り返しは、最初小畚岳手前の台地状まで緩やかな登りとなる。このときはまだ少しガスがかかっていたがその分涼しくて助かった。
台地に乗ると一気に視界が開けた。大深岳と小畚岳山頂あたりはガスの中だが、我々がいる標高辺りのガスはとれていたので景色を楽しみながら歩けた。
この辺りの植生は広葉樹中心の低灌木帯でその中に針葉樹がポツポツ生えている感じだ。そんな中、ギャアギャアと比較的聞きなれた鳴き声が聞こえた。山モコのお気に入りのホシガラスさんだ。姿を探したが見つけることはできなかった。一昨日見ることができたことでよしとした。
いよいよ小畚岳への登りへの取り付きだ。それまでガスで上が見えなかったのが、ガスが一気に晴れてバッチリ見えるようになった。
標高差は大したことがないのだが、これまでのほほんと歩いてきた身には堪える登りだ。精神的には飯豊の本山から降りてきて草履塚を登り返してるように感じた。
幸い足場や登山道自体がきちんとしており、息を整えながらいくとひょいっと突然山頂に着いた。
岩手県側もきれいに晴れて眺めが良く、ヤブに覆われていない小畚岳の山頂には蚊がいないのでゆっくり休憩することにした。
山頂は貸し切りで、これまで歩いてきた尾根や先に見える三ツ石山への稜線、辿ったことのある沢筋を探したりと、周りの景色を楽しんだりして30分程居座ってしまった。このときが三連休中一番いい天気だった。
三ツ石山へ向けてまずは1448.1mの小ピークを通過。この頃になると三ツ石山に再びガスがかかるようになった。振り返ると大深岳方面には入道雲がもくもくと立ち始めていた
雨が降る気配はないので、涼しく虫のいない稜線を気持ちよく歩くと三ツ沼へ到着。この辺りで逆走する方と何人かすれ違った。
三ツ沼周辺は木道が整備されており歩きやすかった。八瀬森への湿原を見てしまうと湿原とはいえないが、池の回りは湿地になっていて綺麗な所だった。
三ツ石山への登りは一貫して緩やかだ。最初は針葉樹林帯の中を登り、すぐに森林限界上の植生となる。風がでてきて涼しいと言いたいところだが、なんだか風の吹き方があやしい。
先ほどまでの晴れ間はどこへいったのだというほどの変わり様だ。先ほどまではっきり見えていた三ツ石山の石がガスの中となり、空も暗くなってきた。強い風に飛ばされてきたのか大粒の雨粒らしきものが時折落ちてきた。
天気があやしいので、山頂には寄らずそのまま山荘へと降りることにした。
山荘までの道は人気ルートの為か溝状に掘れて石がごろごろしているが、沢靴の我々にとっては逆に滑らなくてありがたい。
しばらくの間これまでの緩やかな道と打って変って急な下りが続いた。
傾斜が緩んで山荘までもう少しというところでとうとう土砂降りの雨となってしまった。
あわてて雨具の上を着込んだ。
土砂降りに加え雷まで鳴りだした。
ひえーっと言いながら歩くことわずかで小屋(三ツ石山荘)が見えた。なんとあと10分で小屋というところで土砂降りにつかまってしまったのだ。
即小屋の軒下へ駆けこんでザックを降ろした。休憩に必要なものを持って小屋内へと入ると、中は雨宿りする人で大賑わいだった。
トイレ(2つあり、大深山荘同様とても綺麗な状態)を済ませたりしてから小屋の内部をさらに見てみると、親切な方がこちら座れますよと声を掛けてくれた。
丁度二人座れる分の空間を開けてもらい、我々も無事ゆっくりしながら雨宿りすることができた。
落ち着いてから改めて小屋内を見回すと、2階建てでとてもきれいだ。1階の土間には立派なストーブが設置されていた。所謂時計型ストーブではなく耐久性のあるものだ。
隣に座っていたこの辺りを良く知る地元の方の話によると、地元の山岳会が冬シーズンのために秋になると薪を背負いあげているとのことだ。
とてもきれいな小屋で次回は是非泊まりたいと思った。建て替え前の小屋に泊まったことがあるが、快適だったもののとにかく古かったので夜中にネズミが運動会を始めて、挙句の果てにモコモコさんの行動食が齧られ、山人はコップに●ん●をされたことがあったので、新しくて管理が行きとどいた小屋は素晴らしいと思った。
時折外の様子を伺うが、相変わらずの土砂降り。雷も引き続き鳴っている。
松川温泉への道はドロドロはともかくニュルニュルがひどくなっていそうで先が思いやられる。そんな折、別の地元の方が、松川温泉へ降りるという方へ“あっちは滑って大変だよ、奥山道へ出るのが一番安全”と忠告していた。
これに聞き耳を立てたモコモコさんが、松川温泉でなく奥山道へ降りようと騒ぎ始めた。
予定通りに下りた方がいいと返したが、その間にモコモコさんはお隣の方に奥山道への状態(ニュルニュルしている所はないか)や分岐ははっきりしているか、網張温泉からの路線バスについて等を聞きだして所要時間を割り出していた(モコモコさんのうるさい質問に快く答えてくださりありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます)。
やがてモコモコさんに洗脳された状態で、奥山道経由で網張温泉へ降りることに決まった。
今度は早く出発しよう攻撃だ。そのたびに、もう少し待つ、雨が止んでからと返すが、そこまで待つとバスに間に合わないと散々言われる。
出発時間を巡る攻防を繰り広げていると、3人組の方が出発の準備を始めた。これに乗じて我々も出発することにした。
どうせ全身びしょ濡れで下半身の濡れ対策不要でほとんど準備がないので、我々の方が先に出発することになった。
最初は滝の上温泉方面への指導標に従って進む。
出発してすぐに水場があった。渇水期には涸れることがあるらしいが、しばらくはその心配は無用なほど豊富に水が出ていた。
すぐにわずかな登りとなった。泥の登山道には水が流れていた。泥の登山道によくある足型に掘れた所には、ありがたいことに木の切り株が設置されており滑る心配無用となっていた。傾斜も緩やかで歩きやすい。
今朝寝坊しなかったら、小屋を通過してしばらく経ってから雨が降り始めたはずだから、土砂降りの中転びながら松川温泉に降りてたんだろうな、と話しながら進むと傾斜が強くなった。この下りでは石が露出していたので滑ることなく降りられた。
少し急な下りを済ませると、りっぱな分かりやすい指導標が現れた。
指導標に従い分岐を左に入ると、5分も歩かないうちに道路に出た。
道路なので吹きさらしで大変かなと少し心配だったが、雨も小降りになり明るくなってきたのでもう少しで止みそうだ。
これまでの土砂降りで道路には水が流れており、まるでフリクション抜群の滑を歩いているようだ。
登山口から10分程下った所に水場があったが、今は余りにも雨水の流れが多く飲む気になれない程の状態になっていた。
道路はいくつかターンをしながら大きく高度を下げていくが、途中跨ぐ沢はえらく増水していた。
ゲートに近づくにつれてガスがとれて、県境の山並が見えるようになった。
ゲート手前で法面からいい具合に水がでていたので、ドロドロのスパッツを洗い流すことが出来た。
ゲートに着いたときはうれしいことに雨がやんだ。
ゲートには登山届入が設置されており、車も10台以上駐車できそうだった。
ゲートからはこれといった目標がないため、現在地がつかみにくい。ようやく沢がでてきて現在地を把握できた。このペースで行けば予定より早く着いて、ゆっくり温泉に浸かっても16:15のバスに余裕で間に合う目途が立った。
テクテク歩いていると、後方から車がやってきてそばに停まった。なんと三ツ石山荘で我々が出発するときに同じように出発準備をしていた方達で、網張温泉まで乗せて行ってくれるとのことだった。全身びしょびしょ、ザックも同様の状態であるにもかかわらず拾ってくださりありがとうございました。
そこから網張温泉(※)までは、まだ結構距離があったので助かりました。お陰さまで、荷物整理をしてゆっくり温泉につかっても1本前の15:15発のバスに乗ることができ、新幹線に乗る前にゆっくりと食事をすることができました。ありがとうございました。
いつも通り大風呂敷を広げてみたものの、一日の行動時間もさほど長くないのんびり縦走となってしまったが、結果として久しぶりに裏岩手連峰が楽しめていい山旅になった。また、連休中はあらゆる地域で大雨の警報が出された中でも、比較的天候に恵まれたと思う。実際に雨具(フードをかぶらなければいけない状態で)が必要となったのは、最終日の三ツ石山荘手前からゲートまでだった。
このレポ作成中の今も、もし南東北や上信越方面にしていたら、縦走に切り替えなかったら、松川温泉から登っていたら、大深山荘から北ノ又沢へ下っていたら、沢へ泊まっていたら、寝坊しなかったら・・・・といくつもの分岐点があったにもかかわらず、正解といえる所へ辿りつけたのは運がよかったと思った。
※
網張温泉について
以前入らせてもらった温泉は休暇村の本館のお風呂だった。今回は少し先にある温泉館での入浴。入浴時間(本館は15:00までらしい)や休憩所のことを考えると温泉館の方がいいかもしれない。また、盛岡駅行きのバスは以前15:15が最終だったが、小屋で伺った話では、岩手山に登るとどうしても最終バスの時刻が早すぎるということで一本後(16:15発)のバスが出るようになったらしい。
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八幡平頂上バス停 売店とトイレがある |
登山口から畚岳が良く見えた |
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八幡平〜大深山荘間は池や沼の観賞ルートだ |
ガスが神秘的な雰囲気に演出していた |
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水鳥が飛び立った石沼 |
石沼のすぐ先にある名もなき池 |
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前諸桧からの下りで見える変形した沼 |
剣岨森へ 刈り払いされていて歩きやすい |
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剣岨森間になると色々見えるようになった |
剣岨森を通過して後ろを振り返る |
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大深山荘手前の沼 |
今夜の宿大深山荘 |
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水場への道端に咲いていた |
水場は湿原の中にある |
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冷たく美味しい水が豊富に出ている |
関東森分岐から15分ほど進むと湿原がでてくる |
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湿原の出入り口付近はコバイケイソウロード |
八瀬森山荘手前の湿原で健気に咲くシャクナゲ |
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名もなき支流だがきれいな沢だ |
最近大きな増水があったようだ |
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湿原に戻ってきた |
雨風から守ってくれた小屋に感謝 |
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湿原の植物 水滴が光っていた |
天気が良いだけでうれしくなる |
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昨日はガスで見えなかった東ノ又沢源頭部の湿原 |
東ノ又沢源頭部の湿原は広々としている |
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コバイケイソウが見事 |
小畚岳と大深岳の鞍部の雪渓 水が取れた |
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先程歩いた県境の稜線 |
大深岳にかかるガスもとれてきた |
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これから向かう三ツ石山方面 |
なだらかでのびやかな尾根 三ツ沼が見えた |
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静かな三ツ沼 |
三ツ石山も目前だ |
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山頂に連なる岩は横を通過 |
雲行きがあやしいので山頂には寄らずに通過 |
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小屋まであと少しの所で雷雨につかまった |
きれいな小屋だ |
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小屋前の池も満水だ |
小屋の水場 |
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分岐にはしっかりとした指導標あり |
予想をはるかに超えた立派な道路だった |
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登山口近くの水場 |
乳頭山から秋田駒ケ岳へと続く県境尾根 |
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ゲート |
盛岡駅で発見 |
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