山域 |
吾妻連峰 |
コース |
グランデコ〜西大巓〜東大巓〜家形山〜高湯温泉 |
〜主脈縦走〜 |
日程 |
2015年2月8日〜2月12日 |
マンネリ化しているが、積雪期に一度は吾妻連峰に入山しないとなんだか落ち着かない。
例年ならば、高湯から家形山避難小屋経由で稜線に立つのだが、高湯からの入山規制が出ているので、西側からのアプローチ。
更に、苦肉の策として浄土平に下りずに東吾妻山に立って蒲谷地に下りるという計画を立ててみた。
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データ |
アプローチ
2月7日
池袋発夜行スキーバス23:00−グランデコ6:00
コースタイム
2月8日(晴れのち小雪)
グランデコベース8:30〜第4クワッドトップ9:00/9:35〜西大巓11:39〜西吾妻山小屋12:27〜大凹人形石中間部13:28〜人形石藤十郎鞍部13:52〜明月荘15:34(泊)
2月9日(暴風雪昼と夕方に一時回復)
停滞
2月10日(暴風雪)
停滞
2月11日(雪のち一時晴午後から雪)
明月荘7:48〜東大巓9:40〜昭元山10:19〜ニセ烏帽子12:27〜家形山14:43〜家形山避難小屋15:13(泊)
2月12日(晴れ)
家形山避難小屋6:18〜山鳥山7:32〜旧吾妻スキー場トップ7:45/8:10〜高湯花月ハイランド9:10 |
2月8日(晴れのちくもり午後から小雪)
コースタイム;グランデコベース8:30〜第4クワッドトップ9:15/9:35〜西大巓11:39〜西吾妻山小屋12:27〜大凹人形石中間部13:28〜人形石藤十郎鞍部13:52〜明月荘15:34
今年は高湯から入れないので、グランデコか天元台からの入山とした。
せっかくなので、昨年久しぶりに厳冬期に踏んだ西大巓を山頂を経由することにした。グランデコならば夜行スキーバスがあるので、経済的だ。
昨日からこの界隈は天気がいいらしいので、グランデコから西吾妻山方面まではトレースがばっちり残っているだろうから、明月荘までも行けそうだ。
気になるのは、好天気が今日一杯で、明日から今期最強の寒気がやってくることだ。防寒対策を十分にしてきたので、明月荘まで行けば寒気にはたえられそうだが、その分荷物がずしりと重く大きくなってしまった。
防寒具に加えて予備日を含めて4泊分の食糧は結構な嵩と重量になったので、ブーツだけは予め送っておいた。スキー場出発だと、前もって送っておけるのが助かる。
池袋のバス乗り場までは、駅から遠い。ブーツを送っておいて良かったとつくづく思った。
スキーバスに乗るのは久しぶりだ。受付をすると、キューピーのチューブ入り調味料が渡された。結構な重さだ。はっきり言っていらなかったが、高カロリーなので、停滞するようなことになったときに慰めになるかもと渋々持っていくことにした。あーあ、アルコール度数の高いお酒だったらキューピーの重さ分で結構な量になるはずだ。どうせ担ぐならお酒が良かった。
ブツブツ文句を言いながらも今年初の吾妻にワクワクしているうちに我々が乗るバスは到着したらしいので、バス乗り場に移動した。
土曜日のせいか、人は少ない気がするが、それでもかなり台数のバスが待機している。
バス脇で待っていると、乗務員さんがやってきて大荷物を背負って目立つ我々に一番にどこで降りるか声をかけてくれた。
一番最初の到着地となるお陰で詰め込みやすいのか、最初に荷物を預けることができた。
バスは最新の型に近い(新車の匂いがしたので)ためか、足元は比較的ゆったりしてるように思えた。
ほぼ定刻、満席で走りだしたバスは、0:00に消灯となった。
いつの間にか寝ていたが、最初の休憩地佐野サービスエリアに到着していた。
ここでしばらく停車するので、モコモコさんとトイレに行ったり、お茶を飲んだりして足を伸ばした。
次の休憩場所は、鏡石パーキングエリア。トイレに行ったモコモコさんによると、外は雪が降っていたそうだ。
気が付くとバスは長時間停車していた。
時計を見ると5:30過ぎ。観光バスだが、結構寝られた。もう少しうとうとするかと目をつむってまた眠りに入る寸での所で、グランデコ到着ですとのアナウンスが入った。
大荷物とスキーを背負って、早速スキーセンターへ移動した。
スキーセンターの休憩室には毛布と枕が備え付けてるある。今日は日曜日で夜行バス客も少ないので、遠慮なく毛布を使って仮眠をとった。
しばらくして周りが少しざわついたが、そのまま仮眠。気が付くと7:30になっていた。あわててモコモコさんを起こした。
グランデコのゴンドラ営業開始時間は8:00なので、これから準備をしても開始には間に合わない。
実はゴンドラ山頂駅にあるブナブナで朝食を摂ろうと企んでいたのだ。これはブナブナに寄らずに行きなさいということだろう。
ブナブナに寄るためには寝坊したが、山へは少しでも標高の高い第3クワッドリフト上から入るつもりで、このリフトの営業開始時間は9:00な為、ある意味予定通りに起きたことになった。
最初に送っておいたブーツを取りに行った。日曜日であるためか順番を待つこともなく受け取ることができた。
支度を済ませてリフト券を買いに行き、そのついでに登山届を出した。係りのお姉さんからは、下山したら連絡くださいねといわれ快く送り出してくもらった。
旧吾妻スキー場を含めて吾妻にあるスキー場は昔から登山届の受付があるのがありがたい。
ゴンドラ乗り場へ向かうときにまわりを見ると、日帰りの装備であるが山へ入る人をちらほら見かけた。
朝早いせいかゴンドラは待ち時間もほとんどなく、グループごとに乗ることができる状態だった。まあ我々の場合は、大荷物なので他の人と一緒に乗ることはほぼ不可能だが。
文明の利器を大いに使ってあっという間に標高差400m弱を稼いでもらう。
少しでも標高が高い所から出発できるように第3クワッドリフトへ移動。
今年初の滑りな上、大荷物なので、初心者同然のボーゲンでトロトロと滑ってリフト乗り場へ辿りつき、空いているので一人ずつゆったりと乗るつもりで待機しようとすると、予想外にモコモコさんが同乗(するために待機)してきた。
これには意表を突かれたので、思ったような体勢で乗ることができず窮屈な状態で5分過ごすことになってしまった。思わず「一人ずつ乗ろうと思ってたのに」と口に出してしまった。
モコモコさんからの言い訳では、リフトで入山するのは本当に久しぶりで、大荷物を背負っての乗り方を忘れてしまったとのこと。
なんとかリフトを止めることなくゲレンデトップに辿りつくことができた。
トレースはばっちり残っていたが、皆第4クワッドリフトから登っているのか、今日登って行ったらしい跡はスノーシューが2人分あっただけだった。
シールを付けて、体操してといつもの作業を済ませて登り始めた。
トレースがあるので全く潜らない。
これは楽ちん楽勝と思っていたが、昨日天気が良すぎたのか、一度解けた雪面が堅くなっていて少し傾斜が強まると重荷を担いでることもあり後ろ滑りしてしまう。
仕方なくトレースをはずすとラッセル。
そのうち完全にスキートレースとは離れてしまった。
スノーシューの跡とはすぐに合流したのでしばらくはスノーシューの跡を追っていった。
やがてスノーシューは西の方向へと大きく振るような進路をとっていったので、スノーシューの跡も外して直登した。
さすがにトレースを外すとラッセルとは行かないものの、くるぶし上までは潜るので、こうなると暑くなってきた。汗も出てくるので、ジャケットを脱いで、更にオーバーパンツのファスナーを開けていくことになった。時間浪費の防止のため休憩は交代でとることにして登って行った。
樹林の背が低くなってくる頃に、最初にはずしたスキートレースがこちらに向かって伸びてきたので、これ幸いとばかりにトレースに乗った。
トレース上は快適だが、やはり少し傾斜が急になると堅い雪面により後ろ滑りするので、少しカニさん歩き登行をしてしのいだ所もあった。
山頂直下までくると、既に西吾妻山方面へと先行している人や、これから登ってくる人が見えた。これまで一人にも会わなかったので今日は誰もいないのかと思っていたが、天気のいい西大巓は、厳冬期でももはやメジャーな山となっているようだ。
天元台側なら分かるもののグランデコ側で後ろ滑りは想定外だったが、思ったよりも早くに西大巓に到着できた。山頂からは西吾妻小屋を見ることができた。昨年とは大違いだ。
山頂には、男女二人組がいてシールを外して滑る準備をしているところだった。
シールを外すことのない我々は、軽く挨拶をしてすぐに下りにかかる。
我々以外の人は、東側斜面へと滑りこんでトラバースしているが、シールを付けて下降する我々はそんなことをすると余計に体力を消耗するので、稜線を忠実に歩きのようなペースで下りて行った。
後からへっぴり腰でへろへろ下りてくるモコモコさんを待っていると、山頂にいた方が颯爽と滑り下りてきて、声を掛けてくれた。いきなり我々のことを聞かれたので、どうして分かったのかと驚いていると、なんと、西大巓山頂で挨拶した方は、我々の記録をご覧になっていてくれる数少ない方の一人で、この大荷物で入っているのはもしかしてとピンと来たようだ。ゆっくりお話ししたかったが、なんだか雲行きがあやしくなってきたのと今日は長い行程なので早々に分かれてしまったのが今でも悔やまれる。
恥ずかしながら、このときは驚くばかりで気がつかなかったのだが、別れてすぐにモコモコさんが以前お会いしたこともあるMさんではないかと気が付いた。後日、Mさん御夫妻から温かいご連絡をいただきました。ありがとうございます。
鞍部からは西吾妻小屋を目指す。
先には西吾妻山を目指す人達も見える。二十日平下りかな?今日は午後になると下り坂だが、この時間ならば視界不良になる前に下りられるだろう。数少ない二十日平下りの経験では、磐梯山目指して下りていくと大きな間違いをしないで下りられた憶えがある。久しぶりに二十日平へ下りたい誘惑に駆られたが、ここはぐっと我慢。
西吾妻小屋へは思ったよりもすんなり着けた。
小屋へ入ると長時間休憩してしまいそうなので、そのまま通過した。
先行者は、西吾妻山山頂間近まで登っていた。
時間が惜しい我々は、山頂へは登らずに吾妻神社へと向かった。天元台からやってきた人のトレースが残っていたので利用させてもらった。
吾妻山神社にはほとんど登りもなく到着。
無積雪期には、神社を保護するにしても大げさな石組に見えたが、厳冬期に来ると決して大げさでなく必要なものだということがよくわかる。
雪はほとんど吹き飛ばされており、神社には雪がべったりついて凍りついていた。
視界がない時は少し怖い広場となっている天狗岩と梵天岩を通過して、大凹まで一下り。
天元台から来る時は、中大巓を山頂すれすれに巻いて人形石に出るのだが今日はそこまで登り返す時間と労力が惜しいので、トラバースして中大巓を巻くことにした。この高度を保てば人形石からの下りがほとんど終わった辺りで稜線に合流するはずだ。
トレースとは外れてしまうが、傾斜がある斜面のトラバースではないので迷わずトレースから外れたところ、思った通り殆ど沈まずかといってガリガリでもなく
とても歩きやすかった。
以前はいつも吾妻に入るときにとっていたコースなので、特に迷うことなく人形石真横の斜面まで進めた。軽く下り気味にトラバースして行けば鞍部だ。天気が良ければ鞍部で一度荷物を降ろして休むのだが、風が吹いていて寒そうなので鞍部手前の樹林傍で休むことにした。
これが、二人同時に荷物をおろして取った今日最初で最後の休憩となった。
標高差としては、高湯から家形山避難小屋へ行くよりも楽であるが、距離はそれなりにあるので結構お腹もすいていた。時計を見るとまだ14:00前だ。雪の状態を見ても大きなラッセルにはなさそうなので、明るいうちに確実に明月荘に着けるだろう。
当初は、ラッセルを見越して人形石を降りた辺りで幕営になるかもと思っていたが、嬉しい見込み違いだ。
順調に藤十郎を通過して、東大巓と藤十郎との鞍部まで進んだ。積雪期はすぐに明月荘に向かって行きたいところだが、慌ては禁物。ここで進路を明月荘変えてしまうと混んだ樹林に悩まされてしまうので少し東大巓に登るつもりでもう少し東進する。
この辺り、ほぼ平坦なので視界が悪いと方向が分からなくなりそうで怖い。余談だが、岳友から譲っていただいた昔の山と渓谷の吾妻の記事を見ると、迷う方がおかしいというくらいスキーツアー用のポールが立っていた。今と昔どちらが恵まれているのだろう。
視界が悪い時は、一度東大巓の山頂を踏んでからほぼ真北に向かって明月荘を探し当てるのだが、今日はそこそこ見えるので、コンパスを明月荘に合わせてあまり登らないように東方向に進路を保っていくことにした。すっきりと見えるわけではないので、現在もポツリポツリと残って立っているスキーツアー用のポールが見られるようになったときは安心した。方向は合っているらしい。
主稜線から明月荘へと向かう夏道は、樹林の中を通っているためこの時期は小さな樹氷の迷路状態になっている。それを避けて樹林の薄いところを探しながら分かりにくい明月荘へひたすら歩いて行くと、ようやく樹林の中にちらっと明月荘が見えた。
今日の行動はもうすぐ終了だ。
波打つ雪面に一度足を取られて転倒してしまったが、無事明月荘に到着。
東大巓方面を見ると、うっすらと見える。明日から寒気がやってくるらしいが、これくらい見えれば出発できるのだけどな。
明月荘へはいつも一階入り口を掘りだして中へ入っているのだが、これから強風になって悪天候になると脱出が大変になるので、除雪が簡単な2階から入ることにした。
雪が軽いので、少しの時間で扉が全て露出した。昨年5月に明月荘に泊まった時に扉が開けられるように細工した成果か、きちんと扉のハンドルが回るようになっていたのですんなり開けることができた。
明月荘2階入り口の風除室は狭いが、やはり急な坂と段差を登り下りせずに入れるのでとても楽だ。
雪取りを済ませて中へ入った。
トイレのある1階へは梯子で上り下りしないといけないが、2階の方が明るく、わずかであるが暖かい気がしたので2階に泊まることにした。
荷ほどきをして、早速水作りからとりかかる。
予定よりもずっと早く着くことができたので、日没まで少し余裕があるのがありがたい。
寒いのは寒いが、その晩はさほど冷え込まずに、風雪に悩まされることなく乾いた床で落ち着いていられるのはなによりも快適だった。暖かい夕食を摂ると、夜行の疲れもあり、急激に眠気が襲ってきた。
ラジオでは、さんざん明日から今期最強の寒波がやってくると言っており、まるで脅しを受けているようだった。
どうか明日荒れませんようにと祈りながらシュラフに包まった。
2月9日(暴風雪昼と夕方に一時回復)
停滞
今日は、中吾妻山まで縦走して、谷地平へ降りる予定だ。中吾妻へいくとなると結構時間がかかるので早めに出発するつもりでいたが、外は物凄い風の音がする。
少しシュラフの中でうとうとして二度寝しようとしたが、停滞はいつでもできるけれど出発するには今のうちに準備をしておかないといけないということでゴソゴソと起き上がった。
寒気にこの辺りが覆われるのはこれからだということで、昨晩は寒さを感じずにぐっすり寝られたので体調はばっちりだ。
朝食を摂っていると、うっすらと明るくなってきて、食事を済ませる頃には日の出の時刻にかなり近くなった。
落ち着いたところで外を見てみると、東大巓方面はガスで全く見えない。風も強くなっているので少し停滞して様子を見ることにした。
お茶を飲みながら、携帯電話が通じるか試してみたところ、なんとアンテナが2本立った。山の天気予報を見てみると、今日の天気は、夕方に一時的に回復するものの、行動する時間帯はずっと雪マークがついており、何よりも風が強くて気温がやたらに低い。
それでも視界が良ければなんとか行動するが、視界は全く効かないしで行動するのにいい条件が一つもない。このまま出発しても中吾妻までの稜線では強い西風に吹かれて体が冷えるだけだ。
少し気温が上がることが期待できるお昼頃になんとか出発できれば、中吾妻への稜線歩きはできないが大倉新道経由で谷地平まで行くことはできる。
朝食後にもう一度シュラフに包まって、ラジオを聞きながら天候を見極めることにした。
シュラフに包まっているのも少し飽きたので、一度小屋の掃除をすることにした。
昨日トイレを見て、鍵が開いていたので雪が入り込んでいたのがとても気になったので、最初にトイレの窓の除雪をした。
完全に中まで入り込んではいなかったので、少しの除雪で窓を閉めて施錠することができた。
次に自分たちが巣を作っていた所の掃除だ。
出来るだけ雪を払って入ったつもりだが、かなり雪を持ち込んでいたので丁寧に履き掃除をした(つもり)。
掃除で結構時間を使ったが、外を見ると依然視界は利かず、風はますます強くなった感じだ。これはまだしばらく出発はできないということで、のんびりお茶を飲んで時間をつぶすことにした。
お茶の準備をしている間にも、どんどん冷え込んでくる気がする。厳冬期は特に頼りになるMSRのガソリンバーナーが元気に音を立てていると落ち着く。
火を消すと、途端に賑やかな外の風の音が聞こえてくる。
じっとしていても寒いだけなので、小屋の中で追いかけっこをして体を温めた。何をしているわけではないが、気がつくとお昼だ。
最短距離(東大巓から直接下降)で谷地平に行くにしても、この時期半日はかかるので今出発できなければ途中で日没を迎えるだろう。外は一向に回復しない。カップめんをお昼ごはんとして食べながら作戦会議。外の様子を見ると風は強く気温も低いが、少し朝に比べたらましな感じだ。天気予報では夕方に一時回復するらしい。しかし、明日は今日以上に天気が悪く、気温が更に下がる見込み。
谷地平に下りたとしても、明日は停滞の可能性が大きい。停滞となると、谷地平の避難小屋は綺麗だがトイレがなく、建物の構造上なのか立地上の条件(盆地)なのかとても寒い。その上強風と悪天の中トイレの度に外に出るのはきつい。ということで、今日はそのまま明月荘に泊まることにした。
明月荘は風の吹き込みや、谷地平のような冷え込みはないが寒いのはかわりない。昨日は思ったよりも暖かったが、今日は寒気が入ってきているだけあってどんどん冷えてくるのがわかる。寒いのでテントを張っているが、テントの内側には霜がびっしりついていた。昨日はつかなかったので、気温低下が証明されたのが分かった。
お昼を済ませた所で、一度寝床を綺麗に整頓して湯たんぽを作ってシュラフに包まることにした。
午後もラジオを聞いたりしてうとうとして過ごした。
冬の夜は早い。早めに夜の準備をするため、風が少し弱まった気配の中、もぞもぞとシュラフから這い出した。最初に、水作り用に雪を取ろうと小屋入口の扉を開けてみると、昨日入るときにきれいに除雪したのが、一晩で腰の高さまで吹き溜まりができていたので除雪をした。それでも昨年の一階から出入りした時の除雪よりはずっと楽だった。
外は風がゴーゴー吹いているが、視界は結構いい。この状態が、せめてあと3時間早くきてくれていたら移動できたのだが。
まあ、これが山というものだ。
雪取りを済ませてから自分を見ると、除雪と風で舞い上がった雪を被って全身雪まみれになっていた。風除室が狭いので雪を払うのにひと騒動だった。
水作りを済ませて、小屋内を改めて捜索すると金属製の箱の蓋がろうそく台として備え付けてあったので、これならばテント内でろうそくを灯しても安全だということで利用させてもらうことにした。ごく少量の熱しか出さないが、ろうそくの炎がついているだけでなんだか暖かい気がしてくるのが不思議だ。
寒さ対策で用意した今晩の夕食の献立は、根菜中心のショウガがたっぷり入った鍋。
一日で一番楽しい時間だ。
明日は出発できるかなと期待するものの、ラジオから流れてくる天気予報では、明日の朝は一番の冷え込みで、平地でも氷点下10℃まで下がる、寒気の影響で日本海側だけでなく太平洋側でも大雪になると昨晩や今朝の予報よりも一段と悪条件になるようなことを言っていた。
なんだか、今日以上にいいところはなさそう。いずれにしても明日にならなければわからない。
夕食が済んだ後は、体が暖かいうちに湯たんぽを作って昨晩より厳重に防寒対策をしてシュラフに包まった。
2月10日(暴風雪)
停滞
昨日の夕方から夜中にかけては比較的静かだった風が、朝が近づくにつれて再びゴーゴーと音を立てるようになった。
目覚ましにセットした時計のアラームが鳴る前に少し寒さを感じて目が覚めた。テント内は昨日にも増して霜がびっしりだ。
外の風はどんどん強くなっているようで、時折ドカッという音を立てている。
昨日同様に、朝出発するできるように起きて朝食を取って、パッキングできるように荷物整理をしながら外が明るくなるのを待った。
うっすらと明るくなってから外を見ると、昨日のどの時間よりも濃いガスだった。ラジオを聞いても携帯の天気予報を見ても、一日中昨日よりも条件が悪い。
停滞決定。
ほぼ昨日と同様に過ごした。明日2/11は天候が回復してくるらしく翌日の2/12は天気がいいらしいので行動できそうだが、2日もとってきた予備日をすべて使うことになり、コース変更を検討せざるを得なくなりそうだ。
お昼まで待ったが、風は益々強くなりドカッという音を立てる回数も増えた感じ。外は相変わらずガスで小屋目の前の木も霞んで見える。予想通り今日の出発も空振りだ。
これは計画通りに進むのは断念するしかない、ということで、残り二日で確実に下山できるルートの検討に入った。
ルート1.当初の予定ルートである蒲谷地への下山は、途中時間切れになる可能性が高いので中止。
ルート2.少しでも稜線歩きをするためには、中吾妻山から議場に下りるか、主稜線を縦走して高湯へ降りるルートかになる。これもこれまでの気象条件を考えると一日で下りるのは大変そうだが、確実に2日で下りられる。
ルート3.確実に明月荘から一日で下りられるのは、大沢下りか戻って天元台へ降りること。大沢下りは、降りてからの電車の本数が極端に少ないのでできれば避けたい。天元台は最後の手段。
ルート1は除外決定。ルート3は明日も停滞になったときに考えることにした。残りはルート2の中吾妻山か主稜線かということになった。
高湯と議場への下山を比較するとどちらも同じ程度の距離と標高差だ。中吾妻山経由は議場へ降りてから更に1〜2時間余計に歩くことになるので、途中で時間切れになるか、バスの最終便に間に合うかぎりぎりになりそうだ。また、明日も西風が比較的強いので、視界が効けばいいが、視界が良くない中、樹林帯が多いとはいえ横風を受ける方向になる稜線歩きは大変そうだ。
高湯へも最終バスの時間に間に合うか微妙だが、もし危なそうならば家形山の避難小屋へ逃げ込むことができ、比較的歩き慣れているので時間も読みやすい。問題は入山禁止措置がとられていることだ。
結局この日は決定できず、明日朝の状況を見て判断することにした。
昨日と同様、掃除をしたりお茶を飲んだりシュラフに包まってうだうだしたり、除雪と雪取りをして水作りをしたりして過ごした。
今日は、昨日と違い一度も視界が効くことはなく、風も穏やかになることはなかった。
2月11日(雪のち一時晴午後から雪)
コースタイム;明月荘7:48〜東大巓9:40〜昭元山10:19〜ニセ烏帽子12:27〜家形山14:43〜家形山避難小屋15:13(泊)
昨日までうるさいほどゴーゴー音を立てて吹いていた風が、時折穏やかになる気配がわかるほど治まってきた。
外を見ると、うっすらとであるが東大巓方面が見える。ようやく出発できそうだ。
パッキングを済ませて、どのルートをとるかをぎりぎりまで様子を見たが、思ったよりも視界ははっきりせず風も強く気温も低いままだ。
横風を受ける中吾妻山方面へ向かうより、追い風となる主稜線の縦走の方が多少条件がよさそうだ。
高湯への下山決定。もし高湯に今日中に下りられたら福島での夜を楽しんで夜行バスで帰れば明日ゆっくりできる。バスにスキー板は積めないが、どうせブーツを送るのでそのついでに板も送ってしまえば問題ない。などと内心期待しながら出発した。
朝見たよりも視界がいいので、先ほどの企みがうまくいきそうな気がしたが、出発して10分もしないうちにガスが広がってきて周りが見えなくなってしまった。
東大巓へは、明月荘から進む場合は左側(東側)の崖を見ながら進めばいいのでなんとか進んでいける。
山頂直下になると、樹林が混んでくるのと波打つ雪面の段差が大きくなるので、大きく西側へ迂回することになったが、無事山頂へ到着できた。
ここからしばらくが、神経を使う所だ。
以前同じような気象条件で山頂から下った際に、大きな段差を落ちてしまったことがあったので、ゆっくりと段差がないのを確認しながらガスで傾斜がよくわからないので頭だけ出した小さな樹林を目印にして下りた。
しばらく広々とした特徴のない尾根なので、コンパス振り振り慎重に方向を定めながら進んだ。なんとか昭元山手前の小ピークを確認できた。
ここから昭元山との鞍部へは、波打つ雪面が作る雪堤状を降りるのが確実だが、雪面の段差が大きいので樹林の間隔が広い所を降りることにした。モコモコさんからは雪堤を見失わないようにできるだけ寄って行くように言われたが、どうしてもそれだと樹林が混んで進みにくいので、自然と大倉川に入る支流の沢の源頭部へと入り込んでいた。
このような場所は通らないはずなので、ルートを外したのは明らか。コンパスを見て地形と合わせても思った方向と全く違う。降り過ぎたのは確実だ。
そのままトラバース気味に進むのも可能だが、山の鉄則「分かる所まで戻る」、急がば回れだ。
傾斜が緩やかな吾妻なので、さほど苦労せずに戻ることができた。
鞍部の標高より確実に高いところまで戻ってから一度北に大きく方向を振って行くと、雪堤状になっている尾根の形状をとっている所に出ることができた。かなり高度を下げていたので、波打つ雪面の雪堤状の上を降りることができ、確実にルートに乗ることができた。
主稜線は鞍部手前の小ピークから大きく方向が変わるが、この雪堤を見失わずに行けば自然にルートにのって鞍部に出られるので一安心。
鞍部で一度荷物をおろして休憩をとった。
時間を見ると、出発してからここまで大きく予定時間を上回っていた。東大巓からのルートをさぐりながらの下降と先ほどの彷徨が響いたらしい。
これから先のラッセルの有無でその後が決まりそうだ。
昭元山への登りは風を避けるとラッセル、ラッセルを避けると風が当たるという痛し痒しの登りとなった。上へ上へと登ればいいのでルート選択に迷わなくていいので気は楽だ。先頭を頻繁に交代して登って行くと、いつの間にか山頂に到着。
北側斜面は雪をどっさりかぶった樹林帯であるのと対照的に、南側斜面は雪堤状になっていて樹林に視界を遮られないので天気が良ければいい眺めなはずだが、生憎まだガスがかかったままだ。
長居は無用とそのまま下山にかかる。
下りの最初は、風の影響で波打つ雪面となり、雪質がいきなり変わるのでゆっくり下りた。モコモコさんがなかなか来ないのでどうしたのかと思ったら、案の定転倒したらしい。
少し降りると樹林帯の中に入り、雪質が良くなって下りやすくなった。烏帽子山は巻くつもりなので、大きく方向を外さないようにすればいいので樹林の間隔が広いところを探して適当に高度を下げた。
昭元山と烏帽子山の鞍部は、沢の広い源頭部となっていて樹林がほとんどないので比較的見える今日は、迷うことなく烏帽子山側の斜面に着いた。次のピークのニセ烏帽子山との鞍部の標高が約1780m程度なので、鞍部の高度と同程度の標高を保ってトラバースすることにした。巻きに入った時に、奇跡的にガスが少し薄まって谷地平と大倉川が小滝となって落ち込むあたりであろう、中吾妻山と東吾妻山からの斜面を鉈ですっぱり切り取ったような切れ込みが見えた。
これが見られただけでも2日間待った甲斐があった。
烏帽子山はこの時期、登って越えるにしても巻いて通過するにしてもとにかく面倒で長い気がする。
予定通りであるが、やはり結構な時間かかってようやく巻き終わりが見えてきた。左後方を振り返ると、烏帽子山の斜面が白く見える。残雪期でも長かったので、厳冬期の今は、雪面の段差や樹林の混雑を避けてとなるため余計に長く感じた。
稜線は小さいが雪堤状となっている。雪面が大きく波打っているので、稜線には上がらずに、しばらく雪堤に並行するように進んだ。
この辺りは昨年残雪期に縦走した際に、沢山の樹がへし折られていた所だ。雪が覆っているので今日はあまり目立たないが、時折折れた木を見ることができた。
風の通り道の為か樹林の背が低く混みあっているので、樹林と雪面の段差を避けながらラッセル歩きとなってペースはなかなか上がらずだ。
それでもこのときが今日一番天気がよく、米沢方面を眺めることができたり、青空をのぞかせてくれた。
風は吹いていたが、朝に比べたらずいぶんと穏やかだ。
現金なもので、天気が良くなってくると釣られて気分も良くなる。先頭を交代しながらニセ烏帽子山へと向かっていると、登りに入ってからしばらくしてスイッチの入ったモコモコさんはグイグイ先頭を進んでいった。
調子が良かったのもここまで。
無積雪期はニセ烏帽子山はたんなる通過点のようだが、今は結構立派な雪のドームとなっている。荷物をおろして休みたいところだが東吾妻山はなんだか怪しい雲が覆っていて、家形山に迫っている。ここニセ烏帽子山はまだ少し青空が残っているが、冷たい風が吹き抜けていた。
もともと吾妻連峰の山頂は、ゆっくりする所ではないと思い残念ながらそのまま通過した。先方には、兵子の今は白くなった岩峰が見える。
相変わらず波打つ雪堤状をそろそろと下りて、再び稜線の少し南側をラッセルして進んだ。兵子がいつの間にか後方に見える様になった頃、モコモコさんから久しぶりに「あー、シールが!!」の不吉な声が上がった。結構強引にラッセルして進むことが多くなったせいか、それともシール着けたままの稲妻ターンが効いているのか、かなり負担が掛っていたようで、先端に掛ける金具部分が完全に切れてしまっていた。スキーシールをコールテックスにしてからは、ほとんどトラブル知らずだったお気に入りの一品なので結構ショック。
完全に切れていたのは片側だけで、まずは、ビニールテープで巻いてさらに最後はテーピングを巻いた。これはモコモコさんによれば、ビニールテープだけだと、低温化ではすぐに切れてしまうのでテーピングでビニールテープを保護するといいのだそうだ。もう片方は少し亀裂が入り始めていただけだったが、モコモコさんからの「傷は浅いうちに手当てしないと大事になるよ」との忠告におとなしく従った。
かなりぐるぐる巻きにしたので、引っかからないか、これから家形山への今日一番の登りが待っているので、ラッセルが困難にならないか不安だったが、調子は良さそうだ。この処置は、旧吾妻スキー場トップでシールを外すまでビクともしないでいい調子を保ってくれました。
そんなこんなで騒いでいるうちに、雲はどんどん迫ってきて、やがて雪が舞い始めた。
家形山の登りに入り、最初は方向を定めるために、米沢側の崖沿いで出来るだけ樹林の薄い所を選び、ある程度方向が定まった時点で、潜らないように風が当たる斜面で樹林の間隔が広い所を探しながら登って行った。
先頭を交代で登って行くと、思ったよりも早くに傾斜が緩んだ。さき程あれほど綺麗に見えたのは嘘だったかのように、ガスと風雪で視界が悪くなってしまった。
山頂台地の一角に着いたらしい。
この時点で14:00過ぎ。このまま高湯に今日中に下山できそうだが、油断は禁物。山頂台地は思ったよりも広く、迷いやすいため結構通過に時間がかかるのだ。
米沢側の崖を見ながら五色沼の見える所へ行く作戦で山人先頭で進んだ。モコモコさんから、もう一段上がって平坦な所を進むように文句を言われたが、方向がはっきりわかるし、一段下の方が樹林の間隔が広いので、無視して進んだ。そんな矢先、木の周りにある段差のところで事件発生。
後続のモコモコさんの総重量に耐えられなかったか、段差が崩れて転倒して木周りの穴に落ちていた。
板を外そうともがいていたが、なにしろアリ地獄のような所だ。重心が完全に落ちているようで、もがけばもがくほど外すことができない。板をはずしてあけると、なんとか体勢を立て直すことはできたようだが、下は完全空洞なので今度は這いあがれないらしい。以前同じような(このときは隠れた亀裂にはまった)見ときに写真に撮ったら怒られたので、黙って見守っていたが、見ていると面白いのでつい笑ってしまった。案の定怒られた。同じ怒られるのだったら、写真を撮っておけば良かった。
ようやく這い上がったモコモコさんは、怒り収まらずで、ルート変更を余儀なくされた。
渋々従って一段上の台地に上ると、樹林は濃いものの、確かに先ほどのような事態は起こらないような雪面になった。そのまま同じ方向に進めばよかったのだが、樹林の濃いところを避けてこれならどうだとばかりに大きく方向を変えたので、行く先が分からなくなってしまった。
元のルートへ戻ろうと台地の一段下へ降りようとしたが、モコモコさんの怒りに火を注いでしまったので少し歩きにくいのを我慢して行くが、方向が合っているような違っているような微妙な感覚のまま。
モコモコさんに方向を指示されて進むと、樹林がふとなくなり眼下にはぼんやりと五色沼が見えた。家形山の肩も見えた。ここまでくればルートに戻ったことがはっきりと分かる。
時計を見ると、既に15:00前。気象条件がよくてラッセルなし雪質よしならばいいが、今日の条件では高湯発のバスに間に合わない可能性が高くなってきた。
とにかくここには留まっていられない。予定ではガンチャン落としを降りて家形山避難小屋で休憩するつもりなので、小屋に着いてから相談しよう。
ここは、大倉深沢から噴き上げてきた風がビュービュー吹いているところなので、これまで降った雪は飛ばされており、着いている雪も硬くパックされている。
一度南へ滑り下りて、五色沼の淵をトラバースするのが一番いいルートであるが、こういった風の時はトラバース斜面もカリガリで結構苦労しそうだ。
同じ苦労なら、そのままカニさんで下りようということになって、ひたすらカニさんで高度を下げる。
いつもと逆ルートであるが、通り慣れている所だと視界があまり効かなくても自分のおおよその位置がわかるので少し楽な気がする。
転滑落の危険がなくなったところで、そろそろと滑り下り、そのままガンチャン落としへと突入。これまで何度も通っているが、スキーで下りるのは初めてだ。
登った経験から言うと、上方はいつもガリガリだったりであまり雪質がよくない気がしたが、寒気が入って低温下で降雪が続いたいたお陰か、フカフカで良く滑る雪質だった。シールを付けたままであるが快適に下りてこられた。モコモコさんも珍しく一度も転倒することなく降りてきた。今まで通った中で一番いい雪質だった。
小屋近しの目印となる岳樺の木を通過して無事家形山避難小屋に到着。相変わらず、小屋はガンチャン落としを降りて傾斜が緩やかになり風も穏やかになった辺りで辿りつける(ただし、場所を知っていないとそのまま通り過ぎてしまうかもしれない)絶好の場所にあるな。小屋外の温度計を見ると-12℃だった。今日は昨日よりもずっと暖かいが、それでも-10℃を下回っており、晴れ間は一瞬だったのだから雪質がよかったわけだ。
雪が本格的に降ってきていたので、早速中へ入ろうと入口を除雪して扉を開けようとするがなかなか開かない。更に念入りに除雪してケツ圧を利用してなんとか開けることができた。
中に入ると雪の断熱材のお陰か、ほんのり暖かい。これが谷地平の避難小屋になると、だだっ広いこともあっていつも外よりも寒く感じるのが不思議だ。
時計を見ると15:00を過ぎており、バスに間に合うか本当に微妙な時間。昭元山手前の彷徨が響いた。
急いで怪我をしては元も子もないので、おとなしく泊まることにした。
そうと決まれば、明りとりのための窓の除雪やトイレ作りと色々忙しい。泊まりの作業に励んでからゆっくりと落ち着いた。
明月荘で予備日の分を計算して食糧を分け直しておいてよかった。のんびり過ごして、お腹を満足させることができた。
いつも家形山避難小屋に泊まるときは、入山初日の宿泊となって寒さに耐えられずに小屋内でテントを張って寝るのだが、2晩も強烈な寒さの中で過ごしたお陰で寒さに少し慣れたのか、気温がぐーんと上がった今晩はテントを張らずに寝ることができた。
2月12日(晴れ)
コースタイム;家形山避難小屋6:18〜山鳥山7:32〜旧吾妻スキー場トップ7:45/8:10〜高湯花月ハイランド9:10
パッキングの時間等を考えて、10:00のバスに間に合うように早めに起床した。
昨日降った雪はまだ止んでいなかったが、これから天気はどんどん良くなるとの予報だ。
朝食を済ませて、掃除やら出発準備をしているとほぼやんだ状態になった。
モコモコさん先頭で出発。小屋から数10m先でなんだか転倒している。
何でもない所というか、とても快適な所で転ぶのは理解できない。一応言い訳を聞いてあげると「枝を左右どっちによけるか迷っていたら転んだ」とのこと。
ルートは最短距離になるように、小屋からは沢を渡った後一旦下り気味に進んで登り返すことになるのだが、下りは傾斜があまりないため今日は下りラッセルになってつらそうなので、距離は長くなるが、同高度を保って行くことにした。
これが正解だったようで、ラッセルする距離は長くなったが、疲労はほとんどなかった。雪質が軽かったのも大きかったと思う。
追分までくると、入山して初めての朝日と御対面できた。雪面が赤く染まってとても美しかった。
小さな雪堤を少し進んで段差のないところを探して下りた。
慶応山荘分岐へは回り道のようだが、このルートだと小さな登り返しがないので我々には楽なのだ。
山荘の分岐にある「命惜しんで定休日」のお知らせが、火山活動による入山規制のために山荘の営業が休止となっているせいか、なんだか別の意味で妙に納得した。
雪が軽いので、シールを外してもよさそうな感じもするが、ここは山モコスタイルを貫いてシールを着けたまま下降に入る。
あっという間に井戸溝に着いた、井戸溝の橋は完全に埋まっていた。
どんどん標高が下がって、太陽は登って、寒気は去って行ってと、入山してから状況が全く逆の方向へと変わって行くので暑くなった。一枚脱いでいくためモコモコさんに先行してもらった。
雪質がいいので、モコモコさんにはモコモコさんなりに楽しんで一生懸命進んだらしいが、一番手で滑って楽しいということは二番手は更に良く滑る。あっという間に追いついた。
シールを外すと重荷ではかなり大変な湯の平の小さな登りもシールは付けたままなので簡単に済ませて、山鳥山まで順調に進んだ。
山鳥山の割れた標識はまだあるかなと見に行こうとしたらうさぎさんの足跡がくっきり残っていたのに気が付いた。うさぎさんの足跡自体は、吾妻では足跡どころかその主本体を見ることも結構あるので「あ-兎さんの足跡だ」位にしか思っていなかった。所が近づいて良く見ると、足の指や肉球まではっきり残っていた。今回の山行では、兎さんを見られなかったのでうれしい。
写真を撮って山鳥山から旧吾妻スキー場へと方向を変えた。スキー場へ向かうのは久しぶりだ。
登山道と別れてすぐに、スキー場跡へとの標識があった。ついでに取りつけてくれたのだろう。
快適に滑って行きスキー場トップへ出た、と言いたいところだが、たった2年こないうちに木もどんどん成長していてどこが昔のゲレンデトップかわかりずらくなっていた。
少し先へ進んで、ようやく見覚えのある地点に出た。ここからはさすがにシールは外していく。
外すついでに行動食をつまんだ。
重荷で整地されていないところを滑るのは今シーズンは今日初めてだ。転ばないよう、雪質を確かめながら慎重に下りた。
少し傾斜出てくる所は、ますます灌木が成長していて、灌木には以前見かけなかった赤布がつけられていた。日当たりがいいので、数m場所が変わっただけで雪質が全く違うが、なんとか無事に滑り下りて後続のモコモコさんを待った。
なんだかずいぶんと遅れてきて、小刻みに稲妻ターンを繰り返して下りてくる。ずいぶん遅いなと思っていたら、2回も転倒したとのこと。
ここまでで2回も転ぶとは、この先旧ゲレンデ一番の急傾斜(沢横断の手前)は大丈夫かと心配したが、以外にもモコモコさんの方がスムーズに先に下りてしまった。
ここまでくれば、あとは緩やかな斜面を残すだけだ。良く滑るスキーにのって旧第二リフト乗り場まで来ると、山友から聞いてはいたが、リフト小屋が見事にひっくり返って雪をかぶっていた。人の手が入らないとこうやって廃れていくのだな。
第一リフトの旧ゲレンデまで移動した所で、「一回ぐらいはちゃんとターンしてみよう」とモコモコさんが先行していった。本当に珍しくターンを決めていた。それに釣られて格好つけて滑ってみたが、重荷のため制御きかなくなり暴走しそうになって焦った。やはりスキーの時に色気を出すものではないな。
いつもはそのまま旧旧ゲレンデともいうべきかもう少し下まで滑って行くのだが、最後のスカイラインへ登所が嫌だとモコモコさんが言うので、スカイライン沿いに行くことにした。
最初はトレースもあって良く滑ってキャッホー状態だったが、すぐに歩きになってしまった。歩きになった途端暑くて汗が出てくる。「あーあ、あのまま滑って行けばよかったよ」と文句が出てくる。「じゃあ、私が先に行くよ」と先頭をモコモコさんが代わった。
2番手になると多少はましだが、それでも滑らないのは同じだ。不満タラタラだが、そのうち傾斜が出て滑るようになり、スキー場をそのまま降りてきたときにスカイラインに出るルートと合流した。
この先は再び傾斜がなくなって歩くのは変わりないが、ここまでくればゲートは間もなくだ。
日差しがでてきて、帽子をかぶった頭から湯気が出そうになりながら行くと、高湯の登山口、そしてゲートだ。
登りの時は、ゲートの付近で花月ハイランド脇にでる小道からスカイラインにでるのだが、下りならば圧雪されている分スカイラインを行く方が早い。
思った通り良く滑った。スカイライン有料時にあった料金所手前のカーブは日当たりがいいのでアスファルトがほとんど出ていたが、道の端にはまだ雪が着いていたので板を一度も脱ぐことなく花月ハイランドに到着した。
到着時間は予定通り。
天気がいいので、板やブーツを乾かすことができ、パッキングを丁寧にすることができた。
風もなくポカポカでまるで春だ。これで温泉に入って帰ることができれば最高なのだが、バスの時間と日帰り入浴の時間帯が合わない。頻繁に温泉地に来ているのに、温泉に入って行けることはめったにない。バスと入浴の時間を少しずつずらしてくれれば温泉に入って帰ることができるのにな。
平日なので、姥堂まではほぼ貸し切りになるかと思ったのとは裏腹に、次のバス停で乗ってきた帰りの宿泊客でほぼ満席となった。
そのあとも次々と乗車してくる人があり、最後は立つ人まで出た。
この路線でこんなに混んだのを見たのは初めてだった。
ブーツを送るついでにスキー板も送った。在来線各駅停車で帰ることも考えたが、早く帰ってゆっくりしたい気持ちの方が大きかったので、久しぶりにお金で時間と快適さを買うことにした。駅の極楽湯で汗と汚れを落として、おつまみと乾杯用のお酒を買い込んで、新幹線でゆったりと山の思い出話をしながら帰宅した。
登山メモ
MSRシマーライト
887mlボトル×1 全部使用
887mlボトル×1 260g余り
650mlボトル×1 全部余り
予備のガス250缶は未使用
夕食はアルファ米(赤飯)と鶏鍋、大根スープ、ペミカンシチュー等の汁物。
ゴアライトXとフライ
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トレースがばっちり残っていた |
しばらくトレースを外して登る |
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雪面が堅く後ろ滑りする |
磐梯山が綺麗に見えた |
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西大巓から既に西吾妻山方面へ向かっている人あり |
続々と登ってくる |
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西大巓 |
中吾妻山方面 |
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西大巓から下りるモコモコさん(Mさんの奥様も写してしまいました) |
西大巓を背後に西吾妻小屋へ登り返す |
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西吾妻小屋と西吾妻山 |
西吾妻小屋 |
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氷漬けとなった吾妻神社 |
旗竿(普通はデフ棒というのかな?) |
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中大巓 |
梵天岩からの下り途中で主稜線を見る |
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大凹から中大巓をほぼ巻いた |
人形石の斜面を巻き下りてくるモコモコさん |
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藤十郎 |
藤十郎傍のピーク |
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明月荘が見えた |
予定よりも早く小屋に着いて一安心 |
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1階入り口を掘り出すのは大変そうだ |
2階入り口を除雪して入った |
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東大巓がうっすらと見えた |
寒気が下りてきたのか風が強くなってきた |
2日目は、停滞のため小屋内や小屋周りからの撮影 |
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トイレの窓から雪が・・・→除雪して施錠した |
停滞なのでお茶を飲む(MSRガソリンコンロは厳冬期には特に心強い) |
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外が明るいので冬季用入口を開けてみた |
一時的に天気が回復したが、風は収まらず |
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夕方やっと一時的に風も弱まった |
山での一番楽しい時間、夕食 |
2/10は、山行中一番天気が悪く寒かったので特に活動もせず写真もなし |
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やっと脱出できる |
久しぶりの青空 |
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出だしの視界はよかったが・・・ |
すぐに視界が悪くなってしまった |
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視界が悪いので、東大巓からの下りは要注意 |
数少ない稜線の雪堤 |
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昭元山との鞍部へ下降(この雪堤で確実にルートにのったことがわかる) |
昭元山の登り |
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昭元山 |
最初は段差のある雪面下り |
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昭元山の下りは楽しい |
烏帽子山方面 |
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昭元山を振り返る |
烏帽子山の巻きに入る |
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烏帽子山巻きの途中から 谷地平と大倉川小滝のV字がわかる |
木の合間を縫って烏帽子山を巻く |
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振り返ると烏帽子山が見えた |
米沢方面 |
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ニセ烏帽子山山頂 |
ニセ烏帽子山から籠山稲荷方面 |
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家形山まで実際の距離よりも遠く見える |
無積雪期には何でもないところが雪のドームになっている |
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家形山には雪雲がかかっている |
波打つ雪面にトレースを付ける |
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兵子 |
トップの金具が完全破損 |
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五色沼を確認 |
家形山の肩も確認 |
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カニさん歩きで高度を下げる |
いつもの如く風が凄い |
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カニさん歩きを済ませて鞍部までもう少し |
ガンチャン落としを初めてスキーで下ります |
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大根森が見えた |
あの岳樺が見えればもうすぐ小屋だ |
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稲妻ターンでとろとろ下りてくるモコモコさん |
雪が本格的に降ってきた中、小屋に到着 |
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入山して初めて迎える穏やかな朝 |
硯石付近 |
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慶応山荘分岐付近 |
慶応山荘は命惜しんで休業中 |
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井戸溝の橋は完全に埋まっていた |
綺麗な輪郭だ |
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肉球まではっきり残ったうさぎさんの足跡 |
この天気を2/9,や2/10に分けてほしかった |
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久しぶりに来た旧吾妻スキー場トップ |
最初は緩斜面だが、雪質がめまぐるしく変わる |
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ずいぶん育ったなあ |
珍しく調子がいいぞモコモコ |
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まだ十分使えそうな旧バニーハット |
高湯登山口 |
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