朝日連峰 
大井沢〜石見堂岳〜赤見堂岳〜障子ケ岳〜天狗小屋〜二ツ石尾根〜狐穴小屋〜以東岳〜大影境〜枡形山〜白岳〜常願寺山〜大鳥
後編 

コースタイム

4月30日(曇りときどき晴れ)
天狗小屋6:51〜二ツ石山9:47〜二ツ石山鞍部(水場標識)10:30〜高松峰13:44〜狐穴小屋14:30(泊)

5月1日(晴れ)
狐穴小屋6:00〜以東小屋8:36/9:13〜1446mピーク11:30〜化穴山12:54〜大影境14:22〜1278mピーク先の鞍部16:15(幕営)

5月2日(くもりときどき晴れ)
幕営地4:51〜枡形山6:10〜白岳手前1254mピーク7:19〜白岳8:36〜西ノ俣沢への乗り越し9:40/10:11〜1003mP12:18〜1004mP14:39〜猫渕沢源頭鞍部13:08〜常願寺山14:39〜953mピーク15:50〜林道出合17:00〜ゲート(蘇岡発電所)18:21〜大鳥(旅館朝日屋)19:27




5月1日(晴れ)

狐穴小屋6:00〜以東小屋8:36/9:13〜1446mピーク11:30〜化穴山12:54〜大影境14:22〜1278mピーク先の鞍部16:15(幕営)

快適な小屋泊まりが2日続いたおかげで大分疲れが取れた。
今日から後半戦。相変わらず天気予報では下山予定日の天気が悪く、しかも大雨になりそうなことを言っている。今日明日でどれだけ進めるかが勝負になりそうだ。
予定通り笹原山と甚六山の往復をやめてとにかく先へ進む作戦でいく。

できるだけ早立ちしようと思っていたが、快適さに負けて結局出発が6:00になってしまった。
同泊した3人の方は今日は大鳥小屋へ行くそうだ。ルートは以東小屋から大鳥池への直登(下降)コースを降りて大鳥池を横断するとのことだ。
我々が一足先に出発。最初は残雪歩きだが、夏路も結構出ているので、夏路が出ているところは極力夏路を行く。
笹原山が魅力的に見えるが、ここは通過して以東岳への登りにかかる。以東岳への登りは全て夏路が出ていた。

後ろを振り返ると3人の姿が見えた。さらに後ろには2人の姿があった。3人パーティもさほどゆっくせずに出発したらしい。また、安達さんとしょーこさんも今日は以東岳までお散歩に出たらしい。
以東岳山頂へ近づくにつれて風も強くなっていく。山頂へ着くと完璧な白熊の毛皮状態の大鳥池が見えた。
山頂は風が強いので写真だけ撮って小屋へと急いだ。

小屋前からオツボ峰方向を見ると思ったよりも雪がついていない気がした。
昨日安達さんが、今年は確かに雪が多かったが風が強くて標高の高いところには逆に雪付きが悪かったといっていたので、そのせいかもしれないと思った。
小屋は予想以上に出ていて、1階から楽に出入りできた。またトイレも使えた。
小屋内で、休憩がてら風が強いので防風対策をとった。小屋ノートを見ると、つい2週間前に蘇岡発電所から登り、これから我々が行くルートを山スキーで逆走してきた記録があった。登りであるのに2日で小屋まで入れたとあるので、下りベースなら我々でも予定通り行けるだろう、下山後は朝日屋さんで打ち上げ確実だと欲が出てきた。

少し長居をしてしまった。
強風の中出発。天気が良いので風が強くてもあまり気にならない。
もったいないくらいに一気に高度を下げて行く。ずっと雪面が続くので、いつも笹を掴んで急下降するところは今年は雪が多いからないのかな?とモコモコさんと話しながらいくが、やはりその場所はあった。
昨年通った時にも今年同様の大雪でしかも降雪があった直後で笹が出ていたのだから、今年に限って笹が出ていないということは確かにないな。

一下りして小法師山へと向かう途中後ろを振り返ると、3人パーティが尾根を下っているのが見えた。なかなか格好いい。
先ほどまで同じところを歩いていたのに、わずかな距離で大きく行き先が変わるのは不思議な気がする。
見た感じ、下りといえども傾斜が急で大変そうな感じがした。

1446mピークへ登る前に休憩をとる。もうすぐ御昼なので12:00前の天気予報を聞くために時計のアラームをセットしておく。
また、ピーク直下が急なのでピッケルを出していくことにした。
登りにとりつく直前に西沢を見下ろすことができたが、西沢は下りやすそうな雪の斜面となっており、快適にわずかな距離で大鳥池に降りられそうで、このまま大鳥池に降りたい誘惑に打ち勝つのが大変だった。

1446mピークになると大鳥池は完全に見えなくなる。ピークから少し降りたところでアラームが鳴ったので、尾根が少し広いところでザックを降ろした。
期待に反して天気予報は今晩までのことしか言わなかった。拍子抜けして化穴山を目指す。
近いようで遠いのがここからの化穴山。昨年は綺麗な雪稜だった所も、今年は急に暑くなったためか雪堤が割れているところが結構あった。
とうとう3回目の化穴山登頂。
山頂は今年も地面が出ていた。ここまで来ると、大影境から桝形山さらには白岳まで見える。気になる常願寺山はまだ見えない。
なんだか思ったよりもヤブが出ているというのが、口には出さなかったが正直な感想だ。

化穴山直下のヤブを横切って大影境へと踏み出す。もったいないくらいぐんぐん下っていくと、突然逆方向から単独の男性が現れた。
まさかこんなところで人に遭うとは思っていなかったので、お互い驚いた。
逆から来たということは、我々の行き先の情報の持ち主ということで、ずうずうしくも色々を質問をしてしまったが、親切なその方は嫌な顔一つせずに丁寧に答えてくれた。
ところが、「・・・ヤブコギ・・多い・・・・」の言葉にモコモコさんが激しく反応した。
「天気も長く持たないし、藪じゃ時間がよめない、引き返す」と主張するモコモコさんに、「逆から、しかも登ってこられたということは下りベースなら大丈夫、絶対行く」と強く反論するという言い争いに、親切なこの方を巻きこんでしまった。
しかも、更に申し訳ないことに「大影境あたりもヤブですから、その辺りを歩いて様子をみて駄目だと思ったら引き返しては?」と仲裁役までさせてしまった。
静かに単独の山を楽しんでいたのにこんなことに巻き込んでしまい、とんだご迷惑をおかけしました。この場を借りてお詫び申し上げます。(反省)

単独の方と別れ、ブツブツと文句を言うモコモコさんを後ろに従えて大影境へ向かう。
大影境までは昨年も行って様子が分かっているので、モコモコさんもまだ行く気が残っていた。ヤブになるとどうしても枝の杖が引っ掛かって抜けられなくなるので、これまでお世話になった杖にお礼を言って別れを告げた。
止まるとモコモコさんが「やめよう」としつこく言ってくるので休まずに進む。大影境直下は雪堤が使えるがすぐに途切れてしまうのでヤブと雪堤を乗り変えながら進む。ヤブにはカタクリの花が咲いていたが、そこしか足の置き場がないので花に気を使うことはできなくなった。
肩になると、完全にヤブを行くことになる。確かにヤブがうるさいが思ったほどではなかった。
大影境の肩を過ぎると少しずつではあるが再び雪堤も使えるようになってくるのと、先に尾根が広がった白い稜線が見えたのでモコモコさんの文句もなくなってきた。

実際白い稜線に着くと快適な歩きとなり、モコモコさんからは「なんだかここは飯豊の門内二王子尾根の千石平万石平に似てるね」というまんざらでもない言葉が出るようなった。どうやら機嫌が直ったらしい。
1264mピークを過ぎた辺りでそろそろ幕営地を探すことにした。モコモコさんは1278mピークの北面の台地に予め目星をつけていたようだった。遠目に見ても平らな台地に見えたので取りあえず近くまで行ってみることにした。

実際近づいてみると、登り返しも億劫そうだしブロックが落ちてきそうな気がした。それよりも少し先のヤブがある雪堤上に気がひかれた。モコモコさんも同意見だったようでそのまま台地には下りずに通過した。1278mピークを過ぎてすぐのところが先ほど気がひかれたところだ。実際着いてみるといい場所だった。もう少し行動は出来るが、この先ちょうどいいところに幕営適地が見つかるかわからないので即ザックを降ろした。

丁寧に整地したのと、藪と背後の1278mピークがちょうどいい風除けになって快適に過ごせた。
天気予報を聞くと、明日いっぱい庄内地方は雨は降らないでいてくれるらしいが明後日(下山予定日)は全国的に雨になってしまうらしい。
しかも太平洋側は災害を伴うほどの降りになるところもあるそうだ。
当初の予定では稜線にもう一泊していくつもりだったが、なんとか頑張って降りようということになった。そして降りたところで焚き火でもしようかとモコモコさんに餌を巻いておいた。

モコモコさんは地形図を見ながら降りられるかどうか唸っていたが、とにかく明日歩かないことにはしょうがない。
明日に備えて早目に休んだ(つもり)。


5月2日(くもりときどき晴れ)

幕営地4:51〜枡形山6:10〜白岳手前1254mピーク7:19〜白岳8:36〜西ノ俣沢への乗り越し9:40/10:11〜1003mP12:18〜1004mP14:39〜猫渕沢源頭鞍部13:08〜常願寺山14:39〜953mピーク15:50〜林道出合17:00〜ゲート(蘇岡発電所)18:21〜大鳥(旅館朝日屋)19:27

昨日からの風がずっと続いて吹いているが、幕営場所の選定がよかったのか風に悩まされることはなかった。
いよいよ最終日。
まずは桝形山だ。桝形山まで30分程で着けると読んだが、モコモコさんは「ヤブが出てるしいくらなんでもそれはないでしょ。2時間くらいかかるかも・・・」と弱気だ。

出発してすぐに雪堤は途切れがち。これまでと違い、途切れているところは雪堤とヤブの間の隙間が大きくなっているので簡単に乗り移りできない。一か所ヤブとの段差が大きく荷下げをして降りたところがあった。
それもすぐに終りヤブ尾根歩きとなる。まだヤブは起き上がっていないのでつらくはないが、時間がかかる。
幕営地から見えた小ピークが桝形山の双耳峰のうちの一つだと思っていたが、実際は単なる小ピークで、地形図に現れない小さなピークがポコポコ出てきた。
ようやくこれまでより一段と高いピークになったので、これこそ本峰だろうと期待した。モコモコさんから「これが手前のピークだったりして。もう一つ向こうにピークがあるんじゃない?こういうのって実際はそうであって欲しくないことだったりするよね。」と不吉な言葉が。
実際登ってみたところ、やっぱり先にもう一つあった。これにはがっかりしてこれから登ってくるモコモコさんに「やっぱりもう一つあったよ」と言ってしまった。モコモコさんはそんなものだろうと思っていたらしく「やっぱり?」と意外にもショックはないようだった。

枡形山までもうひとヤブコギ。予想よりは時間がかかったが、モコモコさんが予想したよりも早い時間で順調に山頂到着。
山頂はヤブが小さく眺めもいいので風がなければゆっくりして行きたいと思った。
三角点を探したが、少し探しただけでは見つけることはできなかった。

桝形山山頂を少し過ぎると豊富な残雪がでてくる。
桝形山の肩は風も当たらなく絶好の休憩場所だったのでモコモコさんに休憩をとるか聞いたところ、もう少し降りてからにするということで先に進むと降りはじめてからは風が一気に強くなった。西ノ俣沢から吹き上げてくる風が直接当たるので少し降りても休憩場所には不向きだ。降り切ったところで再び雪堤状態になったあたりの北西面に風をよけられるところがあったので、そこで今日初めての休憩をとった。

まずはその名の通り真っ白な白岳を目指す。
1254mピークとその先のピークの間はヤブが結構出ていた。また、尾根がやせているので慎重に通過した。強風とヤセ尾根なので、このときだけはヤブに助けられていると思った。
1254mピークに来ると再び白い世界になる。後半ではこの辺りが一番快適なところだと思った。
1254mと白岳の間は飯豊の蒜場尾根の稲葉ノ平になんとなく雰囲気が似ていた。余裕があったら泊まっていきたいところだ。
この景色と、下山後に焚き火という餌にまんまと釣られたモコモコさんも機嫌が良い。

白岳から鞍部まで一気に下降となる。
尾根上はヤブが出ていたりするので、出来るだけ尾根から離れないよう気を使いながら雪堤のないところでは雪の残る北西面を使って降りた。
そのまま西側斜面を使う又は尾根上をヤブコギで降りれば良かったのだが、東斜面に緩やかな台地が見えたので東斜面を降りて雪堤が切れているところをトラバースしてやり過ごそうと色気を出したのが失敗だった。
実際のトラバース箇所は急な斜面で雪面も固く危険だ。
これはおとなしく尾根上に戻った方がいいと少し戻って登り返すが、雪面が固くキックステップがなかなか決まらず苦労した。
それを見ていたモコモコさんは、カッティングしてステップを切りなおして登ってきた。これまで順調に来ていただけに緊張してしまった。先に見える鞍部で休憩することにした。

鞍部は数年前桝形川側から西ノ俣沢へ乗り越したところだ。
あのときモコモコさんが良い森だねと言っていたところだ。残雪期の今はのどかな休憩場所となった。西ノ俣沢は豊富な水量で流れが見えていた。
いい所なのでついつい長居してしまった。

この辺りは化穴山や桝形山から見ると雪が落ちてしまってヤブコギが長くなりそうに見えたが、標高が低くても西側斜面に雪が付いていることが多く実際ヤブコギ区間はさほどなかった。すぐのピークの登り返しは尾根上の雪がすっかり落ちているので、西側斜面を使って尾根を回り込むようにして登った。その途中鳥の巣が近くにあるようだったので見に行ってみたが見つけられなかった。天気予報では今日は曇りと言っていたが、晴れ間も見られて視界もいい。天気の神様が味方していてくれるらしい。
いつもなら暑いと文句をいいたくなるところであるが、明日確実に雨になることを考えると、今日好天は心に余裕ができてありがたい。

1038.9mピークに向かって行くに従い、さすがに標高が低いのでヤブコギが多くなって時間がかかった。ようやく着いたピークが1038.9mピークだと思ったら実際は手前の1003mピークだったときは、まだこれだけしか進んでいないのかとがっかりした。
このピークの先は思ったより雪堤が付いていたところもあったが、すぐに雪堤が切れてしまうので藪に突入。
この辺りは、尾根上はヤブがからんだりして歩きにくいが、少し西側に降りたところはさほどヤブがうるさくなくうっすらと獣道のようなものがあったので、へたに雪堤をつないだり、そのためにヤブを漕いだりするよりも早く進めた。

獣道で結構進めた。1038.9m手前の小ピークの登りはさすがにヤブコギとなったが短い距離なので助かった。
1038.9m手前の小ピークと1038.9mピーク間はつかの間の快適な雪堤歩き。1038.9mピークからはまたヤブが多くなる。しかし桝形山や大影境付近のヤブと違い獣道のような感じでうっすらと踏み跡っぽいのがあり、ヤブが足元に絡みつくことなく歩けるので思ったよりも進んだ。気がつけば1010mピーク。
この辺りは飯豊の蒜場尾根の高立山付近にルート取りが似ている気がした。

1010mピークからの下りは中途半端な量で雪が残っていた。ヤブコギがないのはいいが、サクサク降りられず面倒だった。
下りきった鞍部は、いきなり木への切りつけが出て来る不思議な感じのするところだった。
「熊トル」とあるので恐らく猫渕沢を詰めて来たのだろう。ということは残雪期なら猫渕沢を特に危険なく降りて行ける、今なら明るいうちに大鳥に着けるのでは?と思ってしまったが、邪な考えでルート変更するとロクなことはない。急がば回れだ。時間がかかるが予定通りに常願寺山方面へと登り返す。

まずは、常願寺山の前に、名もなきピークを越えて行く。斜面に雪は付いていたが、雪面を歩くよりも傾斜が緩いところでは雪がないところを登った方が登りやすかった。常願寺山の前の名もなきピークは尾根が広いせいかしっかりと雪が付いていた。常願寺山への稜線は最後の最後まできちんと姿を見せてくれなかったので、雪付きの状況がなかなか分からずヤブコギの登りだといやだなと思っていたが、ほとんどヤブコギすることなく登れた。
しかし山頂は見事な藪。一応残雪もあるがあまり意味がない残り方だった。

ここまでくれば下りたも同然と喜んだ。が、現実はこれからが大変だった。
まずは953mピークまで40分もあれば着けると思っていたが、これまでにないヤブの絡み付きに時間ばかりが過ぎて行く。
頼みの雪堤は下の方や尾根からぐんと離れてしまっているところにあるので使えない。
ようやく雪付きがよくなってきてホッとしたのもつかの間、行先にヤブ状のやせた尾根がぐんと下がって登り返しているのが見えた。・・・・・・二人とも無言になってしまった。

常願寺山手前ピークでは、この調子だったら朝日屋さんに食事付きで泊まれる時間に降りられるのじゃないかと密かに思っていたが、明るいうちに降りられるかを検討しなければいけなくなりそうだ。とにかく林道に降りればなんとかなると思って頑張るしかない。
953mピークまで距離はとても短いが、ヤセ尾根であるのと尾根を跨いで生えている松の木が枝を横に張り出して通せんぼするのでサックにくくりつけたピッケルやらが引っ掛かったりして発狂しそうだった。

心ばかり残った雪上へようやく脱出して気持ちを落ち着かせた。
最初は猫渕沢左岸尾根を降りるつもりでいたが、同じ藪になるなら傾斜が強くなっても左京渕ダム脇の尾根の方が距離が短い方が良いということで、こちらを下降することにした。
無事目的の尾根に入れた。下りとはいえヤブがうるさい。尾根左の沢を見るとまだ雪がびっちりと付いていそうだ。地形図を見ても余り深い沢でなく傾斜も一定なので沢も割れていないだろう、側壁からのブロックも落ち切っていて気温も下がってきたので下りならなんとかなるだろうと沢を下降することにした。

沢に少し入ったところで、モコモコさんには待っていてもらい代表して下の様子を見に行く。
どうやら予想通りの状態らしいので、モコモコさんにOKサインを送る。
上部は急なので、ピッケルを出してヤブを使ったりしながら慎重に降りる。
小さいながらも沢が開けてくると傾斜もほどほどになってきて、滑落してもすぐに止まってくれるような斜面となった。

途中カモシカが沢から尾根への斜面を登っているのが見えた。相変わらず羨ましい身のこなしだ。
その反面雪面を下るのが下手なモコモコさんは相変わらずのへっぴリ腰でトロトロと降りてくる。途中途中でモコモコさんを待ちながらでもヤブがないとやはり早い。尾根を下るルートでは林道到達の予想時刻は18:30頃だと思っていたのが、実際は日没まであと1時間半ほど残して林道に出られた。

最初は林道に出たらすぐに幕営するつもりでいたが、あまりいい場所ではないので少し先に進んで探すことにした。
昨年もあったブロックの押し出しを越える。大鳥川は最近の暑さで急激に雪融けが進んでいるらしくものすごい水量だ。
今晩の宿泊地の第一としていた候補地猫渕沢出合付近は、天気さえよければ気持ちよさそうなところであるが、天気が下り坂の今は強い風が吹き抜けており、今からでは薪もあまり集められなさそうだ。

これまで休憩らしき休憩をとっていなかったので、一度ザックを降ろして休憩しながら作戦会議。
明日悪天候なのは確実なので、焚き火はあきらめてとにかく発電所のゲート(確実に除雪されているところ)まで進み時間を見てどうするかを決める。
携帯電話の電波が通じるか見てみたが当然のことながら圏外だ。

猫渕沢を橋で渡り、豊富な沢水が道路上を流れているところを濡れないように渡ってテクテク歩いていく。
林道が少し回りこんだところにブルドーザーが駐車されていた。
ということは除雪がここまでされている!!ブルドーザーの先はきれいに除雪されていた。これでかなりの時間短縮になりそうだ。
まだ明るいうちにゲートに着くことが出来た。ここまできたら大鳥集落まで歩いてしまい、もし可能だったら朝日屋さんに泊めてもらおうという作戦に切り替えた。

まだここは圏外なのでとにかく歩いていくしかない。
相変わらず大鳥川は物凄い水量で、道路と同じ高さまで増水しているのではと思わせるほどだ。
東大鳥ダムでもう一度電波状況を見てみるとまだ圏外。ここからは大分周りが開けてきているのでこまめにチェックしながらいくと、とうとうアンテナが立った。
早速朝日屋さんに電話をかける。

駅前のビジネスホテルならともかく、時間も時間なので恐る恐る宿泊の申し込みをしてみると、大丈夫ですとの返事だった。やった!さらに、どうしても朝日屋さんの夕飯が食べたいので、翌日もう一泊お願いしたところこれもOKだった。やったー!!!!!!
今晩は休日でもないので、素泊まりならば部屋はなんとか空いていそうなので大丈夫ではないかと思っていたが、まさか連休初日の明日も泊まれるとはあまり思っていなかったのでとてもうれしかった。
外はかなり暗くなってきたが、気持ちは明るくなった。

久しぶりに残業をしてしまったが、その疲れも心地よいものだった。
大鳥集落に入りしばらく歩いて朝日屋さんの看板が見えたときは、頑張って歩いてきて、また下りてきて良かったと思った。これで雨風を気にすることなく乾いた床どころか布団で手足を伸ばして寝られる。
更に連泊するので明日はゴロゴロデーというなんとも言えない贅沢さ。

いつもながら気持ちよく迎えていただき、早速お風呂に入らせてもらい5日分の汗を流すことができた。思えば登り始めから心の中で「朝日屋さん、朝日屋さん♪」と唱えながら足を運んでいたので、願いが叶ったようなものだ。
山の食材の余りを軽くつまんで、お酒の残りを飲んでいるうちに眠くなったので余韻に浸りながら布団に潜り込んだ。


その後

翌日は、やはり生憎の雨。朝食をしっかり頂いた後、ゴロゴロ。御昼前に少し周辺を散策。散策中、連休後半に合せて入山しようとしたが悪天候のため取りやめた方を見かけました。ここ数年後半の連休の方が天気がよかったのに、今年は前半の連休が好天気となった我々は運が良かったと思ってます。
散策後もゴロゴロしたり荷物整理をしたりしてのんびり過ごし、美味しい夕食に舌鼓。

帰宅途中、人の迷惑省りみず岳友のkenrokuさん・マリちゃん宅をまたもや襲撃。しかも翌日も休日ということでそのまま居着いてしまいました。毎度のことながらお世話になりました。
色々と楽しい思い出をお土産に雨が上がった中、各駅停車でトコトコ帰りました。



登山メモ
出発時ザックの重さ 山人 25キロ モコモコさん 23キロ
写真撮影枚数約900枚
テント(エアライズ2 デラックスフライ)
MSRシマーライト(燃料887ml×2、650ml×1、325ml×1)→残り約1300ml
スワミベルト、6mm×20M
ガスヘッド×1、ガスボンベ小1→未使用
無洗米2・5合×4→残り2・5合×1
アルファ米×8食分→未使用
サラスパ×1→未使用
ラーメン×4→残り2
ポカリスエット粉末×4
キャベツ二分の1
ネギ、玉ねぎ×1
日本酒900ml、焼酎900ml、ウイスキー300ml
GPS、無線、ラジオ
暑さ対策に帽子が役に立った。ポカリ粉末も持ってきて正解だった。スキーストックは後半のヤブで引っ掛かり苦労した。


二ツ石尾根 カタクリ(今年は少ない気がした)
天狗角力取山、方面 コバラメキへ向かう
コバラメキ 雪堤の割れ目を登る
高松峰直下 狐穴小屋と以東岳
小屋2F 小屋の裏側に水場 最高に旨い
朝焼けの以東岳 笹原山はひっそりとしている。いつかは行きたい
以東小屋はすっかり顔を出した。トイレも使用可 大鳥池は白クマ毛皮
まずは化穴山を目指す 以東岳を振り返る
化穴山と1446mP(ピーク) 1446mP直下より以東岳方面
化穴山山頂より以東岳 化穴山より甚六山
右奥は枡形山、遠い 春ですね
大影境直下より化穴山 大影境、先から枡形山
残雪がべっとりの稜線 枡形山まで届かず
枡形山、山頂より 枡形山より白岳方面
枡形山、北東斜面 白岳へ向かってヤブを進む
白岳が迫ってきた 甚六山と化穴山
西ノ俣沢の鞍部へ向かう 白岳方面を振り返る
常願寺山が迫ってきた 八尺熊ヲトルの切りつけ 昭和八年
常願寺山付近から、枡形山より伸びる稜線 常願寺山より953mP(この先に見えるヤブにやられた)
ヤブコギが嫌になり無名の沢を下降 猫渕沢の少し先から除雪されていた


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