飯豊連峰
加治川ダム〜湯の平温泉〜おういんの尾根〜北股岳〜川入
〜飯豊の解禁ルートへ〜
2009年10月9日〜10月12日

 当初は沢登りの予定だったが、天気がよくない予報。
 雨の量はさほどでもなさそうだが、なにしろ連休中の気温が低い。
 これでは寒くて大変だということで、急遽縦走に変更した。
 そこでモコモコさんは、久しぶりに谷川連峰でしかもこれまた久しぶりの快適な茂倉岳避難小屋に泊まって宴会しようと画策していた。
 そんなウキウキ顔のモコモコさんに「その頃小屋は工事中だよ」と話すと、(ノ゚ο゚)ノオオオオォォォォーーーッと絵にかいたような顔に一変した。
 ショックから抜け出していないモコモコさんが「それじゃどこにする?」と聞いてくるので、「飯豊がいいな」と答えると、すぐに「それじゃ、おういんの尾根にしよう!」ということでいつものように鶴の一声で即決し、これに山人の希望を加えた「川入まで縦走する」プランとなった。


アプローチ

東京駅6:08−新潟駅8:16/8:39−新発田駅9:09/9:?(忘れました)−加治川ダム9:50

コースタイム
1日目
加治川治水ダムゲート10:15〜掛留沢出合12:20〜北股川吊り橋13:06〜湯ノ平山荘13:47(泊)
2日目
湯ノ平山荘6:15〜鳥居峰7:22〜雨量観測小屋10:55〜北股岳13:27〜梅花皮小屋13:47(泊)
3日目
梅皮花小屋11:44〜御西岳避難小屋(以降御西小屋とする)14:41(泊)
3日目
御西小屋5:27〜本山小屋6:53/7:10〜切合小屋8:23/8:45〜三国小屋10:13/10:28〜川入御沢キャンプ場13:43



一日目 10月9日(天気;曇りのち雨)
コースタイム
加治川治水ダムゲート10:15〜掛留沢出合12:20〜北股川吊り橋13:06〜湯ノ平山荘13:47(泊)


 急遽決定したため前夜用意に時間がかかったが、予定通り当日朝自宅を出発できた。
 台風一過で東京は、いい天気だ。新潟までぐっすりと眠っての移動。
 新潟も雲が残っているところもあるが概ね晴れている。ところが新発田へ向かうにつれ、だんだん雲が広がり空も暗くなってくる。
幸いにして雨は降っていなかった。
ダム堰堤までタクシーで入った。
蒜場尾根を登りに来て以来だ。あのときと同じように少しガスがかっている。
支度をしていると、待ち構えていたかのように雨が降り始めた。初っ端から雨具を着用する。
モコモコさんが、駐車場のところにあるトイレに寄るというので、山人が先行する。

ゲートは頑丈で、ゲート脇に人一人がようやく通れるような通路があった。
林道を歩き始めてまもなく、雨がやんで日が差してきたので雨具を脱いでもいいかなと思いながら歩いていると、突然ゴーッという風が吹いてまた大粒の雨が降ってきた。

雨はすぐに小降りになったが、どうやら雨具は着ておいた方が無難なようだ。
途中にあるサイレンスピーカーから警報が鳴った。ダムの放水かな?と思ったが、鳴ったのは一回だけだったので違うらしい。後でわかったが、大雨洪水に注意の警報だったらしい。

そうとは知らず、後を歩いてくるモコモコさんを待って合流してから再びてくてく歩いて行くと、キノコ採りに行ってきたという男性に会う。
おういんの尾根を登るというと、鳥居峰付近のトラバースに注意(滑落すると北股川へ直行となり危険)、上部はササ藪がひどく迷うので中峰までの往復にしておいたほうがよいとのアドバイスを受ける。
最後に湯の平山荘には管理人が入っていて、管理人は死ぬほど暇しているので相手をしてやってほしいと言われた。

これを聞いてモコモコさんは途端に弱気になり、引き返してオンべ松尾根に変更しようといってくるが、いけるところまで行ってみると説得し先へ進む。

全くやまない雨の中、よく手入れされた林道を歩いてようやく掛留沢の広場へ到着。
広場には管理人さんの車が一台駐車されていた。
加治川沿いの登山道は、よく手入れされていて歩きやすい。
また、小沢を横切るので、水筒いらずだ。
雨の中なのできちんと見られなかったが、ブナ林の中を快適に歩くところもあり、なかなか楽しい。
ただ、雨の中なので滑らないようにだけ注意していけばよい。

北股川の吊り橋もしっかりしている。
北股川、飯豊川ともにさすが飯豊中最難関の沢だけあって水量が多く、渇水期であるにも関わらず、朝日連峰の夏の三面川を思わせるような流れだ。
吊り橋を渡ってからの急登をこなしてから今度は急下降すると、屋根が見えた。
途中渡った小沢は、なんと温泉の沢だったりして、期待が高まる。
見えた屋根は、お風呂で小屋は少し先にあった。

小屋へ着いて水汲みをしてから温泉へと向かう。
管理人さんの話によると、男湯は入ることはできるが、整備が終了していないということで公式には女湯を時間帯で区切って男女入れ替えで入ってもらうことにしているとのことだった。

気温が低い雨の中を歩いてきて、体が冷えてしまったので早速温泉に入りに行く。
お風呂には脱衣所となるように板が引いてあり、全体に屋根がかけてあり、雨が降っても濡れることなくゆっくり飯豊川と見下ろしながら入ることができた。くせになりそうだ。
その後暇で死にそうな管理人さんと話をして過ごした。

明日の天気が気になるが、夜寝る頃には星が見えた。

余談だが、管理人さんから聞いたものを含む湯の平山荘にまつわる話を少々。
・吊り橋について−シーズンが終わるとはずすらしい(今年は11月にはずすということだが、正確な日にちと、どの程度まではずすのかまでは聞かなかった)
・小屋の水場について−シーズン中は対岸の小沢からひいている冷たい水が豊富にでている。この水は「やおきの泉」といわれ、おいしい水ということで定評がある。
・キャンプ場について−きれいに藪が刈りはらわれていたので、テント泊でも快適だ。
・雨のため我々は行かなかったが、男湯も入ることはできるらいい。
・オカルトネタとして、水場そばにある慰霊碑の由来
  身請けされた美人の芸者さんが、旦那さんに連れられてきたが、飯豊川へ落ちて溺死してしまったらしい。
  その後、山荘に入った管理人さんは、「のどがかわいた、水ください。」という声に悩まされ、お酒を飲んで体を壊すことが多かったらしい。  そこで慰霊碑を建てたとのことだ。

頑丈なゲート 北股川を吊り橋で渡る
湯の平温泉 女湯 もちろん源泉かけ流し 飯豊川を見ながら湯船に浸かっていられる


2日目 (天気;くもりときどき晴れのち雨)
コースタイム
湯ノ平山荘6:15〜鳥居峰7:22〜雨量観測小屋10:55〜北股岳13:27〜梅花皮小屋13:47(泊)


心配だった雨はやんでいる。

小屋すぐ裏のいきなり急登で始まる尾根にとりつく。
急なこともあるが、藪がかぶっていることもない。
登り始めてすぐに梯子や鎖がでてくる。
とにかく急な尾根なため、尾根の左の弱点を縫うようにして登りつづけること約40分ほどではっきりとした尾根の形状になる。
尾根上を歩くようになってから、ときどき山腹を横切ったりしながらさらに登ると突然視界が開け、鳥居峰に到着する。
ここの展望は素晴らしく、烏帽子山から大日岳へ続く蒜場尾根がよく見える。あいにく上部はガスがかかっていて完全には見えなかったが、晴れた日には最高の展望となるだろう。

鳥居峰からがくんと下り、山腹を巻くように進む。
今は秋で、草もかなり涸れてきているので踏み跡がよくわかるが、多い茂っているときは踏み跡がみにくくなるところもありそうだ。
何箇所か少し足場が崩れているところがあったので、慎重に通過して尾根に戻る。

足元を見れば、左に北股川、右に飯豊川がよく見え、尾根にいながら2本の沢を同時に遡行しているような気分になれる。
登山道が尾根に戻ってからは、標高850〜900mあたりを思ったよりも長く歩くことになるので、この景色を見ながら行けるのは気分的に助かる。
良く踏まれた尾根が再び標高を上げ始めるあたりで、サルに遭遇。
うらやましくなるような身のこなしでサルは逃げて行った。

尾根が二重山稜のような形状となりはじめるところに、標識が落ちていた。
ここから涸れ沢のようなところを少し登り、小さな二俣となるところに赤布があった。赤布に従って右に入ると、小さな湿地となる。
ここから今度は尾根の右寄りを進む。尾根にはっきり戻りまではゆるやかな登りだ。
再び尾根上に戻って一登りしてようやく滝見場。
ここまで標高差の割りに距離があるので、結構時間がかかってしまった。
滝見場は狭いのでのんびり休憩というわけにはいかないが、それでも50m不動滝の眺めをおおいに楽しんだ。

このあたりからは、比較的効率よく標高を稼いでいく。
途中地図にも載っていない小さな池を通過して、雷清水はどこだったのかとモコモコさんと話しながら進むと、雨量測定小屋が見えた。
ここでとうとう雨がぱらつき始めた。
小屋の近くはきれいに刈りはらわれていて、テントも何張りか張れる場所だ。
モコモコさんの「早く登ってしまおう」の声がうるさく、水場の確認はしなかったが、快適に泊まれそうだ。

小屋から先は、想像したような藪は全くなかった。
小屋から登り始めて10分もしないうちに本格的に雨が降り出した。
上下とも雨具を着込む。
途中のササが少しかぶる程度のところがあるだけで歩きやすい登りをこなすと、ようやく森林限界だ。

樹林をぬけるとやはり寒いので、手袋をする。
雨は小ぶりになったが、風が冷たい。
視界がきかないが、キノコ採りの方が話していたような藪はまだない。
道は常にササと岩場か砂地又は草付きとのコンタクトラインをとっていっているので、藪に埋もれているところはなかった。

いつ藪に突入するのかどきどきしながら登っていくと、ガスの中にぼうーっと指導標が見えた。
どうやら藪こぎすることなく抜けられるらしい。
最後の10mほど藪とはいえないような脛くらいまでのササを歩くと北股岳だ。
今回手入れされていない登山道ということで、補助ザイルとスリング&カラビナ数本を持参し、藪こぎを想定して、上部はプラス3時間ほど余計にかかる見込みで計画を立てていたが、持ってきた道具は全く使用せずに済んで、時間も概ね閉鎖前の通りの計画でこなせたようだ。

山頂では、ゆっくり歩いてきた道を見下ろしたり周りの展望を楽しみたかったが、ガスでまったく何も見えないので冷たい風の中記念撮影だけして梅花皮小屋へ向かう。
直前に近づくまで小屋がわからないくらい濃いガスの中、悪天候の割にはスムーズに小屋に到着することができた。

小屋には先客4人がおり、我々が水汲みから戻ったところで10人ほどのパーティが石転び沢から到着した。
その晩は結局、梶川尾根を登ってきたという4人パーティが最後で、この4人パーティは最終日はダイグラ尾根を下降する予定で、その前に大日岳を往復して、本山小屋は混むだろうから御西小屋へ泊るということだった。

天気がよくないせいか、宿泊者数が少なく、小屋を広々と使わせてもらえたが、反面とても寒く、シュラフに早々と包まっているうちにこれまた早々と寝てしまった。


急登が続く 鳥居峰に出ると先がようやく見えるようになる
鳥居峰からは蒜場尾根がよく見える右上の尾根が複雑に出ている山が烏帽子山。残念ながら標高が高いところ(左上)にはガスがかかり見えない
緩やかなアップダウンが続き、なかなか高度を上げない。 北股川の大釜が見える
先を眺めると、標高1400m付近からは紅葉で染まっている 滝見場から飯豊川不動滝(50m)を見下ろす
池が出現した 素晴らしい道だ
雨量測定小屋。無情にも雨が降り出した 後ろを振り返ると、一瞬ガスがとれた。
刈り払いをしていたのでは?と思うほど登山道は歩きやすかった 梅花皮小屋の水場は豊富に出ていてありがたい


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