山域 |
南アルプス 白峰南嶺 |
コース |
雨畑〜布引山〜笊ヶ岳〜伝付峠〜笹山〜奈良田 |
〜大満足の縦走〜 |
日程 |
2014年11月2日〜11月5日 |
今年は飯豊に行っていないので、無積雪期の〆の縦走として全山縦走を企んでいた。当初は天気予報でもばっちり晴れマークが続いていた。
ところが、見るたびに悪天が現れるようになり、とうとう雨が降らない日はほとんどなくなってしまった。
ここ最近、こういった状況が続いているので、行き先をいくつか検討しておいた結果、なんとか東日本しかも関東周辺の太平洋側ならば、なんとかなりそうだ。
残念ながら、初日としていた11月1日は全国的に天気が良くないらしく、行動時間が2〜3時間しかとれないのに初っ端から装備をぬらしたくないのでアプローチにとどめることにした。
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データ |
アプローチ
11月1日;下部温泉駅までの移動のみ
11月2日;下部温泉7:21-大島7:50/7:55-(早川乗り合いタクシー(事前に、角瀬タクシー;0556-45-2062に要予約)-雨畑ヴィラ(バス停は馬場となっていた)8:10
コースタイム
11月2日(くもりのち晴れ夕方から雨)
雨畑ヴィラ8:21〜老平ゲート8:32〜林道終点9:09〜広河原10:30/10:57〜山の神11:55〜桧横手山15:03〜標高2300m付近(幕営地@)16:15
11月3日(晴れ)
幕営地@6:05〜布引山6:59〜笊ヶ岳8:31/9:03〜水場入口10:14〜生木割山11:55〜天上小屋山13:07〜林道14:59〜伝付峠15:34〜水場(幕営地A)16:30
11月4日(晴れ)
幕営地A5:57〜伝付峠6:10〜乗越6:52〜広場7:58〜奈良田越9:00〜白剥山10:03〜笹山南峰13:12/13:30〜標高1605m水場入口(幕営地B)16:00/水汲みへ;水場分岐16:07〜水場16:18〜分岐16:39
11月5日(くもりときどき晴れ)
幕営地B6:26〜送水管施設上8:04〜奈良田8:50
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11月2日(晴れ)
コースタイム; 雨畑ヴィラ8:21〜老平ゲート8:32〜林道終点9:09〜広河原10:30/10:57〜山の神11:55〜桧横手山15:03〜標高2300m付近(幕営地@)16:15
前日は、悪天候のため下部温泉駅までのアプローチとし、駅寝する予定だったが、今年の大きな縦走もこれで最後と言うことで思い切って宿に泊まったので体調もいい。
奈良田行のバスを駅で待った。駅には昨日もいた猫さんがまだベンチで丸まっていた。下部温泉には最近捨て猫が増えて問題になっているそうだ。
駅にいた猫も、最初猫駅長さんかと思ったが、飼い猫ではないとのこと。人懐こいので、元飼い猫だったのだろうとのことだ。
なんだか元気がないのが気になっていたのだが、良く見ると首に怪我をしていた。早く治るといいな。
ほぼ定刻にバスが到着した。
バスは小型のマイクロバスで大荷物で入るのは大変と思ったら、運転手さんが「荷物後ろに乗せるから待ってて」と後ろの扉を開けると、荷物置き場となっていて大荷物を気にすることなく乗りこむことができた。
乗合タクシーの乗り場までは思ったよりも近かった。
バスを降りると、「タクシー予約してある?いつもならここで待機しているんだけどな。もし来なかったら角瀬(すみせ)タクシーに電話したほうがいい」と運転手さんが我々の今後(乗り換え)を心配して、わざわざタクシーがくるまで待っていてくれた。
間もなくタクシーが到着し一安心。
予約した通り、雨畑ヴィラ前の「馬場(ばんば)」まで乗せてもらう。
結構距離があり、自家用車で来たとしても同じ所までしか入れないだろうというところまで乗せてもらえて料金は一人当たりたったの200円。
飯豊の西会津町にも言えるが、安くてとてもありがたいものの、赤字がひどくて廃止となると非常に困るので、町外者はもっと料金が高くてもいいので維持していってもらいたいと思う。
老平入口は、迷いようがないほどりっぱな標識があった。
体操をして出発。
老平は、狭い斜面にへばりつくような場所で車のすれ違いにも苦労しそうな狭い道であるが、以前は結構な集落だったようで郵便局まである。しかし、現在は空き家が目立つような感じだ。林業で栄えたのだろうか?
10分ほどでゲートに到着した。登山届BOXがあった。ゲート近くに小さな駐車場があったが、集落の方々が停める分しか広さはなさそうだ。自家用車で笊ヶ岳に登りに来た人は、どこに駐車するのだろう?
ゲートには、「熊に注意」のほかこの辺りの固有種であるシジミチョウの生息地で、卵等を採取しないようにとの注意書きがあった。
また、蜂を飼っているらしく、養蜂箱があった。
良く手入れされた水筒いらずの林道をてくてく歩いていくと、小さな隧道があったりと結構楽しい道だ。林道が分岐するような場所になり、右に上って行く方の林道へ入ると、すぐに林道終点に着いた。思ったよりも早く着いた。林道終点にも養蜂箱があった。
終点からは登山道歩きだ。
登り気味のトラバース道から、柿がたくさん落ちている立派な石積みのジグザク登りになると突然家が出現した。登山地図では廃屋となっているが、廃屋というよりは今でもきちんと管理しているようなしっかりとした空き家だった。
ここを過ぎると、登山道はほぼ水平のトラバース道に戻った。
小さな沢を整備された橋で渡ると、岩を穿って作ったような道になった。
しばらく進むと岳沢だ。吊橋で渡るようになっており、一人ずつ渡った。良く揺れる吊橋だった。しっかりしているのだが、手すりがゴム管でブヨンブヨンしているので、頼りにならない感触だった。
岳沢から先は大きく尾根を回り込んでいくことになる。岸壁の下を通ったり、以前は結構怖かったであろう場所にしっかりとした橋が架けられていたり、岩の横を通るときに、上から落ちてくる水で濡れてひゃあと声をあげた先にビニール傘が置いてあったりとなかなか楽しい道だ。
しかし、歩いても歩いてもこの先、渡渉することになる奥沢谷の流れはかなり下の方で、本当に渡渉出来るようになるのか疑問だった。
尾根の先端まで辿りついたところで、奥沢谷は激変した。尾根の先端でちょうど二俣になっているのだが、両俣とも滝を掛けて急激に高度を上げていた。
少しずつ高度を上げていく登山道の隣でどんどん高度を上げてくる沢は、いつの間にか登山道とほぼ変わらない高度まで登ってきていた。
しばらく沢の水流を見ながら上流方面へと進むと、いよいよ渡渉点となる広河原だ。
渡渉点では、対岸に男女3人パーティがこちらへ渡る準備をしているところだった。
靴を履いたまま渡れないが見渡したが、モコモコさんが「靴脱いで渡った方が早い」と言うとあっという間に裸足になって渡渉を始めてしまった。
モコモコさんが切り込み隊長になったかのように対岸からも次々と渡渉を始め、それにつられるかのように自分も裸足になって渡渉をした。
やはりこの時期の水は冷たいが、つらいほどではなく、予想よりも水深は浅かった。昨日の雨で増水しているのではないか心配していたので一安心。
快適な道もここまで。
ここからは水を担いでいかなければならない。これまで標高差約450m稼いでいるとはいえ、あと最低でも1400mは登っておかないと後の行程がこなせなくなってしまう。のんびりしていきたいが、水を汲んで腹ごしらえをして先を急ぐ。
渡渉した先には、快適そうな幕営適地があった。
いきなりの急登だ。
直登するのではなく、こまめに切り返して登っていくように道が付けられているので、飯豊朝日のような脹脛(ふくらはぎ)に喧嘩売っているのか!という状態ではないので、ゆっくり登って行けば辛くはない。それでも急なのは変わりないので、モコモコさんは汗だくになっていた。
順調に山の神に到着。
祠があったので、登山の安全を祈願して、行動食を摂った。
登りやすかった道もここまでで、今度は尾根に忠実に登って行くようになった。
フウフウ言いながら登って行くと、山の神までの暗い感じから、葉が落ちた広葉樹林帯になったので明るくなってきたのと同時に、足元の落ち葉も乾いてきて落ちたばかりの色とりどりの葉が美しく、足元しか見る余裕がなかった状態でも目の保養になった。
尾根直登の歩きにも慣れてくると、周りを見る余裕が出てきた。
両脇には素晴しい尾根と紅葉が広がっているらしいが、天気の回復が遅れているのでぱっとせずあまり見えなかったのが残念だ。
あの尾根は・・・と場所を特定しながら登って行くと間もなく、ワイヤやらウインチやらの残骸が現れた。
この残骸はしばらく続き、登っているこの場所は、はっきりした尾根で間違いようがないがいい目印になった。
標高1600m辺りに、地図では目印地点として「4本ヒノキの肩」と記載されている。勝手に4本の大きな檜に囲まれた小さな広場を想像していたが、実際はどこがその地点か分からず通過してしまった。後日写真で確認し、標高を見てどうやら4本ヒノキの肩だったらしいと勝手に決めた。
順調に高度を稼いでいたが、冷たい風が吹くようになってきたので、一枚羽織ると更に雨まで降ってきたので雨具を上下着ていくことにした。
パラパラで済むかと思ったが、結構しっかりとした降りになってしまった。
雨自体は間もなく止んだが、今度は濃いガスと強めの風のために雨のように水滴がバラバラ落ちてくるようになった。
そんな中、倒木の多い苔むした森状の尾根をひたすら登るとやっと檜横手山に着いた。これといった標柱や標識はなかったが、だれかが木に山頂名を書いていてくれたので特定できた。
山頂にはテント一張り分の平らな場所があり、モコモコさんは泊まりたがったが先へ進むように促した。
山頂の先にも、何箇所が幕営適地があり、泊まりたいとモコモコさんは更に目で訴えてくるが全て却下して行けるところまで登ることにした。
これまでの急登から解放される傾斜の緩い尾根道をわずかに歩くと再び急な登りとなり、ひたすら登って行く。
相変わらず、冷たい風が吹いて、ガスが水滴となってボタボタ落ちてくる中吐く息も白くなってきた。
天気が悪く針葉樹林体なのでうす暗くなってきた。標高2300m辺りになったところで、とうとうモコモコさんから「どこまで行くの?」と不満の声が出た。
天気が良くてもう少し日が長ければ、快適な幕営地がある布引山まで頑張る所だが、冷たい強風と濃いガスで暗い中そこまで登る気には流石になれない。ここまで登っておけば明日はかなり楽になるので、泊まれる場所を探そうということになった。
幸い、標高2300m付近は、檜横手山から布引山の間の急登が続く中若干傾斜が緩む所で、尾根が合流するため幅も多少ある。斜めであるが、2〜3人用テントをなんとか張れる場所を見つけることができた。
気になる強風もうまい具合に避けることができて、実際にテントに入ると斜めであるが苔が柔らかく意外に居心地がいい場所だった。
明日は伝付峠を越えて出来るだけ先に進みたい。早めに休んで明日の長丁場に備えた。
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下部温泉駅では猫さんがいた(人懐こくて連れて帰りたくなる) |
翌朝も猫さんはいた |
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バスで大島バス停まで行き乗合タクシーに乗り換え |
乗合タクシーでヴィラ雨畑前のバス停 馬場(「ばんば」と読む)へ |
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案内がはっきりしていて迷わない |
小さな集落だが郵便局があって便利だ |
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雨畑ダム |
老平のゲート 登山届あり |
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小さな隧道 |
林道終点 |
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廃屋 |
タケ沢の吊橋 良く揺れた |
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良く整備されている |
上部から落ちてくる水で結構濡れた |
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沢が急激に高度を上げてきた |
沢沿いを歩く |
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靴を脱いで渡渉した |
右岸の幕営適地 |
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急だが登りやすい |
山の神 |
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なんだか、まだぱっとしない天気 |
ワイヤなどの残骸 |
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尾根の直登が続く |
4本ヒノキの肩か? |
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倒木に苔がむしている |
檜横手山 |
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山頂近くの幕営適地 |
標高2300m付近でなんとかテントを張った |
11月3日(晴れ)
コースタイム;幕営地@6:05〜布引山6:59〜笊ヶ岳8:31/9:03〜水場入口10:14〜生木割山11:55〜天上小屋山13:07〜林道14:59〜伝付峠15:34〜水場(幕営地A)16:30
風は一晩中吹いていたが、幕営地はちょうど風が当たらずに過ごすことができた。
時折風で水滴が落ちてくるのか、雨なのか分からないがパラパラと音がしたが、冷えもなく快適に寝られた。
外に出ると、風は冷たいままでまだ少し強めだったので寒い。
水滴は落ちてこなかったが、風が冷たくて寒いので上下雨具を着て出発した。
出発してすぐに尾根は細くなり傾斜が急で幕営できる場所がなくなったので、昨日の所で行動を終了して正解だったようだ。10分ほど登るとちょっとした肩になったので、どうやら地図に小ピークと記載された手前で幕営したようだ。
相変わらずの樹林帯を登って行くと、尾根東側(北東の方向)の樹林には木のてっぺんから下まで地衣類(
こういうやつ)がたくさん付いているのに西側(南西の方向)の樹林には地衣類が全く付いていない不思議な場所があった。西側は、日当たりが良くて乾いた風が吹くが、東側は霧が出やすく、その水分で成長しているのかな?と推察しながら登るのは楽しかった。
先が明るくなったなと進むと、一気に西側の視界が開けた。ガレの下端に着いたようだ。
地図にガレの縁を歩くとして危険マークがついている所だ。実際に歩く場所は、しっかりしていてひやひやはしないが、間違って落ちると谷底まで止まらないので確かに危険と言えば危険だ。周りの景色に見とれて足を踏み外さないように注意して歩いた。
ここの植生も、尾根の西側は唐松で、東側は栂かシラビソかは分からないが唐松ではない針葉樹とはっきり線を引いたように違うのが面白かった。
道は、ずっとガレの縁を歩くのではなく、時折唐松の中につけられていた。霜が融けると滑って歩きにくくなりそうだが、早朝で霜が融ける気配もまだなく、さくさくと快適に登って行けた。
再び樹林帯の中の道になると間もなく布引山を示す標識が現れた。そこから少し歩くと気を付けていないと見逃してしまいそうな、所の沢越からくる細い道と合流し、わずかな距離で山頂だった。
布引山は展望がないので記念撮影だけして通過。
山頂から笊ヶ岳方面へ少し移動したところに幕営適地があり、テントが一張りあった。どうやら笊ヶ岳へ出かけているようだ。
我々も笊ヶ岳を目指して、樹林帯の道を鞍部まで下って行く。たまに倒木があったりするが、急なわけでもなく比較的歩きやすい道だった。途中、テントの主である男性2人とすれ違う。やはり笊ヶ岳まで行ってきたそうだ。
立派な小笊を見ていよいよ笊ヶ岳の登りにかかる。
山頂近くになると傾斜が急になり、木が被り気味になった。木の枝には昨日のガスが凍ったのか霜が付いていて少しうるさくなってくる。雨具を着ているのが幸いして気にせず登って行くとヒョコっと山頂に着いた。
山頂は思ったよりも小さかったが、展望が良く気持ちがいい所だ。地図を出して、これから行く先を見てみると気が遠くなりそうなほど遥か果てに見えた。
ここでモコモコさんがお湯が欲しいとあまりにも騒ぐため、ガスを出してお湯を沸かすことにしたので、かれこれ山頂で30分も過ごしてしまった。これが後々大きく影響することになった。
山頂からは、ハイマツが張り出している道へ入る。
椹島下降点へはもったいない程急下降となった。主稜線から外れているとは言えこういう所はやはり南アルプスだね。下降点直前で、珍しく樹林が途切れた場所があり、長い霜柱が立っていた。霜柱が踏まれているので、一瞬先行者がいるのかと思い良く見たら、動物さんの足跡だった。人の道を動物が利用して、その道をまた人が利用してとこの道はそうやって踏み跡が維持されているのかもしれないな。
椹島下降点へはコースタイム通り到着。椹島へは更に5時間かかるらしい。下りで5時間ということは登りはもっと時間が掛るわけで、地図を見るとあまり整備もされていないらしい。笊ヶ岳はどこから登っても大変な山だ。実際登り応えがあった。
椹島下降点からすぐは少し薮がうるさい区間があった。しばらく歩くと尾根が広がり幕営適地もあった。
幼木がややうるさくなって再び尾根が狭まると間もなく水場分岐だった。水場分岐には、木に赤字で「水」と書かれており、水場へはテープが木に巻かれて印が付けられていた。実際に水場まで行ったわけではないので、このテープが水場まで付いているかは不明。
お腹が空いたので行動食を頬張った。その間周りを見てみると、この辺りは地形図では読み取れないが、小さな舟窪地形の幕営適地があった。
ここから偃松尾山の肩までは地図でも急坂とあるところだ。
しばらく二重山稜のような尾根を登って行く。そこまで急ではないなと思っていたが、すぐにどんどん傾斜が増してきた。やがて尾根の形が顕著になってくると後方の辿ってきた尾根筋が見える様になった。
息を整えつつ登って行くに従い、暑くなってきたので服を少しずつ脱いでいくため時間がどんどん過ぎて行った。
薮がだんだんうるさくなってくると偃松尾山が視界に入ってきた。まだ先は長いなと覚悟を決めていると、地図通り山頂の肩をかすめて道が90度方向を変えた。
地図での見た目よりも山頂から離れたところで巻いている感じがした。
この辺りは世代交代が進んでいるのか、高い木は枯れており、その下に幼木がびっしりと生えていた。
幼木の薮のなかにある道を追っていくと、笊ヶ岳の山頂からも見えた大きなガレの上端に降り立った。
道はガレの上に着けられており、しっかりしていたので不安や恐怖はないが、上倉沢をのぞくと大きく一気にガレが降りていて迫力があった。さきほど休憩した所の水場となる沢だが、ガレが埋めており本当に水がとれるのか疑問になる渓相だった。
ガレを通過して振り返ると、逆走する場合、ガレの先の樹林帯に入る登山道が見えにくくてガレをそのまま横断して行ってしまいそうな感じに見えるので、ガレ上部の縁を歩くように確かに注意が必要だな。
生割木山まで珍しくアップダウンの小さい道だ。再び樹林帯となったところで今まで履いていた雨具の下も脱いだ。あれこれと衣服の調節をしていると、あっという間に時間が過ぎていき、アンテナのある生割木山に到着したときには予定より1時間も遅れていた。
今日はできれば奈良田越えせめて林道の広場までは行っていきたいところだが、計画通りに進めるか怪しくなってきた。
山頂近くに幕営適地があり、ゆっくり休んでいきたいところだが時間が惜しいのでそのまま通過した。
樹林のなかの道を緩やかに進み、倒木の為に踏み跡が少し乱れたりするようになった。尾根がはっきりしてからは更に踏み跡が薄くなってきたが、尾根に忠実に辿って行くと、とうとう踏み跡がなくなってしまった。下方を見ると広場のようになっていた。
地形図を見ると、このまま尾根の背に乗って行くと広場から分かれる尾根に引き込まれそうだ。尾根を少し外して西側の斜面へとトラバースするとはっきりとした踏み跡に当たった。どうやら正確なルートはもっと手前から尾根西側の斜面を下っていたようだ。
踏み跡に戻って一安心。広場のような場所は窪地と言ってもいい所で、幕営適地になりそうだが暗いので生木割山で泊まる方が快適そうだ。
広場のような窪地のようなとこまでは進まずに、尾根を乗り換える様に西側に寄って登り返しに入った。
登りはわずかで小さなピークを越えると下りになった。この辺りはシダが美しいとなっているが、残念ながらそのシダは既に枯れていた。
緩やかな樹林帯の中にあるはっきりして迷うことない踏み跡を辿って行く。地図に笊ヶ岳〜伝付峠間で最も美しい森とある通り、とてもきれいで一番楽しい区間だった。
昼前なのに天気予報通り気温がぐんと下がってきたころにようやく天上小屋山だ。ここはあまり展望がきかず、少し先に進んだ所の方が景色がよかった。
尾根伝いに降りていくとちょっとした広場になった。倒木が目立つここが地図にある倒木広場だろう。間違って進んでしまいそうな所には木に×印がかかれていた。
ここからは長ーい巻き道となる。
最初は楽チンだなーと言いながら時折見える荒川岳方面の景色を楽しんだりしたが、あまりにも長いので飽きてきた。
枝尾根を回り込んで主尾根方面へ道が向かうたびに右上(主尾根方向)を見るが、尾根はまだまだ上だ。やっとトラバースが終わったが、なんだか日差しがずいぶんと傾いてきたようだ。
地図には起伏の少ないなだらかな森の道とあり、林道終点まで余り距離がないようだがなんだか長く感じた。踏み跡が尾根をはずれ下りに入ると先行するモコモコさんがから「林道だ」の声。
想像ではもっと広々した所を思い描いていたので、幼木がびっちり生えている林道に下りても半信半疑だった。地図を見ると幼木がうるさい林道終点とあり、このまま下に降りても尾根から外れるだけなので、地形的にも間違いはないようだ。
幼木のなかにある踏み跡を辿ると、なぜか木が生えていない場所があったので休憩することにした。
ここで作戦会議。
予定よりもかなりの時間の遅れが出ている。
本来ならば、今頃は水汲みを終えて乗越を目指して歩いているはずだった。ところが実際は林道に出たばかり。これでは水を背負ってあと二日で広河内岳を越えて大門沢経由で最終のバスに間に合う時間に奈良田に降りられるかあやしくなってきた。
日が短いこともあり、ゆっくり景色も見たいので大幅に短縮して笹山から奈良田へ降りることにした。
そうとなれば、今日は伝付峠まで進んでおけばいいので、一気に気が楽になった。
幼木のうるささもなくなり、のんびり歩いていくと左(西)から林道が合わさると、林道が手入れされている状態になった。
更に電線やら電柱やらが見られるようになると、二軒小屋からの林道との合流地点だ。そこから5分程登り気味に歩くと水場入口となる新倉への下降点だった。
時間は既に15:30過ぎ。
水を汲んで行くと、行動できる時間はあとせいぜい1時間程度だ。ここまでなんでこんなに時間が掛ったのか疑問だが、とにかく水だ。
サブザックを持ってこなかったので、モコモコさんのザックを背負って水汲みに行くことにした。
水場まで半分降りたところで、水筒を一つ忘れたことに気が付いた。モコモコさんにとりに行ってもらい先に水場へと下りた。入口には水場15分とあったので水場まで15分かかると思っていたが、実際は往復15分という意味だったようで、すぐに水場に着いた。水場は林道から下りて最初にある鉄パイプからしっかりと出ていた。沢音がするのでわずかに先へと進むと、小沢がありそちらの方が気に入ったので、小沢で水を汲んだ。水量豊富なので、モコモコさんが水場に来る前に水汲みが終わってしまった。
水汲みが終わって最初の水場へ戻り、落ち着いて周りを見ると、水場のそばがとても快適そうな幕営適地となっていた。
汲んだ水を担いで少し登り返したところでモコモコさんがようやく到着した。
水場そばの幕営適地に泊まることを提案すると、なんだか浮かない様子。とにかく水場まで行って見てもらう。翌日また荷物を背負って登ることを考えると戻って先へ進みたいことを言っていたが、水の使用に制限を掛けなくてもいい誘惑に負けて、水場のそばに泊まることにした。
汲んだ水を置いて、荷物を取りに一度林道まで戻り、荷物を詰めなければいけないモコモコさんに先行して水場へと再び下降した。
テントを張り終わったところでモコモコさんも到着。
張綱を固定した後で風向きを考慮していなかったことに気が付いて、向きを変えて張直したりしていたらすっかり日が暮れてしまった。
たき火跡があったので、その場所をかりてたき火でもしようかと最初話していたが、冷たい風が吹いていて外に出る気もなくなったのでおとなしくテントにもぐりこんだ。
昨日よりずっと標高が低いが、気温がぐんと下がったので昨日以上に冷え込んだ。
林道に着いた時点で、「今日は伝付峠までだから、幕営地に着いたらたき火でもしてのんびりしよう、お酒もってくればよかったな」と話していたが、水場分岐についてからのごたごたもあり結局はお酒がなくてもいい時間になってしまった。
夕食の準備をしたところで、今日一日を振り返る。
予定よりも全然進んでいないことに愕然。昨日に比べたら荷物も軽くなっており、標高差も稼がなくて済んだはずなのになぜかとても時間がかかり疲れた。
明日は広河内岳まで行かなくてもいい分気が楽になったが、それでも結構コースタイムは長く、今日のペースを考えると若干不安がある。明日に備え今日も早めに休むことにした。
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針葉樹林の森なのでまだ暗い |
主稜線がやっと見えるようになった |
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はっきりと植生が違って面白い |
ガレの縁を歩く |
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稲又山と青薙山方面 |
岩に影が映る |
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展望のない布引山 |
山頂の近くに幕営適地 |
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次の目標笊ヶ岳 |
小笊が立派だ |
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笊ヶ岳で一気に展望がよくなる |
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数時間後に中央に見えるザレの上を歩くことになる |
一気に降りてきた |
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椹島下降点 |
少し薮っぽい |
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上倉沢の水場分岐 |
分岐には幕営適地があった |
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偃松尾山への登りで笊ヶ岳を見る |
ガレ地帯から笊ヶ岳 |
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上倉沢を見下ろす |
ガレの上を歩く |
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南アルプス北部が見えるようになった |
偃松尾山 |
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生木割山 アンテナが建つ |
美しい森の中の楽しい歩き |
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天上小屋山 |
荒川岳が良く見える |
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トラバース途中で見えた |
長いトラバースの道 |
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幼木がびっちり生えた林道 |
二軒小屋からの林道が合流すると激変して道がよくなった |
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伝付峠 新倉下降点 |
約5分の下降で水場 |
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そのすぐ先にも水場 |
水場の脇に幕営適地 |
11月4日(晴れ)
コースタイム;幕営地A5:57〜伝付峠6:10〜乗越6:52〜広場7:58〜奈良田越9:00〜白剥山10:03〜笹山南峰13:12/13:30〜標高1605m水場入口(幕営地B)16:00/水汲みへ;水場分岐16:07〜水場16:18〜分岐16:39
入山中一番冷え込んだ朝になったが、厚着をして寝たので寒くなく寝られた。
樹林の隙間から漏れてくる朝日は弱々しい。林道へ登り返しす途中で日の昇る方向である富士山がはっきり見えた。
この時期伝付峠でダイヤモンド富士が見られるらしいが、残念ながら日の出の時刻は曇りで、しかもダイヤモンド富士となる時刻6:30頃は伝付峠より先に進んだ樹林帯の林道になってしまうので見ることは叶わなかった。
水場から林道へ戻り、林道歩きが始まる。
手入れされた状態は依然として続いていた。途中幕営適地がいくつもあり、昨日もっと先へ進んでおけばよかったかなとも思ったが、水場の所で泊まりたかったのも事実なので昨日の場所でよかったと思い直した。
大きな霜柱の立つ林道をどんどん進むと、二俣になった。
尾根の左側へ進む林道には大きな木を使って侵入禁止としていた。地図にある通り尾根右側に伸びている新しい林道を進む。
南アルプスはガレ易いのか、側壁がどんどん崩壊しているようだ。林道そのものはまだ車が通れる状態に維持されているので比較的歩きやすい。
予定通り、乗越に到着。ここで休憩し、衣服の調節等を済ませた。
乗越ではさきほど別れた古い林道と合流した。
乗越からは林道は尾根西側に付けられるようになっているので、蝙蝠尾根の眺めがよくなった。
林道歩きは飽きるので、周りの景色を楽しんだり、カーブミラーに二人の姿を映して写真を撮ったりと遊びながら進んだ。
先へ進むに従い、林道に大きな落石が目立つようになって、いよいよ徒歩のみの通行が可能とな林道へと変化してきた。地図にある広場から10分ほど手前では、側壁からの大規模な土砂崩壊で林道が埋まっている場所があった。
ここが事前学習でも分かっていた崩壊地だ。
実際歩いてみると、歩く幅は狭いが、角ばったガレなので安定しており予想よりも簡単に通過できた。一か所だけ2歩ほど完全にザレに足を置いて全体重をかけることになった。慎重に踏みこんでみたら、少し潜りはしたものの崩れる様な事はなかったので静かに歩けばまったく問題なく進めた。
ザレはたったの2歩で終わって、再び安定したガレを進むと林道も幅広の形状を取り戻した。
振り返ると、上部側壁の土砂崩壊だけでなく、林道の路肩の大規模な補修もむなしく崩れており、これは完全復旧は無理だろうと思われた。
大規模崩壊地から10分ほどで、林道西側に広い平坦地がある所に着いた。地図で「広場」と記載されているところだ。
モコモコさんによれば、昨日はここに泊まりたかったらしい。なるほどここだったら、たき火でもしてゆっくりしたいところだ。
広場のすぐ先は、またもや崩壊地点。さきほどのようなザレはなく、完全に埋まっている感じでもない。距離としても短いのでサクサクと通過できた。
なぜかこの崩壊地周辺では、唐松の幼木が多く生えていた。
崩壊地を通過すると、林道は大きくカーブをして下降していくようになった。幼木がないところでは林道に立った霜柱が陽の光で輝いて綺麗だった。
林道のカーブが終わり、北上するようなルートに戻ると目の前には長ガレその先には今日必ず越えなければならない笹山が見えた。
とても遠くて高い山に見える。本当にあそこまでいくのかと思うとなんだか気が遠くなってきた。
それでも、距離は多少長くなるがいちいち山頂に登らなくても済む林道のお陰で、幼木がうるさいものの順調に長ガレとは反対側の東斜面へ移るよう尾根を乗り越し、林道最後の登りとなった。
林道に生えた幼木がますますうるさくなり、中には十分育って既に幼木と言えない状態のものまであった。同時に東側斜面で日当たりが良く暑くなったので、服を一枚脱いでいくことにした。
林道の一番歩きやすいところは、木にとっても具合がいいらしく倒木や落石とともに幼木をスラロームのように避けながら進んだ。
林道を登り切り、またもや尾根西側に移るといよいよ奈良田越目指して下降を始め。いきなり「吸いがら入れ」とかかれた缶やドラム缶が横たわる場所に着いた。
林道はそのまま直進するものと、尾根東側へ向かい大きく右に曲がるものとに分かれていた。
正確にはここで大きく右に曲がる方へ入る(テープもあった)のだが、そちらはヤブがうるさそうで先行するモコモコさんはそれに気が付かずに直進してしまった。
直進してすぐに林道は終点になり、終点にはまたもやドラム缶やトタンなどの残骸があった。
先へ進むような道や印らしきものはない。一度荷物をおろして行動食をとりながら地図を見てみる。
やはり間違った方へ入ってしまったようだ。テープで印があったことをモコモコさんに伝えるとモコモコさんも納得したようで、戻ることにした。
すいがら入れの缶まで戻り、戻る方向から見ると良く分かるが、先ほど見逃した林道分岐から尾根東側へ下り気味に大きく曲がって行く方の林道へと入った。
地図ではこの先の奈良田越から登山道へ入るあたりが迷いやすいような記載があるが、我々は地図には書かれていないこの林道分岐の方が分かりにくかった。
奈良田越への林道は幼木がうるさいのは分岐のところだけで、すぐにすっきりした道になった。
水が出ていれば最高の場所となる、実際は倒木で埋まった窪地のようなところを渡ると、ケーブルやらの残骸がこれまでで一番多く見られるようになった。
奈良田越は、櫓でも組んでいたのかとおもうほど鉄骨などの残骸が多かった。
長かった林道あるきもここまで。林道は本来退屈だが、なかなか展望がよくて車は一台も通らず、崩壊地あり幼木が茂って自然に還りつつあって思ったよりも楽しく、なにより体力を温存しながら距離を稼ぐことができた。
白剥山を目指して顕著な尾根に取りつく。入口にはテープ印あり。
最初は踏み跡が乱れているが、尾根に忠実に歩くようにするのが一番。
地形図通り、やせ気味の尾根で所々尾根西側を通るように道は付けられているが迷うことなく辿って行けた。
傾斜は思ったよりもある。少し緩やかになったかなという場所になにやら廃屋が。作業小屋だったのだろうか。とても泊まろうかという気にはならないが、大雨の際には心強いかもしれない。
ここまでの登りではずっとワイヤが張られていた。
廃屋から先もしばらくワイヤがあったが、やがて気にならなくなった。それと同時に急登になった。踏み跡は少し東側へ回り込むように付けられており、必死に登って行くと、先行するモコモコさんから「着いた!」の声が聞こえた。
白剥山と山頂標識が建っていなければ見過ごしてしまいそうな、樹林の中の山頂だった。この山は、登りはやたらに長く急だが、山頂の周りだけ緩やかなので、単に傾斜が緩んだ所という印象だった。
振り返ると、奈良田越から白剥山の間が今日一番長くてきつい登りだったように思う。
白剥山からは珍しくあまり下降しないで次の登りに入った。
この登りは短いが、とても急で、人か動物かどちらが付けたが分からないが、登りやすいところをそれぞれが探して行きましたと言わんばかりに踏み跡が錯綜していた。
登りにとるときはひたすら上へと向かうので、どこを登っても大差ないが、下りにとる場合はあまり大きくそれた踏み跡に乗らない方がいいと思った。
ちょっとしたピョコが見えれば急登は終了。
顕著な尾根道の踏み跡を辿って行くと、今日最大の目的黒河内岳(笹山)だけでなく、農鳥岳と書かれた標識が出てくるようになった。
それまで見た標識は、林道に入る前の昨日のものであるがすべて行き先の方向が伝付峠だったことを思うと、遅い歩みながらも確実に進んでいることを実感できた。
地図にある「ピーク横にある小さなコル」は本当にその通りの場所で、箱庭のようなかわいらしさがあった。
コルには赤テープが巻かれ、道は尾根の西側寄りに移っていた。
ここからしばらくは、登りであるが美しい森でとても歩きやすく楽しい所だった。
標識の方向には、いよいよ大門沢と表現するようになってきた。
だんだん傾斜が増してしばらく急登になる直前で少し休憩した。この辺りの登りは樹林が混んでいて、山人モコモコさんともにシャツを引っかけて破いてしまった。
シャクナゲが目立つようになって、尾根が痩せる所ではシャクナゲのトンネルとなった。結構うるさいシャクナゲトンネルをやり過ごすと、再び樹林帯となった。この辺りは倒木が目立ち、「樹林帯の窪地」とある所は幕営適地になりそうだが、テントを張るのにいい場所は倒木に占拠されていた。
あまりきつくない樹林帯の登りをこなしていくと、ひょいと行った具合に針葉樹林帯が終わり周りが見える様になった。
これまでと違って植生もハイマツが中心となる劇的な変化だった。
ハイマツの中の道へと変わると、露岩の有る場所になった。ここからの眺めは最高だった。
この標高までになると、雪は少ないものの風は物凄いものがあるのか、冬の日本海からの季節風の影響を受ける山のように唐松が偏向樹となっていた。
露岩から尾根伝いに行きたくなるが、踏み跡はハイマツ帯へと入り込み、尾根から大きく西側にずれたところに着けられていた。
ハイマツの密度は濃いが、足元には綺麗に踏み跡があるのでヤブ漕ぎという感じは一切なかった。
直前にならないと踏み跡は分からなく、ハイマツが途切れると先がどうなっているか分からなくなりそうだが、所々につけられたテープに助けられた。
延々とトラバースするようで、この状態で果たして山頂に着くのだろうかと疑問に思うが、後ろを振り返るときちんと標高が上がっていた。
前方には、尾根横に張り出した岩場とその先に道標が建つ山頂が見えた。結構距離がある。
尾根横に張り出した岩場は基部でなく、上に登って通過する。尾根上を歩くのは本当にわずかな距離だ。
すぐに尾根横のハイマツ帯に道は入って行った。
ガレの露地となってハイマツが途絶える所が出た。そのままガレを登って尾根上に出たくなるが、標識はそのまま登らずに通過するように置いてあった。それに従うと、岩場を少し登り気味にトラバースし、再びハイマツ帯を行くように道は続いていた。
その先にも同じような露地があるが、踏まれているのでそこは上へ抜けてしまいたくなるような所ではなかった。
そのまま山頂まで進むような気になるが、路地が途切れるところでとうとう尾根上へと登るようにハイマツの中に道があった。ここは良く見ておかないと分かりにくい所だと思った。実際登っていても、本当に合っているのか不安だった。
尾根上まで登りきると、今度は東側へ下って行くように道がついている。下り始めると逆に戻っているような感覚になりさらに不安が増した。
先行するモコモコさんが、山頂方面へ曲がり姿を消したのを見て一安心。後を追うと、テープの印も復活。
尾根東側はゆるやかなガレが続いており、そこを登山道としていた。
道はガレから灌木帯へと移ると、いよいよ山頂は近い。
灌木帯の道にはうっすらと降った雪がまだ残っていた。
根や枝が道を張っているので、つまずいたりしないように尾根へと向かうとなぜか踏み跡が分岐していた。
どちらに進むが一瞬迷ったが、こういうときは尾根へと進むのが基本ということで左側の尾根上へと向かう道に入って少し登ると、先行するモコモコさんからうれしいことに「山頂だ」との声だ上がった。
やったねと山頂に着くと、登りの時に見えた山頂となんだか違う。
笹山は南方と北峰があるのだが、我々が南峰の山頂と思っていたのは実は北峰だったらしい。南峰は、樹林に囲まれており山頂標識は周りからは見えない。
北峰へ往復しようか迷ったが、今日の水場は事前に情報をとってこなかったので暗くなってからの水汲みは避けたい。残念だが北峰は断念した。
南峰山頂は日当たりが良く、樹林に囲まれているので風も当たらなくて休憩するのにいい所だ。
これからの下りに備えて行動食をとった。
奈良田への下降点は、きちんと標識があった。
下降始めてすぐに右から踏み跡が合流した。どうやら笹山直前で別れた踏み跡の一方はここへと繋がっているらしい。
奈良田から笹山へのダイレクト尾根となるこの道は、最近通る人が多いのか、踏み跡がはっきりしていた。テープも分かりやすいように頻繁に付けられていて迷うことなく降りられる。
あまりにも効率よくどんどん下降していくので、。地図にある標高2530m地点は確認することなく通過した。
傾斜が緩むと、次のポイントとなる窪地になる。窪地はとてもいい所で、水と時間に余裕があったらゆっくりと泊って行きたいところだった。実際に泊まった人がいるのか、たき火跡があった。
窪地からも尾根に忠実に歩いていくと、標高2256mとある場所から急下降が始まった。
急下降が始まって間もなく、尾根北側が大きくガレている所になると、地図に「ガレより北方の視界」とある通り、非常に眺めが良かった。
今日最後の視界を存分に堪能して、とにかく尾根に忠実に下って下ってと無心になると、少しずつ尾根が広がってきた。
もう少しで水場入口のはずだ。落ち葉の積もった尾根道をガサガサと音を立てて下降していくと、とうとう標高1605mとある場所についた。
良く見てみると、水場はここから約400mトラバース気味に進んだ所にあるらしい。
予定ではここで幕営するつもりだったので、テントを張れる場所を探すが、いい場所はなくかなり斜めになるが無理やりなんとか張れる場所を見つけて、山人は水汲みモコモコさんは設営と手分けして幕営準備に取り掛かることにした。
荷物をすべて出して、水筒とヘッドランプをザックに入れて水場へと向かった。
テープがあるから楽ちんと思ったのは最初だけ。
すぐにテープ印は乏しくなった。
なんとか沢の源頭部が見えたが、源頭部への下降が急で両手を開けてきてよかったとつくづく思った。また、モコモコさんが一緒だと遅くなるだけでなく、ここの下降で滑落しそうな気がしたので、モコモコさんは来なくて正解だったようだ。
沢を少し降りると、汲むのに十分な量で水が出ていたので時間を掛けずに済んだ。
問題は帰りだ。
わずかに残る踏み跡を頼りに戻るが、最後の方で方向が不安になりモコモコさんを呼んでみる。すぐに声が帰ってきた。声の方向と大きさから直前まで戻ってきているらしい。
声が聞こえた方向へと歩いていると、モコモコさんの姿が見えて一安心。
水を汲みに出発してから約30分かかった。
モコモコさんもそろそろ心配になって迎えに行こうかと思っていたところだったらしい。
日が短くなったので、かなり日が陰っていた。北峰を往復していたらあと30分は遅くなっていたはずなので、水汲みは結構厳しくなっていたであろうことを考えると往復断念の判断は正しかったと思った。
標高がこれまでの幕営地の中で一番低く、冷え込みもあまりないこともあって一番暖かい夜だった。
しかし、これまでで一番斜めで針葉樹の根が張りだしている所での幕営なので生活は一番大変で、寝心地も一番悪かった。
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富士山に朝の挨拶をして出発 |
水場から12分で林道に戻った |
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霜柱の立つよく手入れされた林道を進む |
新しい林道へ入る |
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林道の崩壊地点 |
幕営適地の広場 |
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林道の崩壊地点 |
霜柱に陽が当たって輝く |
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笹山が見えてきた |
奈良田越はここを右に曲がっていく |
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奈良田越から白剥山へ |
廃屋 |
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樹林の中の白剥山 |
白剥山先の急登 |
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コルの先の美しい森 |
シャクナゲのトンネルになった |
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樹林帯の窪地 |
ハイマツが出てくるようになると視界が開ける様になった |
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ハイマツの中の踏み跡を辿る |
モコモコさんを探せ |
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目指す笹山 |
主稜線 |
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山頂は目前だがなかなか着かない |
天気が良くて気持ちがいい |
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時折このような露地が現れる |
山頂直前になるとハイマツから解放されるようになった |
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尾根の東側へ移って再びハイマツ帯へ |
すぐにすっきりした道の登りとなった |
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さらっと降ったようだ |
笹山南峰到着 |
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山頂から農鳥岳方面 |
奈良田への下降ポイントは標識があった |
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樹林帯の中を効率よく下降する尾根だった |
標高2256m地点先のガレ上は見事な眺め |
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綺麗なピラミッド型 |
ガレ |
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水場入口 |
沢の源頭部への下降は急傾斜 |
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水量は豊富 |
寝心地は良くないが今晩の宿 |
11月5日(くもりときどき晴れ)
コースタイム;幕営地B6:26〜送水管施設上8:04〜奈良田8:50
今日のコースタイムは2時間ほどで、標高差約770m降りるだけだ。
出発してすぐに小さなハチの巣が落ちていた。
新女王蜂はすでに巣立っていったらしく、中を良く見てみるとまだ幼虫だったり羽化する寸前の蛹の状態で終了したものが残っていた。
なんだか規模がとても小さい。巣のごく一部が落ちただけなのかな?色々想像するのは楽しい。
標高差約100m降りたところは、地形図での読み通りいい幕営地だったが、昨日はあの後またパッキングして降りてというのは面倒だったのでここまで来るのは骨が折れたかもしれない。
昨日に引き続き、落ち葉でふわふわな道をガサガサと下って行く。
標高1500m当たりにブナの大木があるらしいので、楽しみに下って行ったが、それらしものはない。ふと振り返るとブナの木があった。
確かに大木だ。モコモコさんはブナ林の中で一際太いブナの王のようなものを想像していたらしいが、実際は孤高のブナの大木だったのでがっかりした様子。
「南アルプスに、飯豊朝日のようなブナを期待しちゃだめだよ」と言うと、納得したようだった。
広葉樹の大木を見ることはできないが、綺麗な森の尾根道だ。
登山地図にある尾根合流点から一下りで、大木の森と記載されている場所に着いた。
太い針葉樹が生えている飯豊川入の長坂尾根入口の森を明るくしたような雰囲気だ。一番太そうな木にモコモコさんが抱きついて後ろへ回ったとたん「あれ?」の声。
合体の夫婦の木となっていた。
御神木として崇められていたのか、朽ちた拝殿のようなものがあった。
針葉樹中心の尾根もだんだんと広葉樹が増えてくる。標高1000m辺りの紅葉は最盛期のようでとてもきれいだった。足元の落ち葉もまだ色鮮やかで色とりどりの落ち葉の絨毯となっていて飽きさせない。
このまま下山できるとうれしいが、送水管施設の上部でそれもおしまい。
尾根から外れ、尾根北側に広がる植林地帯を下降する道となった。
植林地帯は良く手入れされており、すぐに鉄パイプで作られた柵が設けられたつづら折れの緩やかな道となった。
適当にそれぞれのペースで下降していくと、沢音が大きくなった。もうすぐ終わりのようだ。
すると下から作業員の方3人が登ってきた。作業員の方からは「笹山へ行ってきたのか?」と聞かれた。やはり黒河内岳というよりも笹山の方で名が通っているようだ。
登山道が林道の幅になるところには「笹山登山口」とあった。その先には広々とした作業員の方の駐車場がある。
ちなみに作業員の方は、送水管施設の修繕に向かっているらしい。結構な標高差を登り下りしての作業は大変そうだ。
今はつかわれなくなった送水管の吐水口の前を通って、白河内を渡る。道がしっかりできているが、大出水があったようで道が流されてしまったようだった。
道なりに進むと短い隧道をくぐり発電所前を通過した先に長い吊橋が見えた。
吊橋の麓は広い公園になっていた。
なんでも「奈良田八幡神社公園」というらしい。
長い吊橋を渡り、車道を少し歩いて奈良田のバス停に到着した。バス停には水洗トイレのある屋根付きの休憩所があった。助かったことに、外に水道があったので靴の泥汚れを落とすことができた。
楽しみにしていた奈良田の里温泉は水曜日で定休日なので、ひと段落したところで奈良田の探索をした。
対岸には大きな崩落地があり、法面工事を行っていた。驚いたのが、その作業員の方だ。ロープだけをたよりにザレた崩落斜面を登り降りしていた。
ただ登るだけでも大変なのにその先で作業するなんて、驚いたものだ。
散策中、地元の方と軽く挨拶をして崩落地のことを尋ねると、最近山が弱くなっているのか、あちこちで崩れてしまっているとのことだった。
台風による大雨や、頻発する地震のせいかな?
散策して戻ると、そろそろバスの時間だ。地元の方もバス停に集まってきた。
帰りも我々の大荷物は後方に積んでもらえたので、下部温泉まで荷物を気にすることなく景色を楽しみながら乗ることができた。
下部温泉で汗を流し、甲府からは少し贅沢をしてカップワインを買い込み、特急で乾杯をして無事下山を祝いながら帰った。
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小さなハチの巣 |
巨木の森 |
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見事な夫婦の木 |
青空でないのが惜しまれる |
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送水管施設上 |
植林地帯を良く手入れされたジグザグ道で下降 |
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工事関係者の車 |
何かの修復工事中らしい |
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奈良田へはあとわずかな距離 |
吊橋上から 奈良田の集落 |
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吊橋を渡り終わってから下降した尾根を振り返る |
崩壊地の法面工事中 |
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奈良田バス停 |
少し登った所から降りてきた山を見た |
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