山域 |
月山・朝日連峰 |
コース |
肘折温泉〜念仏ヶ原〜月山〜湯殿山〜大越〜鍋森〜赤見堂岳〜紫ナデ〜天狗角取山〜二ツ石尾根〜狐穴小屋〜大朝日岳〜葉山〜白兎登山口 |
後編 |
5月3日(晴れ午後一時曇り)
コースタイム;幕営地C5:30〜障子ケ岳6:45〜天狗小屋8:40/9:45〜二ツ石山12:10〜狐穴小屋(泊D)15:45
周りの薮に守られてよく寝られと思うが、薮漕ぎで体が汚れ汗で足がべたついてきたためか二人とも夢見がよくなかった。
朝食の準備中に、モコモコさんから「一昨日はゆっくりお風呂に入る夢だったのに、昨日はお風呂に入ろうとすると、バスの時間が迫っていたり、混んでいたりetc・・・でお風呂には入れない夢見た」と言われた。
実は山人も変な夢で「湖のほとりにテントを張っていたら、湖面の水がスーと引いてなくなったら、いきなりネッシーでも現れるかのように水が吹きあがって津波のように押し寄せてきて慌てて高台に逃げる夢みたよ」と教えてあげた。すると、「二人とも沢山の水があるのに触れない夢を見るということは、余程お風呂に入りたいんだろうね。今日は狐(穴小屋)だし、洗濯して水浴びしたいね。」と言われ、狐穴小屋に着くのが一層楽しみになった。
今日の行程も決して短くはないが、頑張ろう。
いよいよ第3ステージに突入だ。連休に入り稜線も賑わう頃だろう。
[幕営地から障子ケ岳まで]
一晩お世話になった幕営地に別れを告げて出発。
改めて装備を見てみると、スパッツは猛烈な薮漕ぎのせいか、モコモコさんのは今回新調したのだが、既に穴があいて靴に引っかけるゴムが千切れそうだ。山人のは、もともと更新の時期に入っていたが、赤見堂岳で片方のバンドは千切れ、もう片方は下から4cmあたりで1/3ほど破れている。やれやれ。これからはそういった破損がなくなるのが嬉しい。
夏道も出ていたが、下るのに快適な傾斜と雪の軟らかさなので、登山道を使わずに一気に鞍部まで下降した。
ここから障子ヶ岳までは小さなピークがいくつも続いて、しかもそれぞれが結構急で見た目の距離と標高差以上に体力を使う所だ。
日差しが横から照りつけてくる7:00までの間にどこまで進めるかがポイントだ。
事前に見えている通り、ほとんどの区間で登山道が出ていた。
平坦なところはまだ雪上を行くか登山道を行くか選べたが、雪が柔らかいので基本登山道を歩いた。
たまに登山道が谷側に外傾していたり、雪によりえぐられている所は雪面に乗って通過した。雪があってもきっと登山道を歩いただろうが、登りの場合は、大きく雪面が後退しているので選択の余地なく登山道を歩いた。
登っても登ってもすぐに下降したりで一向に障子ヶ岳が近づいてこない。
障子ヶ岳で6:00の定時交信を聞きたかったが、間に合わず手前の小さなピョコで無線を出した。昨日はどの小屋も暖かく外で盛り上がったとのことだ。今日も天気がいいので、管理人さんもお出かけするとのこと。これから行く天狗小屋情報では、皆さんそのまま下山するらしく、主稜線方面へ向かったのは1名のみということだ。
これから我々が小屋へ到着する時刻を見積もると、下山ラッシュに会うかもしれないな。
前回は日没と競争するかのようにがむしゃらだったが、今回はきちんと周りを見ながらのせいか障子ヶ岳までやたらに長く感じた。
普段は別にどうと思わないカラス(つがいと思われる)が障子ヶ岳の岩壁に引っかかったスノーブロックに仲良く留まっているのを見て、癒されるほどだった。
急登が何段階かに分かれているので、目の前がすぐピークに見えてじつはまだ先だということが何度も続いた。
ようやく山頂標識が見えた時はほっとした。
実はこれからがずっと長いのだが、朝一番の登りだったのできつかった。
考えてみれば、湯殿山とほぼ同じ、湯殿山以降では一番高い所まで登ったのだったと思うと感慨深い。
[障子ヶ岳から天狗小屋まで]
障子ヶ岳から障子の池までは、急な下りの連続だ。
たまに段差のある石を降りたりで気が抜けない。その途中に兎さんの毛の塊のようなものがあり、すぐそばには兎さんくらいの大きさの動物が隠れるのに丁度よさそうな穴があった。
はたしてこの毛の塊は、兎さんが落としたものか?それともなにかにやられた痕跡なのか推理しながら下りた。
地味に急なピークをいくつか越えると、1357mピーク手前の広い雪原になった。障子ノ池は完全にまだ雪の下であるが、池の場所まで来たことがなんとなく分かる。
1357mピーク直下はガレ混じりのちょっとした岩場だ。ロープも張られており、悪天候時下降の場合は要注意だな。
我々は登りなので特にロープの補助等なく簡単に登れたが、重荷なので少しの登りでも息が上がった。
ここまでかなり下りてきているのにさらにグンと下りなければならないのがこのコースの泣かせる所。
登山道は高速道路のように歩きやすいが、雪に押された灌木の枝が少しでも登山道に張り出している所があると、「もう!!この枝邪魔なんだよ!!」とモコモコさんが怒っているのが笑えた。なんでも昨日の赤見堂岳の薮漕ぎを思い出して、腹が立つのだとか。
鞍部まで降りて粟畑への登りにかかった所で登山道にカタクリが群生していた。
二ツ石尾根のカタクリもそれは見事だったが、今回の山行で見たカタクリの中では、最も見頃で一番きれいな所だった。
極力踏まないように気を付けて進むと、雪の付いた斜面となった。
踏み抜かないように注意してしばらく登ると一気に傾斜が緩む。同時に天狗小屋方面から歩いてくる人も見える様になった。予想通り今日下山する人のラッシュに会いそうだ。
粟畑は細長い頂上を持っているので、障子ヶ岳から来る場合、分岐のある山頂標識はしばらく歩いていくとヒョコっと現れる感じだ。
やったね。ここまでくると、大きな山をようやく抜けた、これから春山の稜線を満喫する次のステージに入ったことが約束された気がする。
下山する人は、この時期粟畑の道標まで登ってこないで南側の斜面をトラバースして行ってしまうので、すぐ下に見えた二人組とは挨拶することはなかった。
ここで、小屋に寄って行くかどうするか作戦会議。最初は少しでも早く狐穴小屋へ着きたいので通過するつもりでいたが、やはり実際に見てしまうと寄らないわけにはいかない気になった。
そこで、荷物はデポして休憩に必要なものだけをもって小屋で休憩させてもらおうということになった。
小屋から下山した人のトレースに合流する前に雪道になるので、サングラスを装着。雪のあるなしで全然違うと改めて実感。
下山する人の中に驚く人達発見。この時期にここまで一家で来るだけでもめずらしいのに、お子さんがなんと生後一年三カ月という御一家と出会った。
挨拶をしてお話をさせていただくと、モコモコさんがピーンと来たらしい。いつも拝見しているブログの方で、以前狐穴小屋でお見かけした御夫妻だった。後からモコモコさんに詳しく聞くと、小屋では泊まる場所が離れていたのでお互い挨拶こそしなかったものの、我々の目の前で狐穴小屋の管理人安達さんに挨拶していたので印象に残っていたとのことだった。
御夫妻としばしお話をさせていただいて、お互いの行き先へと別れた。お子さんを背負って、一度の転倒やわずかな滑落も許されない状態で、ここまで往復するご主人もさることながら、一家全員の装備を背負う奥様も凄い。モコモコさんは個人装備だけでヒーヒー言っているのに。素敵な御一家で、今度ゆっくりお話をしたいものです。
小屋へ向かって下りる夏道がちょうど雪に埋まる境目辺りまで来ると、さらに団体さんが登り返してきた。すぐ近くまで登って来てはいたが、展望台へ向かっておりすれ違うことはなかった。我々は荷物をデポして必要なものだけ持って小屋へ降りた。
[天狗小屋から二ツ石水場標識まで]
小屋の周りはすっかり雪がなくなっており、なんだか草まで生え始めていた。完全に冬山に逆戻りだった、前回2013年に来た時と大違いだ。
荷物を背負っていないのですぐに小屋へ入ると、お二人の連泊する方が出迎えてくれた。そのうちのお一人の方は、昨年7月にお会いした方だった。山の世界は狭い。
管理人の石川さんも笑顔で迎えてくれた。なんでも小屋へ向かってくる登山者がいるのを見て、我々だとピンときたとか。嬉しい限りです。
早速楽しいお話を聞きながら、なんと連泊の方がお湯を沸かしてくれ、コーヒーを御馳走になってしまった。
軽量化のためコーヒーなどの嗜好品を極力持たずに来ていたこともあり、今まで飲んだ中で最高においしいコーヒーだと思った。
相変わらず話題豊富で楽しいお話の中、月山の熊さん事件の話になった。この辺りの熊さんは、猟をしているせいかおとなしくて(実際地元の方からも、この辺りの熊はおとなしいから人間の存在を熊鈴などで知らせておけば隠れて出てこないよと言われたことがある。)助かったといったことをモコモコさんが話すと、本当にそうらしい。何でも、鳥海山の麓では熊狩りをしないので、熊は人間を恐れないとのこと。実際、熊に襲われたという事件を見ると、鳥海山周辺ということがほとんどだということだ。
話は尽きず、かれこれ1時間近くも居座ってしまった。
まだ狐穴小屋まで行かなければならないので、名残惜しいが出発。
ザックデポ地まで登り返して、後ろを振り返ると石川さんが見送ってくれていた。暑い中ありがとうございます。
この先もいい山旅になりそうだ。
今日は、天狗の土俵の修繕や取り組みはせずに通過して二つ石尾根へ入った。
ここの登山道は傾斜が緩むまで深く溝が掘れており、雪が着いているところは踏みぬき注意だ。実際先頭を歩くモコモコさんは、腰まで踏みぬいてあやうく目の前に横たわる枝で肋骨を打つところだった。ザックが引っかかったのかどこもぶつけることなく済んだ。
しばらく先頭をモコモコさんと交代してあげた。
ある程度降りると尾根東側に着いた広い雪原状の斜面をずんずん下って行けるのがこの時期のいいところだが、雪には大きな亀裂があちらこちらに履いていて快適ではない。登山道がはっきりでているところは登山道を歩いた。
ウツノシマ峰へは雪で覆われてしまうので、雪を使うが、暑い。
暑さで、先行した方の足跡はだいぶ緩んでいる。そんな中はっきりとした熊さんの足跡が。二ツ石の水場標識をボロボロにしている熊さんのものかな?
湯沢峰までも、登山道と雪上を交互に歩くといった具合だった。途中見晴台に咲いていた桜が見事だった。二ツ石山近くなると、雪上歩行が少し増えた。山頂そのものには雪はない。山頂から先は歩きやすい雪堤状がしばらく続き、道標への下りに入ると登山道が出た。この辺りはカタクリが群生して足の踏み場もないほどだ。
[二ツ石水場標識から狐穴小屋まで]
見るたびにボロボロになって痩せていく道標がある場所は、標高が低いこともあって群生しているカタクリも終わりに近いものも目立ったが、まだまだ十分見頃だった。
その中で、いったい何枚あるのだろうと思わず数えたくなるほど沢山の葉を突き通して成長したカタクリに目がいった。物凄い生命力だ。ついでに傍には熊さんの落し物(糞)があった。健康そうだ。
ここから登りは夏道が出ているところは夏道を、下りは雪道を使うといったことを交互に繰り返すと、いよいよオバラメキコバラメキの岩峰群になった。サイコロ石(勝手に呼んでいます)手前の細い釣尾根は、亀裂が入りながらもまだ雪が残っており殆ど雪上を歩いた。
サイコロ岩手前は雪が完全に切れていたが、安定しており困難なく通過できた。
天狗から行くと、サイコロ岩の下りは少し段差があるので、モコモコさんが後ろ向きに下りたくらいで後は普通に夏道歩きだ。
暑くてバカ虫が寄ってくるのが煩わしかったが、この先しばらくしてから雲がでてきて涼しくなった。これから登りになるのでありがたい。少しペースを上げられそうだ。
一下りするとオバラメキだ。ここが狐穴から来ると結構面倒なところだ。
今回は登りなので、多少楽かな。いくつかのピークと岩峰が連なっており、遠目に見るとどこを行けって言うのじゃ?と言いたくなるが、実際通ってみると上手く道を付けたものだなといつも思う。
鞍部に下りる前に熊さんらしきものの糞があった。
最初のピークは雪を登る。ここは遅くまで残雪がある所なのだろうか、同時期に通るといつも雪がついている気がした。これを越えると岩峰となり、二つほど尾根西側を巻くところだ。一つ目の巻きが少しザレていて下りだといやらしい所だ。ロープが張られているが、頼らないように登る。
振り返ると、岩が指を突きだしているように飛び出ている所だ。
以前同じ時期に通った時は全面雪に覆われており、延々と雪斜面を下りトラバースをしたところだ。
次の巻きは道がしっかりしているので、あっけなく通過。残すは高松峰の急登だ。
夏道が出ると、露岩の登りになって一気に登らなければならないが、今は雪が着いた斜面になっているので息を整えながら行ける。
眩しいというモコモコさんだけサングラスを掛けて最後の登りにかかった。
上部は少し雪がしまっていたが、安定して登ることができた。ここからは夏道となりサングラス不要だ。モコモコさんもサングラスを外した。
狐穴小屋までは緩やかな登り。気を抜くと道から外れてしまいそうになるほど細いところもあって、この尾根の利用者は桁違いに少ないのだなと思う。一番少ないのはもちろん三面のコースだろう。
三方境手前の分岐で北寒江山の急斜面に残るシュプール発見。あんな所を滑る人がいるとは。安達さん達のかな?と周りを見ると、寒江山方面に二人、狐穴小屋に数人いるのが見えた。おそらく安達さん達だろう。
小屋への分岐からは雪上歩行となるが、やはり残雪量は少ない感じで、小屋までの雪の壁の高さも低い気がする。
この時期に来たときは、安達さんが切っておいてくれたステップを後ろ向きで慎重に下りているが、今回は雪も柔らかく高さもあまりないので、ストックのまま前向きに下りることができた。
小屋の周りにいたのはやはり安達さんたちで、しょうこさん共々笑顔で迎えてくれた。
荷物をおろして水汲みを済ませたところで2階へ案内された。
早速楽しみにしていた洗濯だ。ついでに体も洗おうと思っていたが、日が陰ってきたのに加えて、靴下とシャツを洗った時点であまりの水の冷たさに恐れをなして水浴びはやめることにした。濡れタオルで体を拭くことで満足だ。
しばらくぶりに顔を洗うと、モコモコさんが顔がひりひりすると言い始めた。よく見ると連日の好天と気温の高さで日焼け止めが汗で流れ落ちてしまって、ばっちり日焼けをしており、既に皮がむけ始めていた。更に顔がむくんでいる。まさに泣きっ面にハチ。しばらくひどいことになりそうだ。
乾燥した風が吹いているので、選択したシャツと靴下だけでなくシュラフも風に当てることにした。
連日雪面上の幕営で湿ってきたので、干す時間があって嬉しい。
そうこうしている間に、寒江山を歩いているところを見かけたお二人は到着して既に落ち着いていた。
至福の時間の始まりだ。
結局この日の宿泊者は、この後も来ずで、我々と管理人さん含め計7名。
お二人とお話をするうちに本日二度目のびっくり。なんと京都からの遠征とのことだった。アプローチも飛行機とのことで、我々関東者から見ると、北海道の山への遠征のようだ。
次に3度目のびっくりで、安達さんやしょうこさんは、同泊のAさん(単独でいらしたスキーのエキスパート)と一緒に、西俣沢を滑ってきたとのことで、滑った所は、ここから見ると雪の壁にしか見えない。お二人ともさすがに興奮さめやらずで、京都の方も山スキーをやることから盛り上がった。
安達さんのみならず、同宿の方からも差し入れを頂いて感謝です。
少人数のアットホームな状態の宴会で、とても楽しい夜だった。
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今日は障子ヶ岳を越えていよいよ主稜線へ |
障子ヶ岳までほとんとが夏道 |
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折角登ったのにぐんと下る |
以東岳 |
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二つ石尾根も見える |
粟畑までまだ遠い |
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障子ヶ岳からこんなに下りてきた |
今回はこの辺りのカタクリが一番見事だった |
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1500mに満たない山とは思えない |
天狗小屋がようやく見えた |
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ザックを置いて空身で小屋へ遊びに行った |
二つ石尾根も雪が少なそう |
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二ツ石尾根で今日も熊さんの足跡発見 |
天狗方面を振り返る |
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本当に今年は春が早い |
桜の開花には驚いた |
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二ツ石山 |
相変わらずボロボロ 熊さんポイント |
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何枚突き通しているのか 物凄い生命力だ |
いよいよ二ツ石尾根の核心部へ入ります |
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夏道がほとんど出ているようで助かる |
雪があってもなくても一番いやらしい所だと個人的に思う |
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二ツ石尾根は以東岳の展望台だ |
あれを通過すれば高松峰の登りをこなすだけ |
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こちら雪さえなければ巻き道はしっかりしている |
高松峰直下の登りは雪が着いている方が楽 |
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振り返ると一瞬どこが道だかわからない |
こんな急斜面にシュプールがあった |
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狐穴小屋はもうすぐ |
今年も物凄い勢いで水が出ていた |
5月4日(晴れのちくもりお昼過ぎから時々雨 夜雨と暴風)
コースタイム;狐穴小屋5:45〜竜門小屋8:10/8:45〜西朝日岳10:20〜大朝日岳12:40〜平岩山13:50〜御影森山16:56〜中沢峰手前鞍部(幕営地E)17:43
昨日体を拭いたお陰か、水に関する変な夢は見なかった。
小屋なので、周りに合わせて起床。今日は週間予報でも天気が崩れる日となっていた。
安達さんから、雨はお昼くらいから降り始めるかもしれないから早めにいい幕営地を見つけてテントに潜るようにアドバイスを受ける。
京都のお二人は戸立山を越えて茶畑山辺りで幕営して大鳥へ降りるとのことだ。我々も大朝日岳を越えて途中どこかで幕営する予定。今回の雨は寒冷前線の通過によるもので、風が強く一気に気温が下がることが予想されるので、できるだけ標高を下げておく作戦をとることにした。
[狐穴小屋から竜門小屋]
京都のお二人とほぼ同時に出発。
先ほどまで同じ場所にいたのに、あっという間にお互いが見えなくなってしまうほど離れてしまう。人間でも歩き続けると大した距離を移動できるものだな。
モコモコさんとの二人旅に戻り、北寒江山へと登り返して風の弱い所で携帯電話を出して今日の天気予報を見てみた。天気予報では15:00から雨マークだ。山なので2時間ほど降り出しは早いだろうから、13:00頃かな。大朝日岳を越えるまではなんとか持ちそうだ。
全く雪が登山道になく、寒江山まで夏道で来られた。山頂の道標の金属は益々融けてしまっている気がした。
余りにも雪が無い時期が速いせいか、ウスユキソウの新芽が既に生えていた。
竜門小屋までは、寒江山が大きいので小さなピークはないように見えるが、小さなアップダウンがあって直前になるまで小屋は見えない。
寒江山を降りている所で前方から単独の方が歩いてくるのが見えた。
近づくと、以前竜門小屋に泊まった際、小屋の水出しに入った遠藤さんと御一緒だったHさんだった。
その時には色々とごちそうになってすっかりお世話になってしまいお礼を申し上げたかったので、嬉しいばったりだった。
今晩も竜門小屋泊まりらしいので、この場でのお別れになってしまうがお会いできて良かった。
夏道歩きだったのが、だんだん雪上も歩くようになってくる。途中、鳥さんが数羽雪面をつついている.。虫を食べているのだろう。
しばらく雪が続き尾根が一時的に細くなると竜門小屋も近い。
小屋を目指して最後のピークを越えると小屋が見えた。と同時にん?なんだあれ?と言ってしまうほど、遠くからでもわかるほどにドバドバと水が出ていた。
水場まで来ると、にいつも軽快にくるくる回る缶ビールが、あまりの勢いに水が水面に落ちる所では一度沈み込むほどだった。
無線で竜門小屋の水はドバドバ出ているとの情報は得ていたが、誇張ではなく正しくドバドバ溢れ出ていた。
外は風が吹いていて休憩するには寒いので、小屋の中で休ませてもらうことにした。
[竜門小屋から大朝日小屋]
ここでも、遠藤さんからコーヒーを御馳走になった。お湯を沸かして下さった連泊の方ありがとうございました。
水のことを尋ねると、小屋番歴20年の遠藤さんも5月の連休で水が出たのは初めてのこと。以前に水場の工事をしたお陰かなとのことだった。
またやはり今年は雪が異常に少ないようだ。
竜門小屋は林道の通行止めにより一時閑散としていたが、この時期は林道を歩くのが当たり前なので、結構な賑わいのようだ。
今は皆小屋をベースに出かけており、そのまま連泊する人も多そうだ。
朝日連峰の小屋はそれぞれ居心地がいいのでつい長居をしてしまうが、天気が悪くなるので重い腰を上げた。
西朝日岳まで再びの夏道歩き。これまで逆走する登山者はHさんにしか会わなかったのが、大朝日岳方面から戻ってくる人やこれから竜門小屋を経て狐穴方面へ行く人々に会うようになった。
その中でも、若い男女二人組が印象に残った。人のことは言えないが、大きな荷物を背負っており、凄いカメラを携えていた。これから狐穴小屋、明日の天気を考えてできれば天狗まで進む予定とのこと。逆走とはいえ、同じルートを辿る人がいるというのはとても励みになって嬉しいものだ。
西朝日岳へ登ると、さらに雪上で休憩をとっているパーティーや、スキーの滑降の準備をしているらしきパーティが見られた。朝日連峰は、季節を問わず色々な楽しみ方をする人がいる。それだけでなく、気持ちのいい方が多くて皆お互いにすぐに打ち解けてしまう。この気分を味わいたくてついつい朝日に向かってしまうのだな。
西朝日岳あたりから雪面歩行になる。モコモコさんはサングラスを掛けて行くといいサングラスを出そうとするが、信じられない一言。「ない!!」
もう一度よく探してみなと、あちらこちらを探させるが見つからない。今回の山旅にあわせて新調したばかりのサングラス。
取り敢えずそのまま行くことになった。西朝日岳を降りて中岳手前のピークとの鞍部で荷物を全部出して本格的な捜索をした。やはりないらしい。今なら無線が届くから安達さんに連絡してサングラスをとっておいてもらうように頼もうかと提案するが、「でもこの時間だと・・・」とゴニョゴニョしている。
もう知らないよとパッキングを始めたモコモコさんの横で、ザックのトップから水を出そうとすると、なにやら見慣れないものが。なんだこれ?と取り出してみると、なんと先ほどから必死に探しているモコモコさんのサングラスではないか。そうだ、昨日高松峰のところでサングラスをしまおうとしたらモコモコさんのザックの雨蓋のトップがパンパンだったので、預かって入れておいてあげたのだった。すっかりそのまま忘れていたのだった。こんな騒動で30分ほど費やしてしまった。
何という無駄使い。すっかり気が抜けてしまった。
やる気のないまま中岳を登る。中岳の辺りも昨年6月に通った時よりも雪が少なく感じた。
大朝日小屋がようやく見えた。
金玉水からはすっかり夏道となった登山道を登って小屋へ。小屋はちょうど出払っているようで周りに人はおらず静かだった。
入口へ回ると阿部さんが無線片手に外に出ていたので挨拶をした。
葉山方面から来た人や向かった人がいないか尋ねると、先日葉山から来た人がおり、その方から聞いたという道の様子を教えてくれた。
夏道はかなり出ていたが、ヤブがうるさかったとのこと。薮がうるさいのは昨年歩いて分かっているが、夏道が出ているという貴重な情報が得られたのはありがたかった。
[大朝日小屋から御影森山]
時間もあまりなく、ちょうど阿部さんに無線が入ったのをきっかけに先へ進んだ。
大朝日岳へは途中から雪道となった。踏みぬかないようにするのにてこずった。途中体長は2cm程だが、産卵管のようなしっぽが15cmほどもある変な蜂を見かけた。いったいなんだろう。大朝日岳周辺は三角錐の地形から不思議なピラミットパワーが溢れているのだろうか?話は変わるがタキタロウといい朝日連峰は謎が尽きない。
山頂には珍しく誰もいなかった。
ここから再び閑散とした稜線歩きとなり、最終ステージへと入る。
折角の貸し切りだが山頂の写真だけ撮ってすぐに下降に移る。
平岩山は近くに見えるが、微妙な登り返しが効いて意外に時間がかかる区間だ。
山頂からの下りはガレザレで、登るのもいやだが下るのも面倒でいやなところだ。グズグズなので、途中に目印の細い鉄柱が立ててあるが、グズグズ斜面では強風に耐えられないようで、ほとんどが倒れていた。(いつも倒れているような感じがする)
登ってくる時にピークに見える所には、下りでも鞍部が真近に見えて騙された。
鞍部までぐんと下がると、本当に夏山のような稜線となった。
この辺りから風が吹き始めた。ここを通る時はいつも風が吹き抜けているので、悪天前の風かどうか判断付きにくいが、そろそろ雨が降り始めると予測した時間だ。振り返ると主稜線には既に雲がかかっていた。
平岩山の登り返しで少しポツリと雨粒が落ちてきたが本降りにはまだなっていない。ここで一度ザックを降ろして平岩山への登りに備えて行動食を食べた。
祝瓶山との分岐を過ぎ、その名の通り平たい山頂を葉山方面へと歩いて下りにかかったところでとうとう本降りになった。、入山6日目で、初めて雨具の出番となった
靴ずれが出来て痛いので、ついでにテーピングを巻いた。しかし、雨粒が大きくてテーピングを巻いている最中にどんどん濡れて行く。さきほどザックを下ろしたときにテーピングも巻いておけばよかったと後悔した。
大粒の雨はすぐに落ちついて、小雨が降ったりやんだりするようになった。
いくつものピークを持つ大沢峰を、雨具を着て蒸し暑くなった中、越えて行くのは堪えた。
夏道、雪道を交互に通りながら最初は何個ピークあるんだっけ?と数ていたが、やがて登り下りのきつさに面倒になって数えているのを忘れてしまった頃ようやく三角点に到着。そのすぐ先に降りたところには水場の標識が立っているはずだが、道標がまだ埋まっているのか場所を特定できずに通過してしまった。御影森山辺りにはガスが出てきてしまった。
下りで雪が使える所は雪面を下り、他は登山道が出ているところは極力夏道を進んだ。我々が行く頃には先ほどのガスも引けてはっきりと見えるようになった。
ポコポコ出てくるピークに御影森山か?と一喜一憂しながらなんとか相変わらずの急な登りをこなしていくと、やっと御影森山だ。大朝日へ行くにも葉山へ行くにもこの区間が一番つらい。
御影森山山頂についたときは雨は殆ど止んでいたので少し休憩。
[御影森山から中沢峰手前鞍部(幕営地)]
御影森山から少しの間は刈り払いされているが、すぐに笹薮が覆る下りとなった、昨年6月と同じだ。この先の前御影森まではこういった笹薮や灌木がうるさかったな、時間がかかったなと思い出し、予定の中沢峰を越えた鞍部まで行けるかあやしくなってきた。
いよいよ薮がうるさくなってきたと覚悟を決めた所、降り切った辺りから雪原状に雪が残っていて薮の登山道を埋めていたので快適に進むことができた。
雨で薮が濡れているのでこれはありがたい。
前御影森山への登りの斜面はなぜかひどく汚れていた。土の汚れっぽい。
はっきりとした道標はない前御影森山はハイマツ地帯でさすがに夏道が出ていた。
確か、前御影森山から中沢峰手前の1423mピークを巻く辺りは、笹などの下草もそうだが、灌木が枝を伸ばしていて、それを越えたりくぐったりで時間がかかった憶えがあった。
天気と時計を見て中沢峰の鞍部までは無理だろう。それでも中沢峰までは行きたいものだ。
モコモコさんも「ここから枝がうるさくて距離の割に時間が掛るんだよな」とつぶやいていた。中沢峰も無理かもと途中幕営を覚悟したところ、驚きの言葉が。「刈り払いされている!!!」
下草だけでなく、張り出した灌木の上下を潜ったり跨いだりと、障害物競争をさせられているかのようにうるさかった灌木の枝がきれいに落とされていた。
なんと歩きやすいのだ。
これでかなり時間を短縮できたと思う。刈り払いされた方には大感謝だ。
折角綺麗に刈り払いされているが、1423mピークまでは外傾して時折雪道になる登山道を忠実に進むより雪上を歩いた方が楽なので、完全に長く出ている場合を除いて、登山道には付かず離れずならぬ、乗らず離れずで雪上歩行した。
1423mピークに付いた時点で既に17:00過ぎだ。天気が良ければあと1時間は頑張ってもいいが、今日は天気が悪い。中沢峰は目の前だが、越えるのはさすがに無理だ。
鞍部まで雪堤を快適に下りた。
モコモコさんは更に中沢峰へ登り返そうとしていたが、呼び止めて登るのは明日にしようと提案した。
よく聞くと水音がする。
周りをよく見ると、登山道が3mほど出ておりテント一張りならなんとかなりそうだ。
雪上に張らなくて済む。
鞍部だと風の通り抜けが心配だが、テントを張ると周りが薮で囲まれる状態になるので大丈夫だろう。
いい幕営地が見つかり、中沢峰は見上げる高さで今日中に登るのは諦め、今日はここまでとした。
モコモコさんは少し周りにもっといいところはないか偵察に行ったが、登山道の所が薮がなく一番いいようだ。近くに大きなブナの木が立っているのも気に入った。(ブナの木の根元には青いプラスチック製の樽があった)
テント設営を済ませて水音のする方へ水汲みに行った。テン場からとても近かったので助かった。
水はゴンゴン出ており、今日も水作りすることなくおいしい水を容易に手にできた。
外の雨はやんでいるが、露が落ちてくるのでデラックスフライがとても役に立った。これまであまりの天気の良さに重くなるだけで普通のフライでも良かったかなと半分お荷物状態だった。今日みたいな日は、横から吹いてくる風の影響も受けず、屋根のある前室が広くなるのは快適だ。
どんどん気温が下がって行ったが、これまで温存しながら飲んでいたアルコールも多めに飲めてそれなりに楽しい夜になった。
昨日や今日は途中長い休憩が入ったが、入山してから連日、朝から晩までフルによく歩いた。天気が良かったことが一番だが、途中出会った方々に励まされ背中を押されてここまで来られた。
長かった山旅もいよいよ終盤で、明日はとうとう下山日だ。
持ってきた地形図の枚数(2万5000分の1の地図省略して8枚)の多さが長い距離を物語っている。外は強風が吹き始め再び雨が降り出した。
大荒れになりませんようにと祈りながら、山旅最後の夜を過ごした。
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お世話になりました |
なんだかさらに金属部分が溶けてしまったような・・・ |
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大朝日岳が見えた |
竜門小屋の周りの雪が驚くほど少ない |
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余りの水の勢いにくるくる回る缶が一度沈む |
後ろを見ると本当に雪の少なさが分かる |
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以東岳方向 |
大朝日岳方向 |
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西朝日岳から大朝日岳 |
変な蜂?発見。大朝日岳のピラミットパワーか? |
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珍しく貸し切りの大朝日岳山頂 ここから最終ステージに入る |
大朝日岳から祝瓶山方面 |
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大沢峰と御影森山 |
袖朝日方面 |
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大朝日岳と平岩山との鞍部 |
平岩山から大朝日岳 雲行きが怪しくなってきた |
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御影森山の前に大沢峰を越えなくてはならない |
雨の中の癒し |
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行けども行けども御影森山に着かない |
葉山までの縦走路は祝瓶山の展望道 |
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夏道がほぼ出ていて助かった |
大朝日岳からの稜線 |
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前御影森へ この先薮がでてくる |
なぜがひどく汚れている |
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露払いするモコモコさん |
御影森山を振り返る |
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この辺りからは灌木薮がうるさくなってくる |
中沢峰が見えた |
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なんと!刈り払いされていた |
中沢峰手前鞍部へ下降 |
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中沢峰を今日中に越えたい |
悪天候と時間切れのため鞍部で幕営 |
5月5日(くもりのち晴れ)
コースタイム;幕営地E6:45〜中沢峰7:10〜八形峰10:40/11:00〜葉山12:30〜白兎登山口14:50
昨夜は暴風が吹き荒れた。
できるだけ標高を下げておく作戦がうまく行ったのと、背後の尾根と大きなブナの木や周りの薮に守られて、あれだけの暴風雨が吹きながらテントはきしむことなく静かに寝られた。
お陰様で恒例の寝坊。モコモコさんが動物の足音がしたと目を覚ますまでぐっすりだった。
外に出てみると、風はかなりおさまっているが昨日までの暑さはなんだったのかと問いたくなるほど一気に気温が下がっていた。
逆に考えると今までの暑さが異例だったので、これで例年並みに戻ったということか。
幕営した場所は、一度風が横を吹き抜けた音でモコモコさんが起こされたことがあったくらいで全く風の影響を受けずに済んだ。ブナの木の芽の殻が辺り一面を覆っており、テントのフライも例外なく殻で覆われていた。昨日は風が冷たくて周りをよく見ないでテントにもぐりこんだが、西側斜面の木々はすっかり芽吹いていた。
[幕営地から焼野平]
これまでの朝と全く違い、気温低下で雪はすっかり固くなっていた。
中沢峰まで最初は夏道がでているようだが、すぐに雪に埋もれてしまうだろうと予想して最初から目の前にある雪の斜面を登って行くことにした。
雪が固く傾斜があるので、アイゼンを履いてピッケルで登ることにした。
昨日ならば直登出来たであろう場所もキックステップが効きにくくなっていた。アイゼン、ピッケルで正解だ。長い登りなので、慎重に斜登行した。
登りながら西側の空に青空が見えるようになった。天候回復の兆しだ。
中沢峰は上部ほど急になる。葉山から縦走した方(我々の逆走)の足跡は、下りになるので上部の急斜面では靴スキーで快調に下りていたが、今日はさすがに無理だな。
ある程度降りたところで、ピッケルからストックに持ち替えた。
中沢峰と焼野平の間(特に鞍部)はブナブナ地帯の素晴しい所だ。ここを歩きたくてわざわざコースに入れたのだが、正解だった。
残雪と芽吹いた木々の組み合わせは最高だ。
焼野平前の1204mPまで広い雪原状の尾根歩きで気持ちがいい。1204mPの下りでは、登山道は標高1150mあたりから一度尾根を外れて尾根南側の斜面を使って下りているが、雪堤がしっかり続いていたのでそのまま稜線沿い歩いた。
一下りすると、尾根はブナブナ地帯の広い雪原になった。今度は残雪と芽吹いたブナが一体となっている夢のような所になった。
焼野平が正面に大きく見える。
実際の焼野平はこれから進む稜線上の1275mPから北東にはずれた所のことをいうらしいが、便宜上ここでは1275mPを焼野平ということにする。
ブナブナの中ゆるやかに鞍部まで降りて行くと、当初予定していた昨年6月に泊まったブナの林に着いた。
ここの水場はまだ出ておらず、さすがにあれからここまで来るのは無理だったので、昨日泊まった所は一番の場所だった。
6月にここに来た時はバカ虫が多すぎて発狂しそうだったが、それさえなければ最高の場所だったでので、雪がなくなった頃にまた訪れたいと思わせる所だ。
焼野平への登りに入り、ほとんど雪の上を歩いて高度を標高1180mまで上げると、登山道は焼野平を巻きに入る。
そのまま登ってしまおうか迷ったが、夏道が出ているのなら巻いた方早い。
アイゼンを外して夏道に入った。
巻きに入ってちょうど焼野平の真西にあたる部分が小さく沢の源頭になっており、固い雪が溜まっているところのトラバースになったので、面倒ではあるがアイゼンを付けた。
しばらく様子を伺いながらそのまま歩いたが、どうやら全て夏道のままいけるらしいのでアイゼンを外す。ちょくちょく付けたり外したりするのでどんどん時間が過ぎて行った
[焼野平から八形峰]
焼野平を巻き終わり、稜線に戻った。
しばらくはほぼ夏道歩きで雪道になってもアイゼンは付けずにそのまま歩いた。途中道草を食いながら標高1245mP手前の小さなピークを登り返していると、夏道は雪に消え、その雪もまだ固かったのでアイゼンを履いた。
その後全て雪上歩行となり、雪が柔らかくなっても担ぐよりは履いていた方が楽なので、葉山までアイゼンを外すことはなかった。
1245mPは八形峰と同じような山容なので、モコモコさんは一瞬もう八形峰についたのかと勘違いしていた。実際は八形峰の方が規模が大きいので比較すればすぐわかる。
八形峰との間は、地形図を見ても分かるように、多少の登り下りはあるがほど同じ標高でなだらかな広い尾根が続くので、視界が悪いと迷いそうなところもあった。
ゆるやかな登り下りを済ませて標高1245mPによく似ている、山頂が薮に覆われている八形峰に着いた。中沢峰と葉山山荘との3/5をやっと過ぎたばかりだ。いくらなんでも時間がかかりすぎた。
ふざけていたわけではないが、真面目に歩くことにした。
[八形峰から白兎登山口]
これまで多少なりともはっきりとした尾根の形状をとっていたが、八形峰から尾根が広がって分かりにくくなる。
大桶沢と涸沢が左右から入る鞍部に慎重に方向を定めて下降して、目の前に見える白い台地に登り返す。1264mPまでは上へ上へと登るだけだが、山頂自体は広い台地状になっているので傾斜がなくなってからは登山道は出ていないが、夏道に従って東に進路を変える。すると、展望台にあった木の棒状の標識が立っていたのを見ることができた。
ここまでくれば大きな登り下りはない。
1264mPと次の小さなピョコとの鞍部にこの辺りの主のような木がど真ん中に生えているのが印象的だった。
距離はそこそこあるので、小さな緩やなピョコを越えてヌルマタ沢源頭部まで辿りついた。ここは沢源頭を横断して行く所だ。今は横断部分が雪堤状になっているので、登山道よりも少し1237mPを登る形で回り込んで横断した。
いよいよ葉山だ。平坦な雪原を歩いていくと湿原と思われる場所に着いた。この辺りから足跡が出てきた。連休で天気が良かったのでこれからさぞかし沢山の足跡が出てくるだろうと思っていたが、以外にも足跡は葉山山荘から2〜3増えただけだった。
地形図では山頂は山荘から少し離れた所にあるが、山荘近くにある神社をもって葉山山頂とした。
下山道は一番距離の短い白兎登山口にとった。
山荘を回り込んで尾根に入る所で夏道が出ていたので、アイゼンを外した。
標高1100m辺りまでは明瞭な尾根のほどほどの傾斜で下りやすい。しかしモコモコさんはこの先が急になって怖いと言いだしアイゼンを付けた。
この先の下山路はこれまでの尾根から一度外れた先から派生する尾根に取られている。適当に靴スキーを楽しみながら下りられて楽しい。こういった斜面を降りるのが下手なモコモコさんはえっちらおっちら下りてくるので遅い。
快適に下りられたのは標高950m辺りまで。だんだんと雪の斜面に段差ができて、その段差も大きくなってきた。時折夏道がでていたりするので、モコモコさんがアイゼンを付けたり外したり。結局標高800m辺りで完全にアイゼンを外した。
ほぼ雪上を歩くが、夏道が出ているところは極力夏道を行く。
標高700m辺りになると、夏道がかなり出てくるが、この道は溝状の道なので踏みぬきがひどく時間が掛った。
途中傾斜が落ち着いたところで休憩。地図を見ると標高670m辺りだ。今日は今までと比べて涼しいがそれなりにバカ虫が活動している。
標高500m辺りでようやく夏道となって、暑くなってきたので一枚脱いだ。ここから意外に長くだんだんいやになってくる。まだかなーという言葉が出てきたが、見覚えのある祠が出た。
ここまでくればあともう少し。
登山道が尾根を外れて鳥居に来れば山道は終了。
鳥居は今冬の雪の重みのためか、上部が折れて落ちていた。山の神様に無事下りてこられたお礼を言った。林道歩き。5分ほどで水場のある葉山冒険学校と名前の付いた建物がある広場に到着。
タクシーを呼んで迎えに来てもらう間の時間を使って荷物整理を行い、到着したタクシーに乗って夢にまで見た温泉へ向かって長い山旅の汗を流した。
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暴風から我々を守ってくれた場所 |
鞍部西斜面はすっかり芽吹いている |
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朝一番の中沢峰への登りは身に堪える |
昨日下降した斜面 天気回復の兆し |
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結構登った |
想像以上に時間を掛けて中沢峰に到着 |
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なんだか不思議な感じがしたので撮ってみた |
葉山はまだ遠い |
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ブナの雰囲気のいい所 |
焼野平の登りが大変そう |
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2014年6月に泊まった鞍部はまだ雪に覆われていた |
焼野平への登り |
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焼野平付近は夏道を行く |
なだらかな稜線が続く |
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焼野平の先から再び雪道を歩いてきた |
八形峰へ行く途中から祝瓶山 |
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目の前の台地に登り返すと葉山が見えるはず |
葉山(右)ややっと見えた |
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この辺りの主のような木 |
ヌルマタ沢源頭を回り込めば葉山だ |
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葉山湿原と祝瓶山 |
葉山山荘 |
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下りはあっという間 |
長井市が一望できる |
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夏道が所々現れる |
ありがとう朝日連峰 |
下山後の話
待ちに待ったお風呂の時間だ。
下山地の森林公園からタクシーを呼んでその間に温泉セットを出してパッキングを済ませた。
もともと入浴する場所の候補として挙がっており、タクシーの迎えを頼んだ時に尋ねて薦められた「
はぎの湯」へ向かう。
移動中に運転手さんに見せてもらった山形鉄道の時刻表を見ると、お風呂に入っていられる時間は30分ほどだ。計画書と照らし合わせると、次の列車では1時間40分ほど間があいて、在来線各駅停車で帰ることはできない。前の列車で帰りたい山人と、ゆっくりお風呂に入って帰りたいモコモコさんで対立。結果モコモコさんの粘り勝ち。
実際、モコモコさんは汚れを落とすのに30分かかったとかで、前の列車だったらお風呂に浸かれなかったよと言っていたし、自分自身もゆっくり温泉に浸かることができたので良しとするか。また、幸運にも食堂があって食事ができたので、空腹を抱えて時間を持てあますことなく済んだ。
食事をとりながら今後の作戦会議。この時間だと、@新幹線で帰るAどこかで打ち上げをして夜行バスで帰るB思い切ってどこかに泊まって翌日ゆっくり在来線で帰るの3つから選ぶことになる。山から降りたら一刻でも早く帰って毛布にくるまりたいということで、@案を選択。
@の具体的な作戦。指定席の空席照会をすると、最終近くまで満席。そこまでは待てないので自由席で帰る。連休最終日ではないが、山形新幹線はまず座れないだろうということで福島駅まで在来線で移動。福島駅からは取り敢えず宇都宮駅まで新幹線で進めば、その先在来線に乗り換えても帰ることができる。
新幹線は運よく座れたら東京駅まで一気に帰る、座れなかったら宇都宮駅まで頑張って立って行き、在来線に乗り換えて座って帰る作戦をとった。
作戦会議が済むとちょうどいい時間になったので、タクシーに迎えを頼んで長井駅へ。ある意味ここから延長戦ならぬ残業だ。
米沢駅まで順調に移動。
米沢駅で、モコモコさんは切符の購入、山人はお弁当(米沢の駅弁といえば”牛肉ど真ん中”だ)とビールの買い出しと手分けをして用を済ませて、無事福島駅行に乗り込んだ。
福島駅からは各駅の新幹線を座れるかドキドキしながら待つ。なんと幸運なことに並んで座ることができた。
今日は出発してから一番長い残業になるかと思っていたが、残業終了が決まった。特急券を東京駅までに車掌さんに変更してもらい一件落着。東京駅まで寝て帰ることができた。
帰宅してからも、薮漕ぎによるあちらこちらの痣や引っ掻き傷、お風呂に入るとしみる靴ずれ、皮がむけるほど日焼けした顔(モコモコさんはむくみがプラス)と首、無事帰宅したことによる安心感や解放感が増長した疲れからくる全身の倦怠感が残ったりと体はボロボロだが、それ以上の充実感に満たされて2015年5月の山旅は大満足で完了した。
登山メモ
○出発時のザック重量;山人29kg、モコモコさん26kg(行動中に持つ水の量により1〜2kg増減)
○燃料;ガソリン(975ml×2・650ml×1) 今回水が取れたので実際に水作りをしたのは2日間分のみで燃料消費量は予定よりも大幅に少なかった。
使用量は975ml一本と650mlの半分位。
○ガス500缶×1はガソリンバーナーの予備及び補助として持参。
ガソリンバーナーのプレヒートに気兼ねしてしまうので小屋宿泊時だけ使用。狐穴小屋で使用しただけでほぼ満タン。
○ロープφ6mm×20mとスリング(使用せず)
○日焼け止め;残りわずかなものと新品のものを持っていったが、あまりの日差しの強さにほぼ使い切った。
それでも前半では塗り足りず、モコモコさんは山行中既に皮がむけ始めていた。
○ポカリの粉5袋、1袋余り。とても暑かったので持って正解だった。
○夕食は赤飯アルファ米、朝はもち入りラーメンが基本。狐穴小屋宿泊時に生米3合を炊いた。
○キャベツの芯をくり抜いて、濡らしたキッチンペパーを入れた状態で、登山最終日まで新鮮なまま食べることができた。
○ネギも新聞に包んで最終日まで大丈夫だった。
○スモークベーコン特大は日持ちが良くなおかつ、食欲をそそり大変好評だった。
○赤いきつねミニの容器は軽くて保温性が良く、器として最適だった。
○お酒は山人ウイスキー700ml。3分の1ほど余った。モコモコさんモヒートの原液350ml。余り50ml。
○ダブルストックは体力消費軽減に助かった。短くなるタイプなので、ザックに取りつけても薮漕ぎ中ストックが引っかかることはなかった。
最近までは木の枝を適当に見繕って杖に、薮では捨てて行き、必要な際その都度調達していた。
○嵩張るがサンダル。幕営中はツッカケとして使えた。
帰りには、長期の残雪山行で濡れて汚れている登山靴を履いて帰らなくても済んだ。
二人とも食料と行動食の分の嵩が減った分、脱いだ登山靴をザックに入れて帰ることができた。
○農作業用のアームカバー
半袖シャツと組み合わせると、日焼け・薮漕ぎ・バカ虫から腕を保護できて涼しい。あと10cm長いと尚よい
○ナイロン製手提げバック
水汲みの時に役に立った。ナイロン製なので、濡れても風に当てればすぐに乾き、軽くて嵩張らない。
夏山と違って水場まで近く楽に行け、片手がふさがっても問題ない状況だったためサブザックより使い勝手がよかった。
本体と持ち手部分が一枚の布で出来ているので、水7リットル程入れて持ち運んでも千切れることなく済んだ。
○軍手 お陰で手の傷は出来なかった
○無線とGPS当たり前だが役に立った。
○ヘッドランプの電池は最終日まで替えずに済んだ。
○3月に買い替えたスマホは優秀で、電池残量が9割ほど残っていた。
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